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住宅ローン控除の年末調整2026|控除証明書と調書方式の確認点
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は最初の年分は確定申告が必要ですが、給与所得者は2年目以後の年分を年末調整で受けることができます。
- 2ポイント2:年末調整で添付する証明書は方式で異なり、調書方式は控除証明書のみ、証明書方式は控除証明書と金融機関等が発行した年末残高等証明書です。
- 3ポイント3:調書方式の電子交付は毎年11月中旬頃にe-Taxメッセージボックスへ格納されるため、従業員への案内と申告書の回収を今月から進めましょう。
CONTENTS目次
11月に入り、年末調整の書類の回収が本格化する時期です。住宅ローン控除の2年目以降の従業員から受け取る住宅借入金等特別控除申告書は、令和4年度税制改正で導入された調書方式と、従来の証明書方式とで、添付書類や控除額の記載のされ方が異なります。方式の違いを知らないまま回収すると、不要な証明書を求めたり、記載のない残高欄をそのまま使ったりするおそれがあります。
本記事では、国税庁の令和8年分の年末調整のしかたとタックスアンサーNo.1230をもとに、給与の支払者が確認すべき点と、従業員に案内しておきたい手続を整理します。
住宅ローン控除の年末調整の概要:2年目以後は勤務先で控除
最初の年分は確定申告、その後は年末調整
国税庁のタックスアンサーNo.1230は、住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年分は確定申告を行う必要があるとしたうえで、給与所得者の方は、2年目以後の年分は、年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受けることができると案内しています。年末調整のしかたでも、控除を受けようとする最初の年分については確定申告により控除の適用を受ける必要があり、その後の年分については、年末調整の際に、各人から提出された「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」に基づいて控除を行うことができるとされています。
給与の支払者には、この控除を受けようとする人に対し、所要事項を記載した申告書を年末調整のときまでに提出するよう指導することが求められています。
調書方式と証明書方式の違い
令和4年度税制改正において、住宅借入金等特別控除の適用に係る手続について、これまでの年末残高等証明書を用いる証明書方式から、年末残高等調書を用いる調書方式とする改正が行われています。年末調整で申告書に添付する証明書は、方式によって次のように異なります。
| 方式 | 仕組み | 年末調整で添付する証明書 |
|---|---|---|
| 調書方式 | 金融機関等が税務署に年末残高調書を提出し、国税当局から所得者本人に住宅借入金等の年末残高情報を提供する方式 | 住所地の税務署長が発行した年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(控除証明書) |
| 証明書方式 | 所得者本人が、借入等を行った金融機関等から交付を受けた年末残高等証明書を、確定申告又は年末調整の際に、税務署又は勤務先に提出する方式 | 控除証明書と、金融機関等が発行した住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 |
調書方式の場合は、借換えがある場合などの一定の場合を除き、金融機関等から提出された年末残高調書を基に、控除証明書の「住宅借入金等の年末残高に関する事項」欄や申告書の「住宅借入金等特別控除額」欄に、年末残高情報や住宅借入金等特別控除額(見込額)が記載されています。
なお、年末残高調書を提出する債権者においてシステム改修等への対応が困難な場合には、引き続き証明書方式とすることができる経過措置が設けられており、国税庁はこの経過措置を全ての債権者に適用されるものとして取り扱っています。従業員ごとに、借入先がどちらの方式なのかを確認する必要があります。
控除証明書と申告書が届く時期
住宅借入金等特別控除申告書は、税務署から所得者本人に交付されます。交付の時期は方式と交付方法で次のとおりです。
| 交付方法 | 調書方式の場合 | 証明書方式の場合 |
|---|---|---|
| 確定申告の際にe-Taxによる交付を希望した場合(電子交付) | 毎年11月中旬頃にe-Taxメッセージボックスへ格納(原則、年末残高情報等を記録) | 毎年10月頃にe-Taxメッセージボックスへ格納 |
