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消費税の内外判定2026|国外取引の不課税と輸出免税の違いと注意点

消費税の内外判定と国外取引の不課税・輸出免税の違いを解説する記事のタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:消費税は国内取引だけが課税対象で、国外取引は不課税です。役務の提供は、原則として役務の提供が行われた場所で国内取引かどうかを判定します。
  • 2ポイント2:非居住者に対する国内での役務の提供は原則として輸出免税ですが、不課税と免税では課税売上割合の扱いが異なり、仕入控除税額の計算に影響します。
  • 3ポイント3:決算前に海外関連の取引を一覧にして内外判定と免税要件を確認し、令和8年10月1日以後の改正点と一括比例配分方式の2年継続も踏まえて試算しましょう。

海外の取引先にサービスを提供したり、海外の親会社から業務を受託したりする中小企業が増えています。こうした取引では、まず国内取引か国外取引かを判定し(内外判定)、国内取引であれば輸出免税に当たるかどうかを確認するという順序で消費税の扱いを決めます。国外取引は消費税の課税対象外(不課税)であり、輸出免税とは別の区分です。

この2つを取り違えると、納める税額だけでなく、課税売上割合や仕入税額控除の計算方法の選択にも影響します。税理士職業賠償責任保険の事故事例集にも、国外の本社に対するサービスの売上を不課税ではなく免税と誤認して一括比例配分方式を選び、翌期まで方式を変えられずに損害が生じた事例が掲載されています。本記事では、国税庁の資料をもとに判定の考え方と注意点を整理します。

消費税の内外判定の概要:国外取引は不課税

課税の対象は国内取引に限られる

タックスアンサーNo.6105によれば、消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および特定仕入れならびに保税地域から引き取られる外国貨物の引取り(輸入取引)に限られ、国外において行われる取引および資産の譲渡等に該当しない取引は、課税の対象とはなりません。タックスアンサーNo.6210も、国外取引については、消費税は課税されません(不課税)としています。

ここでいう資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡および資産の貸付けならびに役務の提供をいい、資産には棚卸資産や固定資産のような有形資産のほか、権利その他の無形資産が含まれます。タックスアンサーNo.6209は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引に当たらない取引を一般的に不課税取引といい、例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たるとしています。

資産の譲渡と役務の提供で判定基準が異なる

国内取引か国外取引かの判定は、取引の種類によって基準が異なります。

  • 資産の譲渡または貸付け:一定の例外を除き、譲渡または貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所で判定します。
  • 役務の提供:一定の例外を除き、その役務の提供が行われた場所で判定します。
  • 電気通信利用役務の提供(電子書籍・音楽・広告の配信などインターネット等を介して行われる役務の提供):役務の提供を受ける者の住所等で判定します。

消費税法基本通達5-7-15によれば、役務の提供が行われた場所とは、現実に役務の提供があった場所として具体的な場所を特定できる場合にはその場所をいい、特定できない場合であっても役務の提供に係る契約において明らかにされている役務の提供場所があるときは、その場所をいいます。

国内と国外にわたる役務の提供と三国間貿易

No.6210は、国内の事業者から特定国の市場調査を請け負い、国外で市場調査を行い、日本で調査結果を分析し報告書を作成する取引を、国内および国外にわたって行われる役務の提供の例に挙げています。この場合、国内対応部分と国外対応部分の対価が契約において合理的に区分されていればその区分により、区分されていなければ役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地で判定します。また、国外で購入した資産を国内に搬入することなく他へ譲渡する三国間貿易は、経理処理のいかんに関わらず国外取引に該当します。

課税・免税・非課税・不課税の違い

区分内容の例課税売上割合の計算
免税(輸出取引等)商品の輸出、非居住者に対する役務の提供など分母と分子の双方に算入
非課税土地や有価証券の譲渡、預貯金の利子など原則として分母のみに算入
不課税国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附など分母にも分子にも算入しない

タックスアンサーNo.6205によれば、免税とされる輸出や輸出類似取引は課税資産の譲渡等に当たり、そのために行った課税仕入れについては、原則として仕入れに係る消費税額を控除することができます。

中小企業への実務影響:海外向けサービスと課税売上割合

非居住者向けサービスは原則として輸出免税

タックスアンサーNo.6567によれば、非居住者に対する役務の提供は一般的には輸出免税の規定が適用され、消費税が免除されます。ただし、次のものは免除されません。

  • 国内に所在する資産の運送や保管
  • 国内における飲食または宿泊
  • 国内に所在する不動産(不動産の上に存する権利を含みます。)の売買、交換または貸借の代理または媒介
  • 上記に準ずるもので、国内において直接便益を受けるもの

また、国内に支店または出張所等を有する非居住者に対する役務の提供は、原則としてこれら支店等を通じて行ったものとして消費税は免除されません。一方、非居住者に対して行った腕時計の修理や弁護士等が行う法律相談は、サービスの効果が国内のみで終結せず帰国後も継続するため免除されるとされています。

