堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
特定同族会社の留保金課税2026|資本金1億円以下でも対象となる判定基準
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:留保金課税(特定同族会社の特別税率)は、特定同族会社が留保控除額を超えて所得等を留保した場合に、通常の法人税に加えて10%から20%の税率で課税する制度です。
- 2ポイント2:期末の資本金の額が1億円以下の会社は原則として対象外ですが、資本金5億円以上の法人などの大法人に発行済株式等の全部を保有されている会社は対象になります。
- 3ポイント3:決算前に資本金、株主構成、親会社との関係を確認し、別表二の判定と留保控除額の試算を済ませておきましょう。
CONTENTS目次
オーナー経営の会社が利益を配当せずに社内に蓄えると、通常の法人税とは別に追加の法人税がかかる場合があります。特定同族会社の留保金課税と呼ばれる制度で、法人税法第67条に定められています。中小企業の多くは資本金の額が1億円以下のため対象外と考えられがちですが、親会社の規模によっては資本金が小さくても対象になります。
反対に、本来は対象外なのに特定同族会社と誤って判定し、払う必要のない税金を納め続けてしまう失敗も、税理士の賠償事故として報告されています。本記事では、国税庁が公表している別表の記載要領と判定フローに沿って、判定の流れ、税額の計算、決算前に確認すべき点を整理します。
特定同族会社の留保金課税の概要:特別税率と判定の流れ
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留保した所得に上乗せされる特別税率
国税庁の別表三(一)の記載要領によれば、別表三(一)は、別表二の判定結果において特定同族会社に該当する法人が、法第67条第1項(特定同族会社の特別税率)の規定の適用を受ける場合に使用します。特定同族会社が各事業年度の所得等のうち一定額を超えて社内に留保すると、その超える部分(課税留保金額)に特別税率を乗じた金額が、通常の法人税額に加算されます。
別表三(一)の様式では、課税留保金額を3つの段階に分けて税額を計算します。
| 課税留保金額の区分 | 税率 |
|---|---|
| 年3,000万円相当額以下の金額 | 10% |
| 年3,000万円相当額を超え年1億円相当額以下の金額 | 15% |
| 年1億円相当額を超える金額 | 20% |
年3,000万円相当額と年1億円相当額は、事業年度の月数で調整します。様式では3,000万円又は1億円に当期の月数を乗じて12で割った金額を使い、月数は暦に従って計算し、1月未満の端数は切り上げます。設立初年度や決算期を変更した年度のように事業年度が短い場合は、区分の金額も小さくなる点に注意が必要です。この特別税率による税額は、通常の法人税額とは別に計算され、法人税額に加算されます。
課税留保金額の計算の流れ
別表三(一)では、まず当期留保金額を計算します。様式によれば、別表四から転記する留保所得金額に前期末配当等の額を加え、当期末配当等の額と法人税額等の合計額を差し引くのが基本の形です。法人税額等の合計額には、法人税額及び地方法人税額の合計額と、住民税額(様式上は住民税の計算の基礎となる法人税額×10.4%)が含まれます。この当期留保金額から留保控除額を差し引いた金額が課税留保金額です。記載要領は、課税留保金額の計算と付表を先に記載し、次に税額の計算を記載する手順を示しています。
特定同族会社の判定の流れ
国税庁の資料、特定同族会社の判定についてでは、特定同族会社に該当するかどうかを次の順に判定できるとしています(法67①②)。
- 普通法人が被支配会社に該当するかを判定します。該当しなければ特定同族会社ではありません。
- 被支配会社に該当する場合、当期末における資本金の額又は出資金の額が1億円以下かを確認します。1億円を超えていれば特定同族会社です。
- 1億円以下の場合は、大法人による完全支配関係がある普通法人などの一定の法人に該当するかを確認し、該当すれば特定同族会社、該当しなければ特定同族会社ではありません。
ここでいう被支配会社とは、会社の株主等の1人並びにこれと特殊の関係のある個人及び法人が、その会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合等におけるその会社をいいます(法67②、令139の7)。持株割合だけでなく、議決権の数による判定などもある点に注意が必要です。さらに、判定の基礎となった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、その法人を判定の基礎となる株主等から除外して判定しても被支配会社に該当するものに限られます(法67①)。
