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リース取引の税務2026|リース期間定額法と消費税の分割控除

リース取引の税務としてリース期間定額法と消費税の分割控除を示すタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:中途解約が禁止され、賃借人が経済的利益と費用を実質的に負担する賃貸借は法人税法上のリース取引となり、リース資産の引渡しの時に売買があったものとされます。
  • 2ポイント2:所有権移転外リース取引のリース資産はリース期間定額法で償却し、少額の減価償却資産や一括償却資産の損金算入、特別償却などは適用がありません。
  • 3ポイント3:消費税は引渡しを受けた課税期間の一括控除が原則で、賃貸借処理をしている場合の分割控除も認められるため、リース契約書と処理方法を今期中に確認しましょう。

複合機やパソコン、車両などをリース契約で導入している中小企業は少なくありません。毎月のリース料を支払っているだけのつもりでも、法人税では一定のリース取引が資産の売買として扱われ、消費税では仕入税額控除の時期が問題になります。令和7年度の税制改正では、新リース会計基準の公表に伴いリース税制の見直しも行われました。

本記事では、国税庁のタックスアンサーと消費税の質疑応答事例をもとに、借手が押さえるべき判定と処理を整理します。

リース取引の税務の概要:法人税法上のリース取引とリース期間定額法

法人税法上のリース取引は売買とみなされる

No.5702は、法人が平成20年4月1日以後に締結する契約に係る資産の賃貸借のうち一定のもの(法人税法上のリース取引)については、リース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時にそのリース資産の売買があったものとされると説明しています。法人税法上のリース取引とは、次の要件のすべてを満たすものです。なお、資産の賃貸借には、民法第601条の規定により効力を生ずることとなる契約(賃貸借契約)に基づく行為のほか、資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する行為も含まれます。

  1. リース期間中の中途解約が禁止されているものであること、または賃借人が中途解約する場合には未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として90パーセント以上)を支払うこととされているものなどであること
  2. 賃借人がリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること

リース期間において賃借人が支払うリース料の額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額のおおむね90パーセント相当額を超える場合には、2の費用を実質的に負担すべきこととされているものに該当します。

所有権移転外リース取引の判定

No.5704によると、所有権移転外リース取引とは、法人税法上のリース取引のうち、次のいずれにも該当しないものです。

No.5704の項目内容
1リース資産が無償または名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるもの
2無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることが定められているもの
3リース資産を買い取る権利が賃借人に与えられており、その権利が行使されることが確実であると見込まれるもの
4賃借人の特別な注文によって製作された機械装置のように、その賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの等
5金融機関等が賃借人のリース料等の債務の引受けをする構造になっているもの
6リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当短いもの(賃借人の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限る)

6の相当短いものとは、リース期間がリース資産の法定耐用年数の70パーセント(法定耐用年数が10年以上のリース資産については60パーセント)に相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間であるものをいいます。

償却方法とオペレーティング・リース

賃借人は、所有権移転外リース取引のリース資産はリース期間定額法で、それ以外のリース取引のリース資産は資産の種類に応じてその法人が選定している償却方法で償却します。No.5410は、リース期間定額法の償却限度額を次の算式で示しています。

リース期間定額法の償却限度額 = リース資産の取得価額 / リース期間の月数 × その事業年度におけるそのリース期間の月数

一方、法人税法上のリース取引に当たらない賃貸借取引(いわゆるオペレーティング・リース取引)については、No.5705によると、令和7年4月1日以後に開始する各事業年度において、契約に基づき支払うこととされている金額のうちその各事業年度において債務の確定した部分の金額が損金の額に算入されます。

リース取引で中小企業の経理と消費税に生じる実務影響

賃借料として処理していても償却費として扱われる

中小企業では、リース料を支払った都度、賃借料として経費処理している例が多く見られます。No.5702は、賃借人である法人が賃借料その他そのリース資産を賃借するために支出した費用として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるとしています。つまり、会計上は賃借料の科目で処理していても、税務上はリース資産の償却費として扱われ、その償却限度額との関係で損金算入額が決まります。No.5705も、減価償却資産の償却費として会計上経理した金額のうち償却限度額に達するまでの金額が損金算入されると説明しています。

令和7年6月30日付の法人税基本通達7-5-3は、新リース会計基準を適用する法人が使用権資産の減価償却費として経理した金額も、リース資産の償却費として損金経理をした金額に含まれることを明らかにしています。趣旨説明は、使用権資産は法人税法上の減価償却資産には該当しないものの、そのリースの対象となる資産(原資産)はリース取引に係る賃借人が取得したものとされるリース資産そのものであり、実態としては同等のものであるといえることを理由に挙げています。