非居住者の意味と免税を受けるための書類

ここでいう非居住者とは、外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者をいい、本邦内に住所または居所を有しない自然人および本邦内に主たる事務所を有しない法人が該当します。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上の代理権があるかどうかにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者とみなすこととされています。

輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要です。非居住者に対する役務の提供の場合は、契約書その他の書類で一定事項が記載されたものを整理し、納税地等に7年間保存する必要があります。商品の輸出の場合は、輸出の許可を受ける貨物であれば輸出許可書が必要です。書類が不十分なまま免税として申告すると、税務調査で免税が認められないおそれがあります。

令和8年10月1日からの変更点

国内に所在する不動産の売買、交換または貸借の代理または媒介は、令和8年10月1日以後に行われる資産の譲渡等について免税の対象外とされました。なお、令和8年3月31日までに締結された契約に基づき事業者が行う資産の譲渡等については、改正前の消費税法が適用されるため、輸出免税の対象となります。不動産仲介業者や、海外投資家向けに国内物件の仲介を行う事業者は、契約の締結日と役務の提供日の両方を確認する必要があります。

また、タックスアンサーNo.6551によれば、令和8年10月1日以後に行う輸出取引のうち、代金を現金または支払いがその取引相手からのものであることが明らかでない方法により受領する場合は、輸出許可書などに加えて、仕向国の税関において発行される輸入許可書といった輸入事実を証する書類を保存する必要があります。銀行振込や荷為替手形による決済は、これに該当しないとされています。

課税売上割合と仕入控除税額の計算方法

タックスアンサーNo.6401によれば、課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95パーセント未満の場合は、課税仕入れ等に係る消費税額の全額ではなく、個別対応方式または一括比例配分方式のいずれかで計算した金額を控除します。課税売上割合は、分母を総売上高、分子を課税売上高とする割合で、輸出による免税売上高は双方に含まれ、不課税取引の売上高は双方に含まれません(No.6405)。

つまり、国外取引の売上を免税として処理すると課税売上割合の計算が変わり、95パーセントの判定や、個別対応方式と一括比例配分方式の有利判定まで誤るおそれがあります。海外売上の比率が高い会社ほど、この影響は大きくなります。

なお、No.6401の注記によれば、課税売上割合に準ずる割合について所轄税務署長の承認を受けていたとしても、課税売上高が5億円以下である場合に全額控除できる課税売上割合が95パーセント以上であるかどうかは、本来の課税売上割合で判定します。また、国外における資産の譲渡等のため資産を輸出した場合は、課税売上割合の計算上、その輸出額に相当する額も総売上高と課税売上高の双方に含まれます(No.6405)。

当事務所の見解・実務上の注意点:判定ミスを防ぐ3つの視点

当事務所では、海外と関係する売上がある顧問先について、決算前に取引ごとの判定を一覧表にまとめて確認しています。実務で特に注意しているのは次の3点です。

相手が非居住者かどうかより先に、役務の提供場所を確認する

非居住者向けだから免税という発想で処理すると、国外で完結する役務の提供まで免税に入れてしまいます。判定の順序は、まず役務の提供が行われた場所で国内取引かどうかを判定し、国内取引である場合に限って輸出免税の要件を確認するというものです。契約書に役務の提供場所を明記しておけば、具体的な場所を特定しにくい業務でも、基本通達5-7-15に沿って判定の根拠を示しやすくなります。

一括比例配分方式は2年間以上の継続適用が必要

一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。基本通達11-2-21は、翌課税期間以後に課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上となって全額控除が適用される場合も、一括比例配分方式を継続適用したこととなるとしています。誤った課税売上割合を前提に方式を選ぶと、その影響が翌期まで続きます。

個別対応方式を選ぶ場合は、個々の課税仕入れ等をすべて区分する必要があります。基本通達11-2-18は、課税資産の譲渡等にのみ要するものを抽出し、それ以外を全て共通して要するものとして区分することは認められないとしています。共通して要するものであっても、生産実績その他の合理的な基準により区分することが可能なものについて当該合理的な基準により区分している場合には、その区分により個別対応方式を適用して差し支えないとされています(基本通達11-2-19)。この用途区分は、原則として課税仕入れを行った日の状況により行います(基本通達11-2-20)。なお、一括比例配分方式では課税売上割合に準ずる割合は適用できません。

海外の事業者から受けるサービスにも注意する

海外の事業者から受けるクラウドサービスや広告配信などの電気通信利用役務の提供は、受ける側の住所等で判定するため国内取引となり得ます。事業者向け電気通信利用役務の提供は、受けた国内事業者が特定課税仕入れとして申告・納税する仕組みです(No.6118)。海外取引が増えてきた段階で、売上と仕入の両面から判定の体制を見直すことをおすすめします。判定に迷う取引がある場合は、堺市の税務顧問として個別の契約内容を確認したうえでご相談に応じています。