中小企業への実務影響:資本金1億円以下でも対象となる会社
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資本金1億円以下でも対象となる4つの類型
判定フローの3段目で、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の被支配会社でも特定同族会社となる法人として、国税庁は次の4つを挙げています。
| 類型 | 内容(国税庁の判定フローの記載) |
|---|---|
| 大法人の完全子会社 | 大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人 |
| 複数の大法人による完全支配 | 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をいずれか一の法人が有するものとみなした場合に、その一の法人による完全支配関係があることとなる普通法人 |
| 投資法人 | 投資法人 |
| 特定目的会社 | 特定目的会社 |
大法人とは、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人、相互会社(外国相互会社を含みます。)、受託法人をいいます。たとえば、資本金5億円以上の企業の完全子会社として設立された会社や、大手企業に株式の全部を譲渡したあとの会社は、資本金の額が1億円以下であっても特定同族会社に該当し得ます。なお、国税庁は判定にあたって適用除外事業者の判定は必要ありませんと注記しています。
実務で見落としやすいのは、親会社が単独ではなく複数の会社で株式を持っている場合です。国税庁は、普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部を、いずれか一の法人が有するものとみなして判定する類型を挙げています。複数の大法人が株式の全部を分け合って持っている会社は、1社ごとの持株割合だけを見ると対象外に見えても、この類型に当たるかを確認する必要があります。親会社やその株主の資本金の額は、子会社側の決算資料には表れないため、グループ内で毎期情報を共有する仕組みを作っておくとよいでしょう。投資法人と特定目的会社は一般の事業会社には当てはまりにくい類型ですが、判定フロー上は資本金の額にかかわらず特定同族会社となる点を押さえておきましょう。
別表二の判定結果との関係
判定の結果は、別表二(同族会社等の判定に関する明細書)の判定結果欄に記載します。別表二の記載要領によれば、判定は次のとおりです。
| 別表二の判定割合 | 判定結果 |
|---|---|
| 特定同族会社の判定割合が50%超 | 特定同族会社 |
| 特定同族会社の判定割合が50%以下で、同族会社の判定割合が50%超 | 同族会社 |
| 同族会社の判定割合が50%以下 | 非同族会社 |
別表二の記載要領によれば、判定基準となる株主及び同族関係者の欄には、株主の1人とその同族関係者の所有する株式数等の合計が最も多いものから順次記載し、筆頭株主が非同族会社である場合にも1グループとして記載します。株主グループの数え方を誤ると、判定割合そのものが変わってしまいます。
別表三(一)の記載要領のチェックポイントは、別表二の特定同族会社の判定割合が50%超で、当事業年度終了の時における資本金の額若しくは出資金の額が1億円超の場合、又は完全支配関係のある大法人に発行済株式等の全部を保有されている場合に、別表三(一)を作成しているかを確認するよう求めています。
所得が0でも課税されることがある
留保金課税は、所得が少ない年なら関係ないとは限りません。記載要領は、当期の所得の金額の計算上、受取配当等の益金不算入額、受贈益の益金不算入額、繰越欠損金の損金算入額などがある場合には、当期の所得金額が0であっても、当期の留保金額について特定同族会社の特別税率が適用されることがありますと注意を促しています。子会社から配当を受け取る持株会社や、繰越欠損金を使っている会社は、所得金額だけで判断しないようにしましょう。留保控除額の所得基準額を計算する所得等の金額も、これらの金額を加えて計算する仕組みになっています。
当事務所の見解・実務上の注意点:判定誤りと留保控除額
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M&Aや増資のあとは必ず判定し直す
特定同族会社に当たるかどうかは、当期末の資本金の額と株主構成で毎期判定します。前期と同じ結果になるとは限りません。とくに注意したいのは、株式の譲渡や増資で株主が変わった期です。大法人に株式の全部を取得されれば資本金の額が1億円以下でも対象になり得ますし、反対に株主構成が変わって被支配会社に当たらなくなることもあります。
