堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
使用人賞与の損金算入2026|決算賞与の未払計上3要件を解説
この記事の要点3点
- 使用人(従業員)への賞与は原則「支給日の属する事業年度」で損金算入。決算日までに支払えない未払賞与も、一定の3要件を満たせば決算期の損金にできます。
- 3要件とは「全使用人への各人別・同時期の通知」「事業年度末の翌日から1か月以内の支払」「通知した事業年度での損金経理」で、法人税法施行令第72条の3が根拠です。
- 要件を1つでも欠くと未払賞与は全額否認され、翌期の損金に。決算賞与を使った節税を狙う中小企業は、通知書の整備と支払期限の管理が必須です。
夏の賞与シーズンや決算期を迎えると、「今期の利益を従業員に還元しつつ、税務上も損金にしたい」という相談が増えます。特に決算月に支給する決算賞与は、うまく使えば従業員のモチベーション向上と法人税の圧縮を同時に実現できる有効な手段です。ただし、賞与を損金にできる時期には明確なルールがあり、決算日までに支払えない未払賞与を当期の損金にするには、法人税法施行令が定める3つの要件をすべて満たす必要があります。本記事では、使用人賞与の損金算入時期の原則と3要件、そして税務調査で否認されないための実務ポイントを、具体的な会計処理や3月決算の例も交えながら税理士がわかりやすく解説します。決算対策として決算賞与の活用を検討している中小企業の経営者・経理担当者は、ぜひ確認してください。
使用人賞与の損金算入時期|原則と未払計上のルール
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法人が使用人(従業員)に支給する賞与の損金算入時期は、法人税法施行令第72条の3に定められています。国税庁のタックスアンサー「No.5350 使用人賞与の損金算入時期」でも整理されており、賞与は支給形態に応じて次の事業年度に損金算入されます。
原則は「支給日の属する事業年度」
もっとも基本的な取扱いは、実際に賞与を支払った日の属する事業年度で損金に算入するというものです。たとえば3月決算の会社が7月に夏季賞与を支払えば、その賞与は支払った期(翌期)の損金となります。通常の夏季・冬季賞与の多くはこの原則に沿って処理されます。7月に支給する夏季賞与を例にとると、その賞与は支払った日を含む事業年度で費用となり、決算月をまたぐかどうかを気にする必要は基本的にありません。
労働協約等で支給日が定められている賞与
労働協約や就業規則により支給予定日が定められている賞与については、その支給予定日か通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度で損金算入します。就業規則等で賞与の支給時期をあらかじめ定めている会社は、この取扱いに該当するかを確認しておくとよいでしょう。
決算賞与など「未払賞与」を当期の損金にする3要件
実務でとくに重要なのが、決算日までに通知はしたものの支払いが翌期になる「未払賞与」の取扱いです。この場合、次の3要件をすべて満たせば、通知をした日の属する事業年度(=当期)の損金に算入できます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| (1) 通知 | その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること |
| (2) 支払 | 通知した金額を、通知したすべての使用人に対し、その通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること |
| (3) 損金経理 | その支給額につき、通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること |
(根拠:法人税法施行令第72条の3、法人税基本通達9-2-43〜9-2-44。国税庁タックスアンサーNo.5350による。)
ポイント:3要件は「オールオアナッシング」
3要件は1つでも欠けると未払賞与の当期損金算入は認められず、実際に支払った翌期の損金となります。決算対策として使うなら、3要件を確実に証拠として残すことが前提です。
