お問い合わせ

072-200-3579

受付時間:月〜金 9:00〜17:00

大阪で顧問税理士をお探しの方は道濟会計事務所へ

受取配当金の益金不算入2026|法人の配当の税務処理を税理士が解説

受取配当金の益金不算入と法人の配当の税務処理を解説する記事のアイキャッチ画像
この記事の要点3点

  • ポイント1:法人が受け取る配当金は、株式の保有割合に応じて全部または一部が「益金不算入」となり、法人段階での二重課税が調整されます(法人税法第23条・現行制度)。
  • ポイント2:株式等は「完全子法人株式等(100%)」「関連法人株式等(100%・負債利子控除あり)」「その他の株式等(50%)」「非支配目的株式等(20%)」の4区分で、益金不算入割合が変わります。
  • ポイント3:生命保険の契約者配当やREITの分配金は対象外、投資信託(ETF)の分配金は非支配目的株式等として扱うなど区分の判定が実務の要。別表八(一)と源泉所得税の所得税額控除をセットで確認しましょう。

取引先の株式を持ち合っている、余剰資金でETFを買っている、グループ会社から配当を受け取っている——こうした場面で法人が受け取る配当金は、法人税の計算上そのまま全額が課税対象になるわけではありません。一定割合が「益金不算入」として利益から差し引かれ、配当のもとになった利益にすでに課された法人税との二重課税が調整される仕組みがあるからです。ただし、株式の保有割合による4つの区分や、対象にならない配当の存在、源泉徴収された所得税の扱いなど、間違えやすい論点が数多くあります。本記事では、法人が配当金を受け取ったときの税務処理を、国税庁の一次資料をもとに実務目線で整理します。

受取配当金の益金不算入制度の概要

受取配当金の益金不算入制度の概要を表す、配当金の割合を示した円グラフ資料のイメージ

受取配当等の益金不算入は、法人税法第23条に定められた制度です。株式会社が稼いだ利益にはまず法人税が課され、その税引後利益から株主に配当が支払われます。もしその配当を受け取った法人の側でも全額を課税所得に含めてしまうと、同じ利益に対して法人段階で二重に課税されることになります。これを避けるため、法人が内国法人から受け取る配当等の額のうち一定割合を、益金(税務上の収益)に算入しないこととしています。

なぜ「保有割合」で扱いが変わるのか

制度の基本的な考え方は、「その会社を支配・投資している度合いが高いほど、二重課税の排除を手厚くする」というものです。100%子会社からの配当は実質的にグループ内の資金移動に近いため全額を益金不算入とし、逆にわずかな株数を保有しているだけの上場株式の配当は、投資収益としての性格が強いため益金不算入の割合が小さく設定されています。この考え方から、株式等は次の4区分に分けられます。

4区分と益金不算入割合

区分保有割合の目安益金不算入割合負債利子控除
完全子法人株式等100%(完全支配関係)全額(100%)なし
関連法人株式等3分の1超全額(100%)あり
その他の株式等5%超〜3分の1以下50%なし
非支配目的株式等5%以下20%なし

完全子法人株式等と関連法人株式等はいずれも配当の全額が益金不算入ですが、関連法人株式等については後述する「負債利子控除」により、益金不算入となる金額がわずかに圧縮される点が異なります。その他の株式等は50%、非支配目的株式等は20%と、保有割合が下がるほど益金不算入割合も小さくなります。

対象にならない配当に注意
生命保険会社の契約者配当金、相互会社である損害保険会社の基金利息、特定目的会社やREIT(不動産投資信託)・不動産投資法人からの利益の分配、証券投資信託の特別分配金、公社債投資信託の分配金、外国法人からの配当などは、この制度の対象となる「配当等の額」には含まれません。会計上は「受取配当金」勘定で処理していても、税務上は益金不算入にできないものが混ざっている点に注意が必要です。

令和4年度改正で変わった判定方法

令和4年(2022年)4月1日以後に開始する事業年度から、保有割合の判定方法が見直されました。関連法人株式等・その他の株式等・非支配目的株式等の区分について、従来はその法人単体の保有株数で判定していましたが、改正後は完全支配関係にあるグループ全体の保有株数を合算して判定することになりました。あわせて、関連法人株式等に係る負債利子控除の計算も簡便化されています。グループ会社で同じ銘柄を分散保有しているケースでは、区分が変わる可能性があるため確認が欠かせません。

