堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
帳簿等データの提出依頼2026|国税庁Q&A16問と調査前の備え
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:国税庁は令和8年10月13日、実地の調査の前に帳簿等データの提出をお願いする取組と、提出を受けたデータの取扱いをまとめたページを掲載し、令和8年10月付けのQ&A(16問)を公表しました。
- 2ポイント2:依頼は原則として事前通知後ですが、日時の調整に時間を要する場合などは事前通知に先立って依頼されることがあります。実地の調査を予定していない調査でも依頼される場合があります。
- 3ポイント3:データを出しただけで更正の予知には当たらないとされています。会計データの出力方法、オンラインツールの受信設定、税理士への事前通知の同意を今のうちに確認しましょう。
CONTENTS目次
税務調査といえば、調査官が事務所に来て帳簿を一緒にめくる場面を思い浮かべる方が多いと思います。その前段階で、会計ソフトのデータを先に送ってほしいと頼まれる場面が増えていきそうです。国税庁自身が、本取組について理解と協力をお願いしています。
国税庁は令和8年10月13日、トピックス一覧に、税務調査等における帳簿等データの提出依頼に関する取組等についてのページを掲載しました。あわせて令和8年10月付けのQ&Aを公表し、事前通知との関係、依頼に応じない場合の扱い、修正申告をしたときの加算税、提出したデータの保存期間などを16問で示しています。なお、税務調査に限らず国税庁全体のオンラインツールの利用に関する取組は、税務行政におけるオンラインツールの利用についてのページで案内されています。本記事では、この公表資料に沿って、中小企業が依頼を受けたときに迷いやすい点と、今のうちに整えておくべき準備を整理します。
帳簿等データの提出依頼とは:令和8年10月に公表された取組の概要
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取組は2つの柱からなる
国税庁のページは、税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(デジタルを活用した、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し)の一環として、納税者等の帳簿等データを提出してもらう取組を実施していると説明しています。内容は大きく2つです。
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| 実地の調査前の帳簿等データの提出のお願い | 実地の調査にお伺いする前に、納税者等の理解・協力の下で帳簿等データの提出をお願いする。依頼は原則として事前通知後 |
| 国税当局における電子データの取扱いの説明 | 令和8年7月以降に実施する税務調査で帳簿等データの提出を依頼する際に、説明文書を交付し、または同内容を説明する |
帳簿等データとは何か
国税庁の説明文書は、国税通則法に規定する質問検査権に基づき、帳簿書類その他の物件に係る電磁的記録の提出を求めることがあるとし、これを帳簿等データと呼んでいます。電磁的記録とは、パソコンの端末などに保存している電子データをいいます。会計ソフトの仕訳データや、請求書・領収書をスキャンしたファイルなどが典型です。
取組の意義として示されていること
国税庁は、これまで実地の調査後に実施していた帳簿等の確認作業の一部を、提出された帳簿等データを活用して実地の調査までに税務署等で実施できるようになるため、調査の効率化が図られ、調査期間や実地の調査による拘束時間の短縮が期待できるとしています。
Q&Aの構成
令和8年10月付けのQ&Aは、16問を次の3つの項目に分けています。
| 項目 | 問 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 実地の調査前のデータ提出依頼に関する事項 | 問1〜問8 | 趣旨、事前通知との関係、依頼の範囲、罰則、書面での代替、調査を開始する日時、加算税 |
| 提出を受けた電子データの取扱いに関する事項 | 問9〜問12 | 行政文書管理規則、保存期間、管理方法、他の調査での利用 |
| 実地の調査とオンライン調査の関係に関する事項 | 問13〜問16 | Teams での面談、画面共有、身分証明書、留置き |
提出されたデータの取扱い
説明文書の主な説明内容は、国税当局における電子データの取扱い(電子データの受領や管理、消去)、国税当局の情報セキュリティ体制、国税職員の守秘義務違反に係る罰則規定の3つです。受領の方法は、税務署等のUSBメモリ等を使用して納税者等のパソコンから受領する方法と、オンラインツールを利用して受領する方法の2つが示されています。
保存期間について、国税庁は、課税処分の証拠として保存が必要なものは、標準文書保存期間基準等に従って保存期間(通常は7年)を設定した上で管理し、保存期間が満了した後は消去するとしています。保存期間が1年未満のものも、保存の必要性がなくなり次第、速やかに消去するとしています。