セール・アンド・リースバックは金融取引になることがある

資金繰りのために、自社の設備をリース会社に売却し、そのままリースを受けて使い続ける取引があります。No.5702は、こうしたいわゆるセール・アンド・リースバック取引について、その資産の種類、その売買および賃貸に至るまでの事情などに照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、その売買はなかったものとされ、金銭の貸付けがあったものとされると説明しています。この場合、賃借人が受け入れた金額は借入金の額として取り扱われ、リース料の合計額のうち借入金の額に相当する金額は借入金の返済額として取り扱われます。

中小企業向けの特例が使えない

No.5704は、所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産については、次の制度は適用がないとしています。

適用がない制度No.5704の根拠
圧縮記帳法法47、措法65の7等
特別償却措法42の6、42の10等
少額の減価償却資産の損金算入法令133
一括償却資産の損金算入法令133の2

購入すれば少額の減価償却資産として処理できる金額のパソコンでも、所有権移転外リース取引で導入すると、これらの取扱いは受けられません。購入とリースを比較するときは、税務上の取扱いの違いも判断材料に加える必要があります。

消費税は引渡し時の一括控除が原則

消費税の質疑応答事例によると、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する場合には、リース資産の引渡しを受けた日に資産の譲受けがあったものとして、その課税期間において消費税を一括して仕入控除税額の計算を行います(基通11-3-2)。ただし、賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)しているときは、これによって差し支えないとされています。

処理仕入税額控除の時期前提
一括控除(原則)リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間所有権移転外ファイナンス・リース取引
分割控除リース料について支払うべき日の属する課税期間賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合

会計上賃貸借処理をしている賃借人が一括控除する場合など、会計処理の方法と消費税額の計算が異なる場合には、帳簿の摘要欄等にリース料総額を記載する方法などにより、帳簿においてリース料総額(対価の額)を明らかにする必要があります。

当事務所の見解:リース契約の確認と中途解約の注意点

契約書で確認したい条項

当事務所が顧問先のリース契約を確認するときは、まず中途解約の可否と解約時の規定損害金の定め、次にリース期間終了後の再リース料と買取りの条項を見ます。No.5704の1から3は、譲渡・名目的な再リース料・買取権に関する項目で、これらに当たれば所有権移転外リース取引ではなくなり、償却方法も変わります。リース期間が法定耐用年数の70パーセントを下回る契約も、6に当たるかの確認が必要です。

残価保証のある契約は改正に注意

令和7年度の改正では、令和9年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引に係る契約のリース資産について、取得価額に含まれている残価保証額に相当する金額を控除しないこととし、リース期間内において定額で1円(備忘価額)まで償却できることとされました。No.5410によると、令和9年3月31日以前に締結された契約で残価保証額を含むもの(経過リース資産)を有する法人は、令和7年4月1日以後に開始する事業年度において、届出書を提出して経過リース期間定額法を選定することができます。

分割控除を選んだら途中で変えない

質疑応答事例は、例えば賃貸借処理しているリース期間が3年の移転外リース取引(リース料総額990,000円)について、初年度にその課税期間に支払うべきリース料(330,000円)について仕入税額控除を行い、2年目にその課税期間に支払うべきリース料と残額の合計額(660,000円)について仕入税額控除を行うといった処理は認められないとしています。一方で、初年度に簡易課税制度を適用し2年目以降は原則課税に移行した場合や、初年度に免税事業者であった者が2年目以降は課税事業者となった場合には、2年目以降の課税期間について、その課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除することができます。

中途解約したときの残存リース料

分割控除をしている移転外リース取引を解約した場合、質疑応答事例によると、解約以降は分割控除による仕入税額控除は認められず、残存リース料はリース契約を解約した日の属する課税期間における仕入税額控除の対象となります。

残存リース料が減額された理由賃借人の消費税の取扱い
リース資産を返還したことによる減額代物弁済に該当し、減額されるリース料を対価とする資産の譲渡
滅失等による保険金の支払による減額仕入れに係る対価の返還
陳腐化のため合意により廃棄したことによる減額仕入れに係る対価の返還

