堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
消費税申告書のドラフト様式2026|0.78%欄の新設と付表の変更点
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:国税庁は令和8年10月9日、消費税率引下げ特設サイトに、消費税率引下げに対応した消費税申告書様式(ドラフト版)を掲載しました。システム開発事業者向けの様式案で、正式な改訂様式は後日掲載されます。
- 2ポイント2:ドラフト版では、第二表に税率0.78%の適用分の欄が加わり、付表には税率0.78%適用分の列が設けられました。簡易課税や2割特例・3割特例の付表では、0.78%分の仕入税額を売上税額と同額とする計算が組み込まれています。
- 3ポイント3:内容は法案が国会で可決・成立した場合のものです。飲食料品を扱う事業者は、会計ソフトやレジの税率区分、簡易課税の届出、中間申告の特例を、令和9年4月1日の前に確認しておきましょう。
CONTENTS目次
飲食料品の消費税率を2年間1%に引き下げる改正案について、国税庁が消費税申告書の新しい様式のドラフト版を公表しました。税率が変わると、申告書の欄や付表の計算の流れも変わります。とくに簡易課税や2割特例・3割特例で申告している小規模な事業者は、仕入税額の計算方法が大きく変わる点に注意が必要です。本記事では、国税庁の特設サイト、ドラフト版の様式、パンフレットとQ&Aをもとに、申告書のどこがどう変わるのかを整理し、会計ソフトの設定や届出の準備で確認したい点を税理士の視点で解説します。
消費税申告書のドラフト様式の概要
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特設サイトに申告書様式のドラフト版を掲載
国税庁の消費税率引下げ特設サイトは、令和8年9月15日に開設されました。飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(令和8年9月15日閣議決定)で示された改正案の内容を説明する資料として、リーフレット、パンフレット、Q&A、説明動画が掲載されています。令和8年10月6日に説明動画(詳細版)が加わり、令和8年10月9日に消費税率引下げに対応した消費税申告書様式(ドラフト版)が掲載されました。
特設サイトは、システム開発事業者の方向けに、現時点で予定している改訂後の様式(ドラフト版)を掲載するとしています。なお、正式な改訂様式については、後日、改めて特設サイトに掲載するとされています。ドラフト版では、改訂箇所は黄色のマーカー又は赤字で示されています。
前提となる注意点
特設サイトは、内容については、今後、法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のものですと明記しています。ドラフト版の様式も、成立後の正式な様式とは異なる可能性があります。
特設サイトは、内容については、今後、法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のものですと明記しています。ドラフト版の様式も、成立後の正式な様式とは異なる可能性があります。
改正案の税率
パンフレットによれば、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品に係る消費税率が1%(国・地方合計)に引き下げられます。税率1%の対象とされる飲食料品の範囲は、令和9年3月31日以前において税率8%の対象である飲食料品の範囲と同様です。
| 区分 | 消費税率 | 地方消費税率 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 飲食料品 | 0.78% | 0.22% | 1% |
| 新聞の定期購読 | 6.24% | 1.76% | 8% |
| その他 | 7.8% | 2.2% | 10% |
地方消費税率は消費税額の22/78です。申告書の上では、飲食料品の税率1%は消費税の0.78%と地方消費税に分かれて計算されます。このため、ドラフト版で新しく加わった欄は、すべて0.78%という税率で表示されています。
なお、令和9年4月1日以後に行われる飲食料品の販売であっても、一定の定期供給契約や通信販売に基づくものについては、これまでどおり税率8%が適用されます。たとえば、令和9年1月1日前に締結した定期供給契約に基づき同年4月1日前に対価の領収をしている販売や、通信販売の方法により令和9年1月1日前にその販売条件の提示が行われ同年4月1日前に申込みを受けた販売が該当します。申告書の上でも、税率8%の売上と税率1%の売上が同じ課税期間に混在することになります。
ドラフト版に含まれる様式
