堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
中小企業景況調査2026|7-9月期は5期ぶり上昇・人手不足が強まる
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:中小機構は2026年9月30日、第185回中小企業景況調査(2026年7-9月期)の結果を公表しました。全産業の業況判断DIは▲15.5で、前期差3.2ポイント増と5期ぶりに上昇しました。
- 2ポイント2:製造業・建設業・卸売業・サービス業・小売業のすべての産業で上昇した一方、従業員数過不足DIは▲23.5と3期ぶりに不足感が強まりました。九州・沖縄は熊本地震の影響で低下しています。
- 3ポイント3:採算(経常利益)DIは▲21.4で業況判断DIより低く、仕入単価DIも76.2と高い水準です。自社の前年同期比の数字を、売上・利益・資金繰り・人員の4点で点検しておきましょう。
CONTENTS目次
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、2026年9月30日に第185回中小企業景況調査(2026年7-9月期)の結果を公表しました。中小企業の業況判断DIは▲15.5と、5期ぶりに上昇しています。全国の商工会・商工会議所などを通じて18,829社を対象に聴き取った調査で、小規模事業者や個人事業主の実感がよく表れるのが特徴です。本記事では、報告書とポイント資料の数字をもとに、業況・売上・採算・資金繰り・仕入単価・人手不足の各DIを整理し、決算や資金計画の見直しにどう生かすかを税理士の視点で解説します。
中小企業景況調査とは・第185回の業況判断DI
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調査の概要
中小企業景況調査は、中小機構が中小企業の景況を把握し、中小企業施策立案の基礎資料を収集することを目的に、四半期に一度、全国商工会連合会、日本商工会議所及び全国中小企業団体中央会の協力を得て実施している調査です。調査結果は中小企業庁と中小機構が共同で取りまとめています。ニュースリリースによれば、約80%が小規模事業者、うち、約50%を個人事業主が占める、日本の中小企業の実態を踏まえた、1980年から40年以上続く調査です。
| 項目 | 第185回の内容 |
|---|---|
| 調査時点 | 2026年9月1日時点 |
| 調査方法 | 全国の商工会、商工会議所の経営指導員、及び中小企業団体中央会の情報連絡員が訪問面接し、聴き取りによって実施 |
| 調査対象 | 中小企業基本法に定義する全国の中小企業 |
| 回答状況 | 調査対象企業数18,829、有効回答企業数17,902、有効回答率95.1% |
業況判断DIは5期ぶりに上昇
DI(ディフュージョン・インデックス)は、前年同期と比べて「好転」と答えた企業の割合から「悪化」と答えた企業の割合を差し引いた値です。2026年7-9月期の全産業の業況判断DIは▲15.5(前期▲18.7、前期差3.2ポイント増)と上昇し、5期ぶりにマイナス幅が縮小しました。製造業は▲10.3(前期▲16.6、前期差6.3ポイント増)で2期ぶり、非製造業は▲17.2(前期▲19.3、前期差2.1ポイント増)で5期ぶりの改善です。
| 産業 | 業況判断DI(前年同期比) | 前期差 |
|---|---|---|
| 製造業 | ▲10.3 | 6.3ポイント増 |
| 建設業 | ▲12.7 | 6.9ポイント増 |
| サービス業 | ▲13.0 | 1.5ポイント増 |
| 卸売業 | ▲13.4 | 1.8ポイント増 |
| 小売業 | ▲26.3 | 0.7ポイント増 |
製造業の内訳では、機械器具で1.7(前期差15.6ポイント増)、輸送用機械器具で3.3(前期差13.8ポイント増)、電気・情報通信機械・電子部品で5.8(前期差12.0ポイント増)、金属製品で2.0(前期差8.8ポイント増)と、4業種でマイナスからプラスに転じました。このほか、パルプ・紙・紙加工品で▲8.8(前期差10.0ポイント増)、繊維工業で▲15.7(前期差7.7ポイント増)など10業種でマイナス幅が縮小しました。報告書には、AI関連や半導体向けの需要で受注が堅調という企業の声が並んでいます。
サービス業の内訳では、宿泊業で▲6.5(前期差5.9ポイント増)、情報通信・広告業で▲7.3(前期差2.5ポイント増)とマイナス幅が縮小しました。一方、対事業所サービス業(運送・倉庫)で▲9.9(前期差0.6ポイント減)、飲食業で▲17.1(前期差0.4ポイント減)と、マイナス幅が拡大した業種もあります。同じ産業の中でも、業種によって明暗が分かれている点に注意が必要です。
