堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
特定路線価2026|路線価のない道路に面した土地の評価と申出手続
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:特定路線価は、路線価地域内で路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価するため、納税義務者からの申出等に基づき税務署長が評定する路線価です(財産評価基本通達14-3)。
- 2ポイント2:相続税または贈与税の申告のためにだけ申し出ることができ、私道の奥にある土地などが対象になります。建築基準法上の道路等であることなど、6つの確認項目があります。
- 3ポイント3:設定には概ね1~2か月程度かかります。相続税の申告期限は10か月以内のため、土地の接道状況は相続開始後すぐに確認し、早めに申出書を準備しましょう。
CONTENTS目次
相続した土地が、幅の狭い私道の奥にあるという相談は少なくありません。路線価図を開いてみると、表通りには路線価が付いているのに、その土地が面している道路には数字がない。このままでは相続税の評価額を計算できないのではないか、と不安になる方もいます。
このような土地を評価するために用意されているのが、税務署に路線価を付けてもらう特定路線価の制度です。本記事では、財産評価基本通達と国税庁の手続案内に沿って、特定路線価の対象となる土地、申出の手続と期間、相続税の申告期限との関係、申出の前に検討すべき点を解説します。
特定路線価とは:制度の概要と申出の手続
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路線価方式と倍率方式
財産評価基本通達11は、宅地の評価方式を、市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式、それ以外の宅地は倍率方式と定めています。路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、奥行価格補正などの定めにより計算した金額によって評価する方式です(同通達13)。
路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路)ごとに設定され、国税局長がその路線ごとに評定した1平方メートル当たりの価額です(同通達14)。国税庁のタックスアンサーNo.4604は、路線価を、その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの千円単位の価額と説明しています。路線価図と評価倍率表は、国税庁の財産評価基準書のサイトで年分ごとに公開されています。
特定路線価の定義
ところが、路線価地域の中にも、路線価が付いていない道路があります。財産評価基本通達14-3は、路線価地域内において、相続税、贈与税又は地価税の課税上、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、その道路を路線とみなして宅地を評価するための路線価を、納税義務者からの申出等に基づき設定することができると定めています。これが特定路線価です。
この路線価は、その道路に接続する路線及びその道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、その道路の状況や地区の別等を考慮して税務署長が評定した1平方メートル当たりの価額とされています。地区とは、ビル街地区、高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区の7つの区分です(同通達14-2)。
設定された後は、その道路を路線とみなして、通常の路線価と同じように路線価方式で宅地を評価します。路線価方式による評価は、国税庁の「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を使用して行うことができます(No.4604)。
申出の手続
手続は、国税庁の税務手続案内B2-11「特定路線価設定申出書」に定められています。手続対象者は、相続税又は贈与税の申告のために特定路線価の設定が必要となる者です。申出書を作成のうえ、納税地を所轄する税務署に持参又は送付して提出します。添付書類は、「別紙 特定路線価により評価する土地等及び特定路線価を設定する道路の所在地、状況等の明細書」と、物件案内図、地形図、写真等の資料です。
税務署へ持参する場合は受付時間に注意が必要です。国税庁は、令和8年10月1日から、全ての税務署で総合窓口の受付時間を原則として午前9時から午後3時までとしています。
標準処理期間