3要件は1つでも欠けると未払賞与の当期損金算入は認められず、実際に支払った翌期の損金となります。決算対策として使うなら、3要件を確実に証拠として残すことが前提です。
ここで押さえておきたいのは、この3要件が「未払いのまま当期の損金にする」ための特例的な取扱いだという点です。原則はあくまで支給日基準であり、通常どおり決算日までに支払ってしまえば、3要件を意識するまでもなくその期の損金になります。3要件が問題になるのは、あくまで「決算日をまたいで翌期に支払う」場合に限られます。この違いを理解しておくと、自社の賞与がどの取扱いに当てはまるかを判断しやすくなります。なお、ここでいう「1か月以内」の起算点は支給の通知日ではなく、あくまで事業年度終了の日の翌日である点にも注意が必要です。決算日から起算するため、決算月の月末が事業年度終了日であれば、その翌日から1か月が支払いの期限となります。この起算点を誤解して計算すると、わずかな日数の差で要件を満たせなくなることがあります。
中小企業への実務影響|決算賞与を使うときの流れ
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決算賞与は、当期の利益が想定より大きくなった場合に、決算月までに賞与額を確定・通知し、翌期の初月に支払うことで当期の損金に計上する——という使い方が典型です。従業員への還元とキャッシュ流出の先送り(1か月以内)を両立できるため、資金繰りにも配慮した節税策となります。決算間際になって「思ったより利益が出た」というとき、法人税をそのまま納めるのではなく、その一部を頑張った従業員に還元しつつ損金に落とせる点が、決算賞与の大きな魅力です。
3月決算会社の具体例
たとえば3月31日決算の会社が、3月中に各従業員へ賞与額を書面で通知し、4月30日までに全員へ支払い、当期の帳簿で未払賞与として損金経理すれば、その賞与は当期(3月期)の損金になります。支払いが5月にずれ込むと「1か月以内」の要件を満たさず、当期損金にはできません。通知は決算日である3月31日までに済ませておく必要がある点も見落とさないようにしましょう。決算日を過ぎてから金額を決めて通知しても、その期の損金にはできません。
会計処理(仕訳)のイメージ
決算賞与を未払計上する場合の会計処理は、決算期に賞与の総額を「賞与(費用)/未払費用(負債)」として計上し、翌期に実際に支払った時点で「未払費用/現預金」として取り崩す、という流れになります。この決算期の損金経理が3要件の1つ(損金経理要件)に対応します。仕訳を切っただけで支払や通知の証拠がなければ要件を満たさないため、帳簿・通知書・支払記録の3点セットで裏づけることが欠かせません。反対に、これらの証拠がそろっていれば、支払いが翌期になっても堂々と当期の損金として説明できます。
資金繰りへの配慮
決算賞与は損金になるとはいえ、実際には現金が社外へ流出します。節税額(法人税等の減少)は支給額に実効税率を掛けた範囲にとどまるため、「税金が減るから」という理由だけで無理な支給を行うと、かえって手元資金を圧迫します。当期の利益とキャッシュの両方に余裕があることを確認したうえで、還元と納税のバランスを取ることが大切です。たとえば実効税率がおおむね3割の会社であれば、100万円の決算賞与によって減る法人税等は30万円程度で、残りの70万円は実際の支出です。「税金を払うくらいなら賞与に」という発想は一面では正しいものの、支出そのものが消えるわけではないことを理解しておく必要があります。
社会保険料・源泉徴収の取扱いにも注意
賞与を支払う際は、所得税の源泉徴収と社会保険料の控除が必要です。支払時には「賞与支払届」を年金事務所へ提出し、標準賞与額に基づく保険料を納めます。未払賞与を計上した期には賞与に係る社会保険料の会社負担分も未払計上できる場合がありますが、賞与本体の3要件とは判定が別であるため、混同しないよう整理しておきましょう。
他の決算対策とあわせて検討する
決算賞与は数ある決算対策の一つにすぎません。少額減価償却資産の特例による設備投資、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の掛金、短期前払費用の特例など、当期に損金を計上できる手段は複数あります。それぞれ資金繰りへの影響や翌期以降の効果が異なるため、決算賞与だけに偏らず、自社の状況に合った組み合わせを選ぶことが重要です。こうした賞与・給与まわりの処理や決算対策全体の設計は、記帳から申告まで一貫して相談できる堺市の税務顧問に確認すると確実です。