管理の方法について、問11は、行政文書として保存された帳簿等データにアクセス権限を設定(付与)した上で、必要に応じてパスワードの設定、暗号化を行うとしています。説明文書でも、USBメモリ等には暗号化処理又は代替措置を必ず施し、保存の必要がなくなり次第、速やかにデータを消去すること、政府統一基準を踏まえつつ、国税職員が職務上必要な情報のみ利用可能な仕組みを構築し、定期的なセキュリティ監査を実施することが示されています。
中小企業への実務影響:依頼の時期・範囲・断った場合
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依頼のタイミング:原則は事前通知の後
Q&Aの問2によると、実地の調査で質問検査権を行使する場合には原則として事前通知が求められるため、実地の調査を予定している場合の帳簿等データの提出依頼は、原則として事前通知後に行うとされています。ただし、実地の調査にお伺いする日時の調整に時間を要するといった場合には、事前通知に先立ち提出をお願いする場合があり、その際は提出期限等について納税者等の事情を踏まえつつ丁寧に対応するとしています。
なお、事前通知前を含め実地の調査前に帳簿等データの提出を求める行為は、実地の調査以外の調査として行う質問検査等に該当すると整理されています。電話やメールでデータを求められた時点で、すでに調査の手続が始まっている点を押さえておきましょう。
調査を開始する日時はいつになるか
問7は、実地の調査前にオンラインツールを利用して帳簿等データの提出を求める場合、その行為は質問検査権の行使に該当するものの、実際の臨場が伴わないため実地の調査には該当しないとしています。そのため、事前通知における調査を開始する日時は、初めて事業所等に臨場して帳簿書類等の提出又は提示を求めるといった質問検査権を行使する日時となります。仮に通知した日時より前に事務所等や税理士事務所に臨場して帳簿等データを提出してもらうことになった場合は、通知した日時を変更した上で臨場するとされています。
臨場を予定しない調査でも依頼される
問3では、実地の調査を予定していない調査の場合でも、質問検査等の一環として帳簿等データの提出をお願いする場合があるとしています。この場合、税務署が提出データを確認し、更正決定等をすべきと認められないと判断した場合には、調査が終了した旨を口頭により連絡します。確認の結果、実地の調査が必要と判断した場合には、速やかに事前通知を実施し、実地の調査を実施するとされています。
依頼される範囲
問4は、質問検査権の行使は調査について必要がある限りにおいて行うことができるとしたうえで、帳簿等データを納税者等に確認した上で、調査について必要となる範囲に限って依頼するとしています。社内のサーバーやクラウドにある全データを丸ごと渡す必要があるわけではありません。何を求められているかを具体的に確認することが出発点です。
応じなかった場合はどうなるか
問5は、物件の提示又は提出の要求に正当な理由がなく応じなかった場合の罰則規定(国税通則法第128条)があり、正当な理由がなく実地の調査前の帳簿等データの提出の依頼に応じない場合も、当該罰則規定の対象となりうるとしています。一方で、依頼に応じないことのみをもって罰則が適用されるものではなく、強権的に帳簿等データの提出を求めることはないとも明記しています。税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)の問3は、この罰則を1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金と説明しています。
提出の方法
説明文書は、受領の方法として、税務署等のUSBメモリ等を使用して納税者等のパソコンから受領する方法と、オンラインツールを利用して受領する方法を示しています。税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)の問5は、電磁的記録の提出について、プリントアウトしたものを渡す場合、調査担当者が持参した電磁的記録媒体へのコピーをお願いする場合、e-Tax、オンラインストレージサービスやメールを利用して提出する場合があるとしています。オンラインツールは、税務署等の担当者と利用者双方の合意がある場合に限り利用するものとされ、合意が得られない場合に利用することはないとされています。
問6では、セキュリティ上の理由で書面での提出に代えたいという質問に対し、データで提出してもらうことで分析・検証をスムーズに行えることも趣旨に含まれるとして、可能な限り帳簿等データによる提出への協力を求めています。
当事務所の見解・実務上の注意点:加算税とオンライン調査
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データを出しただけでは更正の予知に当たらない