B2-11の標準処理期間の欄には、特定路線価の設定には概ね1~2月程度の期間を要すると記載されています。提出チェックシートにも、概ね1~2か月程度の期間を要する旨の記載があります。以前の資料や解説記事には、これより短い期間を示すものもあります。申告までの計画は、国税庁の現在の案内に合わせて余裕をもって立てるべきです。
特定路線価が必要になる土地と相続・贈与の実務影響
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申出が必要になる典型的な土地
この制度の対象は、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地です。たとえば、表通りから枝分かれした私道の奥にある自宅や貸家、行き止まりの通路に面した複数の住宅の敷地などが当てはまります。反対に、評価する土地が路線価の設定されている道路に接していれば、原則として既存の路線価を基に画地調整等を行って評価するため、特定路線価は設定できません(提出チェックシートの項目4)。
同じ私道に面する土地を複数取得した場合や、自宅と貸家が並んでいる場合は、明細書の土地等の所在地欄に画地ごとに記載します。利用状況欄には宅地(自用地)、宅地(貸地)などと記載するため、土地ごとの使われ方を事前に整理しておくと手続が円滑です。貸地であれば借地人の名前も記載するため、賃貸借契約書を手元に用意しておきましょう。
申出の対象になるかを判定する6つの確認項目
国税庁の提出チェックシートは、次の6項目を確認するよう求めています。原則として、すべてに該当する場合に申出の対象になります。
- ☑ 特定路線価の設定を必要とする年分の路線価が公開されているか
- ☑ 設定を必要とする理由が、相続税又は贈与税の申告のためか
- ☑ 評価する土地等が、路線価方式により評価する地域(路線価地域)内にあるか
- ☑ 評価する土地等が、路線価の設定されていない道路のみに接しているか
- ☑ 特定路線価を設定したい道路が、評価する土地等の利用者以外の人も利用する道路か
- ☑ 特定路線価を設定したい道路が、建物の建築が可能な道路(建築基準法上の道路等)か
相続税又は贈与税の申告以外の目的では設定できません。売買価格の参考にする、遺産分割の話し合いに使うといった目的だけでは申し出られない点に注意してください。また、倍率方式により評価する地域内にある土地等は、固定資産税評価額に所定の倍率を乗じて評価するため、対象外です。
建築基準法上の道路等とは
チェックシートは、原則として建築基準法上の道路等に設定していると説明し、その範囲を、建築基準法第42条第1項第1号~第5号又は第2項に規定する道路と、建築基準法第43条第2項第1号又は第2号(平成30年9月25日改正前の建築基準法第43条第1項ただし書を含む)の適用を受けたことのある敷地に面する道としています。該当するかどうかは、都道府県又は市区町村の建築指導課等で確認できます。
土地の状況による評価の違い
| 土地の状況 | 評価の基礎 | 根拠 |
|---|---|---|
| 路線価の設定されている道路に接している | 既存の路線価を基に画地調整等を行って評価 | 評価通達13・14、チェックシート項目4 |
| 路線価の設定されていない道路のみに接している | 申出等に基づき設定された特定路線価 | 評価通達14-3 |
| 道路に接しない(接道義務を満たしていないものを含む) | 実際に利用している路線の路線価を基に計算し、100分の40の範囲内で相当額を控除 | 評価通達20-3(無道路地の評価) |
| 倍率地域にある | 固定資産税評価額に所定の倍率を乗じて評価 | 評価通達11、チェックシート項目3 |
相続と贈与で異なる提出先
申出書は納税地を所轄する税務署に提出します。チェックシートによれば、納税地は、相続税の場合は被相続人の住所地、贈与税の場合は受贈者の住所地です。土地の所在地を所轄する税務署とは限らない点に注意してください。なお、申出に対する回答は、対象の土地の評価を担当する税務署が行うとされています。
贈与の場合も考え方は同じです。親から子へ私道の奥の土地を贈与するときは、受贈者が贈与税の申告のために申し出ることになり、提出先は受贈者の住所地を所轄する税務署です。贈与の時期を決める段階で接道状況を確認し、評価に必要な期間を見込んでおきましょう。
当事務所の見解・特定路線価の申出で注意すべき点
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年分の路線価が公開される前は申し出られない