重要:役員賞与は原則として損金不算入
ここまでの3要件は「使用人(従業員)」への賞与の話です。役員に対する賞与は、事前確定届出給与などの要件を満たさない限り原則として損金になりません。使用人兼務役員に支給する賞与のうち、使用人としての職務に対応する部分は使用人賞与に含まれますが、役員分は別扱いです。
ここまでの3要件は「使用人(従業員)」への賞与の話です。役員に対する賞与は、事前確定届出給与などの要件を満たさない限り原則として損金になりません。使用人兼務役員に支給する賞与のうち、使用人としての職務に対応する部分は使用人賞与に含まれますが、役員分は別扱いです。
当事務所の見解・実務上の注意点
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決算賞与は有効な節税策ですが、税務調査で否認される事例が後を絶ちません。当事務所が特に重視しているのは、「3要件を満たした事実を、書面で客観的に残せているか」という一点です。口頭で伝えただけ、金額を後から変えた、といった運用は否認リスクを高めます。税務調査では、通知書の日付、支払日、帳簿上の計上時期という「時系列」が細かく確認されます。この3つが要件どおりに整合していることを、後から見ても説明できる状態にしておくことが何より大切です。
否認されやすい典型パターン
第一に、通知の証拠がないケースです。各人別の支給額を記した通知書がなく、金額の一覧や従業員の受領サインも残っていないと、「通知していた」と認められません。第二に、支払が翌月1か月を超えたケースです。1日でも過ぎれば要件を満たしません。第三に、通知後に金額を変更した・一部の人に支払わなかったケースです。決算日後に退職した従業員に支払わなかった場合、その人への通知額が要件を満たさず、賞与全体の損金算入が否認されることもあります。
否認を防ぐ実務のコツ
賞与額を確定したら、決算日までに各人別の金額を明記した通知書を作成し、従業員の確認(受領印やメール返信など)を得ておくことをおすすめします。支払は決算日の翌日から1か月以内に、通知どおりの金額を全員へ確実に実行します。会計処理では、決算期に「賞与/未払費用」として損金経理し、支払時に未払費用を取り崩します。これらの一連の証拠がそろっていれば、調査で問われても説明できます。
「毎年の恒例」にする場合の注意
決算賞与を毎期継続して支給している会社では、支給の有無や金額を利益の状況に応じて調整することがあります。それ自体は問題ありませんが、就業規則や賃金規程との整合性は意識しておくべきです。規程で賞与の支給基準を定めている場合、実態がそれと大きく食い違うと、従業員との労務トラブルの火種になりかねません。税務面だけでなく、労務面も含めて制度として整えておくと、安心して継続できます。決算賞与は、従業員に「会社の業績が自分たちの処遇に反映される」という納得感を与える施策でもあり、うまく運用すれば定着率の向上にもつながります。単なる節税の道具としてではなく、人材への投資という視点で位置づけると、支給の判断もぶれにくくなります。
当事務所の考え方
決算賞与は「利益が出てから慌てて組む」のではなく、決算月に入る前に着地見込みを立て、賞与額と通知・支払スケジュールを事前に設計しておくのが理想です。節税と従業員還元、資金繰りのバランスを取った計画的な運用が成功のカギです。
決算賞与は「利益が出てから慌てて組む」のではなく、決算月に入る前に着地見込みを立て、賞与額と通知・支払スケジュールを事前に設計しておくのが理想です。節税と従業員還元、資金繰りのバランスを取った計画的な運用が成功のカギです。
今すぐやるべきこと|決算賞与のチェックリスト
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決算賞与で当期損金を確実にするために、次の手順で進めましょう。ポイントは「決算日までに通知」「翌日から1か月以内に支払」「当期に損金経理」の3つを、証拠とともに実行することです。
- ステップ1:利益の着地見込みを確認する
