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上場株式の譲渡損失2026|繰越控除は3年・毎年の確定申告が条件
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:上場株式等の譲渡損失は、確定申告で上場株式等の配当等と損益通算でき、控除しきれない分は翌年以後3年間繰り越せます。
- 2ポイント2:特定口座の源泉徴収ありでも、他の口座との相殺や繰越控除を受けるには確定申告が必要です。
- 3ポイント3:年内に全口座の損益と配当を確認し、損失が出たら翌年以降も連続して申告する段取りを決めておきましょう。
CONTENTS目次
保有している上場株式や投資信託に含み損がある、今年はすでに売却して損失が出ている。こうした場合、損失をそのままにするか、確定申告で税金の計算に生かすかで、翌年以降の手取りが変わることがあります。上場株式等の譲渡損失には、配当との損益通算と、翌年以後3年間の繰越控除という制度があるためです。
ただし、繰越控除は一度申告すれば済むものではなく、要件を外すと使えなくなります。本記事では、国税庁のタックスアンサーの記載に沿って、制度の仕組み、特定口座で申告が必要になる場面、申告方法を選ぶときの注意点を整理し、年末までに確認すべきことを解説します。
上場株式の譲渡損失の概要:損益通算と3年間の繰越控除
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損益通算:同じ年の配当等と相殺できる
国税庁のタックスアンサーNo.1474によれば、上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したこと等により生じた譲渡損失の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額および配当所得の金額と損益通算することができます。ここでいう配当所得は、申告分離課税を選択したものに限られます。
繰越控除:翌年以後3年間にわたり差し引ける
損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、その年分の翌年以後3年間にわたり、確定申告により、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。今年の損失を、翌年以降の売却益や配当と相殺できるということです。根拠法令等として、No.1474は措法37の12の2、37の14、37の14の2、措令25の11の2、措規18の14の2を挙げています。
上場株式等に含まれるものと損益の計算
タックスアンサーNo.1463によれば、上場株式等には、金融商品取引所に上場されている株式等(いわゆるETF、J-REIT、ベンチャーファンドおよびカントリーファンドを含みます。)のほか、公募投資信託(特定株式投資信託を除きます。)の受益権、国債および地方債なども含まれます。個別株だけでなく、証券会社で購入した投資信託の解約損なども対象になり得るため、口座ごとに何を売却したかを確認することが大切です。
譲渡所得等の金額は、総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)で計算します。総収入金額(譲渡価額)には、償還、解約により交付を受ける金銭等の額を含みます。上場株式等と一般株式等は、それぞれ別々の申告分離課税とされています。
対象にならない損失
No.1474は、次の3つを注記しています。
| 区分 | 取扱い(タックスアンサーNo.1474の注記) |
|---|---|
| 一般株式等との関係 | 繰り越された上場株式等に係る譲渡損失の金額は、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできません |
| 相対取引 | 上場株式等の譲渡であっても、いわゆる相対取引などにより生じた譲渡損失については、損益通算及び繰越控除はできません |
| NISA | 非課税口座(NISA)及び未成年者口座(ジュニアNISA)内の上場株式等の譲渡損失については、損益通算及び繰越控除はできません |
また、タックスアンサーNo.1465は、上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、給与所得など他の各種所得の金額から差し引くことはできないとしています。不動産所得など他の各種所得の損失の金額を、株式等の譲渡所得等の黒字の金額から控除することもできません。
税率と、令和9年からの内訳の変更
タックスアンサーNo.1463によれば、上場株式等に係る譲渡所得等の税率は20%(所得税15%、住民税5%)で、平成25年から令和29年までの各年分は復興特別所得税を併せて申告・納付します。No.1331は、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税が併せて源泉徴収されるとしたうえで、合計税率に変更はないと説明しています。
中小企業経営者・個人投資家への実務影響:特定口座でも申告が必要な場面
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源泉徴収口座なら原則は申告不要
タックスアンサーNo.1476によれば、特定口座内の上場株式等の譲渡による所得は、金融商品取引業者等が計算し、送られてくる特定口座年間取引報告書で簡便に申告できます。さらに、源泉徴収を選択した特定口座(源泉徴収口座)では、譲渡の都度、譲渡益に相当する金額に15.315パーセント(他に住民税5パーセント)の税率で源泉徴収され、その所得を申告不要とすることができます。申告するか申告不要とするかは、口座ごとに選択できます。
源泉徴収口座に配当等を受け入れている場合は、口座内の譲渡損失と配当等が自動で差し引きされ、その残りに対して源泉徴収されます。このため、1つの証券会社の源泉徴収口座だけで取引をしている人は、その口座内では同じ年の損失と配当等を差し引いた後の金額で源泉徴収が行われています。
確定申告が必要になる2つの場面
No.1476は、源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡による所得について、他の口座の上場株式等の譲渡損益と相殺する場合や、No.1474の特例の適用を受ける場合には、確定申告をする必要があるとしています。