ドラフト版の申告書は、令和9年4月1日以後終了課税期間分として作られています。一般用と簡易課税用の第一表・第二表のほか、税率別消費税額計算表(付表1-1から付表1-3、付表4-1から付表4-3)、課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表(付表2-1、付表2-3)、控除対象仕入税額等の計算表(付表5-1、付表5-3)、付表6、個人事業者向けの課税取引金額計算表(表イ-1から表イ-3)が含まれています。付表は(R9.4.1以後終了課税期間用)と表示されています。
中小企業への実務影響:申告書と付表の変更点
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第二表に0.78%の欄が加わる
第二表(課税標準額等の内訳書)では、課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の内訳に、0.78 % 適用分の欄(⑤)が設けられました。消費税額の内訳にも0.78 % 適用分の欄(⑯)が加わり、地方消費税の課税標準となる消費税額の欄(㉕)は、0.78%、6.24%及び7.8% 適用分とまとめて記載する形になっています。
| 様式 | ドラフト版で確認できる主な変更 |
|---|---|
| 第二表 | 課税標準額と消費税額の内訳に0.78 % 適用分の欄を追加 |
| 付表1-3・付表4-3 | 税率0.78%適用分(Y)、税率6.24%適用分(A)、税率7.8%適用分(B)の3列と合計(Y+A+B) |
| 付表6 | 特別控除税額の計算で、0.78%適用分は⑥Y欄の金額をそのまま控除 |
| 表イ-1から表イ-3 | 課税売上高と課税仕入高に、うち0.78%適用分の欄を追加 |
簡易課税は飲食料品分の売上税額をそのまま控除
パンフレットとQ&A(問3-6)によれば、簡易課税制度を適用して申告する場合、業種区分にかかわらず、飲食料品の販売(1%対象)に係る売上税額と同額の仕入税額を計上することとされます。その他の売上税額にはみなし仕入率を乗じ、両者の合計額を仕入税額控除します。Q&Aの計算例では、飲食料品の小売2,000万円(税20万円)、雑貨などの小売300万円(税30万円)、イートイン(外食)100万円(税10万円)の事業者について、売上税額60万円から、飲食料品に係る仕入税額20万円とみなし仕入率による仕入税額30万円を差し引き、納付税額は10万円となっています。
ドラフト版の簡易課税用の付表4-3では、税率0.78%適用分の控除対象仕入税額の欄が(②Y+③Y-⑤Yの金額)とされています。一方、みなし仕入率を使って計算する付表5-3には、税率6.24%適用分と税率7.8%適用分の列だけが置かれています。飲食料品分はみなし仕入率の計算から切り離される構造です。
あわせて、簡易課税のみなし仕入率に関する75%ルールの判定や計算は、飲食料品の譲渡(1%対象)に係る取引を除いて行うこととされます(Q&A問3-7)。飲食料品と雑貨を併売する小売店などでは、事業区分の判定結果が変わることがあります。
2割特例・3割特例の付表6
Q&Aは、小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例、28 年改正法附則 51 の2①②)又は小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置(3割特例、28 年改正法附則 51 の3①②)を適用する場合も、簡易課税と同様に飲食料品分の売上税額と同額の仕入税額を計上するとしています。ドラフト版の付表6はこれを反映しており、特別控除税額の計算式は、0.78%適用分が⑥Y欄の金額、6.24%と7.8%の適用分は、2割特例用の付表6では⑥A欄×80%と⑥B欄×80%、3割特例用の付表6では⑥A欄×70%と⑥B欄×70%と示されています。
一般用の第一表では、税額控除に係る経過措置の適用欄の選択肢が「8: 3割特例」と表示されています。ドラフト版には、3割特例による申告の場合、⑱欄に⑨欄の数字を記載し、⑱欄×22/78から算出された金額を⑳欄に記載するよう注記があります。
中間申告の特例を使う場合の書き方
Q&A(問3-8)は、中間申告の特例により申告を行う場合には、申告書(第一表)のみの提出で差し支えないとしています。税額の計算では、⑪欄(納付税額)、㉒欄(納付譲渡割額)及び㉖欄(消費税及び地方消費税の合計税額)のみを記載します。税務署から送付された消費税の中間申告書兼納付書は、仮決算による中間申告を行う場合には使用しません。
個人事業者の課税取引金額計算表
個人事業者が作成する課税取引金額計算表(表イ-1から表イ-3)にも、課税売上高と課税仕入高のうち0.78%適用分を書き分ける欄が設けられています。帳簿の段階で飲食料品の売上と仕入を税率ごとに区分しておかないと、これらの欄を埋めることができません。
当事務所の見解・消費税申告で注意したい点
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会計ソフトとレジの税率区分が出発点
