堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
類似業種比準価額2026|令和8年分は8月分まで公表・株価の選び方
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:国税庁は令和8年10月8日付の課評2-68で、令和8年分の業種目別株価等を8月分まで掲載しました。
- 2ポイント2:相続・贈与で自社株を取得する同族株主、特に大会社・中会社の株価に直接影響します。
- 3ポイント3:株価は3か月間の各月・前年平均・2年間の平均から最も低いものを選べます。候補を必ず比較しましょう。
CONTENTS目次
非上場の自社株を後継者に贈与したい、あるいは相続が発生して株式の評価が必要になった。こうした場面で、多くの中小企業の株価を左右するのが類似業種比準価額です。上場会社の株価や配当・利益・純資産をもとに計算するため、国税庁が毎年公表する業種目別の数値がなければ計算できません。
国税庁は令和8年10月8日、令和8年分の業種目別株価等の通達を改正し、8月分までの株価を掲載しました。本記事では、通達と財産評価基本通達の文言に沿って、計算式、会社規模ごとの違い、株価の選び方、業種目の判定を整理し、今年の評価で何を準備すればよいかを解説します。
類似業種比準価額の概要:令和8年分の通達と計算式
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令和8年分の通達:6月5日に制定、10月8日に8月分まで掲載
国税庁の通達「令和8年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」は、課評2-41として令和8年6月5日に定められ、最終改正は令和8年10月8日の課評2-68です。国税庁のページでは、この通達について、令和8年分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を類似業種比準方式により評価する場合に、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、簿価純資産価額及び株価について定めていると説明しています。
改正後の通達の目次には「8月分まで掲載」と表示されています。あわせて、参考資料として「業種目別株価等一覧表(令和8年7・8月分)」も公表されました。令和8年中に相続や贈与があった場合、課税時期によっては、この追加分の株価を使って計算することになります。
類似業種比準方式とは
国税庁のタックスアンサーNo.4638は、類似業種比準方式を、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの配当金額、利益金額および純資産価額(簿価)の3つで比準して評価する方法と説明しています。取引相場のない株式は、会社を総資産価額、従業員数および取引金額により大会社、中会社または小会社に区分し、大会社は原則として類似業種比準方式、小会社は原則として純資産価額方式、中会社はその併用で評価します。
計算式と通達で示される数値
財産評価基本通達180は、類似業種の株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)を基として類似業種比準価額を計算すると定めています。取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等(令和8年4月1日以降用)では、比準割合を、評価会社の3つの要素をそれぞれ類似業種の数値で割った割合の合計を3で割って求めることとしています。
| 記号 | 内容(財産評価基本通達180) | 数値の出どころ |
|---|---|---|
| A | 類似業種の株価 | 国税庁の通達(月別に追加掲載) |
| B・C・D | 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額・年利益金額・純資産価額(帳簿価額によって計算した金額) | 国税庁の通達(年分ごと) |
| 評価会社の3要素 | 評価会社の1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額(帳簿価額によって計算した金額) | 自社の決算書・法人税申告書 |
類似業種比準価額は、株価Aに比準割合を掛け、さらに大会社なら0.7を掛けて求めます。財産評価基本通達180は、この「0.7」を、中会社の株式を評価する場合には「0.6」、小会社の株式を評価する場合には「0.5」とすると定めています。記載方法等では、要素別比準割合と比準割合は、それぞれ小数点以下2位未満を切り捨てて記載するとされています。
また、計算は1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額で行い、1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額であるときは、計算した金額にその50円に対する倍数を乗じます。通達の業種目別の数値も、1株(50円)当たりの金額で示されています。
