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令和8年千葉豪雨2026|被災中小企業への5つの支援措置と実務対応

令和8年千葉豪雨2026 被災中小企業への支援措置と実務対応を象徴する日本の中小規模店舗のイラスト
SUMMARY

この記事の要点3点

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ポイント1:経済産業省は令和8年8月14日、令和8年8月13日からの大雨で災害救助法が適用された千葉県25市町の被災中小企業・小規模事業者に対し、5つの支援措置を発表しました。
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ポイント2:日本政策金融公庫・商工中金の災害復旧貸付、信用保証協会のセーフティネット保証4号(融資額100%保証・別枠2億8,000万円)、小規模企業共済の傷病災害時貸付など、いずれも一般融資枠と別枠で利用できます。
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ポイント3:まず本店所在地の市区町村で「り災証明書」と「セーフティネット保証4号認定書」を取得し、次に各金融機関の特別相談窓口で復旧貸付の相談を進めます。あわせて災害損失特別勘定・雑損控除など税務面での被害計上も並行して準備してください。

令和8年8月13日から千葉県を中心に発生した大雨により、多くの中小企業・小規模事業者の店舗や工場、機械設備が被害を受けました。経済産業省は令和8年8月14日、災害救助法が適用された千葉県25市町を対象に、被災中小企業・小規模事業者への5つの支援措置をパッケージで発表しました。復旧までの資金繰りには、いずれも通常の融資枠と別枠で使える制度が用意されており、順序を誤らず進めることが早期復旧の鍵です。本記事では、堺市の税理士事務所として、5つの支援措置の内容と申請順序、あわせて必要になる税務対応(災害損失特別勘定・雑損控除・消費税の帳簿記載義務など)を、一次資料に基づいて実務目線で整理します。

支援措置の概要と対象地域

災害救助法適用と5つの支援措置の概要を象徴するイラスト

経済産業省は令和8年8月14日付のニュースリリース「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」で、千葉県25市町に災害救助法が適用されたことを踏まえ、次の5つの支援措置を実施すると公表しました。中小企業庁経営安定対策室・金融課が担当窓口となっています。

5つの支援措置

  1. 特別相談窓口の設置
  2. 日本政策金融公庫・商工中金による災害復旧貸付
  3. セーフティネット保証4号の適用
  4. 既往債務の返済条件緩和等の対応
  5. 小規模企業共済 傷病災害時貸付の適用

災害救助法が適用された千葉県25市町

災害救助法の適用地域は次のとおりです。この地域に本店または主たる事業所を置く中小企業・小規模事業者が、原則として支援措置の対象になります。市名(表記の並びは経産省リリース準拠):

千葉市、市川市、船橋市、松戸市、茂原市、佐倉市、東金市、習志野市、柏市、市原市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、四街道市、八街市、印西市、白井市、大網白里市、館山市、白子町、長柄町、富里市、山武市、酒々井町、九十九里町。

重要:適用地域と対象事業者の関係
セーフティネット保証4号は、災害救助法適用市町に事業所を置き、かつ最近1か月の売上高等が前年同月比で20%以上減少している中小企業が対象です(中小企業庁「セーフティネット保証4号」)。所在地の要件と売上減少の要件を、いずれも証拠書類(試算表・売上台帳)で示す必要があります。

被災事業者が最初に取得すべき2つの書類

支援措置を活用するために、いずれの融資でも共通して求められるのが「り災証明書」と「セーフティネット保証4号の認定書」です。り災証明書は本店所在地の市町村が発行し、被害の程度(全壊・半壊・一部損壊等)を証明します。セーフティネット保証4号の認定書は、同じく市町村の商工担当課が申請を受け付けます。書類の取得順序は、まずり災証明書、次に売上高等の減少を示す試算表・売上台帳を整えて4号認定書、という流れが一般的です。

中小企業への実務影響と5つの支援内容

中小企業向け災害復旧貸付と信用保証の仕組みを象徴するイラスト

ここからは、それぞれの支援措置の具体的な中身と実務での使い方を整理します。すべての制度に共通するのは、通常の融資・保証枠と別枠で利用できる点です。すでに公庫や信用保証協会から借入がある事業者でも、災害対応枠の中で追加の資金を確保できます。

