堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
少額減価償却資産40万円特例|2026年4月改正の活用法と落とし穴
📅 公開日:2026年5月13日 |
🔄 最終更新日:2026年5月13日 |
⏱️ 読了時間:約12分 |
👤 監修:道濟会計事務所
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📋 この記事の要点3点
- 40万円未満まで即時償却が可能に──令和8年4月1日以後に取得した減価償却資産から適用。これまでの30万円未満から枠が拡大されました。
- 判定は「事業年度」ではなく「取得日」基準──同じ事業年度内でも3月までに取得した資産は30万円、4月以後に取得した資産は40万円が基準になります。
- 従業員400人超は対象外──適用対象が「常時使用する従業員500人以下」から「400人以下」に縮小。中堅手前の企業は事前確認が必須です。
📍 目次
2026年4月1日から、中小企業者等の少額減価償却資産の特例における取得価額の上限が「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられました。令和8年度税制改正による中小企業の設備投資後押し策の中核です。しかし「いつ取得した資産から40万円基準なのか」「自社は対象なのか」「300万円上限の中でどう使えば一番得なのか」と、判断に迷う場面が多いはずです。本記事では、財務省の令和8年度税制改正大綱と中小企業庁の公表情報をもとに、改正のポイント、よくある実務上の誤解、そして堺市の中小企業の決算対策で実際にお伝えしている活用法までを、税理士の視点で具体的に解説します。
少額減価償却資産40万円特例とは──令和8年度改正の概要
少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が一定の減価償却資産を取得した際に、通常の減価償却計算によらず、取得した事業年度に取得価額の全額を損金(経費)算入できる制度です。本来であれば法定耐用年数にわたって少しずつ費用化する資産を、即時に費用化できる強力な節税ツールとして、多くの中小企業が活用してきました。
令和8年度税制改正により、この特例には次の3つの大きな変更が加わりました。
令和8年度改正の3つのポイント
- 取得価額の上限引上げ:30万円未満 → 40万円未満
- 適用対象法人の縮小:常時使用する従業員500人以下 → 400人以下
- 適用期限の延長:令和8年3月31日まで → 令和11年3月31日まで(3年延長)
適用時期は、令和8年4月1日以後に取得し、事業の用に供する減価償却資産からです。財務省の令和8年度税制改正大綱でも「対象となる減価償却資産の取得価額を40万円未満(現行:30万円未満)に引き上げる」「対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人を超える法人を除外する」「その適用期限を3年延長する」と明記されています。
対象となる事業者と資産の要件
本特例の対象となる「中小企業者等」は、おおむね次の要件を満たす法人・個人事業主です。
- 青色申告をしている中小企業者(資本金1億円以下など)または農業協同組合等
- 常時使用する従業員数が400人以下(令和8年4月1日以後取得分から)
- 大規模法人の子会社など、適用除外事由に該当しないこと
対象となる資産は、取得価額が40万円未満(令和8年4月1日以後取得分)の減価償却資産で、機械装置、器具備品、車両運搬具、ソフトウェア(無形固定資産)など幅広く該当します。
中小企業への実務影響と「取得日」判定の落とし穴
この改正で最も実務的に重要なポイントは、「事業年度」ではなく「取得日」で30万円基準か40万円基準かを判定するという点です。施行日以後に開始する事業年度からではなく、施行日以後に取得した資産から新基準が適用されます。
たとえば3月決算法人の場合、令和8年4月1日からスタートする事業年度(令和8年4月~令和9年3月)の中で、4月1日以後に取得した資産はすべて40万円基準で判定でき、自然なかたちで切替が完了します。しかし、12月決算法人や個人事業主では話が複雑になります。
| 取得時期 | 適用基準 | 35万円のパソコンの扱い |
|---|---|---|
| 令和8年3月31日以前に取得 | 30万円未満が対象 | 特例対象外 → 通常の減価償却 |