ドラフト版を見ると、申告書の計算はすべて税率ごとの集計を前提にしています。申告書の欄が増えること自体よりも、日々の取引を税率1%と8%・10%に正しく区分して記帳できるかが、実務の出発点です。パンフレットは、インボイスには適用税率1%とその消費税額等を記載しますが、それ以外のインボイスや帳簿の記載事項に変更はありませんとしています。一方で、会計ソフトやレジに税率1%の区分を追加する作業は、事業者側で必要になります。
国税庁は、レジやその他のシステム等の開発を行っている事業者の方向けに、税制面での問合せ窓口として専用メールアドレスを設けています。案内文書によれば、回答は1~2週間を目途とし、窓口は令和9年4月頃までの設置を予定しています。特設サイトのドラフト版も、こうしたシステム対応の参考として掲載されたものです。
簡易課税の事業者は届出の判断が先
簡易課税では飲食料品分の売上税額と同額が控除されるため、飲食料品の販売に係る部分の納税額はゼロになります。ただし、仕入が標準税率で売上が1%の事業者は、一般課税(本則課税)で申告すれば還付を受けられる場合があります。パンフレットは、飲食料品の販売を行う簡易課税事業者が、令和9年4月1日の属する課税期間中に簡易課税制度選択不適用届出書を提出した場合には、その課税期間から一般課税により申告することができるとしています。また、簡易課税を選択した場合の2年間の継続適用要件(いわゆる2年縛り)は、飲食料品の販売を行う簡易課税事業者の令和9年4月1日の属する課税期間については適用しないこととされます。どちらが有利かは、仕入の税率構成と設備投資の予定で変わるため、試算してから判断してください。
免税事業者についても、飲食料品の販売を行う免税事業者が、令和9年4月1日の属する課税期間中に課税事業者選択届出書を提出した場合には、その課税期間から課税事業者となることができる特例が示されています。還付を受けるには一般課税による申告が必要になるため、記帳の負担も含めて検討します。
中間申告の特例は期限内の提出が条件
Q&A(問3-8)は、税率引下げにより中間納付税額が過大となることが想定される事業者向けに、直前課税期間の飲食料品に係る売上げ・仕入れに税率1%が適用されたものとしたときの消費税額に基づく、仮決算による中間申告の特例を示しています。この特例による申告では、申告書(第一表)のみの提出で差し支えないとされています。ただし、仮決算による中間申告書を期限後に提出することはできません。中間申告の期限を前もって把握しておくことが重要です。当事務所では、堺市の税務顧問として、税率変更をまたぐ課税期間の申告方法の検討をお手伝いしています。
今すぐやるべきこと:引下げ前に進める5つの準備
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税率の引下げは令和9年4月1日からの予定ですが、ソフトの更新や届出の判断には時間がかかります。次の順で準備を進めてください。
- ステップ1:自社の売上と仕入を税率ごとに把握する
飲食料品の売上と仕入が全体のどれくらいを占めるかを、直近の帳簿から税率8%と10%に分けて集計します。税率1%に変わる部分の大きさが、以降の判断の基礎になります。 - ステップ2:会計ソフトとレジの対応予定を確認する
利用している会計ソフトとレジのベンダーに、税率1%の区分と新しい申告書様式への対応時期を確認します。ドラフト版はシステム開発事業者向けに公表されており、正式な様式は後日掲載されます。 - ステップ3:簡易課税か一般課税かを試算する
簡易課税の事業者は、飲食料品分の売上税額と同額の仕入税額を計上する特例と、一般課税で還付を受ける場合を比べます。一般課税を選ぶ場合は、令和9年4月1日の属する課税期間中の届出の特例を確認します。 - ステップ4:中間申告の特例を使うか検討する
直前課税期間の消費税額をもとに中間申告をしている事業者は、仮決算による中間申告の特例を使うかを検討し、提出期限を確認します。期限後に仮決算による中間申告書を提出することはできません。 - ステップ5:正式な様式と法案の成立状況を確認する
内容は法案が国会で可決・成立した場合のものです。国税庁の特設サイトで正式な改訂様式とQ&Aの改訂を確認し、申告の準備に反映します。
小売店では、値札や価格表示の切替えも同時に進める必要があります。パンフレットによれば、税率引下げに対応した総額表示に直ちに対応することが困難な事情がある場合、令和9年2月1日から5月31日までの間は、飲食料品について、実際の支払額と誤認させない掲示等をしていることを条件に、税率8%又は1%での総額表示をしておくことが認められます。
- ☑ 飲食料品の売上と仕入を税率ごとに集計した
- ☑ 会計ソフトとレジの税率1%対応の時期を確認した
- ☑ 簡易課税と一般課税の有利不利を試算した
- ☑ 中間申告の期限と特例の要否を確認した
よくある質問
- Q. ドラフト版の様式で、今すぐ申告することはできますか?