| それ以外の場合(書面交付) | 入居2年目の11月下旬頃に、控除を受けることとなる各年分のものを一括して送付 | 入居2年目の10月下旬頃に、控除を受けることとなる各年分のものを一括して送付 |
初めて控除を受けようとする年の確定申告書の提出日等によっては交付の時期が異なる場合があります。また、税務署から送付された令和8年分の住宅借入金等特別控除申告書は、用紙の下の部分が控除証明書になっています。
給与の支払者への実務影響:受理・保管と控除できない人の確認
令和8年分の申告書を受け取り、会社で保管する
年末調整のしかたは、本年分の年末調整の際には、税務署から交付された申告書のうち令和8年分の住宅借入金等特別控除申告書の提出を受けるよう求めています。書面交付の場合は各年分がまとめて届くため、従業員が別の年分を提出していないかを確認します。
受理にあたって押さえておきたい点は次のとおりです。
- ☑ 「平成38年分」と記載されたものも令和8年分の申告書に含まれ、「平成 38 年分」部分について補正をしていただく必要はありません。
- ☑ 提出を受けた住宅借入金等特別控除申告書は、給与の支払者の下で保管することとされています。
- ☑ 従業員が申告書や控除証明書を紛失したときなどには、本人から税務署にこれらの書類の再交付を申請するよう指導します。
- ☑ 申告書に記載すべき事項を電子データで提供する場合は、添付すべき証明書類等に代えて、電子証明書等が付された情報を併せて電子データで提供することも認められています。
なお、確定申告の際にe-Taxによる交付を希望した人の場合、税務署から交付される申告書は住宅借入金等特別控除申告書兼控除証明書の電子ファイルとなります。紙の申告書が手元に届かない従業員がいるのはこのためで、提出漏れではない点に注意してください。
勤務先に控除申告書を書面で提出する必要がある場合について、No.1230は、QRコード付証明書作成システムを利用して電子的控除証明書を書面出力し、提出するよう案内しています。電子交付を選んだ従業員でも書面での提出を求める会社では、この方法を伝えておくと回収が滞りにくくなります。
本年分の控除を受けられない人を見落とさない
申告書が提出されても、本年分の控除を受けられない場合があります。年末調整のしかたは、次の点に注意するよう求めています。
| 確認する点 | 年末調整のしかたの取扱い |
|---|---|
| 居住の継続 | その家屋に入居後、本年12月31日まで引き続き居住の用に供していない場合には、この制度の適用を受けることはできません。居住の用に供さなくなったことが死亡による場合には、死亡した日まで引き続いて居住の用に供していれば、その年については死亡した日の住宅借入金等の残高を基に控除を受けることができます。 |
| 所得要件 | 令和4年1月1日以後に居住の用に供した場合において、令和8年分の合計所得金額が2,000万円を超える人は、本年分の控除は受けられません。令和3年12月31日以前に居住の用に供した場合は3,000万円となります(臨時特例の適用を受ける場合は令和4年12月31日以前)。 |
| 譲渡所得の特例との関係 | 居住の用に供した年の前々年からその年までの間に、居住用財産の譲渡所得の課税の特例などの適用を受けている場合には、この控除を受けることはできません。 |
合計所得金額の判定について、年末調整のしかたは、特に給与所得以外の所得がある人についてはご注意くださいとしています。副業や不動産所得がある従業員には、年末調整の前に見込額を確認してもらうのが安全です。
また、災害によって被害を受けたことにより居住の用に供することができなくなった場合には、その家屋の敷地を賃貸用として利用した場合などを除き、残りの適用期間についても引き続きこの制度の適用を受けることができる特例があります。
年末調整に間に合わない場合
No.1230は、2年目以降、年末調整でなく確定申告により住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合には、取得した控除証明書のデータ(または書面)を添付する必要があるとしています。申告書の提出が年末調整に間に合わなかった従業員には、確定申告で控除を受ける方法があることを伝えます。
所得税から引ききれない分は住民税へ
所得税の額から控除しきれなかった住宅借入金等特別税額控除額がある場合は、翌年度分の個人住民税から控除できる場合があります。詳しい内容は最寄りの市区町村に尋ねるよう案内されています。
当事務所の見解・実務上の注意点:3年目以降と残高の変動に注意
3年目以降は控除証明書の残高欄に頼れない
調書方式であっても、控除証明書にいつも残高が印字されているわけではありません。No.1230は、住宅借入金の年末残高に関する事項等は入居2年目の年分の控除証明書にのみ記載されるため、3年目以降の年分については、返済計画表等を基に控除額の計算を行うこととなると説明しています。控除証明書等に年末残高情報等が記載されていない場合も、所得者本人が返済計画表等の書類により実際の年末残高を確認して計算します。