| 令和8年4月1日以後に取得 | 40万円未満が対象 | 特例対象 → 全額損金算入可 |
⚠️ よくある誤解
「弊社は12月決算だから、令和9年1月1日からの事業年度で40万円基準だ」と考えるのは間違いです。令和8年4月1日に取得した35万円の機械装置は、12月決算法人であっても40万円基準が適用され、当期に全額損金算入できます。判定はあくまで個々の資産の取得日で行います。
「弊社は12月決算だから、令和9年1月1日からの事業年度で40万円基準だ」と考えるのは間違いです。令和8年4月1日に取得した35万円の機械装置は、12月決算法人であっても40万円基準が適用され、当期に全額損金算入できます。判定はあくまで個々の資産の取得日で行います。
従業員400人カットの実務インパクト
もう一つ見落とされがちな改正点が、適用対象法人の従業員数の引下げです。これまでは「常時使用する従業員数500人以下」が要件でしたが、令和8年4月1日以後取得分からは「400人以下」に絞り込まれます。
「うちは1,000人いるから関係ない」という大企業と、「30名の中小企業」では影響はありません。しかし、従業員数401人~500人の中堅手前の企業は、これまで使えていた特例が突然使えなくなります。資本金1億円以下でも、グループ全体や派遣社員のカウント方法によっては400人を超えるケースがあるため、適用前に必ず判定し直してください。
改正前後の比較表と300万円上限の使い方
| 項目 | 令和8年3月31日まで | 令和8年4月1日以後 |
|---|---|---|
| 取得価額の基準 | 30万円未満 | 40万円未満 |
| 年間損金算入限度額 | 300万円 | 300万円(変更なし) |
| 対象法人の従業員数 | 500人以下 | 400人以下 |
| 適用期限 | 令和8年3月31日まで | 令和11年3月31日まで |
| 判定単位 | 1個または1組単位 | 1個または1組単位(変更なし) |
300万円上限を最大限活かす3つの優先順位
取得価額の上限が40万円に上がっても、年間の損金算入限度額は300万円のままです。つまり、40万円未満の資産であっても、合計で300万円を超える部分は通常の減価償却に回さなければなりません。限られた300万円枠を効率よく使うには、次の優先順位で配分するのが定石です。
- 10万円以上20万円未満の資産は、まず「一括償却資産(3年均等償却)」を検討。少額減価償却資産の特例枠を消費せず、償却資産税の対象外になるメリットがあります。
- 20万円以上40万円未満の資産を、本特例の300万円枠に優先的に充てる。
- 10万円未満の消耗品は、そもそも資産計上不要で全額損金。特例枠は使いません。
当事務所の見解・償却資産税との関係など実務上の注意点
ここからは、堺市の中小企業の決算サポートで実際にお伝えしている、3つの実務上の注意点をお伝えします。
1. 償却資産税(固定資産税)の対象になることを忘れない
少額減価償却資産の特例で全額損金算入したとしても、その資産は償却資産税(固定資産税)の課税対象になります。一方、10万円未満の少額資産や、20万円未満で一括償却資産を選択した資産は償却資産税の対象外です。「法人税は安くなったけれど、毎年の償却資産税が増えた」というケースは少なくありません。
たとえば30万円のパソコンを5台(合計150万円)購入した場合、少額減価償却資産の特例で当期に全額損金処理しつつ、翌年1月1日時点の償却資産として150万円が市区町村に申告されます。仮に評価額が約100万円残っていれば、約1.4万円(1.4%)の償却資産税が毎年発生します。「即時償却」と「毎年の償却資産税」を天秤にかける視点が大切です。
2. 個人事業主の場合は「青色申告」が必須
この特例の適用には青色申告の承認が必要です。白色申告の個人事業主は対象外となり、通常の減価償却または10万円未満の消耗品処理しか選べません。開業初期で白色申告のままになっている方は、青色申告承認申請書を早めに提出することをおすすめします。
3. ソフトウェアやWebサイト制作費も対象になり得る
有形固定資産だけでなく、ソフトウェア(無形固定資産)も40万円未満であれば本特例の対象になります。クラウド会計、CRM、業務管理システムなど、業務用ソフトウェアの導入が活発な現在、ソフトウェアの取得価額がギリギリ40万円を超えないよう契約形態を工夫すれば、初年度の節税効果が大きくなります。Webサイト制作費も、機能の内容によっては無形固定資産として計上され、特例対象となる場合があります。
🚨 重要警告