規模別では小規模事業者の水準が低い
規模別に見ると、中規模で▲7.3(前期差3.7ポイント増)、小規模で▲17.7(前期差3.0ポイント増)と、どちらもマイナス幅が縮小しました。ただし水準には大きな開きがあり、小規模事業者ほど業況の回復を実感しにくい状況が続いています。
中小企業への実務影響:採算・資金繰り・人手不足
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売上・採算・資金繰りのDI
業況以外の主要なDIも、全産業でそろって改善しました。ただし水準はいずれもマイナスで、改善したのはマイナス幅です。
| DI(全産業) | 今期 | 前期 | 報告書の評価 |
|---|---|---|---|
| 売上額DI | ▲7.2 | ▲8.3 | 2期連続してマイナス幅が縮小 |
| 採算(経常利益)DI | ▲21.4 | ▲25.4 | 2期ぶりにマイナス幅が縮小 |
| 資金繰りDI | ▲11.9 | ▲13.4 | 3期ぶりにマイナス幅が縮小 |
産業別に見ると、製造業の売上額DIは▲0.2と3期連続してマイナス幅が縮小し、ほぼ横ばいの水準まで戻っています。ポイント資料によれば、採算(経常利益)DIは建設業で7.1ポイント増(▲25.2)、製造業で6.7ポイント増(▲15.2)と、直近3年で最大の上昇幅となりました。製造業の資金繰りDIは▲10.3で、4期連続してマイナス幅が縮小しています。非製造業では、売上額DIが▲9.4、採算(経常利益)DIが▲23.5(前期差3.0ポイント増)、資金繰りDIが▲12.4(前期差1.3ポイント増)で、採算と資金繰りはいずれも5期ぶりにマイナス幅が縮小しました。
仕入単価DIはなお高水準
全産業の原材料・商品仕入単価DI(上昇と答えた割合から低下と答えた割合を引いた値)は、76.2(前期差1.9ポイント減)と2期ぶりにプラス幅が縮小しました。産業別では建設業で85.1、製造業で81.0、卸売業で78.1、サービス業で73.7、小売業で69.2と、すべての産業でプラス幅が縮小しています。それでも、回答企業の大半が前年より仕入単価が上がったと答えている状況に変わりはありません。
人手不足は業況が改善した産業で強まる
全産業の従業員数過不足DI(今期の水準)は▲23.5(前期▲22.8、前期差0.7ポイント減)と、3期ぶりに不足感が強まりました。産業別では建設業が▲39.7と最も低く、製造業、建設業、卸売業でマイナス幅が拡大しています。ポイント資料は、前年同期比で見た従業員数過不足DIが建設業で2.5ポイント減(▲3.6)、製造業で0.5ポイント減(▲5.2)となり、業況が改善した2産業で人手不足感が強まったと分析しています。製造業の生産設備過不足DIも▲6.0と、2期連続して不足感が強まりました。
地域別:九州・沖縄だけが低下
地域別の業況判断DIは、北海道、中国、東北、関東、四国、近畿、中部でマイナス幅が縮小しました。一方、令和8年熊本地震が発生した九州・沖縄地域は▲19.2(前期差2.9ポイント減)と低下し、熊本県では▲30.4(前期差10.3ポイント減)と大幅に低下しています。当事務所のある大阪府を含む近畿は、改善した地域に入っています。
企業の声に表れた課題
報告書には、自由回答から選ばれた企業の声が掲載されています。徳島県の紙加工業者は「ボード紙の仕入価格上昇に対し15%の価格転嫁を実施。一方、最低賃金引上げによる人件費増加は十分に転嫁できず、利益を圧迫している。」と答えています。香川県の建設業者は、受注の引き合いが増えて業績は好調である一方、材料費や借入金利の上昇、人手不足を感じていると回答しました。千葉県の鉄鋼・非鉄金属の事業者は、前年同月比の材料費が47.4%上昇し、価格転嫁が困難であり利益減少の懸念があると答え、金利上昇による借入負担から設備投資に慎重になるとしています。石川県の対個人サービス業者も、近年の金利上昇が資金繰りに与える影響を懸念しています。茨城県の飲食業者からは、来年4月からの食料品消費税1%をめぐり、店内飲食とテイクアウトの価格差をどうすり合わせるかを懸念する声も出ています。
当事務所の見解・景況調査の読み方の注意点
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業況が良くても利益が残っているとは限らない
今回の結果で当事務所が注目するのは、採算(経常利益)DIの▲21.4が、業況判断DIの▲15.5や売上額DIの▲7.2よりも低い点です。売上は前年並みに戻りつつあっても、仕入単価と人件費の上昇を価格に転嫁しきれず、利益が前年より減っている企業がなお多いことを示しています。先ほどの紙加工業者の声のように、材料費は転嫁できても人件費は転嫁できていないという構図は、当事務所の顧問先でもよく見られます。