- A. できません。ドラフト版は、システム開発事業者の方向けに現時点で予定している改訂後の様式を掲載したもので、令和9年4月1日以後終了課税期間分の様式です。正式な改訂様式は、後日、特設サイトに改めて掲載されます。また、内容は法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のものです。
- Q. 申告書の税率欄が1%ではなく0.78%になっているのはなぜですか?
- A. 飲食料品の税率1%は、消費税率0.78%と地方消費税率0.22%の合計だからです。地方消費税率は消費税額の22/78とされています。申告書では、まず消費税の税率で税額を計算し、そこから地方消費税を計算する流れになっているため、新しい欄は0.78%と表示されています。現行の軽減税率8%の欄が6.24%と表示されているのと同じ考え方です。
- Q. 簡易課税の事業者は、飲食料品の売上について消費税を納めなくてよくなるのですか?
- A. Q&Aでは、簡易課税制度を適用する場合、業種区分にかかわらず、飲食料品の譲渡(1%対象)に係る売上税額と同額の仕入税額を計上することとされています。このため、飲食料品の販売に係る部分の納付税額は差し引きゼロとなる計算です。飲食料品以外の売上税額には、従来どおりみなし仕入率を乗じて仕入税額を計算します。
- Q. 2割特例や3割特例を使っている場合も、同じ扱いになりますか?
- A. Q&Aは、2割特例又は3割特例を適用する場合も簡易課税と同様に扱うとしています。ドラフト版の付表6でも、特別控除税額は0.78%適用分が⑥Y欄の金額とされ、6.24%と7.8%の適用分には、2割特例用の付表6で80%、3割特例用の付表6で70%を乗じる計算式になっています。
- Q. 税率8%で売った飲食料品が、引下げ後に返品されたらどうなりますか?
- A. パンフレットによれば、税率8%で販売した飲食料品について、消費税率引下げ後(令和9年4月1日以後)に返品や貸倒れがあった場合には、税率8%により調整計算を行います。引下げ後に返品を受けた場合でも、売上時の税率で処理する必要があるため、返品の伝票に元の販売日と税率がわかるようにしておくことが大切です。
- Q. インボイスや帳簿の書き方も変わりますか?
- A. パンフレットによれば、飲食料品の販売を行った場合、インボイスには適用税率1%とその消費税額等を記載しますが、それ以外のインボイスや帳簿の記載事項に変更はありません。たとえば軽減税率の対象品目である旨に代えて、税率1%の対象品目である旨を新たに記載する必要はないとされています。
- Q. 会計ソフトの対応について、国税庁に問い合わせることはできますか?
- A. レジやその他のシステム等の開発を行っている事業者の方向けに、税制面での問合せ窓口として専用メールアドレス(keigen@nta.go.jp)が設けられています。ただし、レジやシステム対応に関連しない問合せは受け付けていません。会計ソフトを利用する事業者は、まずソフトのベンダーに対応時期を確認するのが現実的です。
参考資料・出典
- 国税庁 消費税率引下げ特設サイト
- 国税庁 消費税率引下げに対応した消費税申告書様式(令和8年10月9日、ドラフト版)(PDF)
- 国税庁 パンフレット「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(令和8年9月)(PDF)
- 国税庁 飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(令和8年9月)(PDF)
- 国税庁 レジ・システム開発事業者の方向けの問合せ窓口について(PDF)
- 国税庁 トピックス一覧
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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