経営者にとって最も気になるのは、データを出した後に誤りに気付いて修正申告をした場合の加算税でしょう。問8は過少申告加算税を例に、調査通知後に修正申告書の提出があった場合、それが調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものであるときは10%、そうでないときは5%になると説明しています。そのうえで、実地の調査前に帳簿等データを提出したことのみをもって、更正があるべきことを予知してされたものに該当しないとの考えを示しています。ただし、加算税の適用は個々の事実関係を精査した上で判断されるとの注記があります。
当事務所の見方
データ提出から臨場までの期間は、申告内容を自ら点検できる時間でもあります。誤りを見つけたら、非違事項の指摘を受ける前に顧問税理士と修正申告の要否を検討することが、加算税の負担を抑えるうえで重要です。
データ提出から臨場までの期間は、申告内容を自ら点検できる時間でもあります。誤りを見つけたら、非違事項の指摘を受ける前に顧問税理士と修正申告の要否を検討することが、加算税の負担を抑えるうえで重要です。
オンライン面談と画面共有の扱い
問13は、Teams を活用したオンライン面談による調査は、実際に臨場して質問検査等を行うものではないため、基本的には実地の調査には該当しないとしています。問14では、画面共有の機能による提示は職員が確認しうる状態であれば問題ないとする一方、チャットや録音・録画、文字起こし機能等の利用は守秘義務の観点から遠慮するよう求めています。問15では、請求があれば調査担当者がカメラ機能を利用して身分証明書を提示するとしています。実地の調査では、身分証明書及び質問検査章を必ず携帯し、相手方に提示して調査のために往訪した旨を明らかにした上で質問検査等を行うとしています。オンラインでも対面でも、相手が本当に調査担当者かを確認する権利があることを覚えておきましょう。
提出データは留置きの対象外
問16によると、オンラインストレージサービス(PrimeDrive)で提出した帳簿等データは留置きの対象とはならず、預り証のような留置きに関する文書は交付されません。代わりに、国税当局の取扱いについての説明文の交付または口頭による説明が行われます。何をいつ渡したかは自社で記録しておく必要があります。また問12は、提出データを他の事案の税務調査や行政指導のために活用することがあると明記しています。
調査対応を含めた日常の相談先として、堺市の税務顧問サービスをご利用いただけます。会計データの整備から見直したい場合は、経理代行のサポートもご検討ください。
今すぐやるべきこと:データ提出に備える5ステップ
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依頼が来てから慌てないよう、次の順で準備を進めてください。顧問税理士がいる場合は、ステップ2とステップ5を一緒に確認すると効率的です。
- ステップ1:会計データを出力できるか確認する
使っている会計ソフトから仕訳帳や総勘定元帳などのデータを出力する方法を確認します。依頼は調査について必要となる範囲に限られるため、年度や帳簿の種類を指定して出力できるようにしておくと対応が早くなります。 - ステップ2:税務代理権限証書の同意欄を確認する
顧問税理士が提出している税務代理権限証書に、事前通知に関する同意が記載されているかを確認します。同意があれば、事前通知は税務代理人に行えば足りることとされています。 - ステップ3:オンラインツールの受信設定を整える
オンラインツールは双方の合意がある場合に限り利用されます。利用する場合に備え、税務署等の担当者のドメインである nta.go.jp からのメールを受信できるよう設定し、不審なメールと区別できるようにします。 - ステップ4:提出記録の残し方を決める
オンラインストレージで提出したデータは留置きの対象外で、預り証は交付されません。提出日、提出したファイル名、依頼した担当者を社内で記録するルールを決めておきます。 - ステップ5:申告内容を自主点検する
依頼を受けたら、提出前後に申告内容を税理士と点検します。データを提出したことのみでは更正の予知に当たらないとされているため、誤りを見つけた場合は修正申告の要否を早めに検討します。
なりすましに注意
国税庁は、国税庁をかたった不審なメールが確認されているとして、税務署等の担当者から送信されたメールアドレスをアドレス登録する方法などにより、税務署等からのメールであることを判別できるようにすることを勧めています。税務署等の担当者が使用するメールアドレスのドメインは nta.go.jp のみとされています。データの送付を求めるメールが届いたら、送信元のドメインと担当者を電話で確かめてから対応してください。
国税庁は、国税庁をかたった不審なメールが確認されているとして、税務署等の担当者から送信されたメールアドレスをアドレス登録する方法などにより、税務署等からのメールであることを判別できるようにすることを勧めています。税務署等の担当者が使用するメールアドレスのドメインは nta.go.jp のみとされています。データの送付を求めるメールが届いたら、送信元のドメインと担当者を電話で確かめてから対応してください。
よくある質問
- Q. 事前通知の電話が来る前に、税務署からデータの提出を頼まれることはありますか?
