堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
遺産未分割の承認申請2026|申告期限後3年を過ぎたら2か月以内に
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:遺産分割がまとまらなくても相続税の申告期限は延びません。特例を後から受けるには、申告書に申告期限後3年以内の分割見込書を添付します。
- 2ポイント2:3年たっても訴えの提起などで分割できないときは、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに承認申請書を出します。
- 3ポイント3:承認申請書の提出が期間内になかった場合、特例は受けられません。期限表を作り、提出先と特例ごとの提出を確認しましょう。
CONTENTS目次
相続人の間で遺産の分け方がまとまらないまま、相続税の申告期限を迎えることは珍しくありません。話合いが長引くと、申告後の手続の期限の方が見落とされがちです。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を後から受けるためには、申告時の届出と、3年を経過した後の承認申請という2つの手続が用意されています。本記事では、国税庁の手続案内と記載要領に沿って、特例を失わないための期限と提出先を整理します。
遺産未分割の承認申請とは:分割見込書から承認申請までの流れ
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未分割のまま申告するときの基本
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行います。国税庁のタックスアンサーNo.4208によると、相続財産の分割協議が成立していないときは、各相続人などが民法に規定する相続分または包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をします。
このとき、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者の税額の軽減の特例などが適用できない申告になります。配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されるため、申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
2段階で用意されている救済の手続
後から特例を受ける道は、分割の時期に応じて2段階に分かれています。
| 段階 | 提出する書類 | 提出の時期 | 特例を受けられる場合 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 申告期限後3年以内の分割見込書 | 相続税の申告書とともに | 申告期限から3年以内に分割された場合 |
| 第2段階 | 遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書 | 申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日まで | 承認後、分割ができることとなった日の翌日から4か月以内に分割された場合 |
第1段階の分割見込書は、国税庁の手続案内ではB1-5の手続として案内されており、分割されていない理由と分割の見込みの詳細を記入し、適用を受けようとする特例等に○を付けて申告書に添付します。提出方法は、分割見込書を作成し、PDFファイルに変換の上、相続税の申告手続と併せて提出するよう案内されています。第2段階の承認申請はB1-6の手続で、申告期限の翌日から3年を経過する日において相続等に関する訴えが提起されているなど、分割されなかったことにつき一定のやむを得ない事情がある場合に使います。
承認申請の対象となる特例
承認申請書の記載要領は、対象を次の特例としています。
- 相続税法第19条の2の規定による配偶者に対する相続税額の軽減
- 租税特別措置法第69条の4の規定による小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
- 租税特別措置法第69条の5の規定による特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例
- 平成21年の改正前の租税特別措置法第69条の5の規定による特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例
どの特例も、申告期限までに分割されていなければ当初の申告では使えないという点で共通しています。
分割ができることとなった日とは
承認を受けた後は、判決の確定の日など相続財産の分割ができることとなった日の翌日から4か月以内に分割することが求められます。相続税法基本通達19の2-11は、判決の確定の日について、敗訴の当事者が上訴をしない場合はその上訴期間を経過した日、上告審の判決のように上訴が許されない場合はその判決の言渡しがあった日などと定めています。訴訟や調停の終わり方によって起算日が異なるため、終了の日付を書類で確認することが大切です。
中小企業への実務影響:事業用の宅地が未分割のとき
