お問い合わせ

072-200-3579

受付時間:月〜金 9:00〜17:00

大阪で顧問税理士をお探しの方は道濟会計事務所へ

インフルエンサーの税金2026|SNS収入の確定申告と税務調査を税理士が解説

インフルエンサーの税金とSNS広告収入の確定申告・税務調査を解説する道濟会計事務所の記事アイキャッチ
この記事の要点3点

  • ポイント1:SNS広告やアフィリエイトの報酬は「ネット広告」として国税庁が重点的に調査する分野です。令和6事務年度はシェアリングエコノミー等新分野で1,155件の実地調査が行われ、1件あたりの申告漏れ所得金額は1,595万円に上りました。
  • ポイント2:影響を受けるのは、企業案件やアフィリエイト、投げ銭などで収入を得ているインフルエンサー・副業クリエイター本人と、その委託を受ける中小企業です。「主婦で税務知識がなかった」では済まされません。
  • ポイント3:まずは収入をすべて洗い出し、帳簿を付けて事業所得か雑所得かを整理すること。無申告のまま放置すると無申告加算税や重加算税が上乗せされます。

「売り上げが想定以上に上がってしまい、納税の認識が甘かった」——40万人超のフォロワーを持つインフルエンサーが1億5,000万円超を脱税したとして起訴された事件は、SNS発信で収入を得るすべての人に警鐘を鳴らしました。SNS広告やアフィリエイトの報酬は、国税庁が「ネット広告」として重点的に把握を進めている分野です。本記事では、国税庁の最新調査データをもとに、SNS広告収入の税務上の取扱い、事業所得と雑所得の区分、無申告のリスク、そして今すぐ取るべき対応を、税理士の視点で具体的に解説します。副業でSNS発信を始めた方こそ、確定申告の基礎を正しく押さえておきましょう。

SNS広告収入への調査強化の概要

インスタグラムやYouTube、TikTokなどでの発信により報酬を得るインフルエンサーやクリエイターが急増する一方、その収入に対する税務調査も年々強化されています。国税庁は、こうした新しい形の経済活動を「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動」と位置づけ、専門の調査体制を整えて情報収集と調査を進めています。

ネット広告・アフィリエイトは「新分野」に含まれる

国税庁の定義では、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションなど、インターネットを介した新たな経済活動の総称です。企業案件によるPR報酬、アフィリエイト収入、動画配信の広告収益や投げ銭(スーパーチャット等)は、いずれもこの「ネット広告」や「デジタルコンテンツ」の区分に含まれ、調査の対象になり得ます。

令和6事務年度の調査実績

国税庁が令和7年12月に公表した「令和6事務年度(令和6年7月1日~令和7年6月30日)所得税及び消費税調査等の状況」によると、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動を行っている個人に対して1,155件の実地調査(特別・一般)が実施されました。その結果、1件あたりの申告漏れ所得金額は1,595万円、申告漏れ所得金額の総額は184億円に上っています。1件あたりの申告漏れが所得税調査全体の平均を大きく上回っており、国税当局がこの分野を重点領域として捉えていることがうかがえます。

調査は「見えないところ」から始まる
国税当局は、SNSの投稿内容や企業の支払データ、決済代行会社の記録などから、広告収入の存在を把握できます。実際に、2023年にはSNSで多数のフォロワーを持つ女性9人が、6年間で計約3億円の申告漏れを東京国税局から指摘され、追徴税額は合計約8,500万円に上ったと報じられています。「フォロワーにも税務署にもバレていない」という思い込みは通用しません。

国税庁はどのように情報を集めているのか

国税庁はインターネット取引の増加を受けて、電子商取引を専門に扱う調査チームを各国税局に設置し、ネット上の取引情報を継続的に収集・分析しています。加えて、税務署は法律に基づき、事業者や決済プラットフォームに対して取引情報の照会を行う権限を持っています。企業がインフルエンサーに支払った報酬は、支払った企業側の帳簿や支払調書にも記録されるため、受け取った側が申告していなければ、双方の情報を突き合わせることで容易に把握されます。SNS上で高額な買い物や海外旅行を発信していれば、収入水準と申告内容の不一致が調査の端緒になることもあります。つまり、収入は「発信するほど見えやすくなる」構造にあるのです。

インフルエンサー・中小企業への実務影響

SNS広告収入の税務は、発信者本人だけでなく、その発信者に業務を委託する中小企業にも関わります。まずは「どのような収入が課税対象になるのか」を正確に把握することが出発点です。

課税対象になる主なSNS関連収入

次のような収入は、原則としてすべて所得税の課税対象です。金銭のやり取りがない「現物提供」も、経済的利益として収入に計上する必要がある点に注意が必要です。

  • ☑ 企業案件・タイアップによるPR報酬
  • ☑ アフィリエイト・成果報酬型広告の収入
  • ☑ 動画・配信プラットフォームの広告収益、投げ銭・スーパーチャット
  • ☑ 有料メルマガ・オンラインサロン・デジタルコンテンツの販売代金
  • ☑ 商品の無償提供やギフティングなど、金銭以外の経済的利益

