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更正の請求2026|払いすぎた税金を5年以内に取り戻す手順と期限

更正の請求で払いすぎた税金を取り戻す手順と期限を解説する記事のタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:申告した税額が多すぎた場合や還付金が少なかった場合は、更正の請求書を税務署長に提出して正しい額への訂正を求めます。期限は原則として法定申告期限から5年以内です。
  • 2ポイント2:法人税の欠損金額が過少だった場合は10年以内(平成30年4月1日以後に開始した事業年度)、判決などの後発的理由は2月以内、相続税の遺産分割は4か月以内など、税目と理由によって期限が異なります。
  • 3ポイント3:請求には事実を証明する書類の添付が必要です。過去5年分の申告書を見直し、控除や特例の適用漏れがないかを期限の古い年分から点検しましょう。

決算や確定申告の後になって、経費の計上漏れや控除の記載漏れに気付くことがあります。税金を少なく申告していた場合は修正申告が必要ですが、反対に多く申告していた場合は、黙っていても税金は戻ってきません。納めすぎた税金を取り戻すには、更正の請求という手続を自分から行う必要があります。

更正の請求には期限があり、期限を過ぎると原則として請求できなくなります。本記事では、国税庁の手続案内とタックスアンサーに沿って、更正の請求の仕組み、税目ごとの期限、修正申告との違い、手続の流れを解説します。

更正の請求の概要と期限

更正の請求の概要と期限を象徴する紙飛行機

更正の請求とは

国税庁の手続案内は、更正の請求を、確定申告期限後に申告書に書いた税額等に誤りがあったことを発見した場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続と説明しています。更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容を検討して、納め過ぎた税金があると認めた場合には減額更正をして税金を還付します。

対象となるのは、計算誤り等により税額が過大であったり、純損失等の金額が過少であったり、あるいは還付金が少なかった場合です。法人税では、納付すべき税額が過大であるとき、翌期へ繰り越す欠損金額が過少であるとき、還付金額が過少であるときなどが挙げられています。

なお、タックスアンサーNo.2026は、所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額または純損失の金額に異動がない場合は、更正の請求はできませんとしています。

修正申告との違い

税金を少なく申告していた場合や還付される税金が多すぎた場合は、修正申告によって誤った内容を訂正します。修正申告は、税務署から更正を受けるまではいつでもできますが、新たに納める税金のほかに延滞税がかかり、税務署からの調査の事前通知の後に修正申告をした場合などには過少申告加算税もかかります。

区分更正の請求修正申告
使う場面納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合
期限原則として法定申告期限から5年以内税務署から更正を受けるまではいつでもできる
効果税務署が内容を検討し、認められれば減額更正と還付提出により税額が確定し、差額と延滞税を納付

期限は原則として法定申告期限から5年以内

更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。法人税で申告期限の延長の承認を受けている場合は、その承認申告期限から数えます。この5年という期間は、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について延長されたもので、それより前に法定申告期限が到来した国税については、従来どおり法定申告期限から1年とされています。

確定申告の必要のない方が還付を受けるための申告をしている場合は、その提出した日から5年以内です。また、確定申告期限内に誤りに気付いた場合は、改めて申告書等を作成し、確定申告期限までに提出すれば足ります。

提出先と提出方法

更正の請求書は、納税地を所轄する税務署長に提出します。所得税は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーにある更正の請求書・修正申告書作成コーナーで金額等を入力すれば、税額などが自動計算され、作成したデータをe-Taxで提出することも、印刷して郵送等で提出することもできます。法人税と法人の消費税は、e-Taxソフトで更正の請求書を作成・提出するほか、書面で作成して持参又は送付することもできます。

税務署の窓口に出向く場合、令和8年10月1日から、全ての税務署で総合窓口の受付時間が原則として午前9時から午後3時までとなっています。書面で提出する場合も、e-Taxで提出する場合も、添付書類を含めて事前にそろえておくと手続がスムーズです。

中小企業への実務影響:税目別の期限と後から適用できる措置

税目別の更正の請求の期限と後から適用できる措置を象徴するファイルフォルダー

税目・理由ごとの主な期限

更正の請求の期限は、税目と請求の理由によって異なります。国税庁の各手続案内に記載されている主な期限を整理すると次のとおりです。

税目・理由期限
所得税・法人税・消費税(通常の場合)法定申告期限から5年以内
法人税の翌期へ繰り越す欠損金額が過少な場合平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものは10年以内(平成30年3月31日までに開始した事業年度に係るものは9年以内)
後発的理由による場合(所得税・法人税)事実が生じた日(該当した日)の翌日から2月以内
修正申告や更正決定に伴う法人税の請求修正申告書を提出した日又は更正決定の通知を受けた日の翌日から起算して2月以内
相続税で申告後に遺産分割が行われた場合分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内
贈与税(平成23年分以後)原則として法定申告期限から6年以内