中小企業への実務影響と区分の判定

中小企業の実務で受け取った配当金の区分を確認する経営者のイメージ

「配当を受け取るのは大企業の話」と思われがちですが、中小企業にとっても身近な論点です。取引先や協力会社との株式持ち合い、金融機関からの出資に伴う配当、余剰資金で購入した上場株式やETF・投資信託の分配金、グループ内の親子会社間配当など、実際には多くの中小法人が何らかの配当を受け取っています。ここでは実務で判定を誤りやすいポイントを順に見ていきます。

保有割合はグループ全体で判定する

前述のとおり、令和4年度改正後は完全支配関係にある法人グループ全体の保有割合で区分を判定します。たとえば自社単独では発行済株式の4%しか保有していなくても、100%子会社が同じ銘柄を2%保有していれば、グループ合計で6%となり「非支配目的株式等(20%)」ではなく「その他の株式等(50%)」に区分される、といった判定になります。単体決算の株主名簿だけを見て区分すると誤るおそれがあるため、グループ会社の保有状況もあわせて確認します。

計算期間と短期保有株式の除外

区分の判定は「配当等の額の計算期間」を通じた保有状況で行います。計算期間とは、原則として前回の配当基準日等の翌日から今回の配当基準日等までの期間を指します。完全子法人株式等はこの計算期間を通じて完全支配関係があること、関連法人株式等はこの期間を通じて3分の1超を引き続き保有していることが要件です。

また、配当の基準日以前1か月以内に取得し、その基準日後2か月以内に譲渡した株式(短期保有株式等)に係る配当は、益金不算入の対象から除外されます。配当の権利だけを取りにいくような短期売買を制度の対象外とする趣旨です。決算期末近くに株式を売買した場合は、この短期保有の除外に該当しないかを確認しましょう。

関連法人株式等の負債利子控除

関連法人株式等については、借入金で株式を取得しているとみなして、配当額から一定の負債利子を控除した残額が益金不算入となります。現行の計算では、控除額は「関連法人株式等に係る配当等の額の合計額の4%」が原則です。ただし、当期に支払う支払利子等の合計額の10%が、その配当等の額の4%相当額以下である場合には、支払利子等の10%相当額を控除額とすることができます。つまり「配当額×4%」と「支払利子等×10%」のいずれか小さい方が控除額になるイメージです。借入がほとんどない会社では控除額が小さくなり、益金不算入額はほぼ満額に近づきます。

計算イメージ
関連法人株式等に係る配当が100万円、当期の支払利子等が50万円のケース。配当額×4%=4万円、支払利子等×10%=5万円。小さい方の4万円が負債利子控除額となり、益金不算入額は100万円−4万円=96万円となります。支払利子等が30万円なら、その10%=3万円が4万円以下のため控除額は3万円、益金不算入額は97万円です。

別表八(一)への記載

受取配当等の益金不算入は、法人税申告書の「別表八(一)(受取配当等の益金不算入に関する明細書)」で計算します。国税庁は記載の誤りとして、本来「非支配目的株式等(5%以下)」に該当するものを「その他の株式等(5%超〜3分の1以下)」の欄に記載してしまう例を挙げています。区分ごとに益金不算入割合が違うため、区分の取り違えはそのまま税額の誤りにつながります。配当のもとになった株式の保有割合を銘柄ごとに整理してから記載することが大切です。配当金の会計処理や申告書の作成に不安がある場合は、法人税の税務顧問として顧問税理士に区分判定から関わってもらうと安心です。

配当金を受け取ったときの仕訳と源泉税

上場株式の配当金は、所得税・復興特別所得税が源泉徴収されたあとの手取額が入金されます。法人が受け取る上場株式の配当の源泉徴収税率は15.315%です(法人には個人のような住民税の配当割はありません)。会計処理では、手取額ではなく配当の総額を「受取配当金」として計上し、差し引かれた源泉所得税は「仮払法人税等」などで区分します。配当総額10万円、源泉所得税15,315円が差し引かれ、手取り84,685円が入金されたケースの仕訳例は次のとおりです。