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事業用の宅地が未分割になると評価減を使えない
中小企業のオーナーが亡くなった場合、会社に貸している土地や、個人事業で使っていた土地が相続財産に含まれることがよくあります。タックスアンサーNo.4124によると、小規模宅地等の特例では、特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等は限度面積400㎡まで80%、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%が減額されます。
しかし、その土地が未分割のままだと、当初の申告ではこの減額を使えません。事業を継ぐ相続人と他の相続人の話合いが長引くほど、相続税の負担が一時的に重くなり、納税資金の手当てにも影響します。被相続人の自宅の敷地である特定居住用宅地等(330㎡まで80%)も同様で、オーナー家族の自宅と会社の土地が同時に未分割になると、影響はさらに大きくなります。
申告期限と納税資金の準備
国税庁のタックスアンサーNo.4205は、例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になるとしています。相続税の納税も申告期限までに行うことになっており、期限までに納めなかったときは延滞税がかかる場合があります。延納や物納を希望する場合は、申告書の提出期限までに申請書などを提出して許可を受ける必要があります。未分割の申告では特例を使えない分だけ当初の納税額が増えるため、相続人ごとの納税資金をどう用意するか、申告期限より前に話し合っておくことをおすすめします。
配偶者の税額軽減が使えないと納税額が大きく変わる
配偶者の税額の軽減は、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6千万円と配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税がかからない制度です。未分割の申告ではこの軽減を前提にできないため、配偶者自身にも当初は相続税の納付が生じる場合があります。分割がまとまれば更正の請求で取り戻せる道がありますが、そのためには期限内の届出と申請が欠かせません。
分割後の修正申告と更正の請求
未分割で申告した後に分割が行われ、その分割に基づき計算した税額と申告した税額とが異なるときは、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告または更正の請求をすることができます。
| 分割後の税額 | 手続 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 当初の申告より多い | 修正申告 | 分割後に提出することができる |
| 当初の申告より少ない | 更正の請求 | 分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内 |
相続人によって税額が増える人と減る人が分かれることもあるため、分割協議がまとまったら、相続人全員の手続をそろえて進めるのが安全です。なお、通常の更正の請求は法定申告期限から5年以内ですが、分割に基づく更正の請求は、後発的理由などにより更正の請求を行う場合の期限として別に定められています。5年あるから大丈夫と考えず、4か月の期限で管理してください。
家族の事情で分割できないときの範囲
相続税法基本通達19の2-15は、税務署長がやむを得ない事情があると認める場合として、客観的に遺産分割ができないと認められる事情を挙げています。たとえば、共同相続人の一人が行方不明で財産管理人が選任されていない場合、重度の障害疾病のため加療中である場合、海外勤務などで帰国できない場合です。単に話合いがまとまらないというだけでは、ここに挙げられた事情には当たりません。
一方、国税庁のQ&Aが例として挙げるように、相続等に関する訴えが提起されている場合は、承認申請の対象となる典型的な場面です。話合いがまとまらない状態が続き、家庭裁判所の調停や訴訟に進むかどうかを検討している場合は、その時期が3年を経過する日の前か後かが、特例を残せるかどうかに直結します。法的手続に進むかの判断と税務の期限は、弁護士と税理士が情報を共有しながら進めるのが理想です。
当事務所の見解・実務上の注意点:起算日と提出先の取り違え
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起算日は修正申告の日ではなく当初の申告期限
当事務所が最も注意すべきと考えるのは、承認申請の期限の起算日です。期限は、あくまで相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までです。途中で修正申告や更正の請求をしても、起算日は動きません。後から相続人が判明して未分割の状態で修正申告をした場合などに、その提出日から数え直してしまうと、期限を過ぎてしまうおそれがあります。
期限を過ぎると取り返せない
分割見込書の記載要領は、承認申請書の提出が期間内になかった場合には、《使用目的》に掲げる特例等の適用を受けることはできないとしています。期限の管理は、相続税の申告が終わった時点から始まると考えてください。
