お問い合わせ

072-200-3579

受付時間:月〜金 9:00〜17:00

大阪で顧問税理士をお探しの方は道濟会計事務所へ

源泉所得税の納期の特例2026|7月10日が納付期限・対象と注意点を解説

源泉所得税の納期の特例2026の納付期限を示す道濟会計事務所の解説記事アイキャッチ
この記事の要点3点

  • ポイント1:源泉所得税の納期の特例を受けると、1月~6月分の源泉所得税の納付期限は2026年7月10日になります。
  • ポイント2:対象は給与の支給人員が常時10人未満の事業者で、特例で半年払いにできるのは給与・退職手当・税理士等の報酬から源泉徴収した分に限られます。
  • ポイント3:納付が1日でも遅れると不納付加算税と延滞税の対象です。期限前に納付書の作成と資金の準備を始めましょう。

毎年7月が近づくと、源泉所得税の「納期の特例」を受けている事業者には、1月から6月までにお給料や報酬から預かった源泉所得税をまとめて納める時期がやってきます。2026年(令和8年)の納付期限は7月10日(金)です。納期の特例は資金繰りと事務負担の両面で中小企業に大きなメリットがある一方、「どの源泉所得税が特例の対象になるのか」「いつまでに何をすればよいのか」を正しく理解していないと、不納付加算税や延滞税という思わぬペナルティを招きかねません。本記事では、堺市の税理士が制度の仕組みから実務上のつまずきやすいポイントまで、根拠となる国税庁の情報に沿って整理します。

納期の特例とは(制度の概要)

源泉徴収義務者は、給与や報酬などを支払う際に所得税および復興特別所得税を天引き(源泉徴収)し、原則として支払った月の翌月10日までに国へ納付しなければなりません。たとえば6月に支払った給与から預かった源泉所得税は、本来7月10日までに毎月納める必要があります。

しかし、毎月の納付は小規模な事業者にとって事務の負担が小さくありません。そこで設けられているのが「源泉所得税の納期の特例」です。これは、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が所轄税務署長の承認を受けることで、源泉徴収した所得税および復興特別所得税を年2回にまとめて納付できる制度です(国税庁タックスアンサーNo.2505)。

納付期限は年2回

納期の特例の承認を受けると、納付期限は次のとおり半年ごとの年2回になります。

納期の特例を受けた場合の納付期限
・1月~6月に源泉徴収した分 … 7月10日
・7月~12月に源泉徴収した分 … 翌年1月20日

2026年は7月10日が金曜日のため、土日に重ならず期限の延長はありません。1月20日(2027年)についてもカレンダー上の曜日を必ず確認しましょう。なお、12月分までをまとめる下半期の納付期限が「1月10日」ではなく「1月20日」である点は、年末の繁忙期に配慮した特例特有の取扱いで、間違えやすいポイントです。

申請の手続きと適用開始時期

納期の特例を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署へ提出します。提出後、却下の通知がなければ申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する分から特例の対象になります。たとえば5月中に申請すれば、6月に源泉徴収する分から半年払いの対象となり、その分は7月10日の納付に含めることができます。

申請した月に源泉徴収する分は、まだ特例の対象になりません。その月分は原則どおり翌月10日までに個別に納付する必要があるため、申請のタイミングと最初の納付月の対応を取り違えないよう注意してください。

納付する税額の内訳と端数処理

納付するのは所得税と復興特別所得税の合計額です。復興特別所得税は2013年から2037年までの各年分について課されており、給与計算で用いる源泉徴収税額表にはあらかじめ復興特別所得税が含まれた金額が記載されています。そのため、毎月の給与計算で税額表どおりに天引きしていれば、所得税と復興特別所得税を分けて計算し直す必要はなく、半年分を合計してそのまま納付します。納付税額に1円未満の端数が生じることは通常ありませんが、賞与の計算などで端数が出た場合は切り捨てて処理します。

納付の方法は複数ある

納付の方法は金融機関や税務署の窓口での現金納付に限られません。e-Tax(電子申告)を利用すれば、預金口座からのダイレクト納付やインターネットバンキングによる納付ができ、窓口へ出向く手間を省けます。このほか、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコード)など複数の方法が用意されています。半年分のまとまった金額になるため、利用する納付方法ごとの上限額や手数料の有無も事前に確認しておくと安心です。

中小企業への実務影響と対象の範囲

納期の特例は「すべての源泉所得税をまとめてよい制度」と誤解されがちですが、実際には特例でまとめられる源泉所得税の範囲は限定されています。ここを正確に押さえることが、納め漏れを防ぐ最大のポイントです。

特例の対象になる源泉所得税

納期の特例の対象となるのは、次の支払から源泉徴収した所得税および復興特別所得税に限られます(国税庁No.2505)。

  • 従業員や役員に支払う給与・賞与
  • 退職した従業員などに支払う退職手当
  • 税理士・弁護士・司法書士など一定の士業に支払う報酬・料金

特例の対象にならない源泉所得税

一方、上記以外の報酬・料金から源泉徴収した所得税は納期の特例の対象外です。これらは納期の特例を受けていても、原則どおり支払った月の翌月10日までに毎月納付しなければなりません。実務で見落とされやすい代表例は次のとおりです。