あわせて、欠損金の繰越期間も確認しておきましょう。タックスアンサーNo.5762によると、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度のものが繰越控除の対象になり、平成30年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は9年です。繰り越す欠損金額を少なく記載していると、その後の事業年度で控除できる金額も少なくなります。

後発的理由とは

所得税の手続案内は、後発的理由を、申告、更正又は決定の際に課税標準等の計算の基礎とした事実が、その事実に係る判決又はこれと同一の効力を有する和解により、申告等の計算の基礎としたところと異なることが確定したこと等と説明しています。たとえば取引をめぐる訴訟の判決で前提となる事実が変わった場合は、5年の期限とは別に、その事実が生じた日の翌日から2月以内に請求することになります。この期間は短いため、判決や和解の内容が確定したら、すぐに税務への影響を確認する必要があります。

後から適用できるようになった措置

平成23年度税制改正により、当初申告の際に申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち、一定の措置については、更正の請求の提出により事後的に適用を受けることができるようになりました。国税庁の一覧では、法人税関係として受取配当等の益金不算入、国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入、所得税額控除、外国税額控除などが、所得税関係として純損失の繰越控除、雑損失の繰越控除などが、相続税関係として配偶者に対する相続税額の軽減などが挙げられています。

あわせて、控除等の金額が当初申告の際の申告書に記載された金額に限定される控除額の制限がある措置についても、更正の請求により、適正に計算された正当額まで控除等の金額を増額できることとされました。たとえば法人が受け取った配当の益金不算入を申告で漏らしていた場合は、5年以内であれば更正の請求で適用を受けられる可能性があります。この見直しは、平成23年12月2日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税から適用されています。所得税は平成23年12月2日の属する年分以後の所得税、相続税や贈与税は平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来するものが対象です。

相続税は遺産分割の確定がきっかけになる

相続財産の分割協議が成立していないときは、法定相続分などで財産を取得したものとして申告します。その後に分割が行われ、分割に基づく税額が申告した税額より少ない場合に更正の請求ができますが、その期限は分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内です。配偶者の税額の軽減も、申告後の遺産分割に基づいて受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求をする必要があります。申告期限までに分割できなかった財産について税額軽減を受けるには、申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておくことも求められています。

当事務所の見解・更正の請求で損をしないための注意点

更正の請求で損をしないための注意点を象徴する鍵

期限を過ぎると取り戻せない

更正の請求は、期限内に請求書を出さなければ権利を失う手続です。所得税や法人税の通常の期限は5年ありますが、相続税の遺産分割は4か月、後発的理由は2月と、短い期限も少なくありません。誤りに気付いた時点で、どの理由による請求なのか、その理由の期限がいつなのかをまず確認してください。とくに過去の年分の誤りを複数年にわたって見つけた場合は、期限の古い年分から先に手続を進めることが大切です。

事実を証明する書類が必要

平成24年2月2日以後に行う更正の請求からは、更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類の添付が必要であることが明確化されています。所得税の手続案内では、事業所得の必要経費(地代家賃)の計上漏れなら帳簿書類の写しや領収書の写し、国民年金保険料の記載漏れなら控除証明書を添付する例が示されています。請求書には理由と事情を具体的に書き、根拠資料をそろえて提出しましょう。

当初申告でしか適用できない特例もある

後から適用できる措置が増えた一方で、一覧に載っていない特例は、当初の申告で適用しておかなければならない可能性があります。たとえば相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を定める租税特別措置法第39条は、当初申告要件が廃止された措置の一覧に掲げられていません。更正の請求があるから大丈夫と考えず、申告の段階で適用できる特例を漏れなく検討することが基本です。

法人は繰越欠損金の記載も点検する

法人税では、納付すべき税額が過大な場合だけでなく、翌期へ繰り越す欠損金額が過少な場合や、翌期に繰り越す欠損金額を記載しなかった場合も更正の請求の対象です。赤字の事業年度は納める法人税がないため申告内容の確認がおろそかになりがちですが、欠損金額の誤りは翌期以後の所得から控除できる金額を減らし、将来の税額を増やします。平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものは10年以内と期間が長いので、赤字だった事業年度の申告書もあわせて見直す価値があります。

請求のとおりに更正されるとは限らない

税務署は請求に係る税額等について調査し、請求が適正であるか等を審査します。結果に納得できない場合は、処分の通知を受けた日の翌日から起算して3月以内に再調査の請求又は審査請求をすることができます。日頃の申告内容に不安がある場合は、堺市の税務顧問として、過去の申告書の見直しからご相談ください。