景況調査はあくまで全国の平均的な傾向で、自社の業績がこれと同じ動きをしているとは限りません。大切なのは、同じ前年同期比という物差しで自社の月次の数字を並べ、売上・粗利・人件費・借入金利息のどこが前年と違うのかを把握することです。
もう一つの注目点は、製造業の生産設備過不足DIが▲6.0と2期連続して不足感が強まっていることです。人手不足と設備不足が同時に進むと、受注があっても生産能力が追いつかず、売上の機会を逃すことになります。設備の更新や省力化の投資は、資金繰りと税務の両面から計画的に進めたいテーマです。
決算前に見直したい3つの論点
1. 価格転嫁と粗利率
仕入単価DIが高水準のまま推移しているため、販売価格の改定が遅れると粗利率の低下が続きます。主要な取引先ごとに、前年からの単価改定の有無を一覧にしておくと交渉の材料になります。
仕入単価DIが高水準のまま推移しているため、販売価格の改定が遅れると粗利率の低下が続きます。主要な取引先ごとに、前年からの単価改定の有無を一覧にしておくと交渉の材料になります。
2. 人手不足と人件費
業況が改善した建設業と製造業で人手不足感が強まっています。採用や外注の拡大は人件費・外注費を押し上げるため、受注の増加が利益の増加につながるかを、工事や製品ごとの採算で確かめる必要があります。
3. 金利上昇と資金繰り
資金繰りDIは改善したものの、報告書には借入金利の上昇を懸念する声が複数掲載されています。借入金の金利条件と返済予定を確認し、決算後の資金計画に織り込んでおきましょう。
税務の観点から
業況が上向いて利益が見込める場合は、決算前に設備投資や賃上げの計画を立てるかどうかで、税額や翌期以降の資金繰りが変わります。反対に採算が悪化している場合は、中間申告や予定納税の負担が実態に比べて重くないかを確認することも大切です。月次の数字をもとに、決算の数か月前から着地見込みを試算しておくことをおすすめします。
また、飲食業者の声にあったとおり、飲食料品の消費税率の引下げを見据えた価格設定の検討も始まっています。店内飲食とテイクアウトで適用税率が異なる業種では、価格表示やレジの設定だけでなく、粗利率への影響まで含めて検討しておくと安心です。当事務所では、堺市の税務顧問として、月次決算の数字をもとにした決算前の検討をお手伝いしています。
今すぐやるべきこと:自社の数字で点検する5つの手順
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景況調査の結果は、自社の数字と並べて初めて意味を持ちます。次の順で点検を進めてください。
- ステップ1:自社の前年同期比を4つの数字で並べる
景況調査と同じく前年同期と比べて、売上、経常利益、資金繰り(預金残高と借入金残高)、従業員数の4つを確認します。全国平均との比較よりも、自社の変化の方向を把握することが目的です。 - ステップ2:仕入単価と販売単価の改定状況を一覧にする
主要な仕入先からの値上げと、主要な販売先への値上げの有無を取引先ごとに並べます。仕入単価だけが上がっている取引が、粗利率を押し下げている原因です。 - ステップ3:人件費の増加分を価格に反映できているか確認する
最低賃金の引上げや採用に伴う人件費の増加額を把握し、見積単価や価格表に反映できているかを点検します。反映できていない場合は、改定の時期と根拠を準備します。 - ステップ4:借入金の金利条件と返済予定を見直す
変動金利の借入金がある場合は、金利見直しの時期と影響額を確認し、決算後の資金計画に織り込みます。 - ステップ5:決算の着地見込みを試算し、税務の対策を検討する
月次の数字から決算の着地見込みを試算し、設備投資・賃上げ・中間申告の扱いなどを、決算の数か月前に顧問税理士と相談します。
- ☑ 前年同期と比べた売上と経常利益の増減を把握した
- ☑ 主要な取引先ごとの単価改定の状況を一覧にした
- ☑ 人件費の増加分が価格に反映できているか確認した
- ☑ 借入金の金利条件と返済予定を確認した
点検の結果、売上は回復しているのに利益が減っている場合は、値上げの交渉、不採算の取引や商品の見直し、外注と採用のバランスの見直しなど、利益率を上げる手を優先して検討します。反対に、利益が増えている場合は、人材への投資や設備の更新に回す余力があるかを、資金繰りとあわせて判断します。
景況調査は四半期に一度公表されます。次回以降も同じ物差しで自社の数字と比べ続けることで、業界全体の動きと自社の動きのずれに早く気づけるようになります。
よくある質問
- Q. 中小企業景況調査のDIとは、どういう数字ですか?