決算月に入る前に、当期の利益とキャッシュの見込みを試算し、賞与に回せる原資を把握します。納税額とのバランスを見ながら、無理のない支給総額を決めることが出発点です。 - ステップ2:各人別の支給額を決めて通知書を作る
同時期に支給する全使用人に対し、各人別の支給額を記載した通知書を決算日までに交付します。誰にいくら支給するかを一覧にし、受領サインやメール返信などの受領確認を残します。 - ステップ3:決算期に損金経理する
当期の帳簿で「賞与/未払費用」として計上し、損金経理を行います。通知した総額と帳簿上の計上額が一致していることを確認しておきましょう。 - ステップ4:翌日から1か月以内に全額支払う
通知した金額どおりに、事業年度終了日の翌日から1か月以内に全員へ支払います。振込であれば実行日が明確に残るため、支払記録は必ず保管します。 - ステップ5:源泉徴収・賞与支払届を忘れない
支払時に所得税を源泉徴収し、賞与支払届を年金事務所へ提出して社会保険料を納付します。損金算入の要件だけでなく、支払実務に伴う手続きも漏れなく行うことが大切です。
決算賞与チェックリスト
- ☑ 各人別の支給額を記した通知書を決算日までに交付した
- ☑ 通知の受領確認(サイン・メール等)を残した
- ☑ 当期に「賞与/未払費用」で損金経理した
- ☑ 事業年度終了日の翌日から1か月以内に全員へ支払った
- ☑ 通知額どおりに支払い、退職者を含め漏れがない
よくある質問
- Q. 決算日までに賞与を支払えなくても当期の損金にできますか?
- A. できる場合があります。決算日までに各人別の支給額を同時期支給の全使用人へ通知し、事業年度終了日の翌日から1か月以内に支払い、当期に損金経理していれば、法人税法施行令第72条の3の3要件を満たし、通知した事業年度(当期)の損金に算入できます。3要件をすべて満たすことが条件で、通知書や支払記録などの証拠を残しておくことが実務上とても重要です。
- Q. 支払が1か月を1日でも過ぎたらどうなりますか?
- A. 3要件のうち支払要件を満たさないため、その未払賞与は当期の損金にはできず、実際に支払った翌期の損金となります。「翌日から1か月以内」という期限は厳格に判定されるため、決算日が月末なら翌々月の同日前後が目安になります。振込手続きの遅れで数日オーバーする例もあるため、支払予定は余裕を持って設定してください。
- Q. 決算日後に退職した従業員に賞与を支払わなくても大丈夫ですか?
- A. 通知した金額を通知した全員に支払うことが要件です。決算日後に退職した従業員へ支払わなかった場合、その人への通知額が要件を満たさず、賞与全体の当期損金算入が否認されるおそれがあります。在職を支給条件とする規程がある場合など、取扱いに迷うケースもあるため、通知の設計段階で税理士に相談しておくと安全です。原則は通知どおり全員へ支払うことです。
- Q. 役員にも決算賞与を出せば損金になりますか?
- A. 役員賞与は原則として損金になりません。事前確定届出給与など所定の要件を満たす場合に限り損金算入が認められます。使用人向けの3要件は役員には適用されません。ただし使用人兼務役員に支給する賞与のうち、使用人としての職務に対応する部分は使用人賞与に含めて判定できます。役員分と使用人分は明確に区分して処理してください。
- Q. 通知は口頭でもよいですか?
- A. 法令上は通知の方法を書面に限定していませんが、税務調査で「各人別に通知した事実」を客観的に証明できることが重要です。口頭のみでは証拠が残らず、否認リスクが高まります。各人別の支給額を記した通知書で伝え、受領サインやメールの返信など受領確認を残すことを強くおすすめします。
- Q. パートやアルバイトへの賞与も3要件の対象になりますか?
- A. 使用人(従業員)であれば、正社員・パート・アルバイトといった雇用形態を問わず対象になります。3要件は「同時期に支給を受けるすべての使用人」への通知を求めているため、対象となる従業員を漏れなく含めることが必要です。一部の従業員だけに通知して他を除くと要件を満たさないおそれがあるため、支給対象の範囲を明確にしておきましょう。
参考資料・出典
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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