1. 特別相談窓口の設置

千葉県の日本政策金融公庫(千住支店中小企業事業を含む)、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構関東本部、関東経済産業局に特別相談窓口が設置されました。融資の相談だけでなく、返済条件の緩和や事業再建計画のアドバイスもここで受けられます。中小企業庁の担当窓口電話は「経営安定対策室 03-3501-1511(内線5251〜3)」、金融関係は「金融課 03-3501-1511(内線5271〜5)」です。

2. 日本政策金融公庫・商工中金の災害復旧貸付

今回の大雨で被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、日本政策金融公庫と商工組合中央金庫が運転資金または設備資金を融資する「災害復旧貸付」を実施します。日本政策金融公庫の災害復旧貸付は、国民生活事業(個人事業者・小規模法人)で融資限度額が別枠3,000万円、中小企業事業で別枠1億5,000万円で、いずれも既存の融資制度に上乗せされる形で利用できます。返済期間は運転資金が8年以内(据置3年以内)、設備資金が15年以内(据置3年以内)が原則です。金利は、被害の程度に応じて基準利率よりも低い特別利率が適用されるケースがあります。

災害復旧貸付を早く進めるコツ
公庫は災害時に相談件数が急増します。窓口に行く前に、(1) り災証明書、(2) 直近3期の決算書または確定申告書、(3) 事業計画書(復旧に必要な費用の見積もり)、(4) 資金繰り表(3か月〜6か月分)を用意しておくと審査が早く進みます。

3. セーフティネット保証4号の適用

セーフティネット保証4号は、突発的災害(自然災害等)で経営に支障を生じている中小企業を、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で100%保証する制度です(中小企業信用保険法第2条第5項第4号)。今回の千葉県25市町も指定地域として、近日中に官報告示される予定で、信用保証協会では事前相談を先行して開始しています。別枠限度額は普通保証で2億円、無担保保証で8,000万円、あわせて2億8,000万円まで利用でき、金融機関の融資に対して信用保証協会が全額を保証します。

4. 既往債務の返済条件緩和等の対応

公庫・商工中金・信用保証協会に対して、既存の借入について返済猶予(元本据置)、貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化などについて、被害の実情に応じて対応するよう経済産業省が要請しています。返済条件の変更は、原則としてリスケジュール後の債務者区分の悪化を招きにくい取扱いになりますが、金融機関との事前協議が不可欠です。単に「返済を止めてほしい」ではなく、「復旧計画とセットで、半年間の元本据置を求める」という具体的な形で相談してください。

5. 小規模企業共済 傷病災害時貸付の適用

小規模企業共済に加入している契約者が、災害救助法適用地域で被害を受けた場合には、中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利で融資する「傷病災害時貸付け」を利用できます。掛金納付月数から算定した貸付限度額の範囲内で、50万円以上1,000万円以内(5万円単位)を借り入れることができ、担保・保証人は不要です。契約者貸付の一種で、月払掛金の何倍もの資金が即日で調達できる点が特徴です。

5つの支援措置の比較表

支援措置実施機関主な内容別枠か否か
特別相談窓口公庫・商工中金・保証協会・商工会議所・関東経産局ほか融資・返済条件・再建計画の一括相談
災害復旧貸付日本政策金融公庫・商工中金運転・設備資金/国民3,000万円・中小1.5億円の別枠別枠
セーフティネット保証4号信用保証協会融資額100%保証/別枠2億8,000万円別枠
既往債務の返済条件緩和公庫・商工中金・保証協会返済猶予・担保徴求の弾力化・貸出迅速化既往債務
傷病災害時貸付け中小企業基盤整備機構(小規模企業共済)掛金の範囲内で50万〜1,000万円・原則即日共済契約者貸付