最初の確認項目は、設定を必要とする年分の路線価が公開されていることです。財産評価基準書は年分ごとに作られ、たとえば令和8年分の財産評価基準は、令和8年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用されます。年の前半に相続が開始した場合は、その年分の路線価の公開を待ってから申し出ることになります。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います(No.4205)。路線価の公開を待つ期間と、設定に要する概ね1~2か月程度の期間を合わせると、申告期限までの余裕は思ったより少なくなります。当事務所では、相続のご依頼を受けた段階で、全ての土地について路線価図上の接道状況を確認し、申出が必要な土地を最初に洗い出すようにしています。
申出の前に評価方法を比較する
財産評価基本通達14-3は、申出等に基づき設定することができると定めており、申出は義務として書かれていません。また、記載方法等の注記は、申出書を提出した場合でも、路線価を基に土地等を評価することができるときには、特定路線価を設定しないとしています。
そこで、申出の前に、その土地がどの評価方法に当てはまるかを整理しておくことが大切です。たとえば、建築基準法上の道路等に当たらない通路にしか接していない土地は、チェックシートの項目6を満たしません。財産評価基本通達20-3は、無道路地を道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む)と定義しているため、このような土地は無道路地に当たるかを検討することになります。評価方法によって評価額は変わるため、当事務所では、想定される方法ごとに評価額を試算したうえで、申出をするかどうかを判断しています。
明細書の記載は評価額に関わる
税務署長は、その道路の状況等を考慮して評定します。明細書には、道路の幅員及び奥行、舗装の状況、道路の連続性、道路のこう配、上水道・下水道・都市ガスの状況、用途地域等の制限を記載します。上下水道などの欄の引込み可能とは、道路に敷設されている場合のほか、引込距離約50m程度で容易に引込み可能な場合をいいます。現地の写真や役所での調査結果に基づき、正確に記載しましょう。
道路の状況は、相続人が普段その土地を使っていないと把握しにくいものです。当事務所では、現地で道路の幅員や舗装、行き止まりかどうかを確認し、写真を撮影したうえで明細書を作成しています。記載と現況が食い違えば、回答までの期間が延びたり、評価の前提が変わったりするおそれがあるためです。
相続財産に私道の奥の土地や評価が難しい土地が含まれる場合は、早めに専門家へご相談ください。当事務所の堺市の相続税申告サポートでも、土地の現地確認から特定路線価の申出、申告書の作成まで対応しています。
今すぐやるべきこと:申出までの5ステップ
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- ステップ1:土地ごとに路線価図で接道状況を確認する
財産評価基準書で相続や贈与があった年分の路線価図を開き、相続や贈与で取得した土地ごとに、接している道路に路線価が付いているかを確認します。倍率地域の土地は評価倍率表で確認します。取得した土地が多い場合は、土地ごとに所在地、地積、接している道路の状況を一覧表にまとめておくと、後の判定と評価がスムーズです。 - ステップ2:6つの確認項目に沿って対象かを判定する
提出チェックシートの6項目を順に確認します。年分の路線価が未公開であれば、公開を待つ間に他の項目を確認しておきます。道路が建築基準法上の道路等に当たるかは、都道府県又は市区町村の建築指導課等で確認します。該当しない項目がある場合は、無道路地の評価など他の方法で評価できないかを検討し、申出をするかどうかをこの段階で判断します。 - ステップ3:明細書と添付資料をそろえる
別紙の明細書に、土地等の所在地、利用状況と地積、道路の幅員・舗装・こう配などを記載し、物件案内図、地形図、写真等を用意します。上下水道や都市ガスの引込み状況、用途地域、建蔽率及び容積率は、現地確認と役所での調査で裏付けを取ってから記載します。 - ステップ4:納税地の税務署に申出書を提出する
相続税は被相続人の住所地、贈与税は受贈者の住所地を所轄する税務署に、持参又は送付で提出します。チェックシートも申出書に添付します。郵送する場合は控えを残し、窓口に持参する場合は受付時間が原則として午前9時から午後3時までである点に注意します。 - ステップ5:回答を待つ間に他の財産の評価を進める
設定には概ね1~2か月程度かかるため、その間に預貯金や有価証券など他の財産の評価と遺産分割の協議を進め、回答の受領後すぐに土地の評価明細書を作成できるようにします。申告期限から逆算した予定表を作り、相続人の間で進み具合を共有しておくと安心です。回答の内容に疑問があれば、評価を担当する税務署へ早めに確認します。
よくある質問
- Q. 路線価図で自宅前の道路に数字がない場合、必ず特定路線価が必要ですか?
