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デジタル化・AI導入補助金2026|旧IT導入補助金からの変更点

デジタル化・AI導入補助金2026の変更点を税理士が解説するイメージ
この記事の要点3点

  • ポイント1:2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更。会計ソフトやレジなど、これまでのIT導入補助金の役割は引き継がれています。
  • ポイント2:インボイス・電子帳簿対応の会計ソフト等を導入する中小企業が主な対象。インボイス枠ではソフトの補助率が中小3/4・小規模4/5と手厚く設定されています。
  • ポイント3:通常枠・インボイス枠の直近の締切は2026年7月21日(火)17時。交付決定前に発注・契約すると対象外になるため、申請から着手までの順番に注意が必要です。

会計ソフトやレジ、受発注システムの導入費用を補助してくれる「IT導入補助金」は、多くの中小企業が活用してきた定番の支援策です。この制度が2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へと名称を変えました。名前は変わっても、インボイスや電子帳簿保存法への対応を進める中小企業を後押しする役割は健在です。本記事では、名称変更後の補助枠と補助額、締切スケジュール、そして「交付決定前に発注してはいけない」という最も重要な注意点を、堺市の税理士がわかりやすく解説します。会計・受発注のデジタル化を検討している事業者の方は、締切から逆算した準備の参考にしてください。名称は新しくなりましたが、押さえるべき要点はシンプルです。補助枠の選び方から申請の順番、そして交付決定前の発注という落とし穴まで、実務に沿ってわかりやすく整理していきます。中小企業の経理・税務の視点も交えて、はじめての方にもわかりやすいように解説します。

制度・改正の概要

デジタル化・AI導入補助金で導入する会計ソフトのダッシュボードのイメージ

デジタル化・AI導入補助金(旧・IT導入補助金)は、中小企業・小規模事業者が自社の課題に合ったITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が担っています。2026年度は、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化AI導入枠といった申請枠で構成されています。

名称変更のポイント

「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」への変更は、単なる呼び名の変更にとどまらず、AIの活用を含めたデジタル化全般を後押しする方向性を打ち出したものです。ただし、会計・受発注・決済ソフトやパソコン・レジの導入を支援するという中小企業にとっての実務的な使い勝手は、従来のIT導入補助金を引き継いでいます。検索や過去資料で「IT導入補助金」と表記されていても、2026年度分は本制度を指すと理解して差し支えありません。

通常枠の補助額・補助率

通常枠は、自社の業務プロセスを効率化するソフトウェアの導入が対象です。補助の対象にはソフトウェア購入費のほか、クラウド利用料(最大2年分)、導入コンサルティングや導入設定・研修、保守サポートなどが含まれます。補助額は、導入するプロセス数に応じて次のように区分されています。

区分補助額補助率
1プロセス以上5万円以上150万円未満1/2以内(一定の要件で2/3以内)
4プロセス以上150万円以上450万円以下1/2以内(一定の要件で2/3以内)

補助率は原則2分の1以内ですが、直近一定期間に地域別最低賃金近傍で働く従業員の割合が高い事業者など、一定の要件に該当する場合は3分の2以内に引き上げられます。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス制度への対応を進める事業者にとって使いやすいのがインボイス枠です。インボイス制度に対応し、かつ「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上もつソフトウェアが対象で、ソフトの補助率は中小企業で4分の3、小規模事業者で5分の4と、通常枠より手厚く設定されています。会計ソフトなどのソフトウェアに加え、それらを使うためのパソコン・タブレット・レジ等のハードウェアも補助対象になります。

その他の申請枠

2026年度は上記のほかにもいくつかの枠が用意されています。インボイス枠には「電子取引類型」があり、受発注システムをインボイス制度に対応させて取引先へ供与する事業者を対象とします。サイバー攻撃への備えを支援する「セキュリティ対策推進枠」、複数の中小企業が連携してデジタル化に取り組む「複数者連携デジタル化AI導入枠」もあります。自社が単独でツールを導入するのか、取引先や同業者と連携するのかによって、選ぶべき枠が変わります。まずは通常枠とインボイス枠のどちらが自社の目的に合うかを軸に検討するとよいでしょう。

ポイント:「プロセス」とは
通常枠の補助額区分に出てくる「プロセス」とは、顧客対応・受発注・決済・会計といった業務の工程を指します。導入するソフトがカバーする業務工程の数が多いほど、上位の補助区分(4プロセス以上で最大450万円)を狙えます。自社のどの業務をデジタル化するのかを整理することが、枠と補助額の見極めにつながります。

中小企業への実務影響

中小企業がデジタル化・AI導入補助金でタブレットレジを導入する店舗の様子

デジタル化・AI導入補助金は、インボイスと電子帳簿保存法への対応をコストを抑えて進める好機です。ここでは中小企業が押さえるべき実務ポイントを、補助額・スケジュール・手続きの順に整理します。

