所得税の申告漏れ、1件あたり最大は「キャバクラ」:国税庁が2024事務年度の調査結果を発表
2024年12月11日、国税庁は全国の国税局が2024年6月までの1年間(2024事務年度)に実施した所得税の税務調査結果をまとめました。今回の発表では、AIの活用による調査の効率化や、特定の業種における多額の申告漏れが浮き彫りとなっています。
1件あたりの申告漏れ所得金額が多い業種トップ3
税務調査の結果、1件あたりの申告漏れ金額が特に多かった業種は以下の通りです。
- 第1位:キャバクラ(4,164万円)
- 第2位:眼科医(3,894万円)
- 第3位:ホステス、ホスト(2,968万円)
これら特定の業種において、多額の所得が適正に申告されていない実態が明らかになりました。
富裕層への調査と「追徴税額」の増加
大口の有価証券や不動産を所有する「富裕層」に対する調査結果も公表されています。
- 申告漏れ所得金額: 前年度比27.8%増の837億円。
- 追徴税額: 前年度比21.8%増の207億円。
- 全体の追徴税額: 1,431億円に達し、4年連続の増加。2009年度以降で最高額を記録しました。
AI(人工知能)の活用が調査の効率化を後押し
国税庁は2023年度から、申告漏れの可能性が高い納税者を効率的に選定するためにAIを活用しています。
- 選定精度の向上: 膨大なデータから不自然な申告内容を見つけ出し、ピンポイントで調査を実施。
- 結果への影響: 調査全体の申告漏れ金額は微減したものの、追徴税額が過去最高水準まで伸びており、AIによる「効果的なターゲット選定」が功を奏しているとみられます。
まとめ:税務当局のデジタル化が加速
今回の結果は、国税当局がデジタル技術を駆使して厳格な調査を行っている姿勢を示しています。特に富裕層や高収益業種に対する監視の目は年々強まっており、適正な申告の重要性が改めて問われる内容となりました。