今すぐやるべきこと:払いすぎた税金を取り戻す手順

払いすぎた税金を取り戻す手順を象徴するはしご

納めすぎた税金がないか気になる方は、次の手順で確認を進めてください。

  1. ステップ1:過去5年分の申告書と決算書を手元にそろえる
    法人は法人税と消費税の申告書、個人は確定申告書と決算書を、法定申告期限から5年以内の年分についてそろえます。法人税で欠損金がある場合は、その欠損金が生じた事業年度の申告書も確認します。申告書の控えが見当たらない年分がある場合は、税理士や社内の担当者に早めに確認します。
  2. ステップ2:適用漏れ・計上漏れを洗い出す
    経費の計上漏れ、所得控除の記載漏れ、受取配当等の益金不算入や所得税額控除の適用漏れなど、税額が過大になっている項目がないかを点検します。相続税では、申告後に遺産分割が成立していないか、配偶者の税額の軽減が適用できる状態になっていないかも確認します。
  3. ステップ3:理由ごとの期限を確認する
    通常の誤りは法定申告期限から5年以内、判決などの後発的理由は2月以内、相続税の遺産分割は4か月以内など、理由に応じた期限を確認し、期限の早いものから着手します。期限の数え方は、法人税で申告期限の延長の承認を受けている場合はその承認申告期限が起点になる点にも注意します。
  4. ステップ4:事実を証明する書類を準備する
    帳簿書類や領収書の写し、控除証明書、遺産分割協議書の写しなど、請求の理由の基礎となる事実を証明する書類をそろえます。
  5. ステップ5:更正の請求書を作成して提出する
    所得税は確定申告書等作成コーナーの更正の請求書・修正申告書作成コーナー、法人税はe-Taxソフトなどで更正の請求書を作成し、納税地を所轄する税務署長に提出します。請求書の理由欄には、請求をする理由と請求をするに至った事情を具体的に記載します。
提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります(所得税の手続案内)。ただし、期限直前は資料の不足で間に合わないことがあるため、余裕をもって準備してください。

よくある質問

Q. 更正の請求は何年前の申告までさかのぼれますか?
A. 原則として法定申告期限から5年以内です。平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について5年に延長されました。ただし、法人税の翌期へ繰り越す欠損金額が過少だった場合は、平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものは10年以内です。贈与税は原則として法定申告期限から6年以内とされています。判決などの後発的理由による場合は、事実が生じた日の翌日から2月以内という別の期限になります。
Q. 確定申告の期限内に間違いに気付いた場合も更正の請求をしますか?
A. 確定申告期限内に誤りに気付いた場合は、改めて申告書等を作成し、確定申告期限までに提出すれば足ります。この場合の納める税金又は還付される税金は、再提出した確定申告書に記載のある金額となります。更正の請求が必要になるのは、確定申告期限後に誤りに気付いた場合です。
Q. 更正の請求をすると税務調査を受けますか?
A. 国税庁の手続案内は、審査基準として、請求に係る税額等について調査し、請求が適正であるか等を審査するとしています。請求内容が正当と認められた場合に減額更正が行われ、納め過ぎた税金が還付されます。請求の根拠となる帳簿や領収書などの資料を整えておくことが大切です。
Q. 税額が変わらない誤りでも更正の請求はできますか?
A. できません。タックスアンサーNo.2026は、所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額または純損失の金額に異動がない場合は、更正の請求はできませんとしています。ただし、法人税で翌期へ繰り越す欠損金額が過少になっている場合は、税額がゼロでも更正の請求の対象になります。
Q. 相続税の申告後に遺産分割がまとまった場合はどうなりますか?
A. 分割に基づき計算した税額が申告した税額より少ない場合は、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます。多い場合は修正申告をします。配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例をこの修正申告または更正の請求で適用できるのは、原則として申告期限から3年以内に分割があった場合に限られます。
Q. 更正の請求の結果に納得できない場合はどうすればよいですか?
A. 所得税や消費税の手続案内では、処分の通知を受けた日の翌日から起算して3月以内に、その処分をした税務署長に対して再調査の請求又は国税不服審判所長に対して審査請求をすることができるとされています。期限が短いため、通知を受けたら早めに内容を確認してください。
Q. 法人の消費税も更正の請求の対象ですか?
A. 対象です。消費税及び地方消費税の更正の請求手続(法人用)は、提出時期を法定申告期限から5年以内(後発的理由などにより更正の請求を行う場合には、それらの事実が発生した日の翌日から2か月以内)としています。更正の請求の理由となった事実を証明する書類の添付も必要です。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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