なお、財産評価基本通達184により、直前期末の翌日から課税時期までの間に配当金交付の効力が発生した場合は、計算した価額から株式1株に対して受けた配当の金額を差し引いて修正します。決算後に配当を行った会社は、この修正も忘れずに行ってください。
中小企業への実務影響:会社規模と株価の選択
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影響を受けるのは大会社・中会社の同族株主
類似業種比準価額を使うのは、原則的評価方式で評価する同族株主等です。タックスアンサーNo.4638によれば、同族株主以外の株主が取得した株式は、会社の規模にかかわらず配当還元方式で評価します。また、比準要素数1の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社等、開業前または休業中の会社、清算中の会社といった特定の評価会社の株式も、原則として類似業種比準方式によりません。
会社規模の区分は財産評価基本通達178の表で判定します。たとえば卸売業、小売・サービス業以外の業種では、従業員数が70人以上の会社のほか、総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。)または直前期末以前1年間における取引金額15億円以上の会社が大会社です。中会社は財産評価基本通達179により、類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-L)で評価します。Lは0.90、0.75、0.60などの割合で、規模が大きいほど類似業種比準価額の比重が高くなります。
同じ業種区分で総資産価額と従業員数に応ずる割合を見ると、総資産価額5億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。)なら0.90、2億5,000万円以上(従業員数が20人以下の会社を除く。)なら0.75、5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)なら0.60です。Lは取引金額に応ずる割合と比べていずれか大きい方を使うため、両方の基準で判定してください。
株価Aは3つの候補から最も低いものを選べる
財産評価基本通達182は、類似業種の株価を、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものとしつつ、納税義務者の選択により、類似業種の前年平均株価又は課税時期の属する月以前2年間の平均株価によることができるとしています。どれを使うかで株価が変わるため、候補をすべて並べて比べることが欠かせません。
国税庁が10月8日に掲載した令和8年分の数値(単位:円)のうち、大分類の建設業(番号1)を例に、課税時期が令和8年8月の場合の候補を並べると次のとおりです。
| 候補(建設業・番号1) | 通達の掲載額 |
|---|---|
| 令和8年6月分・7月分・8月分の株価 | 727円・737円・724円 |
| 前年平均株価(令和7年平均) | 579円 |
| 8月分の課税時期の属する月以前2年間の平均株価 | 622円 |
| 参考:B(配当)・C(利益)・D(簿価純資産) | 14.3円・75円・595円 |
この例では、令和8年の各月の株価よりも令和7年平均の579円のほうが低くなっています。各月の株価だけを見て計算すると、選べたはずの低い株価を使わずに評価額を高く見積もってしまうおそれがあります。業種目ごとに数値は異なるため、自社が該当する業種目の欄で同じ比較を行ってください。
同じ別紙で中分類の総合工事業(番号2)を見ると、6月分から8月分の株価は607円・622円・618円、令和7年平均は543円、8月分の2年間の平均株価は570円で、B・C・Dは14.6円・71円・600円です。大分類と中分類では数値の組合せが異なるため、どちらを使えるかの確認も欠かせません。
課税時期の月の株価が出ていないと評価が確定しない
改正後の通達に掲載されているのは8月分までです。課税時期が令和8年9月以降の相続や贈与では、課税時期の属する月以前3か月間の株価がそろわず、この時点では類似業種比準価額を確定できません。年内の贈与を検討している場合は、贈与の時期と株価の掲載状況を踏まえて、試算と確定計算を分けて進める段取りが必要です。相続税の申告を含めた株式評価の進め方は、相続税申告のサポートのページでもご案内しています。
当事務所の見解・実務上の注意点:業種目判定と令和7年分との違い
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業種目の判定は取引金額の50%基準で行う
どの業種目の数値を使うかで、株価Aも比準要素B・C・Dも変わります。財産評価基本通達181-2は、評価会社の事業が該当する業種目を、直前期末以前1年間における取引金額に基づいて判定するとし、2以上の業種目に係る取引金額が含まれている場合は、業種目別の割合が50%を超える業種目とすると定めています。50%を超える業種目がないときは、類似する小分類の「その他の○○業」や中分類・大分類の業種目などによります。