「40万円未満ならとにかく全額損金にしたほうが得」という単純な判断は危険です。当期に赤字が見込まれる場合、特例で損金算入しても税金は減らず、繰越欠損金が積み上がるだけです。一方、翌期以降に黒字回復が見込まれるなら、通常の減価償却に回したほうがトータルの税負担を最適化できることもあります。
「40万円未満ならとにかく全額損金にしたほうが得」という単純な判断は危険です。当期に赤字が見込まれる場合、特例で損金算入しても税金は減らず、繰越欠損金が積み上がるだけです。一方、翌期以降に黒字回復が見込まれるなら、通常の減価償却に回したほうがトータルの税負担を最適化できることもあります。
今すぐやるべき4つのステップ
2026年4月1日以後の取得資産から新基準が適用されているため、すでに対象資産を取得している企業も多いはずです。以下の4ステップで実務対応を確認してください。
- ステップ1:自社が対象法人か再確認する
常時使用する従業員数が400人以下か、資本金1億円以下か、大規模法人の子会社に該当していないかを確認。グループ会社や派遣社員のカウントも含めて判定します。 - ステップ2:令和8年4月1日以後に取得した30~40万円未満の資産をリストアップ
請求書・納品書から取得日と取得価額を抽出し、固定資産台帳の「資産種類」と「取得日」を確認。新基準で再判定します。 - ステップ3:300万円上限の配分戦略を立てる
年間300万円の枠の中で、20万円以上40万円未満の資産を優先的に特例で処理。10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産(3年均等償却)への振り分けを検討します。 - ステップ4:償却資産税の影響を試算する
少額減価償却資産は法人税では即時損金になっても、償却資産税の課税対象になります。翌年の償却資産申告での負担増を予測し、トータルの税効果で判断します。
よくある質問(FAQ)
- Q. 少額減価償却資産40万円特例はいつから適用できますか?
- A. 令和8年4月1日以後に取得し、事業の用に供した減価償却資産から適用されます。判定は事業年度ではなく個々の資産の取得日で行うため、12月決算法人でも令和8年4月以後取得分は40万円基準が使えます。
- Q. 少額減価償却資産特例で全額損金にした資産は償却資産税の対象になりますか?
- A. はい、対象になります。少額減価償却資産の特例で即時損金算入しても、その資産は償却資産(償却資産税の課税対象)として翌年1月1日時点で各市区町村に申告する必要があります。10万円未満の少額資産や20万円未満の一括償却資産は対象外です。
- Q. 少額減価償却資産特例の年間300万円上限はどう計算しますか?
- A. 1事業年度において、本特例を適用する資産の取得価額の合計額が300万円までという制限です。事業年度が1年未満の場合は月数按分します。300万円を超えた部分は通常の減価償却に回す必要があります。取得価額の上限が40万円未満に拡大されても、年間上限は据え置きです。
- Q. 従業員数が400人を超えると本当に使えなくなりますか?
- A. はい、令和8年4月1日以後取得分から、常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外となります。「常時使用する従業員」には正社員のほか継続雇用のパート・アルバイトも含まれ、派遣社員の取り扱いには注意が必要です。中堅手前の企業は判定基準を慎重に確認してください。
- Q. 少額減価償却資産40万円特例と一括償却資産(3年均等償却)はどう使い分けますか?
- A. 取得価額20万円未満であれば「一括償却資産」を選択でき、3年均等償却となるかわりに償却資産税の課税対象外です。20万円以上40万円未満は本特例が選べます。償却資産税を抑えたい場合は20万円未満を一括償却に、即時損金化を優先する場合は本特例に充てる、というのが基本戦略です。
📌 道濟会計事務所の税務相談
少額減価償却資産の特例は、自社の事業計画と償却資産税まで含めて判断する必要があります。「40万円未満なら全部即時損金が得」とは限らず、決算前の試算が欠かせません。本記事に関する個別のご相談、決算対策のシミュレーションは、堺市の道濟会計事務所までお気軽にご連絡ください。初回相談は無料です。
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参考資料・出典
本記事は道濟会計事務所が監修しました。公開日:2026年5月13日