堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
個人事業税2026|8月の第1期納付と事業主控除290万円・税率の実務
この記事の要点3点
- 個人事業税は前年(2025年1月〜12月)の事業の所得に対して都道府県が課す地方税で、第1期の納期限は2026年8月31日(休日の場合は翌開庁日)です。
- 所得が事業主控除290万円以下なら税額は生じません。対象は地方税法で定める70業種で、税率は業種により3%・4%・5%に分かれます。
- 所得税の確定申告をしていれば原則として個人事業税の申告は不要です。8月ごろに届く納税通知書の金額と業種区分を必ず確認しましょう。
毎年8月になると、個人事業主のもとに都道府県から「個人事業税」の納税通知書が届きます。所得税や消費税ほど話題になりませんが、納期限を過ぎれば延滞金がかかり、資金繰りにも直接響く税金です。本記事では、2026年(令和8年度)に納める個人事業税について、課税の仕組み、事業主控除290万円や業種別の税率、申告が原則不要となる理由、そして納税通知書が届く前に確認しておきたい実務ポイントを、堺市の税理士が中小事業者の目線で整理します。
個人事業税の概要と2026年の納付スケジュール
個人事業税は、一定の事業を営む個人に対して、その事業所のある都道府県が課す地方税です。所得税が国に納める国税であるのに対し、個人事業税は地方税であり、申告や納付の窓口は都道府県税事務所になります。課税の根拠は地方税法に置かれ、対象となる業種や税率も同法で定められています。
そもそも個人事業税は、事業を営むうえで都道府県の道路・消防・上下水道といった行政サービスから便益を受けていることに着目し、その経費の一部を分担してもらうという「応益負担」の考え方にもとづく税金です。所得税が担税力(負担能力)に応じて課されるのとは異なる性格を持っているため、所得税では認められる控除の一部が個人事業税では適用されない、という後述の違いが生まれます。
課税の対象は、地方税法で定められた70の業種です。これらは大きく第1種事業・第2種事業・第3種事業の3区分に分けられ、ほとんどの商工業・サービス業が第1種事業に該当します。逆に、法律で列挙されていない業種は個人事業税の課税対象外となります。代表的な対象外の例としては、農業・林業や、文筆業・画家・作曲家などの一部の自由業が挙げられます。同じ「ものを作る・売る」事業でも、実態によって区分や課税の有無が変わるため、自分の事業がどの区分に当たるかは、税額そのものを左右する重要なポイントです。判断が難しい場合は、自己判断せず都道府県税事務所や税理士に確認することをおすすめします。
税額は、前年1月1日から12月31日までの事業の所得をもとに計算されます。2026年度(令和8年度)に納める個人事業税は、2025年中の事業の所得が基礎になるという点を押さえておきましょう。所得が事業主控除額の290万円以下であれば、個人事業税は課税されません。専業として事業を営んでいても、所得が290万円に満たない年は納税義務が生じない仕組みです。
2026年度の納付スケジュール(原則)
- 8月ごろ:都道府県から納税通知書が送付される
- 第1期の納期限:2026年8月31日(休日の場合は翌開庁日)
- 第2期の納期限:2026年11月30日(休日の場合は翌開庁日)
原則として年2回に分けて納付します。税額が少額の場合は、第1期に一括で納付する取扱いとなる都道府県もあります。納期限や取扱いの細部は事業所のある都道府県により異なるため、届いた納税通知書の記載を必ず確認してください。
納税先は、事務所や事業所が所在する都道府県です。複数の都道府県に事業所を持つ場合は、従業者数などにもとづいて所得をあん分し、それぞれの都道府県に納めることになります。堺市で事業を営む方であれば、大阪府が課税団体となり、大阪府から納税通知書が送られてきます。納付方法は、金融機関やコンビニエンスストアの窓口のほか、口座振替、スマートフォン決済アプリ、クレジットカードなど、キャッシュレス納付に対応している都道府県も増えています。納期限を失念しがちな方は、口座振替を申し込んでおくと納め忘れを防げます。
中小事業者への実務影響と税額の計算
個人事業税の税額は、ごく単純化すると「(前年の事業の所得 − 各種控除 − 事業主控除290万円)× 業種別の税率」で求めます。ここで実務上つまずきやすいのが、所得税の確定申告で計算した所得と、個人事業税の課税標準となる所得が完全には一致しない点です。
最大の違いは、所得税の青色申告特別控除(最大65万円)が個人事業税では適用されないことです。青色申告特別控除を差し引いた後の所得金額をそのまま使うのではなく、控除前の所得に引き戻して計算します。また、所得税の基礎控除や配偶者控除といった人的控除(所得控除)も、個人事業税の計算では使えません。これらは所得税独自の控除であり、地方税である個人事業税には引き継がれないためです。
一方で、個人事業税には事業税独自の控除があります。代表的なものが、すべての納税義務者に一律に適用される事業主控除290万円です。事業を行った期間が1年に満たない場合は、月割りで控除額が計算されます。このほか、青色申告者であれば事業から生じた損失の繰越控除、白色申告者の被災事業用資産の損失の繰越控除、事業用資産の譲渡損失の控除などが認められています。家族が事業に従事している場合の事業専従者控除(給与)も、所得税と同様に差し引くことができます。