さらに財産評価基本通達181は、納税義務者の選択により、小分類の業種目であればその属する中分類の業種目を、中分類の業種目であればその属する大分類の業種目を類似業種とすることができるとしています。当事務所では、小分類と上位の分類の両方で計算し、低いほうを採用できるかを必ず確認しています。兼業している会社は、売上の内訳を業種目ごとに集計しておくことが判定の前提になります。
令和7年11月・12月分の金額は令和7年分と異なることがある
通達の別紙の注記は、株価Aは業種目ごとに令和8年分の標本会社の株価を基に計算しているので、標本会社が令和7年分のものと異なる業種目などについては、令和7年11月分及び12月分の金額は、令和7年分の評価に適用する令和7年11月分及び12月分の金額とは異なることに留意するよう求めています。令和7年平均と2年間の平均株価も、令和8年分の標本会社を基に計算されています。
令和8年の1月や2月に課税時期がある場合、3か月間の株価には前年の11月分や12月分が含まれます。このとき令和7年分の一覧表を見て転記すると、誤った数値を使うことになりかねません。課税時期の属する年の通達から数値を取ることを徹底してください。
評価会社側の数値も通達どおりに計算する
財産評価基本通達183は、評価会社の1株当たりの配当金額を直前期末以前2年間の配当金額の合計額の2分の1を基に計算し、特別配当、記念配当等のうち将来毎期継続することが予想できない金額を除くとしています。利益金額は法人税の課税所得金額から固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除いて計算し、直前期末以前2年間の平均によることも選択できます。決算の内容によって評価額が大きく動くため、事業承継を見据えた株価対策は、堺市の税務顧問として日頃の決算から一緒に検討することをおすすめしています。
純資産価額(帳簿価額)は、直前期末における資本金等の額と、法人税申告書別表五(一)の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額との合計額を、直前期末の発行済株式数で除して計算します。利益積立金額に相当する金額が負数である場合は、その負数に相当する金額を資本金等の額から控除し、控除後の金額が負数となる場合は0とします。申告書の転記元を誤らないよう、別表の該当欄を確認しながら進めてください。
今すぐやるべきこと:令和8年分の自社株評価5ステップ
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令和8年中の相続や贈与で自社株を評価する場合は、次の順番で準備を進めてください。年をまたぐと使う通達が変わるため、課税時期の年分を最初に確認することが大切です。経理担当者だけで抱え込まず、直前期と前々期の決算書、法人税申告書、株主名簿を一式そろえてから着手すると、転記ミスや判定の漏れを防げます。
- ステップ1:課税時期と評価方式を確認する
相続なら被相続人の死亡の日、贈与なら贈与により財産を取得した日が課税時期です。取得者が同族株主等に当たるか、特定の評価会社に当たらないかを確認し、原則的評価方式で評価するかどうかを判定します。 - ステップ2:会社規模と業種目を判定する
直前期末の総資産価額(帳簿価額)、従業員数、直前期末以前1年間の取引金額から大会社・中会社・小会社を判定します。取引金額を業種目ごとに集計し、該当する業種目と上位の分類の番号を控えます。 - ステップ3:令和8年分の通達から数値を転記する
国税庁の令和8年分の通達の別紙から、該当する業種目のB・C・Dと、各月の株価・前年平均株価・2年間の平均株価を転記します。8月分までが掲載済みで、それ以降の月は掲載を待ちます。 - ステップ4:評価会社の3要素を計算する
直前期とその前期の決算書・法人税申告書(別表五(一)など)から、1株(50円)当たりの配当金額・利益金額・純資産価額を計算します。非経常的な利益や記念配当の有無も確認します。 - ステップ5:候補を比較して評価明細書にまとめる
株価の候補と業種目の候補ごとに計算し、最も低くなる組合せを確認したうえで、取引相場のない株式(出資)の評価明細書(令和8年4月1日以降用)に記載します。
年内の贈与は株価の掲載時期も考慮する
課税時期の属する月以前3か月間の株価が掲載されるまでは、類似業種比準価額は試算にとどまります。贈与契約の日付を決める前に、どの月の株価で確定させるかを関係者と共有しておくと、申告までの段取りに余裕が生まれます。
課税時期の属する月以前3か月間の株価が掲載されるまでは、類似業種比準価額は試算にとどまります。贈与契約の日付を決める前に、どの月の株価で確定させるかを関係者と共有しておくと、申告までの段取りに余裕が生まれます。
よくある質問
- Q. 令和8年分の類似業種比準価額の株価は、何月分まで公表されていますか?
