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地積規模の大きな宅地の評価2026|500㎡以上の土地の減額要件と計算

地積規模の大きな宅地の評価の要件と計算を解説する記事のタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:地積規模の大きな宅地の評価は、平成30年1月1日以後の相続等で取得した広い宅地の評価額を規模格差補正率で引き下げる、評価通達20-2の定めです。
  • 2ポイント2:三大都市圏では500平方メートル以上、それ以外は1,000平方メートル以上が基準で、堺市は全域が三大都市圏です。
  • 3ポイント3:地区区分や指定容積率を確認してチェックシートを作成し、申告漏れがあれば法定申告期限から5年以内の更正の請求を検討しましょう。

相続した土地が広い場合、通常の評価額のまま申告すると相続税を払いすぎることがあります。財産評価基本通達には、一定の要件を満たす広い宅地の評価額を規模格差補正率で引き下げる「地積規模の大きな宅地の評価」が定められているからです。

要件の確認に都市計画の情報が必要なため、見落としやすい評価でもあります。税理士職業賠償責任保険の事故事例集にも、市街地にある農地にこの評価を適用せずに申告し、更正の請求ができる期間を過ぎてしまった事例が掲載されています。本記事では、国税庁の資料をもとに要件と計算方法を整理します。

地積規模の大きな宅地の評価の概要:対象と計算式

平成30年1月1日以後の相続から適用される評価方法

国税庁のパンフレットによれば、平成29年9月の財産評価基本通達の一部改正により、評価通達20-2として地積規模の大きな宅地の評価が新設されました。平成30年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得する宅地で、一定の要件を満たすものはこの定めを適用して評価します。この改正に伴い、広大地の評価(改正前の評価通達24-4)は廃止されています。

国税庁の情報によれば、新設の趣旨は、地積規模の大きな宅地を戸建住宅用地として分割分譲する場合に発生する減価を反映させることにあります。具体的には、道路や公園などの潰れ地の負担による減価、上下水道などの工事・整備費用等の負担による減価、開発分譲業者の事業収益・事業リスク等の負担による減価の3つが挙げられています。旧来の広大地の評価は適用要件が定性的(相対的)で判断に苦慮する問題があったため、新しい評価では地区区分や都市計画法の区域区分等を基に定量的(絶対的)な要件とされました。

地積規模の大きな宅地とは

タックスアンサーNo.4609によれば、地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地をいいます。ただし、次のいずれかに該当する宅地は除かれます。

  • 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号または第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
  • 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
  • 指定容積率が400パーセント(東京都の特別区においては300パーセント)以上の地域に所在する宅地
  • 財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

さらに、路線価地域にある宅地は、普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在するものに限って対象となります。倍率地域にある宅地は、地積規模の大きな宅地に該当すれば対象となります。

評価額の計算式と規模格差補正率

路線価地域では、路線価に奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて評価します。規模格差補正率は、地積をⒶとして、Ⓐ×Ⓑ+Ⓒを地積Ⓐで割り、0.8を乗じて計算します(小数点以下第2位未満は切り捨てます)。ⒷとⒸは地域と地積に応じて次の表のとおりです。

所在地域地積ⒷⒸ
三大都市圏500㎡以上1,000㎡未満0.9525
三大都市圏1,000㎡以上3,000㎡未満0.9075
三大都市圏3,000㎡以上5,000㎡未満0.85225
三大都市圏5,000㎡以上0.80475
三大都市圏以外1,000㎡以上3,000㎡未満0.90100
三大都市圏以外3,000㎡以上5,000㎡未満0.85250
三大都市圏以外5,000㎡以上0.80500