- A. 必ずではありません。評価する土地が路線価の設定されている道路に接していれば、その路線価を基に評価します。路線価の設定されていない道路のみに接している場合でも、倍率地域であれば固定資産税評価額に倍率を乗じて評価します。特定路線価は、路線価地域内で路線価のない道路のみに接している土地を評価する場合の仕組みです。
- Q. 特定路線価の申出は誰がするのですか?
- A. B2-11の手続対象者は、相続税又は贈与税の申告のために特定路線価の設定が必要となる者です。相続であれば土地を取得した相続人など、贈与であれば受贈者が該当します。税理士に申告を依頼している場合は、書類の準備を任せることもできます。申出書には申出者の氏名などを記載し、チェックシートにも申出者氏名を記入して添付します。
- Q. 申出書はどこの税務署に出せばよいですか?
- A. 納税地を所轄する税務署に提出します。納税地は、相続税の場合は被相続人の住所地、贈与税の場合は受贈者の住所地です。土地が遠方にある場合でも、提出先は土地の所在地の税務署とは限りません。回答は、対象の土地の評価を担当する税務署が行います。提出方法は持参又は送付です。
- Q. 特定路線価が設定されるまでどのくらいかかりますか?
- A. 国税庁の手続案内では、特定路線価の設定には概ね1~2月程度の期間を要するとされています。さらに、設定を必要とする年分の路線価が公開されていることが申出の前提です。相続税の申告期限は10か月以内のため、相続開始後の早い段階で申出が必要な土地を洗い出し、書類の準備に取りかかることが大切です。
- Q. 土地を売却する価格の参考に特定路線価を付けてもらえますか?
- A. できません。チェックシートでは、相続税又は贈与税の申告以外の目的のためには特定路線価を設定できないとされています。売却や遺産分割の協議のために土地の価格を知りたい場合は、不動産会社の査定や不動産鑑定など別の方法を検討してください。特定路線価は、あくまで相続税や贈与税の課税上の評価のための制度です。
- Q. 私道が建築基準法上の道路でない場合はどうなりますか?
- A. 特定路線価は、原則として建築基準法上の道路等に設定されます。該当しない通路にしか接していない土地は、財産評価基本通達20-3の無道路地(接道義務を満たしていない宅地を含む)に当たるかを検討します。無道路地は、実際に利用している路線の路線価を基に計算し、100分の40の範囲内で相当額を控除して評価します。
- Q. 特定路線価が設定された後は、どのように評価するのですか?
- A. 財産評価基本通達14-3により、その道路を路線とみなして宅地を評価します。路線価方式は、路線価を基とし、奥行価格補正などの定めにより計算した金額によって評価する方式です(同通達13)。計算には国税庁の「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を使用でき、形状に応じた補正もあわせて検討します。
- Q. 申出書を出せば必ず特定路線価が設定されますか?
- A. 必ずではありません。記載方法等の注記では、申出書を提出した場合でも、路線価を基に課税の対象となる土地等を評価することができるときには、特定路線価を設定しないとされています。チェックシートの6項目を事前に確認し、該当しない項目がある場合は、他の評価方法で評価できないかをあわせて検討してください。
参考資料・出典
- 国税庁 B2-11 特定路線価設定申出書
- 国税庁 特定路線価設定申出書 記載方法等(PDF)
- 国税庁 特定路線価設定申出書の提出チェックシート(PDF)
- 国税庁 相続税財産評価に関する基本通達(財産評価基本通達)
- 国税庁 財産評価基本通達 第2節 宅地及び宅地の上に存する権利(11〜14-3)
- 国税庁 財産評価基本通達(不整形地の評価・無道路地の評価)
- 国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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