- A. 国税庁が令和8年10月8日付の課評2-68で改正した通達の目次には、8月分まで掲載と表示されています。参考資料の業種目別株価等一覧表も令和8年7・8月分が公表されています。9月分以降の株価はこの時点では掲載されていないため、課税時期が9月以降の場合は、国税庁のホームページで掲載の有無を確認してから計算を確定させてください。それまでは掲載済みの月の数値で試算し、確定計算と分けて管理すると安心です。
- Q. 類似業種比準価額の株価は、どの月の数値を使えばよいですか?
- A. 財産評価基本通達182により、課税時期の属する月以前3か月間の各月の株価のうち最も低いものが原則です。ただし、納税義務者の選択により、前年平均株価または課税時期の属する月以前2年間の平均株価によることもできます。業種によっては、令和8年の各月より令和7年平均のほうが低い場合もあります。候補をすべて並べ、最も低いものを使えるか確認しましょう。
- Q. 小さな会社でも類似業種比準価額を計算する必要がありますか?
- A. 小会社は原則として純資産価額方式で評価しますが、財産評価基本通達179により、納税義務者の選択で、Lを0.50として中会社の算式により計算した金額によって評価することもできます。その場合の類似業種比準価額は、算式中の0.7を0.5として計算します。どちらが低いかは計算してみないと分からないため、類似業種比準価額も算定しておくと判断材料になります。
- Q. 中会社と大会社では、類似業種比準価額の計算はどう違いますか?
- A. 財産評価基本通達180の算式の「0.7」が、中会社では「0.6」になります。さらに中会社は、財産評価基本通達179により類似業種比準価額と純資産価額を割合Lで組み合わせて評価します。Lは会社の総資産価額・従業員数または取引金額に応じて0.90、0.75、0.60のいずれかになり、規模が大きいほど類似業種比準価額の比重が高まります。どちらに区分されるかで評価額が変わるため、規模判定は丁寧に行ってください。
- Q. 複数の事業を営んでいる場合、業種目はどう決めますか?
- A. 財産評価基本通達181-2により、直前期末以前1年間の取引金額のうち、業種目別の割合が50%を超える業種目とします。50%を超える業種目がない場合は、類似する小分類の「その他の○○業」、中分類の業種目、大分類の業種目、大分類の中の「その他の産業」などの業種目とします。業種目の判定を誤ると株価Aも比準要素も変わってしまうため、売上の内訳を業種目別に整理し、判定の根拠として残しておきましょう。
- Q. 令和8年1月に相続があった場合、令和7年分の一覧表を使えばよいですか?
- A. 課税時期の属する年である令和8年分の通達の数値を使います。通達の別紙は、令和8年分の標本会社を基に計算しているため、標本会社が令和7年分と異なる業種目などでは、令和7年11月分及び12月分の金額が令和7年分の評価に適用する金額とは異なることに留意するよう注記しています。転記元を取り違えないよう、課税時期の年分の通達であることを確認してください。
参考資料・出典
- 国税庁 令和8年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(課評2-41)
- 国税庁 同通達の一部改正(課評2-68・令和8年10月8日)
- 国税庁 同通達別紙 建設業(PDF)
- 国税庁 (参考)業種目別株価等一覧表(令和8年7・8月分)
- 国税庁 財産評価基本通達178・179
- 国税庁 財産評価基本通達180〜184
- 国税庁 タックスアンサーNo.4638 取引相場のない株式の評価
- 国税庁 B2-1 取引相場のない株式(出資)の評価明細書
- 国税庁 評価明細書の記載方法等(令和8年4月1日以降用・PDF)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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