今すぐやるべきこと:決算前に確認する5ステップ

海外と関係する取引がある会社は、次の順番で決算前に確認を進めてください。

  1. ステップ1:海外と関係する取引を洗い出す
    売上と仕入の両方について、取引先の所在地、役務の提供場所、資産の所在場所、インターネット等を介した役務の提供かどうかを一覧にします。親会社や海外子会社との間の業務委託、技術支援、事務代行などのグループ内取引も漏らさず含めます。
  2. ステップ2:内外判定を行う
    資産の譲渡は資産の所在場所、役務の提供は提供が行われた場所、電気通信利用役務の提供は受ける者の住所等で判定します。国内と国外にわたる役務の提供は、契約で対価が合理的に区分されているかを確認します。区分がなければ、役務の提供を行う者の事務所等の所在地で判定されます。
  3. ステップ3:国内取引について輸出免税の要件を確認する
    非居住者に対する役務の提供でも、国内での飲食・宿泊、国内資産の運送や保管、国内に支店等を有する非居住者への提供などは免税になりません。令和8年10月1日以後の国内不動産の代理または媒介も確認し、令和8年3月31日までに締結された契約に基づくものかどうかを区別します。
  4. ステップ4:証明書類を整える
    非居住者に対する役務の提供は、契約書その他の書類で一定事項が記載されたものを、納税地等に7年間保存します。現金等で代金を受領する輸出取引は、輸入許可書などの追加書類も準備します。書類には電磁的記録を含みます。
  5. ステップ5:課税売上割合と控除方式を試算する
    不課税と免税を正しく区分したうえで課税売上割合を計算し、個別対応方式と一括比例配分方式の有利判定を行います。一括比例配分方式は2年間以上継続適用が必要な点も踏まえて選択します。
経理処理の名目では区分が決まらない
三国間貿易は、その経理処理のいかんに関わらず国外取引に該当し、課税の対象とはなりません。会計ソフトの税区分を輸出免税にしていても、取引の実態が国外取引であれば不課税です。税区分の設定は取引の実態に合わせて見直してください。

よくある質問

Q. 海外の親会社から受託した業務の売上は、輸出免税になりますか?
A. まず役務の提供が行われた場所を確認します。国外で行った役務の提供であれば国外取引として不課税となり、輸出免税ではありません。国内で行った役務の提供で、相手が非居住者であれば原則として輸出免税の対象となります。ただし、国内に支店または出張所等を有する非居住者に対する役務の提供は、原則としてこれら支店等を通じて行ったものとして免除されません。
Q. 不課税と免税では、何が違うのですか?
A. どちらも売上に消費税はかかりませんが、課税売上割合の計算が異なります。免税とされる輸出取引等の売上高は課税売上割合の分母と分子の双方に含まれ、不課税取引の売上高は分母にも分子にも含まれません。また、免税取引は課税資産の譲渡等に当たるため、そのために行った課税仕入れについては原則として仕入れに係る消費税額を控除することができます。
Q. 国内と海外の両方で行う業務は、どのように判定しますか?
A. 国内対応部分と国外対応部分の対価が契約において合理的に区分されている場合は、その区分により判定します。区分されていない場合は、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地で判定します。国内の事務所で業務を行う会社が区分のない契約を結ぶと、全体が国内取引と判定されることになるため、契約書の作り方が重要です。
Q. 海外のクラウドサービスの利用料には、消費税の手続が必要ですか?
A. 電気通信利用役務の提供は、提供を受ける者の住所等で内外判定するため、国内の事業者が受ける場合は国内取引となります。国外事業者から受ける事業者向け電気通信利用役務の提供は、受けた側が特定課税仕入れとして申告・納税します。ただし、一般課税で課税売上割合が95パーセント以上の課税期間や、簡易課税制度が適用される課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます。
Q. 一括比例配分方式を選んだ翌年に、個別対応方式へ変更できますか?
A. できません。一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。基本通達11-2-21によれば、翌課税期間に課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上となり全額控除が適用された場合も、一括比例配分方式を継続適用したこととなります。選択前の試算が欠かせません。
Q. 訪日外国人向けの飲食や宿泊のサービスは、輸出免税になりますか?
A. なりません。非居住者に対する役務の提供は一般的には輸出免税の対象ですが、国内における飲食または宿泊は免除されないものとして明記されています。旅客の運送、理容または美容、劇場や映画館などにおける観劇なども、消費税が免除されない取引の具体例に挙げられています。相手が外国人であることだけでは免税になりません。
Q. 取引先が非居住者かどうかは、どのように判断しますか?
A. 外国為替及び外国貿易法に規定する非居住者をいい、本邦内に住所または居所を有しない自然人と、本邦内に主たる事務所を有しない法人が該当します。外国法人であっても、その本邦内の支店、出張所その他の事務所は居住者とみなされます。取引の相手先が日本の支店である場合や、国内に支店等を有する非居住者である場合は、免税にならないことがあるため、契約の当事者を確認してください。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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