計算でつまずきやすいポイント
- 所得税の所得金額をそのまま使わない(青色申告特別控除を加算して計算する)。
- 基礎控除など所得税の所得控除は個人事業税には適用されない。
- 事業主控除290万円があるため、所得が290万円以下なら税額はゼロになる。
所得税と個人事業税で、どの控除が使えるのかを整理すると次のとおりです。違いを把握しておくと、確定申告書上の所得金額をそのまま税額計算に使ってしまう誤りを防げます。
| 控除の種類 | 所得税 | 個人事業税 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除(最大65万円) | 適用あり | 適用なし(控除前に引き戻す) |
| 基礎控除・配偶者控除などの所得控除 | 適用あり | 適用なし |
| 事業主控除(290万円) | なし | 適用あり |
| 事業専従者控除(給与) | 適用あり | 適用あり |
| 損失・被災事業用資産の繰越控除 | 適用あり | 適用あり(事業税独自の繰越) |
開業した初年度や廃業した年は、事業を行った期間に応じて事業主控除290万円が月割りで計算されます。たとえば10月に開業した場合、その年の事業主控除は12か月分ではなく月割りの金額になります。年の途中で開業・廃業する予定がある方は、この月割りの取扱いを念頭に置いておきましょう。なお、災害により被害を受けた場合や、生活が著しく困難な事情がある場合などには、都道府県の条例にもとづく減免制度が設けられていることがあります。該当しそうなときは早めに都道府県税事務所へ相談してください。
もう一つ、中小事業者にとって見落とせないのが、納めた個人事業税は、その年の事業所得の必要経費に算入できるという点です。2026年に納付した個人事業税は、2026年分の所得税・住民税の計算において必要経費として処理します。法人住民税や所得税本体が必要経費にならないのとは対照的で、個人事業税は事業に関連して課される税であるため経費性が認められます。納税は負担ですが、翌年の所得税計算では経費として効いてくることを理解しておくと、資金計画が立てやすくなります。
なお、事業所得だけでなく、一定規模以上の不動産貸付業・駐車場業を営む場合も個人事業税の課税対象になります。アパートやマンションの貸付けが「事業的規模」と判定されると、不動産所得にも個人事業税が課されるため、副業的に不動産を持つ給与所得者の方も注意が必要です。判定基準は都道府県により細部が異なりますが、戸建てでおおむね10棟以上、室数でおおむね10室以上が一つの目安とされています。
業種別の税率早見表
個人事業税の税率は、3区分・70業種ごとに定められています。多くの事業者が該当する第1種事業は5%、畜産業・水産業・薪炭製造業などの第2種事業は4%、医業や士業などの第3種事業は5%(ただしあん摩・マッサージ・はり・きゅう、装蹄師業など一部は3%)です。代表的な区分を早見表にまとめます。
| 区分 | 税率 | 主な業種の例 |
|---|---|---|
| 第1種事業(37業種) | 5% | 物品販売業、製造業、飲食店業、運送業、不動産貸付業、請負業など |
| 第2種事業(3業種) | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
| 第3種事業(30業種) | 5% | 医業、歯科医業、税理士業、弁護士業、デザイン業、コンサルタント業など |
| 第3種事業のうち一部 | 3% | あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう、装蹄師業 |
確認したい注意点
どの業種に区分されるかで税率が変わるため、納税通知書に記載された業種区分が実態と合っているかを必ず確認してください。複数の事業を営んでいる場合は、事業ごとに区分・税率を判定します。区分に疑問があるときは、都道府県税事務所または税理士に相談すると安心です。
どの業種に区分されるかで税率が変わるため、納税通知書に記載された業種区分が実態と合っているかを必ず確認してください。複数の事業を営んでいる場合は、事業ごとに区分・税率を判定します。区分に疑問があるときは、都道府県税事務所または税理士に相談すると安心です。
当事務所の見解・実務上の注意点
個人事業税は「通知書が届いてから払うだけの税金」と思われがちですが、実務では事前の理解が資金繰りと節税の両面で効いてきます。当事務所が特に重視している3つの視点を挙げます。
1. 8月・11月の納税を資金繰り表に組み込む
個人事業主の納税は、所得税・消費税・住民税・国民健康保険料などが重なり、特に夏場に集中しがちです。個人事業税の第1期(8月)と第2期(11月)も、あらかじめ年間の資金繰り表に織り込んでおくことで、「通知書が届いて慌てる」事態を防げます。前年の所得が大きく伸びた年は、その分だけ翌年の個人事業税も増える点に注意が必要です。とりわけインボイス制度を機に課税事業者となった方は、消費税の納付も加わるため、夏から秋にかけての資金需要が以前より大きくなっています。前年の所得が確定した段階で、所得税・消費税・住民税・国民健康保険料・個人事業税を一覧にして、月別の納税予定表を作っておくと、運転資金とのバランスを取りやすくなります。