税理士の賠償事故の事例集には、M&Aで株主構成が変わったあと、特定同族会社に該当しない会社を該当すると誤認して留保金課税を適用し続け、更正の請求の期限を過ぎた年度の税額を取り戻せなかった例が掲載されています。判定の誤りは、税額が増える方向にも減る方向にも起こり得ます。当事務所では、株主の異動があった期は、間接保有も含めた出資関係の図を作り直してから別表二を作成することをおすすめしています。別表二の記載要領も、同族判定株主の同族関係者である法人の持株を除外して判定を行っていないかをチェックポイントに挙げています。
M&Aの検討段階でも、この判定は確認しておきたい項目です。買い手が大法人で、期末に大法人による完全支配関係がある状態になれば、対象会社は資本金の額が1億円以下でも特定同族会社に該当し得るため、利益を留保する方針のままだと追加の法人税が生じ得ます。売り手・買い手のどちらの立場でも、取得後の資本政策と配当方針を、留保金課税の有無を前提に話し合っておくと安心です。
留保控除額は3つの基準の最も多い金額
課税されるのは、留保した金額の全部ではありません。別表三(一)付表一によれば、留保控除額は次の3つのうちいずれか多い金額です。
| 基準 | 計算 |
|---|---|
| 所得基準額 | 所得等の金額×40% |
| 定額基準額 | 2,000万円×当期の月数÷12 |
| 積立金基準額 | 期末資本金の額又は出資金の額の25%相当額から期末利益積立金額を控除した金額(マイナスの場合は0) |
積立金基準額について、付表一の記載要領は、期末利益積立金額がマイナスである場合には、25%相当額にそのマイナスの金額の正数金額を加算した金額を記載するとし、25,000,000円と5,000,000円との合計額30,000,000円を記載する例を示しています。特定同族会社に当たる会社でも、この控除額の範囲内の留保であれば特別税率はかかりません。たとえば、留保控除額は少なくとも定額基準額以上になるため、月数が12の事業年度であれば、当期留保金額が2,000万円以下なら課税留保金額は生じません。判定で特定同族会社に当たったとしても、すぐに追加の税負担が生じるとは限らないため、3つの基準を並べて試算してから配当方針を検討することをおすすめします。
法人税の判定や別表の作成に不安がある場合は、堺市の税務顧問として当事務所が決算前の確認からお手伝いします。
今すぐやるべきこと:決算前に確認する5ステップ
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留保金課税の判定と計算は、決算が確定してから考えるのでは遅い場合があります。配当の決議や株主構成の変更と関係するため、次の順番で決算前に確認を進めてください。グループ会社がある場合は、各社の決算期がずれていても、親会社の資本金と保有関係は各社の期末時点で確認します。
- ステップ1:期末の資本金と株主構成を確認する
事業年度終了の時の資本金の額又は出資金の額と、株主グループごとの持株割合を一覧にします。期中に増資、株式譲渡、M&Aがあった場合は、期末時点の状態で確認し直します。 - ステップ2:親会社との完全支配関係を確認する
資本金の額が1億円以下でも、資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人などの大法人に発行済株式等の全部を保有されていないかを、間接保有も含めて確認します。 - ステップ3:別表二で特定同族会社を判定する
別表二の特定同族会社の判定割合が50%超かどうかを確認し、判定結果を記載します。被支配会社でない法人株主がいる場合は、その法人を除いても被支配会社に該当するかを確かめます。 - ステップ4:留保控除額の3つの基準を試算する
特定同族会社に該当する場合は、所得基準額、定額基準額、積立金基準額をそれぞれ計算し、最も多い金額を留保控除額とします。所得が0の年も、益金不算入額などがあれば試算が必要です。 - ステップ5:配当の決議時期と別表三(一)を確認する
当期末配当等の額は、配当基準日と決議日の要件を満たすものだけを記載します。前期末配当等の額は前事業年度の別表三(一)から転記し、申告書に添付する別表を最終確認します。
当期末配当等の額の記載に注意する
別表三(一)の記載要領は、当期末配当等の額について、当事業年度中に配当基準日があり、当事業年度終了の日の翌日から決算確定の日までに配当決議があった配当の額を記載しているかを確認するよう求めています。株主資本等変動計算書に記載されている当期中の支払配当の額をそのまま記載しないよう注意しましょう。
別表三(一)の記載要領は、当期末配当等の額について、当事業年度中に配当基準日があり、当事業年度終了の日の翌日から決算確定の日までに配当決議があった配当の額を記載しているかを確認するよう求めています。株主資本等変動計算書に記載されている当期中の支払配当の額をそのまま記載しないよう注意しましょう。
よくある質問
- Q. 資本金が1億円以下の会社なら、留保金課税はかからないのですか?