- ☑ A社の源泉徴収口座で利益、B社の口座で損失が出ている(複数の証券会社の損益を相殺したい)
- ☑ 年間を通じて損失が残り、翌年以降に繰り越したい
特定口座は1金融商品取引業者等につき1口座に限られるため、複数の証券会社を使っている人は口座ごとに損益が分かれます。申告しなければ、ある口座の利益に対する源泉徴収税額は、他の口座の損失と相殺されないままになります。
なお、源泉徴収口座内で配当と損失を差し引くには、配当等をその口座に受け入れる選択が前提です。No.1476は、この選択をする場合には、源泉徴収口座が開設されている金融商品取引業者等に対して源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書を提出する必要があるとしています。受入れの選択をしていなければ、口座内で配当と損失は差し引きされないため、届出の有無も確認しておきましょう。
損失を申告すると、口座の配当も申告に含まれる
見落としやすいのが配当の扱いです。No.1476は、源泉徴収口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告する場合には、その源泉徴収口座に受け入れた上場株式等に係る利子等の金額および配当等の金額を申告不要とすることはできないため、これらの金額も併せて申告しなければならないとしています。
さらに、損益通算の相手になる配当所得は申告分離課税を選択したものに限られます。タックスアンサーNo.1331によれば、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得については配当控除の適用はありません。No.1331の整理表では総合課税を選択した場合の配当控除はありとされており、この違いも申告方法を選ぶ判断材料になります。
未上場のベンチャー株で損失が出たとき
未上場株式は一般株式等に当たり、原則として上場株式等の譲渡益とは相殺できません。ただしタックスアンサーNo.1465は、いわゆるエンジェル税制の対象となる特定中小会社の発行した株式で払込みにより取得したものを適用期間内に譲渡したことにより生じた一定の損失の金額については、一定の要件を満たす場合に限り、その年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除できるとしています。特定中小会社とは、一定の要件を満たす特定中小会社に該当することについて都道府県知事の確認書等の交付を受けている株式会社をいいます。
中小企業の経営者で、役員報酬のほかに上場株式の配当や売却損益がある方は、申告の範囲がどこまで広がるかを事前に確認しておくと安心です。個人の確定申告のご相談は個人の確定申告のサポートのページでもご案内しています。
当事務所の見解・実務上の注意点:申告方法の選択と連続申告
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選んだ申告方法は後から変えられない
No.1331は、配当等について申告不要、申告分離課税、総合課税のいずれによるかは確定申告において選択し、確定申告において選択した、または、選択しなかった方法は、その後、修正申告や更正の請求において変更することはできないと注記しています。また、上場株式等の配当等を申告する場合には、その申告する配当等の全額について、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択することになります。
当事務所では、譲渡損失の繰越控除を使うかどうかを決める前に、配当の金額と他の所得を並べ、申告分離課税で損益通算する場合と、配当を申告しない場合の両方を比較するようにしています。申告書を出してから気づいても選び直せないため、比較は提出前に行うことが重要です。
申告すると合計所得金額に含まれる
No.1331の整理表では、上場株式等の配当等について、確定申告をしない場合は扶養控除等の判定で合計所得金額に含まれない一方、総合課税や申告分離課税を選択して申告した場合は合計所得金額に含まれるとしています。繰越控除の適用を受けている場合の金額は、その適用前の金額になるとも注記されています。配偶者や親の名義の口座で損失を繰り越すときは、扶養控除等の判定への影響も含めて検討してください。
損失を繰り越す年は、毎年続けて申告する
No.1474は、繰越控除の手続として、損失が生じた年分に所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)と株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書を添付した確定申告書を提出し、その後の年において連続して付表を添付した確定申告書を提出することを求めています。さらに、上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要と注記しています。
給与所得者や年金受給者で、普段は確定申告をしない方ほど、2年目以降の申告を忘れがちです。損失が出た年の申告書の控えに、繰越損失の残高を書き留めておくと、翌年の申告の準備がしやすくなります。家族が手続を担当している場合や、顧問の担当者が交代する場合は、繰越損失の残高と最終年分を一覧にして引き継ぐことをおすすめします。
なお、同じ年の配当と損益通算するだけの場合でも、No.1474は、適用を受けようとする旨を確定申告書に記載し、付表と計算明細書を添付した確定申告書を提出することを求めています。損益通算と繰越控除のどちらを使う場合も、付表が手続の中心になります。
源泉徴収の選択は年の最初の譲渡までに
No.1476によれば、特定口座で源泉徴収を選択する場合は、その年の最初の譲渡の時までに特定口座源泉徴収選択届出書を提出する必要があり、その選択は年単位であることから、年の途中で源泉徴収を行わないように変更することはできません。翌年の取引方針は、年明けの最初の売却より前に決めておく必要があります。
今すぐやるべきこと:年末までに確認する5ステップ
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上場株式等の譲渡損失を有効に使うには、年が明けてから資料を探すのではなく、年内に状況を把握しておくことが大切です。次の順番で確認を進めてください。家族の口座も含めて確認する場合は、名義ごとに一覧を分けておくと、申告書の作成時に混乱しません。年内に売却するかどうかの判断も、この一覧を見ながら行うと、損失の使い道が明確になります。
