経営管理ビザが大幅厳格化へ:資金要件3000万円・常勤職員1名必置が年内にも実現か
経営管理ビザが大幅厳格化へ:資金要件3000万円・常勤職員1名必置が年内にも実現か
2025年8月5日の大手新聞社の報道によると、外国人が日本で起業するための在留資格である「経営管理ビザ」の要件が、年内にも大幅に厳格化される見通しです。現行の要件が時代に合わなくなり、制度を悪用したと見られる事例が増加したことなどが背景にあるとされています。
今回の厳格化は、外国人の日本での起業環境、さらには在留資格全体に大きな影響を与える可能性があります。
厳格化される主要な要件
報道によると、経営管理ビザの要件は以下の通りに厳しくなる見込みです。
- 資金要件の引き上げ: 現在の「500万円以上」から、「3000万円以上」へと大幅に引き上げられます。
- 常勤職員の必置: 従来の「500万円以上の資金投下」または「常勤職員2名以上の雇用」という選択要件から、「常勤職員1名以上の配置」が必須となる見通しです。ここでいう常勤職員は、日本人や永住者、配偶者ビザを持つなど、就労制限のない者のみとされています。
現行制度では、外国人起業家一人だけで事業を行うケース(IT、貿易、不動産、民泊など)も多く、特に500万円の資金要件を満たして申請する事例が一般的でした。しかし、今後はこの「常勤職員1名」の雇用が必須となるため、一人で事業を始めたいと考えている外国人にとっては、非常に高いハードルとなります。
厳格化の背景にある課題
経営管理ビザの厳格化には、以下の複数の背景があると指摘されています。
- 制度と実態の乖離: 投資金額500万円の要件は、旧「投資経営ビザ」時代から変更されておらず、円安や経済成長により、他国に比べて安価に取得できる状況になっていました。これにより、本来の事業目的ではなく、日本への移住手段としてこのビザが利用されるケースが増加していました。
- 公的負担の増加: 経営管理ビザを持つ外国人が、配偶者や子供を「家族滞在」で呼び寄せることが可能です。これにより、公立学校などが日本語教育を担うことになり、教育現場に大きな負担がかかっているという問題も指摘されていました。
- 世論と批判の高まり: 近年、経営管理ビザを持つ外国人による、大阪の民泊問題や北海道の無許可伐採など、ネガティブな報道が増加していました。こうした世論の高まりが、政治を動かす一因になったとみられています。
また、実務家の間でも、ビジネス意欲よりも移住が目的の相談が増加しているとの肌感覚があり、ビザ更新時に不許可となるケースも少なくなかったようです。
厳格化がもたらす影響
この要件変更は、外国人起業家だけでなく、すでに経営管理ビザを持っている外国人や、今後の在留資格申請にも影響を与える可能性があります。
- 新規申請の激減: 資金要件が6倍に引き上げられ、常勤職員の雇用が必須となることで、経営管理ビザの新規申請数は大幅に減少する見込みです。特に、資金調達が難しい国籍の外国人や、インド・ネパール料理店などを個人で開業したいと考えていた方々にとって、3000万円の資金拠出は非常に困難な課題となります。
- 更新申請の厳格化: 新規申請時だけでなく、既存の経営管理ビザを持つ人々の更新審査も厳しくなる可能性があります。すぐに新要件を満たすことが求められなくとも、社会保険の加入確認など、より厳格な審査が行われる兆候はすでに現れています。
- 永住・帰化の難易度上昇: 永住許可や帰化申請は、在留資格の要件以上の安定した生活基盤が求められます。経営管理ビザの要件が上がることで、これらの申請のハードルも連動して高くなることが予想されます。
今回の厳格化は、日本に真に貢献する起業家を呼び込む一方で、安易な在留資格取得を抑制する狙いがあるとみられます。今後、経営管理ビザを検討している方は、これらの変更を十分に理解し、準備を進める必要があります。