分割見込書の記載要領は、承認申請書の提出が期間内になかった場合には、《使用目的》に掲げる特例等の適用を受けることはできないとしています。期限の管理は、相続税の申告が終わった時点から始まると考えてください。
提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署
承認申請書の記載要領は、提出先欄には申請者の住所地を所轄する税務署名ではなく、被相続人の相続開始時の住所地を所轄する税務署名を記載するよう求めています。相続人が遠方に住んでいる場合でも、自分の住所地の税務署に出すものではありません。
なお、分割見込書の記載要領では、承認申請書の提出先を相続税の申告書を提出した税務署長としています。通常は被相続人の住所地を所轄する税務署と一致しますが、念のため申告書の控えで提出先を確認しておきましょう。
特例ごとに提出し、必要なら連署する
承認申請書は、適用を受けようとする特例の種類ごとに提出し、該当しない特例の文言及び条項は二重線で抹消します。小規模宅地等の特例などの適用を受ける相続人等が2人以上のときは、各相続人等が連署して申請しますが、他の相続人等と共同して提出することができない場合は、各相続人等が別々に提出することもできます。争いのある相続では連署を前提にせず、自分の分を確実に出す段取りを考えておくことが大切です。
理由は具体的に、証拠書類の写しを添えて
記載要領は、遺産が分割できないやむを得ない理由を具体的に記載し、その事由に応じた書類の写し等を添付するよう求めています。訴えを提起している場合は、訴状の写しなど事情を示す書類を、3年を経過する前から手元にそろえておくと、期限直前に慌てずに済みます。
当事務所からのアドバイス
相続税の申告書を提出した日に、申告期限、3年を経過する日、承認申請の最終日を一枚の期限表にまとめ、相続人と税理士の双方で保管してください。担当者が替わっても期限が引き継がれる仕組みが、最も確実な予防策です。相続税申告のサポートでは、申告後の期限管理まで含めてご相談をお受けしています。
相続税の申告書を提出した日に、申告期限、3年を経過する日、承認申請の最終日を一枚の期限表にまとめ、相続人と税理士の双方で保管してください。担当者が替わっても期限が引き継がれる仕組みが、最も確実な予防策です。相続税申告のサポートでは、申告後の期限管理まで含めてご相談をお受けしています。
今すぐやるべきこと:未分割の相続で特例を残す5ステップ
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未分割の相続では、話合いの行方とは別に、税務の期限を独立して管理する必要があります。次の順で確認してください。
- ステップ1:申告期限と3年を経過する日を書き出す
被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内という申告期限を確認し、申告期限後3年を経過する日と、その翌日から2か月を経過する日を期限表にまとめます。修正申告をしても起算日は変わりません。 - ステップ2:分割見込書を申告書に添付する
申告期限までに分割できない財産がある場合は、分割されていない理由と分割の見込みの詳細を記入し、適用を受けようとする特例に○を付けた分割見込書を相続税の申告書とともに提出します。 - ステップ3:分割の進み具合を定期的に確認する
調停や訴訟になっている場合は、その申立てや訴えの提起を示す書類の写しを保管します。3年を経過する日の時点の状況が、承認申請の要否を左右するため、少なくとも半年ごとに状況を税理士と共有します。 - ステップ4:期限内に承認申請書を出す
3年以内に分割できない見込みになったら、特例の種類ごとに承認申請書を作成し、やむを得ない理由を具体的に記載して、被相続人の住所地を所轄する税務署長に提出します。 - ステップ5:分割後4か月以内に更正の請求をする
分割が成立したら、分割の日の翌日から4か月以内に更正の請求を行い、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用した税額との差額の還付を受けます。
e-Taxでも提出できます
国税庁の手続案内によると、承認申請書はPDFファイルに変換の上、e-Taxソフトで提出できるほか、書面で作成して持参又は送付により提出することもできます。税務署の受付時間は9時から15時までとされているため、期限の最終日に窓口へ持参する予定の場合は特に注意してください。期限直前の提出は避け、余裕をもって送付するか、e-Taxの利用可能時間を確認したうえで電子で提出するのが安全です。
国税庁の手続案内によると、承認申請書はPDFファイルに変換の上、e-Taxソフトで提出できるほか、書面で作成して持参又は送付により提出することもできます。税務署の受付時間は9時から15時までとされているため、期限の最終日に窓口へ持参する予定の場合は特に注意してください。期限直前の提出は避け、余裕をもって送付するか、e-Taxの利用可能時間を確認したうえで電子で提出するのが安全です。
あわせて、提出した控えと受付の記録は、相続税の申告書の控えと同じファイルに綴じて保管してください。分割がまとまった後の更正の請求でも、承認を受けたことを確認する場面があります。
よくある質問
- Q. 遺産分割がまとまらないとき、相続税の申告期限を延ばしてもらうことはできますか?