「主婦だから」「副業だから」は理由にならない

冒頭の事件で被告が「主婦で税務の知識がなく、納税の認識が甘かった」と釈明したように、SNS発信は私生活の延長で始まることが多く、仕事と趣味の境目が曖昧になりがちです。しかし、報酬が発生した時点でそれは事業活動であり、申告義務が生じます。会社員が副業でSNS発信を行う場合も、給与以外の所得が年間20万円を超えれば確定申告が必要です(住民税は20万円以下でも申告が必要な点に注意)。SNS上での華やかな暮らしぶりの発信が、かえって税務調査の端緒になることもあります。

海外プラットフォーム・投げ銭からの収入も対象

動画配信サービスの広告収益や投げ銭は、海外に本社を置くプラットフォームから外貨で入金されるケースが少なくありません。「海外からの入金だから日本の税金はかからない」という誤解がありますが、日本の居住者であれば、国内外を問わずすべての所得が課税対象です。外貨で受け取った報酬は、入金時の為替レートで円換算して収入に計上します。プラットフォームが源泉徴収を行っている場合でも、日本での申告義務がなくなるわけではありません。入金明細を保存し、受領時期と円換算額を記録しておくことが欠かせません。

委託する中小企業側の源泉徴収・支払調書

インフルエンサーに報酬を支払う中小企業側にも実務上の留意点があります。個人への支払いのうち、原稿料やデザイン料など一定の報酬は源泉徴収の対象となる場合があり、支払調書の作成・提出が必要になることもあります。架空の業務委託費を計上して所得を圧縮する行為は、支払った側も脱税のほう助として問われる重大なリスクがあり、絶対に避けなければなりません。適正な業務委託契約と証憑の保存が、支払う側・受け取る側の双方を守ります。

事業所得と雑所得の区分(比較表)

SNS広告収入を確定申告する際に最も重要な論点が、その所得を事業所得雑所得のどちらで申告するかです。区分によって、赤字を給与など他の所得と相殺できる損益通算の可否や、青色申告特別控除の適用の可否が変わります。

令和4年通達による判定基準

令和4年10月7日の所得税基本通達の改正により、事業所得と業務に係る雑所得の区分は、原則として帳簿書類の記帳・保存の有無で判定することが明確化されました。収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類をきちんと記帳・保存していれば、原則として事業所得に区分されます。逆に、帳簿書類の保存がない場合は、業務に係る雑所得と取り扱われるのが原則です。

項目事業所得業務に係る雑所得
判定の目安帳簿書類の記帳・保存があり、社会通念上事業と認められる帳簿書類の保存がない、または片手間・少額の収入
損益通算給与など他の所得と相殺できるできない(内部通算のみ)
青色申告特別控除最大65万円の控除が可能適用できない
赤字の繰越青色申告なら3年間繰越可能繰越できない
帳簿があれば形式的に事業所得になる、というわけではありません。収入金額が僅少で、活動に営利性・継続性が乏しい場合などは、帳簿があっても事業と認められないことがあります。実態に即した判断が必要です。

当事務所の見解・実務上の注意点

SNS広告収入の申告で税務調査に耐えられるかどうかは、日々の記録の精度で決まります。当事務所が実務で特に重視しているポイントを3つに絞って解説します。

現物提供・ギフティングの計上漏れに注意

最も見落とされやすいのが、商品の無償提供やギフティングです。「お金をもらっていないから収入ではない」と考えがちですが、PRの対価として受け取った商品やサービスは、その時点の時価相当額が経済的利益として収入に計上されます。受け取った商品リストと提供元・時価を記録しておくことが、後の申告と調査対応の両面で有効です。

経費は「事業との関連性」で線引きする

撮影機材、通信費、衣装、取材のための飲食費など、SNS活動に直接必要な支出は経費になります。一方で、私生活と兼用のものは、事業に使った割合(家事按分)で按分する必要があります。プライベートな買い物や旅行を全額経費に計上すると、調査で否認され、過少申告加算税の対象になりかねません。領収書とあわせて「何のための支出か」をメモしておく習慣が重要です。

収入が拡大したら法人化も視野に入れる

SNS広告収入が年々拡大し、安定して数百万円から一千万円規模になってきた場合は、個人事業のままでよいか、法人を設立すべきかという検討も必要になります。法人化には、所得の分散による税負担の平準化、役員報酬を通じた給与所得控除の活用、社会的信用の向上といったメリットがある一方、社会保険への加入義務や設立・維持のコストといったデメリットもあります。冒頭の事件のように、法人を設立したうえで架空経費を計上する不正は論外ですが、適正な範囲での法人化は有効な選択肢です。収入の見通しと生活設計を踏まえ、税理士とともにシミュレーションすることをおすすめします。