インボイス枠の補助上限を具体的に把握する

インボイス対応類型の補助上限は、ソフトの機能数とハード・ソフトの別によって次のように分かれます。

対象補助率補助上限
ソフト(1機能以上)中小3/4・小規模4/550万円以下
ソフト(2機能以上)50万円以下部分は中小3/4・小規模4/5、超過部分は2/3350万円以下
PC・タブレット等1/2以内10万円以下
POSレジ・券売機1/2以内20万円以下

会計・受発注・決済のうち2機能以上を備えたソフトを導入すれば、最大350万円までの補助が視野に入ります。クラウド会計を軸に受発注や決済まで一体で見直すと、補助の効果を最大化しやすくなります。

モデルケースでみる自己負担

たとえば堺市の小規模事業者が、インボイス対応の会計ソフト(会計・受発注の2機能)を導入し、あわせてレジと入力用のタブレットをそろえる場合を考えます。ソフト費用のうち50万円以下の部分は補助率5分の4(小規模事業者)で補助され、POSレジは上限20万円・補助率2分の1、タブレットは上限10万円・補助率2分の1が適用されます。補助率が高いのはあくまで一定の上限までであり、上限を超える部分や補助対象外の費用は自己負担になります。「どこまでが補助対象で、実際の持ち出しはいくらか」を導入前に試算しておくことが、投資判断のうえで欠かせません。

締切スケジュールから逆算する

2026年度は、通常枠・インボイス枠とも複数回の締切が設けられています。中小機構の公表によると、直近の締切は2026年7月21日(火)17時、これに対応する交付決定日は2026年9月2日(水)(予定)、事業実施期間は交付決定日から2027年2月26日(金)17時まで(予定)とされています。複数者連携デジタル化AI導入枠は別スケジュールで、締切は2026年8月25日(火)17時が案内されています。締切は確定分のみ公表され、以降は順次更新されるため、公式サイトで最新の回次を確認してください。

重要:発注は「交付決定後」から
この補助金で最も多い失敗が、交付決定を待たずにソフトやハードを発注・契約・支払いしてしまうケースです。原則として交付決定日より前に発注・契約したものは補助対象外になります。「申請 → 交付決定 → 発注・導入 → 実績報告」という順番を必ず守ってください。

電子帳簿保存法・インボイスの実務と直結する

この補助金の効果は、会計・経理の実務改善と密接に結びついています。2024年1月から電子取引データの電子保存が原則義務化され、メールやウェブで受け取った請求書・領収書は一定の要件を満たして電子データのまま保存する必要があります。補助金を使って導入する会計ソフトが、この電子取引データの保存要件(改ざん防止・検索機能の確保など)に対応していれば、義務対応とデジタル化を一度に進められます。インボイスについても、適格請求書の記載事項を満たした請求書発行や、受領したインボイスの区分経理に対応したソフトを選ぶことで、日々の経理負担を大きく減らせます。

IT導入支援事業者・ツールの登録が前提

この補助金は、あらかじめ事務局に登録されたITツールを、登録されたIT導入支援事業者(ベンダー等)と共同で申請する仕組みです。どんなソフトでも対象になるわけではないため、導入したいツールが登録済みかどうかを早めに確認し、支援事業者と申請スケジュールをすり合わせる必要があります。会計ソフトの選定と補助金申請は、日々の記帳・経理体制と切り離せません。freeeに強い税理士として、クラウド会計の導入設計から補助金活用までを一体でご支援しています。

当事務所の見解・実務上の注意点

税理士と経営者がクラウド会計の導入と補助金活用を検討する様子

補助金は「導入費用の一部が戻る」制度であり、導入そのものの目的を見失うと投資対効果を損ねます。補助が出るからと過大なシステムを入れてしまい、使いこなせずにコストだけが残るという相談も少なくありません。当事務所が中小企業のデジタル化を支援するなかで重視している3つの視点を挙げます。

1. 「補助が出るから」ではなく「業務が変わるか」で選ぶ

補助率が手厚いインボイス枠でも、自己負担はゼロにはなりません。導入したツールが記帳・請求・受発注の手間を実際に減らすか、経理担当者が使いこなせるかを基準に選定することが先決です。使われないシステムに補助金を投じても、翌年以降のクラウド利用料だけが残ります。まずは現状の業務でどこに時間がかかっているかを洗い出し、その工程を解決できるツールから優先的に検討するとよいでしょう。

2. 電子帳簿保存法・インボイスの要件を満たすツールかを確認する

電子取引データの保存義務やインボイスの記載事項は、制度側で細かく定められています。導入するソフトがこれらの保存要件・記載要件に対応しているかを、導入前に必ず確認しましょう。補助金申請と並行して、社内の経理フロー(証憑の保存方法、仕訳のルール)を整えることが、税務調査への備えにもつながります。

