無料相談を予約する

072-200-3579

受付時間:月〜金 9:00〜17:00

大阪で顧問税理士をお探しの方は道濟会計事務所へ

固定資産の除却損2026|有姿除却が認められる2つの場面と証拠の残し方

固定資産の除却損と有姿除却の要件を解説する記事のタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:使用を廃止し今後事業に使う可能性がない固定資産は、解撤や廃棄をしていなくても、帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損にできます。
  • 2ポイント2:生産を中止した製品の専用金型や、利用しなくなったことが明らかな自社利用ソフトウエアも対象です。一方、いつでも稼働し得る休止資産は減価償却を続けます。
  • 3ポイント3:決算前に固定資産台帳と現物を突き合わせ、使用廃止の決定と処分見込価額の根拠を、その事業年度のうちに書面で残しましょう。

倉庫の奥で動かなくなった機械、取引が終わった製品の金型、新しいシステムに切り替えた後の古いソフトウエア。使っていないのに帳簿には資産として残り、毎期の減価償却だけが続いている会社は少なくありません。

法人税基本通達は、こうした資産について、物理的に廃棄していなくても除却損を計上できる場面を定めています。本記事では、通達の文言に沿って、有姿除却が認められる2つの場面、ソフトウエアの除却、稼働休止資産や一括償却資産との違いを整理し、決算前に何を準備すればよいかを解説します。

固定資産の除却損とは:有姿除却とソフトウエアの除却の取扱い

固定資産の除却損と有姿除却の取扱いの概要を表す歯車

除却損の基本:取り壊した資産の帳簿価額

固定資産を取り壊したり廃棄したりした場合、その資産の帳簿価額は除却損として損金の額に算入されます。法人税基本通達7-7-1は、まだ使用に耐えうる建物、構築物等を取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合でも、取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊した時における廃材等の見積額を除く。)は、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入するとしています。

有姿除却:廃棄していなくても除却損にできる2つの場面

現実には、撤去や廃棄の費用がかかるため、使わなくなった資産をそのまま置いておくことがあります。法人税基本通達7-7-2は、次に掲げるような固定資産については、たとえ解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるとしています。これが有姿除却と呼ばれる取扱いです。

場面通達が定める資産
(1)使用の廃止その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2)専用金型等特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

損金にできるのは帳簿価額の全額ではなく、処分見込価額を控除した金額です。スクラップとして売却できる見込みがある機械であれば、その見込額を差し引いて計算します。

ソフトウエアの除却

ソフトウエアについても、法人税基本通達7-7-2の2が別に定めています。物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を、その事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。

  • 自社利用のソフトウエアで、データ処理の対象となる業務が廃止され、利用しなくなったことが明らかな場合
  • ハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
  • 複写して販売するための原本となるソフトウエアで、今後販売を行わないことが社内りん議書、販売流通業者への通知文書等で明らかな場合

基幹システムやクラウド会計への移行で旧システムを使わなくなった場合は、この取扱いを検討する場面になります。

まとめて償却している資産の一部を除却したとき

同じ種類の資産をまとめて一つの償却計算単位として償却している場合、その一部を除却したときの帳簿価額の求め方も通達で定められています。法人税基本通達7-7-6によると、償却費の額が個々の資産に合理的に配賦されている場合は除却等の時の帳簿価額、配賦されていない場合はその法定耐用年数を基礎として計算される除却等の時の未償却残額が、除却損の計算の基礎になります。工具、器具及び備品のように配賦が難しいものは、後者の方法で計算します。

中小企業への実務影響:休止資産・一括償却資産との違い

稼働休止資産と使用を廃止した資産の違いを表す保管用の木箱

稼働を休止しているだけの資産は除却できない

有姿除却と混同しやすいのが、一時的に稼働を止めている資産です。法人税基本通達7-1-3は、稼働を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては、減価償却資産に該当するとしています。受注が戻れば再び動かすつもりで整備を続けている機械は、使用を廃止した資産ではなく、減価償却を続ける資産です。

同じ通達の注書きでは、他の場所において使用するために移設中の固定資産も、その移設期間が通常要する期間であると認められる限り、減価償却を継続することができるとされています。工場の移転などで一時的に止めている設備も、除却の対象ではありません。

資産の状態税務上の扱い根拠
使用を廃止し、今後事業に使う可能性がない帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損にできる法人税基本通達7-7-2
休止中だが維持補修をしていつでも稼働し得る減価償却資産に該当し、償却を続ける法人税基本通達7-1-3
まだ使えるが取り壊して建て替えた取壊し直前の帳簿価額を取り壊した日の事業年度の損金に算入法人税基本通達7-7-1