  • 原稿料・デザイン料・講演料・印税
  • 外交員・集金人などに支払う報酬
  • ホステス・コンパニオン等に支払う報酬
  • 馬主に支払う競馬の賞金 など
もっとも間違えやすい点:フリーランスのデザイナーに支払ったデザイン料から源泉徴収した分を、「うちは納期の特例だから7月でいい」と半年ためてしまうケースがあります。これは誤りで、デザイン料の源泉所得税は毎月翌月10日までに納付が必要です。給与と同じ納付書にまとめることもできないため、支払先の区分を必ず確認してください。

「常時10人未満」の数え方

適用要件である「給与の支給人員が常時10人未満」は、繁忙期に一時的に10人以上となっても、平常の状態として10人未満であれば要件を満たすと判断されます。逆に、平常的に10人以上の給与支払いが続く状態になった場合は、後述の届出が必要になります。パート・アルバイトを多く雇用する事業者は、人員の増減を継続的に確認しておくことが大切です。

10人以上になったときの届出

給与の支給人員が常時10人以上となり要件に該当しなくなったときは、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を遅滞なく提出します。この届出を行うと、その提出month以降は原則どおり毎月納付に戻ります。要件を満たさないまま半年払いを続けると、本来の納期限を過ぎた納付として加算税・延滞税のリスクが生じます。

こんなケースは要注意

実務でつまずきやすい典型的なケースを整理します。

  • 役員1人だけの会社:従業員がいない一人社長の会社でも、役員報酬を支払えば源泉徴収義務が生じます。給与の支給人員が常時10人未満であれば納期の特例の対象となり、半年払いが可能です。
  • 設立初年度の会社:会社設立後すぐに申請書を提出すれば、提出月の翌月分から特例の対象にできます。設立当初は資金が限られるため、毎月納付よりも事務負担の軽い特例を早めに検討する価値があります。
  • 専従者給与のみの個人事業:青色事業専従者給与を支払う個人事業主も源泉徴収義務者です。支給人員が常時10人未満であれば特例を利用できます。

申請・届出はオンラインでも可能

納期の特例の承認申請書や、要件に該当しなくなったことの届出書は、書面のほかe-Taxを利用してオンラインで提出することもできます。マイナンバーカードと対応端末があれば税務署へ出向く必要がなく、提出日時の記録も残るため、提出漏れや控えの紛失を防げます。従業員の入退社が頻繁な事業者ほど、人員要件の変動に合わせた手続きをオンラインで機動的に行えるメリットは大きいといえます。

通常納付と納期の特例の比較

通常の毎月納付と納期の特例を比較すると、事務負担と資金繰りのバランスが見えてきます。

項目原則(毎月納付)納期の特例
対象者すべての源泉徴収義務者給与の支給人員が常時10人未満
納付回数年12回(毎月)年2回(7月・翌年1月)
1~6月分の期限各月の翌月10日7月10日
7~12月分の期限各月の翌月10日翌年1月20日
対象となる源泉所得税すべて給与・退職手当・士業報酬のみ
事務負担毎月発生半年に1回で軽い
資金繰り毎月平準化半年分が一度に流出

表のとおり、納期の特例は事務負担を大幅に軽くできる反面、半年分の源泉所得税が一度に資金として流出します。預かった源泉所得税はあくまで従業員等の税金を一時的に預かっているものであり、事業の運転資金と混同して使ってしまうと、納付時に資金が不足する事態に陥りがちです。

たとえば従業員5人で毎月の源泉徴収額が合計8万円の会社であれば、半年で約48万円が7月10日に一度に流出します。毎月納付ならば月々8万円ずつの支出で済むところを、特例では半年分をまとめて準備しなければなりません。事務負担の軽さというメリットの裏側で、納税月のキャッシュアウトが大きくなるというデメリットがあることを理解したうえで、自社にとってどちらが適しているかを判断することが大切です。

当事務所の見解・実務上の注意点

当事務所が顧問先の源泉所得税を確認するなかで、納期の特例にまつわるトラブルは「対象範囲の誤解」と「資金管理」の2つに集約されます。ここでは、他の解説記事ではあまり触れられない実務の勘所を3点に絞ってお伝えします。

1. 預り金は別管理が望ましい

毎月の給与計算で天引きした源泉所得税を、会計上「預り金」として認識していても、実際の現預金が事業資金と一体になっていると、7月にまとまった納税資金が用意できないことがあります。半年分の概算額をあらかじめ把握し、可能であれば納税用の資金として区分しておくことをおすすめします。毎月の給与計算が確定した時点で源泉徴収簿に税額を記録し、半年分の累計を月次でチェックしておけば、7月の納付額を直前になって慌てて確認する必要もなくなります。