金融機関等から2つ以上の年末残高調書の提出がある場合や、住宅借入金等特別控除の重複適用を受ける場合も、控除対象となる年末残高情報が控除証明書に記載されているかを本人が確認する必要があります。当事務所では、申告書の金額欄が空欄のまま提出された場合は受理の段階で差し戻し、根拠になった返済計画表の写しを確認するよう勧めています。
繰上返済・返済遅延があった従業員
控除証明書に記載された年末残高情報や、予定額による証明である旨を付記した年末残高等証明書に基づき控除を受けた後、返済の遅延や一部の繰上返済などで実際の年末残高が異なることとなった場合には、実際の年末残高による正しい申告書を提出し直す必要があります。調書方式なら本人が返済計画表等で確認し、証明書方式なら金融機関等から改めて年末残高等証明書の交付を受けます。
控除証明書に記載された年末残高情報や、予定額による証明である旨を付記した年末残高等証明書に基づき控除を受けた後、返済の遅延や一部の繰上返済などで実際の年末残高が異なることとなった場合には、実際の年末残高による正しい申告書を提出し直す必要があります。調書方式なら本人が返済計画表等で確認し、証明書方式なら金融機関等から改めて年末残高等証明書の交付を受けます。
連帯債務・借換え・贈与の特例は計算の順序がある
年末残高の合計額は、連帯債務、取得対価等との比較、居住用以外の部分の按分について、⑴から⑶の順に計算するとされています。連帯債務の場合は、控除を受ける人が負担すべき割合を乗じて計算し、その割合は原則として最初の年の確定申告で提出した住宅借入金等特別控除額の計算明細書に記入した負担割合によります。申告書の「備考」欄には他の連帯債務者からの記入を受けますが、負担すべき割合が記載された控除証明書を添付する場合は記載が不要です。国税庁が公表している令和8年分の申告書の記載例(記載例1)は、平成30年分につき確定申告で控除を受けた人が令和8年分について年末調整で控除を受ける場合を取り上げ、連帯債務による住宅借入金等の年末残高がある場合について説明しています。記入に迷う従業員には、この記載例を示すと説明が早く済みます。
借換えで新たな借入金の当初金額が借換え直前の当初住宅借入金等残高を上回る場合は、本年の年末残高に一定の割合を乗じた金額を記載します。住宅取得等資金の贈与の特例を受けた人は、取得の対価の額からその特例の適用を受けた金額を差し引いて判定します。控除額の100円未満の端数は切り捨てます。
こうした計算が必要な従業員がいる会社や、年末調整の事務全体を見直したい会社は、堺市の税務顧問として当事務所が確認をお手伝いしています。
今すぐやるべきこと:住宅ローン控除の年末調整チェックリスト
11月から年末調整までに、給与の支払者が進めておきたい手順は次のとおりです。
- ステップ1:対象者を洗い出す
前年の年末調整や源泉徴収票で住宅借入金等特別控除の適用があった従業員と、本年に入居2年目を迎える従業員を一覧にします。入居1年目の従業員には、確定申告が必要であることを伝えます。中途入社した従業員についても、前職での適用状況を本人に確認しておくと漏れを防げます。 - ステップ2:方式と交付時期を案内する
借入先が調書方式か証明書方式かを本人に確認してもらい、電子交付は11月中旬頃(調書方式)または10月頃(証明書方式)に格納されることを案内します。書面交付の人には、入居2年目に届いた各年分の用紙の中から令和8年分を探すよう伝えます。 - ステップ3:令和8年分の申告書を回収する
令和8年分の申告書であることを確かめ、証明書方式の人には年末残高等証明書の添付を求めます。調書方式の人には年末残高等証明書の添付は不要です。電子データで提供を受ける場合は、電子証明書等が付された情報が併せて提供されているかを確かめます。 - ステップ4:記載内容を確認する
合計所得金額の要件、12月31日までの居住の継続、3年目以降の残高の根拠、連帯債務の負担割合、借換えの有無を確認します。金額欄が空欄の申告書は、返済計画表等に基づいて本人に記入してもらいます。 - ステップ5:保管と再交付の案内をする
受け取った申告書を会社で保管し、紛失した従業員には税務署への再交付申請を案内します。繰上返済などで残高が変わった場合は、正しい申告書の再提出を求めます。 - ステップ6:翌年分の電子交付を案内する
控除証明書の電子交付を希望する従業員には、e-Tax上であらかじめ電子交付に一括的に同意する手続を、おおよそ交付を受けたい年分の10月末までに行うよう伝えます。
住宅ローン控除の1年目の確定申告や、副業所得がある従業員の申告については、個人の確定申告のサポートもご利用いただけます。
住宅ローン控除の年末調整についてよくある質問
- Q. 住宅ローン控除の1年目も年末調整で受けられますか?