表の数値は普通商業・併用住宅地区と普通住宅地区に共通です。算式の構造上、地積が大きくなるほど規模格差補正率は小さくなり、評価額の減額幅が大きくなる仕組みです。

中小企業・地主への実務影響:三大都市圏の判定と計算例

堺市を含む三大都市圏の範囲

三大都市圏とは、首都圏整備法の既成市街地または近郊整備地帯、近畿圏整備法の既成都市区域または近郊整備区域、中部圏開発整備法の都市整備区域をいいます。国税庁のパンフレットに掲載された三大都市圏に該当する都市(平成28年4月1日現在)の表では、大阪府のうち大阪市、堺市、豊中市、吹田市などが全域、岸和田市、池田市、高槻市、和泉市などが一部とされています。堺市内の宅地であれば、500平方メートル以上という基準で地積を確認することになります。

表で一部とされている市町村については、評価対象地が指定された区域内に所在するかどうかを各市町村又は府県の窓口で確認するよう、パンフレットに注記があります。同じ市内でも結論が分かれる可能性があるため、所在地番ごとの確認が欠かせません。

オーナー経営者の土地で問題になりやすい場面

中小企業のオーナー経営者や地主の相続では、自宅の敷地、貸駐車場、市街地に残る農地、親から引き継いだまとまった土地など、面積の大きな土地が相続財産に含まれることが少なくありません。このうち、普通住宅地区や普通商業・併用住宅地区にある広い土地は、この評価の候補になります。

反対に、対象外となる典型例も押さえておく必要があります。国税庁の情報によれば、ビル街地区の宅地は戸建住宅用地として分割分譲されることが想定されず、高度商業地区及び繁華街地区の宅地も中高層の建物の敷地として利用されるのが標準的であることから、適用対象となりません。また、大規模工場用地とは一団の工場用地の地積が5万㎡以上のものをいい、これに該当すれば対象外です。工業専用地域では住宅の建築ができないことも、除外の理由とされています。

評価対象地が2以上の用途地域にわたる場合は、その宅地の全部が、その宅地の過半の属する用途地域に所在するものとして判定します。工場と住宅が混在する地域にある土地は、どの用途地域が過半を占めるかで結論が変わるため、測量図と都市計画図を重ねて確認する必要があります。

市街化調整区域でも対象になる例外

市街化調整区域は、原則として宅地開発を行うことができない地域であるため対象外です。ただし国税庁の情報によれば、都市計画法第34条第10号の地区計画や集落地区計画の区域、第11号のいわゆる条例指定区域のように、宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域内の宅地は、地積規模を満たせば対象となります。一方で、これらの区域であっても一定規模以上の店舗等の開発は認められるが宅地分譲に係る開発は認められていないような場合には、適用対象とならないことに留意する必要があるとされています。

倍率地域にある土地の比較計算

倍率地域にある土地は、固定資産税評価額に倍率を乗じた価額と、標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額を基に規模格差補正率などを乗じた価額の、いずれか低い価額で評価します。国税庁の質疑応答事例は、この1平方メートル当たりの価額について、評価対象となる宅地の近傍の固定資産税評価に係る標準宅地の1平方メートル当たりの価額を基に計算することが考えられるとしています。郊外の倍率地域にまとまった土地を持つ場合も、比較計算を省略しないことが大切です。

国税庁パンフレットの計算例

国税庁のパンフレットには、三大都市圏の普通住宅地区にある地積600㎡、奥行30m、路線価300,000円の宅地の計算例が示されています。まず規模格差補正率は、600㎡×0.95+25を600㎡で割り、0.8を乗じて0.79となります(小数点以下第2位未満切捨て)。次に、路線価300,000円に奥行30mに応ずる奥行価格補正率0.95を乗じた奥行価格補正後の1㎡当たりの価額は285,000円です。これに規模格差補正率0.79を乗じた1㎡当たりの価額が225,150円となり、地積600㎡を乗じた自用地の価額は135,090,000円となります。

ポイント
規模格差補正率は、奥行価格補正率や不整形地補正率などの画地補正率と重ねて乗じます。旧来の広大地の評価では各種の画地補正を適用しない扱いでしたが、新しい評価では各種画地補正率のほかに規模格差補正率を乗じる点が大きな違いです。