消費税と無申告のリスクを軽視しない

基準期間(原則として2年前)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり申告・納税義務が生じます。急に収入が伸びたインフルエンサーは、所得税だけでなく消費税の申告漏れにも注意が必要です。また、期限までに申告しなかった場合には無申告加算税が、意図的に所得を隠した場合には重加算税が本来の税額に上乗せされます。特に重加算税は、無申告のケースで納付すべき税額の40%という重い負担となり、悪質な場合は刑事罰の対象にもなります。継続的に収入がある方は、日頃から記帳と証憑保存を徹底し、必要に応じて税務調査に強い税務顧問のサポートを受けておくと安心です。

インボイス制度への対応も検討する

企業案件を受ける場合、取引先の企業から適格請求書(インボイス)の発行を求められることがあります。免税事業者のままでもSNS活動は続けられますが、取引先が仕入税額控除を受けられないことを理由に、報酬の見直しや発注控えにつながる可能性があります。課税事業者になってインボイス発行事業者として登録するか、免税事業者を維持するかは、取引先の構成や報酬水準を踏まえて判断すべき経営判断です。登録すると消費税の申告義務が生じるため、2割特例などの負担軽減措置もあわせて検討しましょう。

「バレなければ大丈夫」は最も危険な発想
冒頭の事件では、架空の委託費を計上したものの実際には資金を移動しておらず、「隠匿工作としては稚拙」と評されました。国税当局は取引データや資金の流れを丹念に追います。正しく申告し、正しく節税することが、結果的に最もコストの低い選択です。判断に迷う場合は、早めに個人事業主・フリーランスの確定申告サポートを活用し、専門家に相談することをおすすめします。

今すぐやるべきこと

SNS広告収入の申告に不安がある方は、次の手順で足元を固めましょう。すでに申告漏れがある場合でも、税務署の調査前に自主的に修正申告をすれば、加算税が軽減される可能性があります。

  1. ステップ1:すべての収入を洗い出す
    企業案件、アフィリエイト、広告収益、投げ銭、コンテンツ販売、現物提供まで、収入の源泉ごとに金額と受領時期を一覧化します。プラットフォームや振込先が複数ある場合は漏れが生じやすいので、入金明細をすべて突き合わせます。
  2. ステップ2:帳簿を付けて所得区分を判断する
    会計ソフト等で収入と経費を記帳し、帳簿書類を保存します。これにより事業所得として申告できるか、雑所得になるかの判断材料が整います。
  3. ステップ3:経費を家事按分で整理する
    私生活と兼用の支出は、事業に使った合理的な割合で按分します。按分の根拠(使用時間・使用面積など)もあわせて記録します。
  4. ステップ4:消費税の課税事業者判定を確認する
    基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていないかを確認し、超えている場合は消費税の申告準備も進めます。
  5. ステップ5:過去分の申告漏れは早めに是正する
    過年度に申告漏れがある場合は、税理士に相談のうえ、調査を受ける前に自主的な修正申告・期限後申告を検討します。

よくある質問

Q. 会社員の副業でSNS広告収入がある場合、いくらから確定申告が必要ですか?
A. 給与を1か所から受けている会社員の場合、給与所得や退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。ただし、20万円以下であっても住民税の申告は別途必要となる点に注意してください。医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得もあわせて申告する必要があります。
Q. 企業から商品を無償で提供された場合も収入になりますか?
A. はい。PRの対価として受け取った商品やサービスは、金銭を受け取っていなくても、その時点の時価相当額が経済的利益として収入に計上されます。受け取った商品名・提供元・おおよその時価を記録しておくと、確定申告や税務調査の際に説明しやすくなります。計上漏れが起きやすい典型的な項目です。
Q. 事業所得と雑所得はどちらで申告すればよいですか?
A. 令和4年の通達改正により、帳簿書類の記帳・保存があれば、収入が300万円以下でも原則として事業所得に区分されます。事業所得なら青色申告特別控除や損益通算が使える一方、営利性・継続性がない場合は帳簿があっても事業と認められないことがあります。実態に即した判断が必要なため、迷う場合は税理士に相談してください。
Q. 過去に申告していなかった収入があります。今からでも間に合いますか?
A. 税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告や修正申告を行えば、無申告加算税が軽減される場合があります。放置して調査で指摘されると、無申告加算税や重加算税が重く課される可能性が高まります。早めに過去分を整理し、専門家とともに是正の手続きを進めることをおすすめします。
Q. 海外の配信プラットフォームから外貨で入金される収入も申告が必要ですか?
A. はい。日本の居住者は、国内外を問わずすべての所得が課税対象です。海外プラットフォームからの広告収益や投げ銭も、入金時の為替レートで円換算して収入に計上します。プラットフォーム側で源泉徴収されていても日本での申告義務はなくなりません。入金明細を保存し、受領日と円換算額を記録しておきましょう。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)

税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。

税務顧問サービスの詳細を見る無料相談を申し込む

堺市の税理士 道濟会計事務所|堺東駅徒歩1分
〒590-0075 大阪府堺市堺区南花田口町2-3-20 三共堺東ビル6階|TEL 072-200-3579(平日9:00〜17:00)
税務顧問相続税申告会社設立経理代行料金一覧
対応エリア: 堺区中区北区東区西区南区美原区堺東駅周辺

新着お知らせ