土地付きで買った建物を取り壊す場合

建物付きの土地を購入して建物を取り壊す場合は、扱いが逆になることがあります。法人税基本通達7-3-6は、建物等の存する土地を建物等とともに取得した場合に、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額を土地の取得価額に算入するとしています。この場合は除却損になりません。店舗用地や駐車場用地として古家付きの土地を購入する中小企業では、特に注意が必要です。

一括償却資産は除却しても3年で償却する

国税庁のタックスアンサーNo.5403によると、取得価額が10万円未満のものなどの少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度に取得価額を損金経理すれば損金の額に算入されます。また、取得価額が20万円未満の減価償却資産は、その取得価額の合計額を3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。

このうち一括償却資産を途中で廃棄しても、残額を一度に損金にすることはできません。法人税基本通達7-1-13は、一括償却資産を事業の用に供した事業年度後の各事業年度においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、損金の額に算入される金額は、損金算入限度額に達するまでの金額となるとしています。譲渡した場合も同様です。

取得価額が分からない少額資産の除却

取得価額が20万円未満の少額の減価償却資産等の一部を除却した場合で、取得時期及び取得価額が明らかでないときは、法人税基本通達7-7-7により、その除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は1円によります。また、取得価額が少額(おおむね40万円未満)で個別管理が困難な工具又は器具及び備品については、7-7-9が、種類等の区分ごとに一括して償却し、取得の時期の古いものから順次除却するものとして計算する方法を、継続適用を条件に認めています。

改修で追加した部分だけを除却するとき

建物や設備に資本的支出をして、その部分を追加償却資産として償却している場合もあります。法人税基本通達7-7-10は、一の減価償却資産を構成する各追加償却資産の一部に除却等があった場合には、当該除却等に係る追加償却資産を一の資産として、その除却等による損益を計算するとしています。店舗の内装を何度か改修してきた会社では、どの改修分を撤去したのかを台帳で特定できるようにしておくことが大切です。

当事務所の見解・実務上の注意点:除却損の証拠と計上時期

除却損の証拠と処分見込価額の判断を表す天秤

通達が求めているのは事実であり、書類はその証明手段

有姿除却の要件は、使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められることです。通達は特定の書類の作成を要件としていませんが、税務調査では、その事業年度のうちに使用廃止が決まっていたかどうかが問われることがあります。当事務所では、決算が終わってから書類を整えるのではなく、使用をやめると決めた時点で、取締役会や社内の決裁で廃止を決めた記録、現物の写真、保管場所を残すことをおすすめしています。ソフトウエアについては、通達自身が社内りん議書や販売流通業者への通知文書等を例示しており、記録の重要性がうかがえます。

処分見込価額を見積もった根拠を残す

除却損の金額は、帳簿価額から処分見込価額を控除した金額です。売却の見込みがある資産を処分見込価額ゼロとして全額を損金にすると、金額の妥当性を問われることがあります。買取業者の見積書やスクラップ価格の資料など、見込額を判断した根拠を一緒に保管してください。複数の資産をまとめて除却する場合は、資産ごとに帳簿価額と処分見込価額を一覧にしておくと、後から説明しやすくなります。

除却後に使っていると取扱いが崩れる
有姿除却をした資産を後で再び稼働させると、今後事業の用に供する可能性がないという前提と矛盾します。除却した資産は、誤って使われないよう区分して保管し、売却や廃棄をしたときは、その時点の処分価額と除却損計上時の見込額との差を確認してください。

計上できるのはその事実が生じた事業年度

ソフトウエアの除却について、通達は帳簿価額を当該事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとしています。翌期になってから前期に使用をやめていたと主張しても、その事業年度のうちに使用廃止の事実と記録がなければ説明は難しくなります。逆に、決算月の末日近くに使用をやめた資産でも、記録が整っていればその事業年度で検討できます。決算の直前に慌てないよう、四半期ごとなど定期的に使っていない資産の有無を確認する習慣をつけてください。

台帳と会計処理をそろえる

除却損を計上したら、固定資産台帳からも同時に外し、翌期以降に減価償却費が計上され続けないようにします。台帳と現物の突合が長く行われていない会社では、帳簿にだけ残っている資産が見つかることも多いため、経理代行のサポートを利用して台帳を整えるのも一つの方法です。除却の判断に迷う資産がある場合は、堺市の税務顧問として決算前にご相談をお受けしています。

今すぐやるべきこと:決算前に除却損を計上する5ステップ

決算前に除却損を計上する手順を表す階段

除却損は、事業年度の終わりに慌てて計上するものではありません。決算月の前から、次の順で準備を進めてください。経理担当者だけでなく、現場で設備を管理している責任者にも加わってもらうと、使用状況を正確に把握できます。