当事務所の見解・実務上の注意点:見落としやすい場面

当事務所では、相続税の申告で土地を評価する際、面積が基準に近い土地はすべてこの評価の適用要件を確認する手順にしています。見落としが起きやすいのは、次のような場面です。

市街地農地や市街地山林にも適用がある

国税庁の質疑応答事例によれば、市街地農地について適用要件を満たす場合には適用対象となり、市街地周辺農地、市街地山林及び市街地原野についても同様です。ただし、宅地へ転用するには多額の造成費を要するため経済合理性の観点から宅地への転用が見込めない場合や、急傾斜地などのように宅地への造成が物理的に不可能な場合は、戸建住宅用地としての分割分譲が想定されないため対象となりません。

市街地農地は、宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から、宅地に転用する場合にかかる通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額を控除して評価します(タックスアンサーNo.4623)。宅地であるとした場合に地積規模の大きな宅地の評価の対象となるときは、その1平方メートル当たりの価額の計算にこの評価を適用します。宅地造成費の金額は国税局長が地域ごとに定めており、路線価図・評価倍率表のページで確認できます。国税庁の計算例⑦(市街地農地の場合)も、奥行価格補正後の価額、規模格差補正率、宅地であるとした場合の価額、市街地農地の評価額の順に計算しています。なお、旧来の広大地の評価では、広大地補正率の中で宅地造成費相当額を考慮していたため、市街地農地等でも宅地造成費相当額を控除せずに評価していました。過去の評価方法の感覚のまま計算すると、造成費の控除を落とすおそれがあります。

評価単位と共有地の判定

地積規模の要件は、利用の単位となっている1画地の宅地(評価単位)ごとに判定します。遺産分割等によって宅地を分割した場合は、原則として分割後の画地を1画地の宅地としますが、親族間等での分割が著しく不合理であると認められるときは、分割前の画地を1画地の宅地とします。共有地については、持分に応じてあん分する前の共有地全体の地積で判定します。

容積率は指定容積率で判定する

容積率の要件は、建築基準法第52条第1項の指定容積率で判定します。前面道路の幅員に基づく基準容積率が400%未満であっても、指定容積率が400%以上であれば要件を満たしません。指定容積率の異なる2以上の地域にわたる場合は、面積割合で加重平均した容積率で判定します。

過去の申告で適用を漏らしていた場合は、法定申告期限から5年以内であれば更正の請求ができます。期限を過ぎると取り戻せなくなるため、気になる土地があれば早めに相続税申告のサポートをご相談ください。

今すぐやるべきこと:適用可否を確認する5ステップ

相続税の申告を控えている方も、すでに申告を終えた方も、次の順番で土地ごとに確認してください。

  1. ステップ1:路線価図・評価倍率表で地区区分を確認する
    相続開始年分の路線価図で、評価対象地が普通住宅地区または普通商業・併用住宅地区にあるかを確認します。倍率地域であれば、評価倍率表で倍率を確認します。路線価地域で地区区分が対象外であれば、この時点で適用はありません。
  2. ステップ2:評価単位ごとの地積を確定する
    利用の単位となっている1画地ごとに地積を確定します。共有地は持分であん分する前の全体の地積で判定し、遺産分割で分ける予定の土地は分割後の画地を前提に確認します。分割の方法によって結論が変わる場合は、遺産分割協議の前に評価への影響を試算しておきます。
  3. ステップ3:都市計画の情報を確認する
    市街化調整区域かどうか、用途地域、指定容積率を、評価対象地が所在する市区町村のホームページまたは窓口で確認します。三大都市圏のうち一部の区域指定の市町村は、区域内かどうかも確認します。
  4. ステップ4:適用要件チェックシートと評価明細書を作成する
    国税庁の適用要件チェックシートで全項目を確認し、確認結果の全てが「はい」の場合に評価を適用します。チェックシートは土地及び土地の上に存する権利の評価明細書に添付して提出します。相続税の申告では、明細書をe-Taxソフトで作成してe-Taxにより提出でき、書面で作成して持参又は送付により提出することもできます。
  5. ステップ5:過去の申告を見直す
    すでに申告を終えた相続で広い土地を通常の方法で評価していた場合は、適用要件を確認し、法定申告期限から5年以内であれば更正の請求を検討します。市街地農地や貸駐車場など、宅地以外の地目や利用状況の土地も見直しの対象に含めてください。
1項目でも要件を満たさなければ適用できない
国税庁のチェックシートは、確認結果欄の全てが「はい」の場合にのみ地積規模の大きな宅地の評価を適用して評価するとしています。面積が基準を超えていても、地区区分、市街化調整区域、用途地域、容積率、大規模工場用地のいずれかで要件を外れれば適用できません。判断に迷う項目は、資料の写しを残して根拠を説明できるようにしておきましょう。