- ステップ1:全口座の今年の損益を集計する
証券会社ごとの特定口座・一般口座・NISA口座を洗い出し、今年すでに確定した譲渡損益と、年末までの売却予定を一覧にします。NISA口座の損失は損益通算・繰越控除の対象外なので分けて管理します。投資信託の解約や償還による損益も忘れずに含めます。 - ステップ2:配当の受取口座と金額を確認する
上場株式等の配当等がどの口座に入金されているか、源泉徴収口座に受け入れているかを確認します。損失を申告すると、その口座の配当も申告に含めることになるためです。 - ステップ3:過去3年の繰越損失を確認する
前年以前の確定申告書の控えと付表を見て、まだ控除していない繰越損失がいつの年分のものか、いつまで使えるかを確認します。 - ステップ4:申告する場合としない場合を比較する
申告分離課税で損益通算する場合と、配当を申告しない場合の税額を比べます。選んだ方法は後から修正申告や更正の請求で変えられないため、提出前に比較を終えます。 - ステップ5:翌年以降の申告予定を決めておく
繰越控除を使う場合は、取引がない年も付表を添付して申告します。誰がいつ申告するかを決め、年間取引報告書や申告書の控えを保管する場所もそろえておきます。
年間取引報告書は申告まで保管する
特定口座の損益は、金融商品取引業者等から送られる特定口座年間取引報告書をもとに申告します。複数の証券会社を使っている場合は、すべての報告書がそろってから申告書を作成してください。報告書の損益と、ご自身で集計した一覧の金額が一致しているかも確認しておくと、記載漏れを防げます。
特定口座の損益は、金融商品取引業者等から送られる特定口座年間取引報告書をもとに申告します。複数の証券会社を使っている場合は、すべての報告書がそろってから申告書を作成してください。報告書の損益と、ご自身で集計した一覧の金額が一致しているかも確認しておくと、記載漏れを防げます。
よくある質問
- Q. 特定口座の源泉徴収ありを選んでいれば、確定申告は不要ですか?
- A. 源泉徴収口座内の譲渡所得は申告不要とすることができます。ただし、国税庁のタックスアンサーNo.1476は、他の口座の上場株式等の譲渡損益と相殺する場合や、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合には、確定申告をする必要があるとしています。損失を翌年に繰り越したいなら、源泉徴収口座であっても、損失が生じた年分から付表を添付した確定申告書の提出が必要です。
- Q. 株式の売却損を翌年に繰り越すと、何年間使えますか?
- A. タックスアンサーNo.1474によれば、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額は、その年分の翌年以後3年間にわたり、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および配当所得等の金額から繰越控除できます。3年間で使い切れなかった損失は、それ以降に繰り越すことはできませんので、どの年分の損失がいくら残っているかと、その使用期限を一覧で管理しておきましょう。
- Q. 損失を繰り越している間に株の売買をしなかった年も、申告が必要ですか?
- A. 必要です。No.1474は、上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要と注記しています。その後の年において連続して付表を添付した確定申告書を提出することが要件とされているため、取引がない年の申告を忘れると、それ以降の繰越控除を受けられなくなるおそれがあります。申告の予定は年初に決めておきましょう。
- Q. 株の売却損を給与所得や事業所得と相殺できますか?
- A. できません。タックスアンサーNo.1465によれば、上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、給与所得など他の各種所得の金額から差し引くことはできません。相殺できるのは、上場株式等の譲渡益と、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等の金額です。事業の赤字と株式の損失は別々に扱われ、不動産所得などの赤字を株式の譲渡益から差し引くこともできません。
- Q. NISA口座で出た損失も、損益通算や繰越控除の対象になりますか?
- A. 対象になりません。No.1474は、非課税口座(NISA)及び未成年者口座(ジュニアNISA)内の上場株式等を譲渡したことにより生じた譲渡損失については、損益通算及び繰越控除はできないと注記しています。損益を集計するときは、NISA口座の売却損を特定口座や一般口座の損益と混ぜないように分けて管理してください。証券会社の画面で口座区分を確認しておくと確実です。
- Q. 令和9年から税率が変わると聞きましたが、源泉徴収される税額は増えますか?
- A. タックスアンサーNo.1331は、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税が併せて源泉徴収されると説明しています。そのうえで、合計税率に変更はありませんので、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じませんとしています。内訳が変わるだけで、源泉徴収される合計の税率は同じです。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- 国税庁 タックスアンサーNo.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い
- 国税庁 タックスアンサーNo.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1476 特定口座制度
- 国税庁 タックスアンサーNo.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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