2. 業種区分の確認を毎年の習慣にする
事業内容が変化すると、本来の業種区分と通知書上の区分がずれることがあります。とりわけ、課税対象外の業種(農業など)と課税対象の業種を兼業している場合や、事業の一部を新たに開始した場合は、区分判定の見直しが必要です。3%・4%・5%の差は小さくないため、毎年通知書が届いたタイミングで区分を点検することをおすすめします。区分の判定に誤りがあると本来より多く納めてしまうおそれもあり、その場合は更正の請求などにより還付を受けられる可能性もあります。気になる点があれば、納期限を待たずに都道府県税事務所へ照会しておくと安心です。
3. 必要経費算入を忘れない
納めた個人事業税は事業所得の必要経費になります。記帳の際に租税公課として正しく計上しておかないと、翌年の所得税計算で経費を取りこぼすことになります。会計ソフトを使っている場合でも、納付のつど確実に入力しているかを確認しましょう。
4. 法人化の検討材料の一つにする
事業が拡大して所得が大きくなると、個人事業税の負担も無視できなくなります。所得税・住民税・国民健康保険料に加えて個人事業税まで含めた実効的な負担を試算すると、法人化(法人成り)によって税負担や社会保険の取扱いが有利になる分岐点が見えてくることがあります。個人事業税はあくまで判断材料の一つですが、年間の納税額を正確に把握しておくことは、将来の事業形態を考えるうえでも役立ちます。
今すぐやるべきこと
納税通知書が届く前後にやっておきたい手順を、順番に整理します。
- ステップ1:前年の事業所得を確認する
2025年分の確定申告書を手元に用意し、事業所得・不動産所得の金額を確認します。青色申告特別控除前の所得が290万円を超えているかどうかが、納税の有無を判断する第一歩です。 - ステップ2:自分の業種区分と税率を特定する
事業内容が第1種・第2種・第3種のどれに当たるか、税率が3%・4%・5%のいずれかを確認します。複数事業を営む場合は事業ごとに判定します。 - ステップ3:概算税額を試算する
「(所得 − 各種控除 − 290万円)× 税率」でおおよその税額を見積もり、8月・11月の納税資金を準備します。 - ステップ4:納税通知書の記載を点検する
8月に届いた通知書の業種区分・所得金額・税額が、自分の試算や実態と合っているかを確認します。疑問があれば都道府県税事務所に問い合わせます。 - ステップ5:納付し、必要経費に計上する
第1期・第2期の納期限までに納付し、納付額を租税公課として帳簿に計上します。口座振替やキャッシュレス納付の利用も検討しましょう。
- ☑ 前年の事業所得が290万円を超えているか確認した
- ☑ 業種区分と税率を特定した
- ☑ 8月・11月の納税資金を準備した
- ☑ 納税通知書の業種区分・税額を点検した
よくある質問
- Q. 個人事業税はいつ納めますか?
- A. 原則として年2回に分けて納めます。2026年度は第1期の納期限が8月31日、第2期が11月30日です(いずれも休日の場合は翌開庁日)。8月ごろに都道府県から納税通知書が届くので、その金額にもとづいて納付します。税額が少額の場合は第1期に一括となる都道府県もあります。
- Q. 所得がいくらまでなら個人事業税はかかりませんか?
- A. 事業主控除が290万円あるため、前年の事業の所得が290万円以下であれば個人事業税は課税されません。なお、この所得は青色申告特別控除を差し引く前の金額で判定する点に注意が必要です。
- Q. 個人事業税の申告は別に必要ですか?
- A. 所得税の確定申告または住民税の申告を行っていれば、その内容が都道府県に通知されるため、個人事業税のための申告は原則として不要です。確定申告書の「事業税に関する事項」欄を正しく記載しておくと、課税対象外の所得などが適切に反映されます。
- Q. 会社員の副業や不動産の貸付けにも個人事業税はかかりますか?
- A. 副業であっても、地方税法で定める70業種に当たる事業を一定規模で営んでいれば課税対象になり得ます。不動産の貸付けも、戸建ておおむね10棟以上・室数おおむね10室以上などの事業的規模と判定されると課税されます。判定の細部は都道府県により異なります。
- Q. 納めた個人事業税は経費になりますか?
- A. はい。納めた個人事業税は、その納付した年の事業所得の必要経費に算入できます。租税公課として帳簿に計上することで、翌年の所得税・住民税の計算に反映されます。計上漏れがないよう、納付のつど記帳しましょう。
- Q. 開業した初年度も個人事業税はかかりますか?
- A. 初年度から課税対象になり得ますが、事業を行った期間に応じて事業主控除290万円が月割りで計算されます。たとえば年の後半に開業した場合は控除額が小さくなるため、開業初年度の所得が大きいときは納税が生じることもあります。試算のうえ資金を準備しておくと安心です。
- Q. 個人事業税を納期限までに払わないとどうなりますか?
- A. 納期限を過ぎると、原則として延滞金が加算され、納付額が増えてしまいます。さらに放置すると督促や滞納処分の対象となることもあります。資金繰りが厳しく一括での納付が難しい場合は、早めに都道府県税事務所に相談すると、分割納付などの方法を案内してもらえることがあります。
参考資料・出典
本記事は道濟会計事務所が監修しました。