よくある質問

Q. 広大地の評価と地積規模の大きな宅地の評価は何が違うのですか?
A. 広大地の評価は平成30年1月1日以後の相続等では廃止され、地積規模の大きな宅地の評価に置き換わりました。国税庁の情報によれば、広大地の評価は面積に応じて比例的に減額する方法で、適用要件も定性的(相対的)でした。新しい評価は地区区分や都市計画法の区域区分等を基にした定量的(絶対的)な要件とされ、各種画地補正率のほかに規模格差補正率を乗じて評価します。
Q. 兄弟で共有している土地は、持分の面積で判定するのですか?
A. 持分ではなく、共有地全体の地積で判定します。国税庁の質疑応答事例は、複数の者に共有されている宅地については、共有者の持分に応じてあん分する前の共有地全体の地積により地積規模を判定するとしています。持分2分の1ずつの共有で、あん分した地積が基準を下回っても、全体の地積が三大都市圏で500平方メートル以上であれば要件を満たします。
Q. 市街地にある畑や山林にも、この評価は使えますか?
A. 使える場合があります。市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林及び市街地原野は、宅地であるとした場合に適用要件を満たせば対象となります。ただし、路線価地域では普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものに限られます。また、造成費が多額で宅地への転用が経済的に見込めない土地や、急傾斜地などで造成が物理的に不可能な土地は対象となりません。
Q. 倍率地域にある広い土地は、どのように評価しますか?
A. 倍率地域では、固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額と、その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に普通住宅地区の奥行価格補正率などの画地補正率と規模格差補正率を乗じ、地積を乗じた価額の、いずれか低い価額で評価します。倍率地域では地区区分の要件がなく、地積規模の大きな宅地に該当すれば対象となります。
Q. 容積率は前面道路の幅員による容積率で判定してもよいですか?
A. いいえ、指定容積率で判定します。国税庁の質疑応答事例によれば、指定容積率が400%以上(東京都の特別区においては300%以上)である場合には、前面道路の幅員に基づく基準容積率が400%未満(東京都の特別区においては300%未満)であっても、容積率の要件を満たしません。用途地域と指定容積率は市区町村で確認します。
Q. 過去の相続税申告で適用を漏らしていたら、どうすればよいですか?
A. 更正の請求を検討します。国税庁の手続案内によれば、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する相続税の申告については、法定申告期限から5年以内に更正の請求ができます。更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類等を添付して、納税地を所轄する税務署に提出します。期限を過ぎると請求できないため、早めの確認が大切です。
Q. 堺市にある土地は、三大都市圏の基準で判定するのですか?
A. はい。国税庁のパンフレットに掲載された三大都市圏に該当する都市(平成28年4月1日現在)の表では、堺市は大阪府の全域指定の市に含まれています。そのため、堺市内の宅地は500平方メートル以上が地積の基準です。大阪府内でも岸和田市や和泉市などは一部指定とされているため、区域内かどうかを市町村の窓口などで確認してください。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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