- A. 分割されていないということで相続税の申告期限が延びることはありません。相続財産の分割協議が成立していないときは、各相続人などが民法に規定する相続分または包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして相続税を計算し、期限までに申告と納税をします。後から分割がまとまれば修正申告や更正の請求で調整します。
- Q. 分割見込書を付け忘れて申告してしまった場合はどうなりますか?
- A. 国税庁のタックスアンサーNo.4158は、相続税の申告書または更正の請求書に申告期限後3年以内の分割見込書を添付した上で、申告期限から3年以内に分割したときは税額軽減の対象になるとしています。付け忘れに気付いたら、どの書類で添付を補えるかを早めに税理士と確認してください。
- Q. 相続人同士の話合いがまとまらないだけでも、承認申請は認められますか?
- A. 承認申請の対象は、相続等に関する訴えが提起されているなど、相続財産が分割されなかったことにつき一定のやむを得ない事情がある場合です。相続税法基本通達19の2-15は、行方不明や重度の障害疾病、海外勤務で帰国できない場合などを、客観的に遺産分割ができないと認められる事情として挙げています。
- Q. 承認申請書はどこの税務署に出せばよいですか?
- A. 記載要領は、納税地である被相続人の相続開始時の住所地を所轄する税務署長に提出するよう定めています。提出先欄にも、申請者の住所地を所轄する税務署名ではなく、被相続人の相続開始時の住所地を所轄する税務署名を記載します。相続人が別の地域に住んでいる場合は特に注意してください。
- Q. 配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例の両方を受けたい場合、申請書は1通でよいですか?
- A. 承認申請書は、適用を受けようとする特例の種類ごとに提出することとされています。配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例の両方を受けたい場合は、それぞれについて申請書を作成し、該当しない特例の文言及び条項を二重線で抹消して提出します。
- Q. 分割がまとまって税額が増える相続人がいる場合も、手続は必要ですか?
- A. 国税庁のタックスアンサーNo.4208によると、初めに申告した税額よりも実際の分割に基づく税額が多い場合は修正申告をすることができます。配偶者の税額軽減で税額が減る人と、取得財産が増えて税額が増える人が出ることもあるため、相続人全員の手続をそろえて進めると、後からの調整が少なくなります。
- Q. 承認申請が却下されたら、もう特例は受けられないのですか?
- A. 国税庁の手続案内によると、却下書の通知を受けた場合には、その通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に、その通知をした税務署長に対して再調査の請求又は国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。却下の理由を確認し、追加の資料で事情を説明できるかを検討します。
- Q. 3年を経過する直前に事情がなくなった場合でも、承認申請は必要ですか?
- A. 相続税法基本通達19の2-16は、3年を経過する日前4月以内に事情が消滅し、3年を経過する日までに分割が行われていない場合に、事情が消滅した日から4月以内に分割されたときは、やむを得ない事情がある場合に該当するものとして取り扱っても差し支えないとしています。この取扱いに当たるかどうかは、早めに税理士と確認してください。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.4208 相続財産が分割されていないときの申告
- 国税庁 No.4208 Q&A 遺産分割が行われていない場合の各種特例の適用手続
- 国税庁 タックスアンサーNo.4158 配偶者の税額の軽減
- 国税庁 タックスアンサーNo.4124 小規模宅地等の特例
- 国税庁 タックスアンサーNo.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 B1-5 相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続
- 国税庁 申告期限後3年以内の分割見込書 記載要領等(R8.7・PDF)
- 国税庁 B1-6 遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請手続
- 国税庁 承認申請書 記載要領等(R8.9・PDF)
- 国税庁 相続税法基本通達 19の2-11〜19の2-19
- 国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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