- A. 原則としてかかりませんが、例外があります。国税庁の判定フローによれば、当期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下の被支配会社でも、資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人などの大法人による完全支配関係がある普通法人、複数の大法人による完全支配関係がある一定の普通法人、投資法人、特定目的会社は特定同族会社に該当します。親会社の規模も確認してください。判定は当期末の状態で行います。
- Q. 赤字で所得が0の年でも、留保金課税がかかることはありますか?
- A. あります。別表三(一)の記載要領は、受取配当等の益金不算入額、受贈益の益金不算入額、繰越欠損金の損金算入額などがある場合には、当期の所得金額が0であっても、当期の留保金額について特定同族会社の特別税率が適用されることがあるとしています。持株会社や繰越欠損金を使っている会社は、所得金額だけで判断せず、別表三(一)付表一の所得等の金額と当期留保金額を計算して確認しましょう。
- Q. 留保控除額はどのように計算しますか?
- A. 別表三(一)付表一によれば、所得等の金額の40%相当額(所得基準額)、2,000万円に当期の月数を乗じて12で割った金額(定額基準額)、期末資本金の額の25%相当額から期末利益積立金額を控除した金額(積立金基準額)のうち、いずれか多い金額が留保控除額です。当期留保金額から留保控除額を差し引いた金額が課税留保金額となります。
- Q. 留保金課税の税率は何%ですか?
- A. 別表三(一)の様式では、課税留保金額のうち年3,000万円相当額以下の金額に10%、年3,000万円相当額を超え年1億円相当額以下の金額に15%、年1億円相当額を超える金額に20%を乗じて税額を計算します。年3,000万円相当額などは当期の月数で調整し、月数は暦に従って計算して1月未満の端数は切り上げます。この税額が通常の法人税額に加算されます。
- Q. 被支配会社とはどのような会社ですか?
- A. 国税庁の判定フローの注記によれば、会社の株主等の1人並びにこれと特殊の関係のある個人及び法人が、その会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合等におけるその会社をいいます(法67②、令139の7)。判定の基礎となった株主等に被支配会社でない法人がある場合は、その法人を除いても被支配会社に該当するものに限られます。
- Q. 配当を出すと、留保金課税の計算に影響しますか?
- A. 影響します。別表三(一)では、当期末配当等の額を当期留保金額の計算で差し引きます。記載の仕方によれば、この欄には法第67条第4項に規定する期末配当等により減少する利益積立金額に相当する金額を記載し、記載要領は、当事業年度中に配当基準日があり、当事業年度終了の日の翌日から決算確定の日までに配当決議があった配当の額を記載するよう求めています。
参考資料・出典
- 国税庁 別表二及び三(一)における特定同族会社の判定(R7.4.1以後終了事業年度分)
- 国税庁 別表三(一) 申告書作成上の留意点(R7.4.1以後終了事業年度分)
- 国税庁 別表三(一) 特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書(R7.4.1以後終了事業年度分)
- 国税庁 別表三(一)の記載の仕方(R7.4.1以後終了事業年度分)
- 国税庁 別表三(一)付表一 留保控除額の計算に関する明細書(R7.4.1以後終了事業年度分)
- 国税庁 別表三(一)付表一 申告書作成上の留意点(R7.4.1以後終了事業年度分)
- 国税庁 別表二 申告書作成上の留意点(R7.4.1以後終了事業年度分)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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