3. 補助金の会計・税務処理を最初に設計する

受け取った補助金は、法人なら益金、個人事業主なら事業所得の収入に算入され、原則として課税対象です。固定資産に該当する機器を導入した場合の圧縮記帳の可否や、消費税の仕入税額控除との関係など、論点は少なくありません。導入前に処理方針を固めておくと、決算での慌てを防げます。クラウド会計・DX支援とあわせて、補助金の入口から出口までをご相談ください。

今すぐやるべきこと

デジタル化・AI導入補助金の申請準備をチェックリストで進めるイメージ

デジタル化・AI導入補助金を締切に間に合わせて活用するための手順を整理します。補助金は「申請すれば必ず採択される」ものではなく、締切ごとに審査があります。準備が整っていないまま締切直前に慌てて申請すると、加点要素を作り込めないまま提出することになりがちです。次のステップを早めに進め、余裕をもって申請にのぞむことが採択率を高めるコツです。

  1. ステップ1:導入したいツールと解決したい課題を明確にする
    「請求書発行をインボイス対応にしたい」「受発注をペーパーレスにしたい」など、目的を具体化します。会計・受発注・決済のどの機能が必要かを洗い出します。
  2. ステップ2:対象ツールとIT導入支援事業者を確認する
    導入候補のツールが補助金の登録ツールか、また共同申請するIT導入支援事業者は誰かを確認します。登録がなければ対象になりません。
  3. ステップ3:gBizIDプライムなど申請に必要なアカウントを準備する
    電子申請にはgBizIDプライムの取得が前提です。発行に時間がかかることがあるため、締切から逆算して早めに手配します。
  4. ステップ4:締切までに交付申請を行う
    直近の締切(2026年7月21日17時)など、狙う回次の締切までに支援事業者と共同で申請します。間に合わない場合は次回締切に回します。
  5. ステップ5:交付決定を待ってから発注・導入する
    交付決定の通知を受けてから発注・契約・支払いを行い、事業実施期間内に導入を完了して実績報告を提出します。決定前の発注は対象外になる点に最大限注意します。
補助金の枠・補助率・締切は年度や公募回によって変わり、確定分のみが順次公表されます。本記事は執筆時点で公表されている2026年度の情報に基づいていますが、申請前には必ず公式サイトの最新の公募要領とスケジュールを確認してください。導入予定のツールや事業者が登録済みかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. IT導入補助金はなくなったのですか?
A. 廃止されたわけではなく、2026年度から名称が「デジタル化・AI導入補助金」へ変更されました。会計ソフトやレジ、受発注システムの導入を支援するという中小企業向けの役割は引き継がれています。過去の「IT導入補助金」の資料を参照する際は、最新の公募要領で内容を確認してください。
Q. 会計ソフトを導入したい場合、どの枠が向いていますか?
A. インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトであれば、インボイス枠(インボイス対応類型)が候補です。ソフトの補助率が中小企業で4分の3、小規模事業者で5分の4と手厚く、2機能以上を備えたソフトなら最大350万円までの補助が視野に入ります。自社の業務範囲に合わせて枠を選びましょう。
Q. 直近の締切はいつですか?
A. 中小機構の公表によると、通常枠・インボイス枠の直近の締切は2026年7月21日(火)17時で、対応する交付決定日は2026年9月2日(水)(予定)です。締切は確定した回次のみ公表され、以降は順次更新されます。最新の締切は公式サイトで確認してください。
Q. 交付決定の前にソフトを契約してしまいました。対象になりますか?
A. 原則として、交付決定日より前に発注・契約・支払いを行ったものは補助対象外になります。この点は毎年多くの事業者がつまずくポイントです。必ず「申請 → 交付決定 → 発注・導入 → 実績報告」の順番を守ってください。判断に迷う場合は交付決定前に発注しないのが安全です。
Q. 受け取った補助金に税金はかかりますか?
A. 補助金は法人であれば益金、個人事業主であれば事業所得の収入金額に算入され、原則として課税対象です。固定資産の取得に充てた場合は圧縮記帳の適用を検討できるケースもあります。消費税の取扱いも含めて論点があるため、導入前に税理士へ相談し、処理方針を決めておくことをおすすめします。
Q. 個人事業主やフリーランスでも申請できますか?
A. デジタル化・AI導入補助金は中小企業・小規模事業者を対象としており、業種ごとの資本金・従業員数の要件を満たせば、法人だけでなく個人事業主も対象になり得ます。フリーランスがインボイス対応の会計ソフトを導入する際にも活用の余地があります。自社が対象要件に当てはまるかは、公募要領の定義を確認してください。
Q. クラウド会計ソフトの月額利用料も補助されますか?
A. 通常枠ではクラウド利用料が最大2年分まで補助対象に含まれます。買い切り型のソフトだけでなく、月額課金のクラウドサービスも一定期間分が対象になり得る点は、この補助金の特徴です。ただし対象となる範囲や期間は枠や公募回によって異なるため、申請前に公募要領とIT導入支援事業者に確認しておくと安心です。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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