借方金額貸方金額
現金預金84,685円受取配当金100,000円
仮払法人税等15,315円

この源泉所得税15,315円は、申告時に別表六(一)で所得税額控除として法人税額から差し引きます。手取額だけを受取配当金として計上してしまうと、益金不算入の計算基礎も所得税額控除も過少になり、結果的に納税額が過大になります。配当は必ず総額で把握することが実務の出発点です。なお、非上場株式の配当の源泉徴収税率は20.42%で、上場株式と税率が異なる点にも注意します。

当事務所の見解・実務上の注意点

税理士が受取配当金の区分と実務上の注意点をチェックするイメージ

受取配当金の益金不算入は「配当は全部が非課税になる」と単純に理解されがちですが、実務では取りこぼしと取り違えの両方が起こります。当事務所が中小企業の申告で特に注意しているポイントを整理します。

「受取配当金」勘定に対象外のものが混ざっていないか

もっとも多いのが、会計上「受取配当金」で処理しているものの中に、税務上は対象外の分配金が紛れているケースです。とりわけ生命保険の契約者配当金は、保険料の実質的な割戻しであり益金不算入の対象になりません。REITの分配金や証券投資信託の特別分配金(元本払戻金)も対象外です。これらを対象に含めて計算すると益金不算入額が過大となり、税務調査で否認されるリスクがあります。逆に、株価指数連動型ETF以外の特定株式投資信託(ETF)の収益分配は非支配目的株式等として対象になるため、こちらは計上漏れに注意します。

区分判定は「基準日時点」と「グループ合算」を両にらみで

非支配目的株式等(20%)とその他の株式等(50%)は、益金不算入割合が2.5倍も違います。5%というラインをまたぐかどうかで税額が大きく変わるため、保有割合の判定は慎重に行う必要があります。前述のとおり令和4年度改正でグループ合算判定になっているため、自社単体の保有比率だけで機械的に区分しないこと、そして基準日等における保有状況を確認することの2点を、当事務所では必ずセットでチェックしています。

源泉徴収された所得税の控除漏れを防ぐ

上場株式の配当などは、支払時に所得税・復興特別所得税が源泉徴収されています。この源泉所得税は、法人税の申告で「所得税額控除」として法人税額から差し引くことができます(別表六(一))。益金不算入の計算に気を取られて所得税額控除を失念すると、本来納めなくてよい税金を負担することになります。受取配当金の益金不算入と所得税額控除は、必ず一対で処理することを実務の原則にしています。日々の配当の記帳や源泉税の管理を正確に行ううえでは、記帳・経理代行サービスを活用して証憑と勘定を整理しておくことも有効です。

みなし配当の見落としに注意

会社法上の剰余金の配当だけでなく、自己株式の取得や資本の払戻し、解散に伴う残余財産の分配などに際して、税務上「配当とみなされる金額(みなし配当)」が生じることがあります。みなし配当も受取配当等の益金不算入の対象になり得ますが、通常の配当と違って支払通知書が届かない場合もあり、そもそも配当を受け取ったという認識が持ちにくいため計上漏れが起きやすい論点です。グループ会社の組織再編や、出資先が自己株式を買い取った場面などでは、みなし配当が発生していないかを必ず確認します。判断が難しい取引は、事前に税理士へ相談しておくと安全です。

今すぐやるべきこと(チェックリスト)