- A. 前年同期と比べて好転(増加・上昇)と答えた企業の割合から、悪化(減少・低下)と答えた企業の割合を差し引いた値です。マイナスは悪化と答えた企業の方が多いことを表します。第185回の全産業の業況判断DIは▲15.5で、前期の▲18.7からマイナス幅が縮小しました。数字の大きさよりも、前期からの変化の方向を見るのが基本的な読み方です。
- Q. 業況判断DIと採算(経常利益)DIは、何が違うのですか?
- A. 業況判断DIは、自社の業況全般が前年同期と比べて好転したか悪化したかを聞いたものです。採算(経常利益)DIは、経常利益に絞って同じように聞いています。第185回では全産業の業況判断DIが▲15.5、採算(経常利益)DIが▲21.4で、採算の方がマイナス幅が大きくなっています。業況は持ち直しても、利益の面ではまだ厳しいと感じている企業が多いことがわかります。
- Q. どんな企業が調査の対象になっていますか?
- A. 中小企業基本法に定義する全国の中小企業が対象です。第185回は調査対象企業数18,829、有効回答企業数17,902で、有効回答率は95.1%でした。全国の商工会、商工会議所の経営指導員、及び中小企業団体中央会の情報連絡員が訪問面接し、聴き取りによって実施しています。約80%が小規模事業者で、うち約50%を個人事業主が占めるとされています。
- Q. 業況判断DIが上がったのに、なぜ人手不足が強まっているのですか?
- A. ポイント資料は、業況が改善した建設業と製造業で人手不足感が強まったと分析しています。受注が増えると必要な人員も増えるため、業況の改善と人手不足が同時に進みます。全産業の従業員数過不足DI(今期の水準)は▲23.5で、3期ぶりに不足感が強まりました。建設業では▲39.7と、産業別で最も不足感が強い水準です。
- Q. 仕入単価DIが下がったのは、仕入価格が下がったということですか?
- A. いいえ。全産業の原材料・商品仕入単価DIは76.2で、前期差1.9ポイント減とプラス幅が縮小しましたが、依然として前年より仕入単価が上昇したと答えた企業が大半です。上昇の勢いがやや弱まったと読むのが適切です。建設業では85.1と、すべての産業の中で最も高い水準にあります。
- Q. 九州・沖縄地域の業況が悪化したのはなぜですか?
- A. 報告書とニュースリリースは、令和8年熊本地震が発生した九州・沖縄地域の業況判断DIが▲19.2(前期差2.9ポイント減)と低下し、熊本県では▲30.4(前期差10.3ポイント減)と大幅に低下したとしています。熊本県の食料品製造業者からは、約2週間の出荷停止を余儀なくされたという声が寄せられています。九州・沖縄以外のすべての地域では業況判断DIが上昇しました。
- Q. 小規模事業者と中規模企業で、結果に違いはありますか?
- A. あります。規模別の業況判断DIは、中規模で▲7.3、小規模で▲17.7でした。前期差はそれぞれ3.7ポイント増、3.0ポイント増と、どちらも改善しています。ただし水準には大きな差があり、小規模事業者ほど業況の回復を実感しにくい状況です。自社と同じ規模・産業の数字と比べると、より実態に近い比較ができます。
- Q. 調査結果はどこで確認でき、次回はいつ公表されますか?
- A. 中小機構のホームページの中小企業景況調査のページで、報告書、ポイント資料、産業別の報告書、DIの時系列データ(Excel)が公開されています。調査は四半期に一度実施されています。最新の長期時系列データは中小企業庁及び中小機構のホームページで公表されています。
参考資料・出典
- 中小機構 ニュースリリース「中小企業の業況判断DIは、5期ぶりに上昇」(2026年9月30日・PDF)
- 中小機構 第185回(2026年7-9月期)中小企業景況調査のポイント(PDF)
- 中小機構 第185回(2026年7-9月期)中小企業景況調査報告書(PDF)
- 中小機構 中小企業景況調査
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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