  1. ステップ1:固定資産台帳と現物を突き合わせる
    決算の数か月前に、固定資産台帳に載っている資産が実際に存在し、使われているかを現場で確認します。帳簿にだけ残っている資産や、倉庫で動いていない設備、使わなくなったソフトウエアを洗い出し、一覧にします。
  2. ステップ2:休止か使用廃止かを判定する
    洗い出した資産ごとに、維持補修をしていつでも稼働し得る状態の休止資産なのか、今後事業に使う可能性がない資産なのかを判定します。専用金型は、対象製品の生産中止が決まっているかを確認します。
  3. ステップ3:処分見込価額を見積もる
    売却やスクラップの見込みがある資産は、買取業者の見積書などで処分見込価額を見積もります。除却損は帳簿価額からこの見込額を控除した金額になります。
  4. ステップ4:使用廃止の決定を記録する
    使用を廃止すると決めた日付、決裁者、対象資産、理由を社内の決裁書類に残し、現物の写真と保管場所を記録します。ソフトウエアは利用を終えた業務や移行先のシステムも記載します。
  5. ステップ5:台帳と仕訳を同時に更新する
    その事業年度のうちに除却損を計上し、固定資産台帳から外します。一括償却資産は除却しても3年の償却を続けるため、台帳上の扱いを区別して管理します。除却した資産を後で売却・廃棄したときに備え、記録は台帳とひも付けて保管します。
建物の取壊しは時期にも注意
建て替えのために建物を取り壊す場合、法人税基本通達7-7-1は、取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入するとしています。決算をまたいで工事を行う場合は、どちらの事業年度に取壊しが完了するかを工事業者と確認しておくと、計上時期を見誤りません。完了日が分かる書類も保管してください。

よくある質問

Q. 使わなくなった機械を捨てずに倉庫に置いたままでも、除却損を計上できますか?
A. できる場合があります。法人税基本通達7-7-2は、その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産について、解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるとしています。
Q. 受注が減って止めている機械も、有姿除却の対象になりますか?
A. 法人税基本通達7-1-3は、稼働を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものは減価償却資産に該当するとしています。再び動かす予定で整備を続けている機械は、有姿除却ではなく減価償却を続ける対象です。
Q. 取引先との取引が終わった製品の金型は、どのように扱えばよいですか?
A. 法人税基本通達7-7-2の(2)は、特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなものを、有姿除却の対象として挙げています。生産中止が分かる取引先からの通知などを保管してください。
Q. 会計ソフトを入れ替えた場合、古いソフトウエアの残額は損金にできますか?
A. 法人税基本通達7-7-2の2は、ハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合に、帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を損金の額に算入することができるとしています。
Q. 一括償却資産として処理したパソコンを廃棄したら、残りを一度に経費にできますか?
A. 法人税基本通達7-1-13は、一括償却資産につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、各事業年度に損金の額に算入される金額は、損金算入限度額に達するまでの金額となるとしています。廃棄しても、残りは当初の計画どおり3年で損金にしていくことになります。
Q. 古家付きの土地を買ってすぐ建物を壊した場合、建物の分は除却損になりますか?
A. 法人税基本通達7-3-6は、取得後おおむね1年以内に建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、建物等の帳簿価額及び取壊費用の合計額を土地の取得価額に算入するとしています。この場合は除却損として損金にはなりません。
Q. 使っていない資産を除却せずにそのままにしておくと、何か問題がありますか?
A. 帳簿に資産が残っている限り、毎期の減価償却費の計算や固定資産台帳の管理が続きます。使用を廃止して今後事業に使う可能性がない資産であれば、法人税基本通達7-7-2の要件に当たるかを確認し、当たる場合は除却損の計上を検討することで、帳簿と実態を一致させることができます。
Q. 除却損を計上した資産を、後で売却できた場合はどうなりますか?
A. 有姿除却では、帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損にしているため、その資産の帳簿上の価額は処分見込価額だけが残っている状態です。後で売却したときは、その売却額と残っている帳簿上の価額との差額を、売却した事業年度の損益として処理します。見込額の根拠資料はこのときにも役立ちます。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)

税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。

税務顧問サービスの詳細を見る無料相談を申し込む

堺市の税理士 道濟会計事務所|堺東駅徒歩1分
代表税理士 道濟寛樹(税理士登録番号 第152615号・近畿税理士会所属)
〒590-0075 大阪府堺市堺区南花田口町2-3-20 三共堺東ビル6階|TEL 072-200-3579(平日9:00〜17:00)
税務顧問・相続税申告・会社設立・経理代行・料金一覧
対応エリア: 堺区・中区・北区・東区・西区・南区・美原区・堺東駅周辺

新着お知らせ