- A. 受けられません。No.1230は、住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年分は確定申告を行う必要があるとしています。給与所得者が年末調整で控除を受けられるのは2年目以後の年分です。年の途中で入居した従業員には、翌年の確定申告で手続をするよう案内し、2年目以降は税務署から交付される申告書を勤務先に提出してもらいます。確定申告の際にe-Taxによる交付を希望した人には、申告書兼控除証明書の電子ファイルが交付されます。
- Q. 調書方式の従業員にも年末残高等証明書を提出してもらう必要がありますか?
- A. 必要ありません。年末調整のしかたでは、調書方式の場合の添付書類は住所地の税務署長が発行した控除証明書のみで、年末残高等証明書の添付は不要とされています。証明書方式の場合は、控除証明書に加えて、借入等を行った金融機関等が発行した年末残高等証明書の添付が必要です。従業員の借入先がどちらの方式かを確認してから案内しましょう。
- Q. 従業員が控除証明書をなくした場合はどうすればよいですか?
- A. 年末調整のしかたは、税務署から送付された住宅借入金等特別控除申告書や控除証明書を本人が紛失したときなどには、本人から税務署にこれらの書類の再交付を申請するよう指導することとしています。会社が代わりに申請するのではなく、本人に手続をしてもらいます。年末調整に間に合わない場合は、2年目以降でも確定申告で控除を受けることができ、その際は控除証明書のデータまたは書面を添付します。
- Q. 「平成38年分」と書かれた申告書は受け取ってよいですか?
- A. 受け取って構いません。年末調整のしかたでは、令和8年分の住宅借入金等特別控除申告書には「平成38年分」と記載されたものを含むとされ、従業員から提出された申告書の「平成 38 年分」部分については補正をしていただく必要はありませんとされています。年分の表記だけを理由に差し戻す必要はありませんが、別の年分の用紙でないかは確認しましょう。
- Q. 年の途中で繰上返済した従業員の残高はどう扱いますか?
- A. 証明書に記載された年末残高と実際の年末残高が異なることとなった場合は、実際の年末残高による正しい申告書を提出し直す必要があります。調書方式の場合は本人が返済計画表等の書類で実際の年末残高を確認し、証明書方式の場合は金融機関等から実際の返済等の額による年末残高等証明書の交付を受けて、正しい申告書を提出し直します。
- Q. 所得税から引ききれなかった控除はどうなりますか?
- A. 所得税の額から控除しきれなかった住宅借入金等特別税額控除額がある場合は、翌年度分の個人住民税から控除できる場合があります。年末調整のしかたは、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除制度について、詳しい内容は最寄りの市区町村に尋ねるよう案内しています。会社としては、年末調整で計算した所得税の控除額を正しく反映させることが出発点になります。
参考資料・出典
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた 2-4 住宅借入金等特別控除申告書の受理と内容の確認
- 国税庁 令和8年分 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 記載例
- 国税庁 No.1230 調書方式による住宅借入金等特別控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)について
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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