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【速報】個人事業主を「名ばかり役員」にして社会保険料を削減するスキームに厚労省がメス ― 本日付で通知を発出

2025年12月19日に公表された令和8年度税制改正大綱が注目を集めていますが、社会保険の分野でも重要な動きがありました。

厚生労働省は本日(令和8年3月18日)、「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」と題する通知を、全国健康保険協会・健康保険組合・日本年金機構に対して発出しました。

個人事業主やフリーランスを法人の役員に就任させることで、本来は国民健康保険・国民年金に加入すべき人に、通常より低い保険料で健康保険・厚生年金の適用を受けさせる ― そうした「社会保険料削減スキーム」を行う事業所が存在しているとして、被保険者資格の判断基準を明確化するものです。

問題になっている「社会保険料削減スキーム」とは?

今回の通知が対象としているのは、次のような仕組みです。

・個人事業主やフリーランスを法人の役員に就任させる
・形式上、役員報酬を低額に設定して社会保険に加入させる
・一方で、当該個人事業主から「会費」等の名目で役員報酬を上回る金額を法人に支払わせる

結果として、個人事業主は実質的に自分で保険料を負担しているにもかかわらず、国民健康保険より保険料が安い健康保険の適用を受けられる、という仕組みです。

こうしたスキームは「社保最適化」「社会保険料削減コンサル」などの名目で一部の事業者が勧誘しているケースがあり、以前から問題視されていました。

通知で明確化された判断基準

厚労省は今回の通知で、法人の役員である個人事業主について、以下の観点から被保険者資格の有無を総合的に判断することを明確にしました。

【判断基準①:報酬が業務の対価として適正か】

個人事業主が法人に対して、役員報酬を上回る額の会費等を支払っている場合は、実質的に業務の対価に見合った報酬を受けているとは言えず、原則として被保険者資格を認めないとしています。

なお、関連法人を経由して会費等を支払わせているケースでも、実質的に同一法人とみなされる場合は同様に資格を認めないとされています。

【判断基準②:役員としての業務実態があるか】

以下に該当する場合は、法人の経営に参画する経常的な労務提供とは認められないとされています。

・アンケート回答や勉強会参加など、実態が単なる自己研さんにすぎないもの
・活動報告や情報共有のみで、具体的な指揮監督や権限行使がないもの
・法人の事業紹介への単なる協力にとどまり、労務提供の義務がないもの

逆に、指揮命令権のある職員の有無、決裁権の有無、役員間の取りまとめや代表者への報告業務の有無、会議への出席頻度なども総合的に考慮されます。

資格がないと判断された場合はどうなる?

法人に使用されている実態がないと確認された場合、事実と異なる資格取得届出は健康保険法第48条・厚生年金保険法第27条に違反することになります。該当する個人事業主については資格喪失届の提出が求められ、被保険者資格が遡って喪失する可能性があります。

つまり、すでにこのスキームを利用している場合、遡って国民健康保険料・国民年金保険料の支払いが求められるリスクがあるということです。

中小企業の経営者が注意すべきこと

今回の通知は、主に「社保最適化」をうたうコンサルティングサービスを利用して個人事業主を名目上の役員に据えている法人を対象としたものです。通常の法人経営において実態のある役員を選任しているケースでは、直接影響を受けるものではありません。

ただし、以下の点は確認しておくことをおすすめします。

・自社の役員が実際に経営に参画し、経常的な業務を行っているか
・役員報酬が業務の対価として適正な水準にあるか
・「社会保険料を削減できる」という勧誘を受けた場合は安易に応じない

社会保険料の負担は中小企業にとって大きな課題ですが、法令に反する方法でのコスト削減は、遡及的な保険料負担や行政処分のリスクを伴います。

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