当事務所の見解・税務上の注意点

税理士による災害損失特別勘定・雑損控除の点検を象徴するイラスト

被災事業者が復旧に集中できるよう、支援措置の申請と並行して、税務面での被害計上も進めておく必要があります。ここでは、堺市の税理士事務所として、経営者が見落としやすい税務論点を整理します。堺市の税務顧問としての実務経験からも、災害時こそ税務と資金繰りを一体で組み立てることが重要です。

災害損失特別勘定と災害損失欠損金の繰戻し還付

法人が災害により棚卸資産・固定資産に被害を受けた場合、被災事業年度の翌事業年度末までに支出が見込まれる修繕費・除却損などを「災害損失特別勘定」として損金算入できます(法人税基本通達12-2-6)。実際の支出が来期以降になっても、被災期に費用計上できるため、被災事業年度の欠損金圧縮に有効です。あわせて、災害損失欠損金は、通常の欠損金繰戻し還付とは別枠で、前年度の法人税額の還付を請求できます(法人税法第80条第5項)。中小企業だけでなく大法人も対象となる点が特徴です。

個人事業者は雑損控除・災害減免法・災害損失控除の3択

個人事業主が事業用資産・家財に被害を受けたときは、確定申告で「雑損控除」(所得税法第72条)または「災害減免法」(同法第2条・第3条)のいずれか有利な方法を選択できます。雑損控除は所得金額の10%を超える損失部分を所得控除でき、控除しきれない額は3年間繰り越せます。災害減免法は所得500万円以下で全額免除、500万円超750万円以下で1/2、750万円超1,000万円以下で1/4という定率で所得税が軽減されます。事業用資産に絞った損失は「災害損失」として必要経費に算入する方法もあり、事業所得が赤字になれば3年間の繰越控除が可能です。

消費税の帳簿保存要件と災害の特例

災害で帳簿・請求書等を紛失した場合でも、消費税の仕入税額控除を認める特例が消費税法第30条第7項ただし書に定められています。国税庁の質疑応答事例では、災害等のやむを得ない事情がある場合、その事情がやんだ日から2か月以内に必要な書類を再整備すれば控除が認められます。また、災害を受けた事業者が届出書の提出期限内に提出できなかった場合、承認申請により「災害等が生じた事業年度」の翌事業年度から簡易課税制度の選択等が認められる仕組みもあります(消費税法第37条の2)。

注意:借入金の税務上の取扱い
災害復旧貸付・セーフティネット保証4号による借入金は、当然のことながら借入金であり、収益ではありません。損益計算書には表れず、貸借対照表の負債側に計上します。「補助金」ではないので、益金算入や圧縮記帳の論点は生じません。ただし、支払利息は損金・必要経費に算入できます。

被災資産の評価損と除却損の判定

被災した機械設備・建物を廃棄する場合、除却損として損金算入できます。ここで実務上重要なのは、「使用不能」と判定するタイミングです。修繕すれば使える設備を早期に除却すると、税務調査で否認されるおそれがあります。取り壊し・廃棄の記録、廃棄業者の証憑、写真等の物的証拠をそろえておくことが不可欠です。修繕して使い続ける場合は、通常の修繕費または資本的支出の区分に従って処理します。

今すぐやるべきこと(5ステップ)