2. 「ゼロ納付」でも納付書の提出は必要

その半年間に納付すべき源泉所得税がない場合(給与の支払いがなかった、全員が源泉徴収不要だった等)でも、納付税額を「0」と記載した所得税徴収高計算書(納付書)の提出が必要です。「金額がないから出さなくてよい」と考えて未提出のままにすると、提出漏れの状態になります。e-Taxを利用すれば、税額ゼロの計算書もオンラインで送信できます。

3. 納付が遅れると不納付加算税・延滞税の対象

源泉所得税の納付が1日でも期限に遅れると、原則として不納付加算税(自主的な納付前の告知では原則10%、税務署の調査による場合などは重くなります。自主的に期限後納付した場合は5%)と、延滞税が課されます。納期の特例は半年分とまとまった金額になるため、加算税・延滞税の金額も大きくなりがちです。期限管理はとりわけ重要です。

源泉所得税には申告所得税のような「振替納税」の制度はありません。口座から自動で引き落とされることはないため、必ず自社で納付手続きを行う必要があります。「振替で落ちると思っていた」という思い込みが納付遅延の典型的な原因です。

今すぐやるべきこと(チェックリスト)

2026年7月10日の納付期限に向けて、次の手順で準備を進めましょう。

  1. ステップ1:納期の特例の適用状況を確認する
    自社が納期の特例の承認を受けているか(過去に申請書を提出済みか)を確認します。新たに適用を受けたい常時10人未満の事業者は、適用したい月の前月までに「納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署へ提出します。
  2. ステップ2:1~6月の源泉徴収額を集計する
    2026年1月から6月までに支払った給与・賞与・退職手当、および税理士等の士業報酬から源泉徴収した所得税および復興特別所得税を月別に集計します。デザイン料など特例対象外の報酬が混ざっていないかを区分して確認します。
  3. ステップ3:所得税徴収高計算書(納付書)を作成する
    納期の特例用の納付書(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)に、支給期間・人員・支給額・税額を記載します。納付すべき税額がない場合も税額0として作成します。
  4. ステップ4:7月10日までに納付する
    作成した納付書で、金融機関の窓口・e-Tax(ダイレクト納付やインターネットバンキング)・クレジットカード納付などにより、2026年7月10日までに納付を完了します。
  5. ステップ5:納付の控えを保管する
    納付済みの納付書の控えやe-Taxの受信通知を保管し、源泉徴収簿・賃金台帳と金額が一致しているかを最終確認します。
  • ☑ 納期の特例の承認を受けているか確認した
  • ☑ 1~6月の源泉徴収額を集計した(特例対象外の報酬を区分した)
  • ☑ 納付書(所得税徴収高計算書)を作成した
  • ☑ 納税資金を確保した
  • ☑ 7月10日までに納付し、控えを保管した

よくある質問

Q. 源泉所得税の納期の特例の2026年の納付期限はいつですか?
A. 2026年(令和8年)に納期の特例の承認を受けている場合、1月から6月までに源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納付期限は2026年7月10日です。7月から12月までに源泉徴収した分は翌2027年1月20日が納付期限となります。
Q. 納期の特例はどのような事業者が利用できますか?
A. 給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が利用できます。所轄税務署へ「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、承認を受けることで適用されます。一時的に10人以上となっても平常が10人未満であれば要件を満たします。
Q. デザイン料や原稿料から源泉徴収した所得税も7月にまとめて納付してよいですか?
A. いいえ。納期の特例でまとめられるのは給与・退職手当・税理士等の士業報酬から源泉徴収した分に限られます。デザイン料や原稿料、講演料などの報酬から源泉徴収した所得税は特例の対象外で、原則どおり支払った月の翌月10日までに毎月納付する必要があります。
Q. 納付すべき源泉所得税がない場合も手続きは必要ですか?
A. はい。その半年間に納付税額がない場合でも、税額を0と記載した所得税徴収高計算書(納付書)を提出する必要があります。e-Taxを利用すれば税額ゼロの計算書もオンラインで送信できます。
Q. 納付期限を過ぎてしまうとどうなりますか?
A. 原則として不納付加算税と延滞税の対象になります。自主的に期限後納付した場合の不納付加算税は原則5%ですが、税務署からの告知による場合は10%など重くなります。納期の特例は半年分とまとまった金額になるため、ペナルティも大きくなりやすく、期限管理が特に重要です。
Q. 従業員が増えて常時10人以上になったらどうすればよいですか?
A. 「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を遅滞なく所轄税務署へ提出します。提出後は原則どおり毎月の納付に戻ります。要件を満たさないまま半年払いを続けると、納期限を過ぎた納付として加算税・延滞税のリスクが生じます。

参考資料・出典

道濟会計事務所の税務相談

本記事に関する個別のご相談・具体的な実務のサポートは、当事務所へご連絡ください。初回相談は無料です。

お問い合わせはこちら

本記事は道濟会計事務所が監修しました。





新着お知らせ