- A. あります。国税庁のQ&Aによると、帳簿等データの提出依頼は原則として事前通知後に行いますが、実地の調査にお伺いする日時の調整に時間を要するといった場合には、事前通知に先立ち提出をお願いする場合があるとしています。この場合も提出期限等は納税者の事情を踏まえて丁寧に対応するとされているので、準備に必要な期間を伝えて相談してください。
- Q. データの提出を断ると罰則がありますか?
- A. 国税通則法第128条には、正当な理由がなく物件の提示又は提出の要求に応じなかった場合の罰則規定があり、Q&Aは帳簿等データの提出依頼に応じない場合も対象となりうるとしています。ただし、応じないことのみをもって罰則が適用されるものではなく、強権的に提出を求めることはないとも明記されています。不安があれば理由を伝えて担当者と話し合いましょう。
- Q. データではなく紙に印刷して渡してもよいですか?
- A. Q&Aの問6は、データで提出してもらうことで分析・検証をスムーズに行えることも趣旨に含まれるとして、可能な限り帳簿等データによる提出への協力を求めています。税務調査手続に関するFAQでも、電磁的記録の提出方法として、プリントアウトしたものを渡す方法や、e-Tax、オンラインストレージサービスやメールを利用する方法が挙げられています。
- Q. データを出した後に誤りに気付いて修正申告すると、加算税は重くなりますか?
- A. 国税庁は、実地の調査前に帳簿等データを提出したことのみをもって、更正があるべきことを予知してされたものには該当しないと考えるとしています。過少申告加算税は、調査通知後の修正申告で予知してされたものであれば10%、そうでなければ5%が原則です。ただし、最終的には個々の事実関係を精査して判断されます。
- Q. 提出したデータはいつまで税務署に残りますか?
- A. 国税庁は、提出を受けた情報を行政文書として保存し、課税処分の証拠として保存が必要なものは、標準文書保存期間基準等に従って保存期間(通常は7年)を設定した上で管理し、満了後に消去するとしています。保存期間が1年未満のものは、保存の必要性がなくなり次第、速やかに消去するとされています。
- Q. Teamsでの面談中に、画面を録画しておいてもよいですか?
- A. Q&Aの問14は、Teams を利用した面談等ではチャットや録音・録画、文字起こし機能等の利用は守秘義務の観点から遠慮するよう求めています。一方、画面共有は機能として利用することが可能で、職員が確認しうる状態であれば帳簿等データの提示として問題ないとしています。やり取りの記録は、面談後に社内のメモで残しておくとよいでしょう。
- Q. 提出したデータが別の会社の調査に使われることはありますか?
- A. Q&Aの問12は、提出のあった帳簿等データを含め、税務調査の過程で把握した情報は、他の事案の税務調査や行政指導のために活用することがあるとしています。そのうえで、国税職員には国家公務員法よりも重い守秘義務が課されており、他の調査の対象者に情報の入手先やその内容が明らかにならないよう十分に注意して取り扱うとしています。
参考資料・出典
- 国税庁「税務調査等における帳簿等データの提出依頼に関する取組等について」
- 国税庁「税務調査等における帳簿等データの提出依頼等に関するQ&A」(令和8年10月・PDF)
- 国税庁 説明文書「税務調査等において納税者等の皆様から提出を受けた帳簿等データの取扱いについて」(PDF)
- 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
- 国税庁「税務行政におけるオンラインツールの利用について」
- 国税庁 トピックス一覧(令和8年10月13日掲載)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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