り災証明・セーフティネット保証4号認定・融資申請の5ステップを象徴するイラスト

ここまで整理した内容を、実行可能な5つのステップに落とし込みます。緊急度の高い順に進めてください。

  1. ステップ1:被害状況の記録と証拠保存(発災後72時間以内)
    被災した資産の写真・動画を、日付が特定できる方法で撮影します。棚卸資産の被害数量、固定資産の損傷程度、修繕見積もりの依頼状況をメモしておきます。これらは後日、り災証明書の申請、災害復旧貸付の申込み、税務上の除却損・雑損控除の根拠資料として不可欠です。
  2. ステップ2:市町村でり災証明書の申請
    本店所在地の市町村役場でり災証明書を申請します。全壊・半壊・一部損壊などの被害程度を証明する書類で、支援措置の申込みや税務申告で必要になります。窓口が混雑するため、事前にオンライン申請の可否を確認してください。
  3. ステップ3:セーフティネット保証4号の認定申請
    市町村の商工担当課で認定申請を行います。直近1か月と前年同月の売上高・売上台帳・試算表を用意し、20%以上の減少を示します。認定書は発行日から30日以内に信用保証協会・金融機関へ提出する必要があるため、認定と融資申込みは連続して進めてください。
  4. ステップ4:特別相談窓口で融資相談
    公庫・商工中金の特別相談窓口で災害復旧貸付を相談し、あわせて既存借入の返済条件緩和も打診します。事業計画書・資金繰り表・復旧見積書を持参すると審査がスムーズです。小規模企業共済の契約者は、中小企業基盤整備機構の傷病災害時貸付を同時に検討します(原則即日融資)。
  5. ステップ5:税務対応の準備と顧問税理士との協議
    災害損失特別勘定・災害損失欠損金の繰戻し還付・雑損控除・災害減免法の選択、消費税の帳簿再整備の特例申請、被災資産の除却損計上など、税務論点を洗い出し、顧問税理士と協議します。中間申告の期限延長・納税猶予(国税通則法第46条)の申請も、資金繰り改善の柱です。

よくある質問

Q. 千葉県以外でも今回の大雨で被害を受けた事業者は支援措置を利用できますか?
A. 今回発表された5つの支援措置は、災害救助法が適用された千葉県25市町の被災事業者を対象としています。他県で被害を受けた事業者については、被害の状況に応じて追加の措置が発表される可能性があるため、経済産業省・中小企業庁のニュースリリースと各都道府県の商工担当課の情報を継続的に確認してください。また、災害救助法の適用がなくても、日本政策金融公庫の一般の融資制度や既存のセーフティネット貸付は利用できる可能性があります。
Q. セーフティネット保証4号と災害復旧貸付は同時に使えますか?
A. はい、併用できます。セーフティネット保証4号は信用保証協会が金融機関の融資を100%保証する制度で、災害復旧貸付は日本政策金融公庫・商工中金が直接融資する制度です。制度の性質と実施機関が異なるため、両方の枠を同時に利用することが可能で、実務上も併用するケースが多く見られます。ただし、返済負担が過大にならないよう、資金繰り表で無理のない借入計画を立ててください。
Q. 借入金は税務上どのように処理しますか?
A. 災害復旧貸付やセーフティネット保証4号による借入は、貸借対照表の負債(短期借入金・長期借入金)に計上します。返済に伴う元金の支払は損益に影響せず、支払利息のみが損金または必要経費になります。補助金や助成金と違って益金算入や圧縮記帳の論点は発生しません。一方、被災資産の除却損・修繕費・災害損失特別勘定は、被災事業年度の損金として計上できます。
Q. 中間申告の期限や納税を延長することはできますか?
A. 国税通則法第11条により、災害等で申告・納付ができない場合は、税務署長が申告期限・納付期限を延長できます。あわせて第46条の納税猶予制度では、災害で財産に相当の損失を受けた場合に最長1年間の納税猶予が認められます(延長は最長2年)。国税庁のホームページに災害時の申告・納税に関するQ&Aがあり、被災地域に指定されると期限延長が地域指定で行われる場合もあります。所轄税務署の徴収担当に早めに相談してください。
Q. 顧問税理士に相談すべきタイミングはいつですか?
A. 被害状況の把握と並行して、早ければ発災から1週間以内に一度連絡することをおすすめします。理由は、災害損失特別勘定の計上・除却損の判定・雑損控除の資料整備は、証拠が新しいうちに始めるほうが正確に処理できるためです。また、金融機関に提出する資金繰り表や事業計画書の作成も、顧問税理士と共同で作れば説得力が増します。当事務所も堺市を中心に災害時の緊急対応相談を受け付けています。

参考資料・出典

あわせて、災害時の資金繰り相談は融資・資金調達サポートもご利用いただけます。事業計画・資金繰り表の作成から金融機関との折衝までワンストップで対応します。

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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