リース物件の入替えなどで旧契約の解約を決めたときは、解約日がどの課税期間に入るかを経理担当者と共有しておくことをおすすめします。

今すぐやるべきこと:リース契約の税務チェック手順

決算の前に、次の手順でリース契約の税務処理を確認してください。リース契約は数年にわたるため、契約時の判断が毎期の処理に影響します。新しく契約する予定がある場合は、契約書に署名する前に、中途解約や再リース、買取りの条項を確認しておくと、後から処理を変える手間を減らせます。一覧は翌期以降も更新して使います。

  • ☑ リース契約の一覧を作った
  • ☑ 所有権移転外リース取引かを判定した
  • ☑ 法人税の処理と特例の適用を点検した
  • ☑ 消費税の一括控除・分割控除を確認した
  • ☑ 解約・入替えの予定を共有した
  1. ステップ1:リース契約の一覧を作る
    複合機・パソコン・車両・設備などのリース契約を洗い出し、契約日、リース期間、リース料総額、中途解約の定めを一覧にします。
  2. ステップ2:所有権移転外リース取引かを判定する
    No.5704の6つの項目に当たるものがないか、再リース料や買取権の条項とリース期間を法定耐用年数と比べて確認します。
  3. ステップ3:法人税の処理を確認する
    賃借料として処理している金額がリース期間定額法の償却限度額との関係でどう扱われるかを確認し、少額の減価償却資産や特別償却を適用していないかを点検します。残価保証のある契約を有する場合は、経過リース期間定額法を選定するかも検討します。
  4. ステップ4:消費税の控除方法を確認する
    一括控除と分割控除のどちらで処理しているかを契約ごとに確認し、途中で変更していないか、帳簿でリース料総額が分かるようになっているかを確かめます。簡易課税制度から原則課税に移行した年などは、控除できる範囲も確認します。
  5. ステップ5:解約・入替えの予定を共有する
    今期中に解約や入替えの予定がある契約は、残存リース料の消費税の取扱いと解約日の属する課税期間を経理担当者と確認します。

リース資産の管理や仕訳の整理は日々の記帳と一体で進めると漏れが減ります。記帳の体制については経理代行のサポートを、決算と申告の判断については堺市の税務顧問をご利用いただけます。

リース取引の税務についてよくある質問

Q. リースで導入したパソコンに少額の減価償却資産の損金算入は使えますか?
A. No.5704によると、所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産については、少額の減価償却資産の損金算入(法令133)と一括償却資産の損金算入(法令133の2)は適用がありません。圧縮記帳や特別償却も同様です。購入と比べるときは、償却方法がリース期間定額法になる点も含めて検討してください。
Q. 毎月のリース料を賃借料として経費にしていても問題ありませんか?
A. No.5702は、賃借人である法人が賃借料その他そのリース資産を賃借するために支出した費用として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるとしています。賃借料の科目で処理していても、税務上はリース資産の償却費として扱われ、償却限度額の範囲で損金算入されることになります。所有権移転外リース取引であれば、償却限度額はリース期間定額法で計算します。
Q. リース資産の消費税は、いつ仕入税額控除できますか?
A. 質疑応答事例によると、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する場合には、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括して仕入控除税額の計算を行うのが原則です。ただし、賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合には、リース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理する分割控除も認められています。
Q. 分割控除をしていたリースを、途中から一括控除に変えられますか?
A. 質疑応答事例は、リース期間の初年度にその課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除を行い、2年目に支払うべきリース料と残額の合計額について仕入税額控除を行うといった処理は認められないとしています。ただし、初年度は簡易課税制度や免税事業者で2年目以降に原則課税や課税事業者になった場合は、その課税期間に支払うべきリース料について控除できます。
Q. リース契約を途中で解約した場合、消費税はどうなりますか?
A. 分割控除をしている移転外リース取引を解約した場合、質疑応答事例によると、解約以降は分割控除は認められず、残存リース料はリース契約を解約した日の属する課税期間における仕入税額控除の対象となります。リース資産を返還して残存リース料が減額された場合は代物弁済として資産の譲渡、保険金や廃棄による減額は仕入れに係る対価の返還として扱われます。
Q. レンタルのように中途解約できる契約も、売買として扱われますか?
A. No.5705によると、中途解約ができないものなどの要件のいずれかに該当しない資産の賃貸借は、いわゆるオペレーティング・リース取引として法人税法上のリース取引から除かれます。令和7年4月1日以後に開始する各事業年度では、契約に基づき支払うこととされている金額のうちその事業年度に債務の確定した部分の金額が損金の額に算入されます。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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