配当金の申告に向けてチェックリストに取り組む今すぐやるべきことのイメージ

決算・申告に向けて、法人が受け取った配当金について次のステップで確認しましょう。

  1. ステップ1:受け取った配当の種類を仕分ける
    「受取配当金」勘定の内訳を洗い出し、株式の配当・投資信託の分配金・生命保険の契約者配当・REITの分配金などに分類します。益金不算入の対象になるもの(内国法人株式の配当、ETFの分配等)と対象外のもの(生保契約者配当、REIT、特別分配金等)を切り分けます。
  2. ステップ2:銘柄ごとに保有割合を判定する
    各銘柄の発行済株式に対する保有割合を、完全支配関係グループ全体で合算して算定します。100%・3分の1超・5%超〜3分の1以下・5%以下のどの区分に当たるかを確定させます。
  3. ステップ3:計算期間と短期保有株式を確認する
    配当の計算期間を通じて保有要件を満たしているか、基準日前後の短期売買で除外対象になる株式がないかをチェックします。
  4. ステップ4:別表八(一)と別表六(一)を作成する
    区分ごとに益金不算入額を計算し、関連法人株式等は負債利子控除を反映します。あわせて源泉徴収された所得税を別表六(一)で所得税額控除として計上します。
  5. ステップ5:顧問税理士に区分判定を確認する
    区分の取り違えや対象外配当の混入は税額に直結します。判定に迷う銘柄は、申告前に税理士へ確認しておきましょう。
チェックリスト

  • ☑ 受取配当金の内訳を種類別に整理した
  • ☑ 生保契約者配当・REIT・特別分配金など対象外を除外した
  • ☑ 保有割合をグループ合算で判定した
  • ☑ 短期保有株式の除外を確認した
  • ☑ 源泉所得税の所得税額控除を計上した

よくある質問

Q. 受取配当金はすべて益金不算入になりますか?
A. いいえ。益金不算入となるのは内国法人から受け取る一定の配当等に限られ、株式の保有割合に応じて全額・50%・20%と割合が変わります。生命保険の契約者配当金やREITの分配金、外国法人からの配当などは対象外です。会計上の受取配当金がそのまま非課税になるわけではない点に注意してください。
Q. 上場株式を少しだけ持っている場合の益金不算入割合はどうなりますか?
A. 発行済株式の5%以下しか保有していない場合は「非支配目的株式等」に区分され、益金不算入割合は20%です。5%超〜3分の1以下であれば「その他の株式等」となり50%になります。保有割合は完全支配関係グループ全体で合算して判定します。
Q. 生命保険の契約者配当は益金不算入の対象になりますか?
A. いいえ。生命保険会社の契約者配当金は保険料の実質的な割戻しとされ、受取配当等の益金不算入の対象にはなりません。会計上は受取配当金として処理していても、税務上は益金不算入にできないため、別表八(一)には含めないよう注意してください。
Q. 投資信託(ETF)の分配金はどのように扱いますか?
A. 外国株価指数連動型を除く特定株式投資信託(ETF)の収益の分配は、非支配目的株式等として益金不算入の対象(20%)になります。一方、公社債投資信託の分配金や証券投資信託の特別分配金(元本払戻金)は対象外です。同じ「分配金」でも扱いが分かれるため、商品ごとに確認が必要です。
Q. 配当から差し引かれた所得税は取り戻せますか?
A. 上場株式の配当などから源泉徴収された所得税・復興特別所得税は、法人税の申告で「所得税額控除」として法人税額から差し引けます。別表六(一)で計算し、益金不算入の計算とあわせて必ず反映しましょう。控除しきれない場合は還付されます。
Q. 関連法人株式等の負債利子控除はどのくらいの金額になりますか?
A. 原則は「関連法人株式等に係る配当等の額の4%」です。ただし、当期の支払利子等の合計額の10%がその4%相当額以下であれば、支払利子等の10%相当額を控除額とすることもできます。いずれか小さい方が控除額になるため、借入が少ない会社ほど控除額は小さく、益金不算入額は満額に近づきます。
Q. 保有割合はいつの時点で判定するのですか?
A. 配当等の額の計算期間(原則として前回の配当基準日等の翌日から今回の基準日等まで)を通じた保有状況で判定します。完全子法人株式等はこの期間を通じて完全支配関係があること、関連法人株式等は期間を通じて3分の1超を保有していることが要件です。令和4年度改正により、判定は完全支配関係グループ全体の保有割合で行います。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)

税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。

税務顧問サービスの詳細を見る無料相談を申し込む

堺市の税理士 道濟会計事務所|堺東駅徒歩1分
〒590-0075 大阪府堺市堺区南花田口町2-3-20 三共堺東ビル6階|TEL 072-200-3579(平日9:00〜17:00)
税務顧問相続税申告会社設立経理代行料金一覧
対応エリア: 堺区中区北区東区西区南区美原区堺東駅周辺

新着お知らせ