堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
越境ECの消費税2026|令和10年4月から1万円以下の輸入も国内課税
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:令和8年度税制改正により、令和10年4月1日以後に通信販売の方法で国外から国内へ発送する1万円以下の商品の販売が、国内取引として消費税の課税対象になります。
- 2ポイント2:影響を受けるのは、海外の倉庫から国内の顧客へ直送している販売事業者と、海外の通販サイトから少額の商品を仕入れている事業者です。国内事業者か国外事業者かは問われません。
- 3ポイント3:すぐやるべきは、1万円以下の判定単位の整理と売上の切り分けです。特定少額資産販売事業者の登録申請書は令和9年10月1日から提出できます。
CONTENTS目次
海外の倉庫から国内のお客様へ商品を直送している。あるいは、海外の通販サイトで少額の部品や消耗品をまとめて仕入れている。そうした取引をしている事業者にとって、令和10年4月1日は消費税の扱いが変わる日になります。国税庁は令和8年7月付でリーフレットとQ&Aを公表し、1万円以下の少額輸入貨物の販売を国内取引として課税する仕組みと、プラットフォーム課税の全体像を示しました。施行までまだ時間があるように見えますが、判定の単位を決めるだけでも商品マスタの見直しが必要になります。本記事では、中小企業の実務に必要な範囲に絞って整理します。
越境ECの消費税に関する制度・改正の概要
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令和8年度税制改正で見直された3つの内容
国税庁「国境を越えた電子商取引に係る消費税の課税関係について」によれば、令和8年度税制改正により、令和10年4月1日以後に通信販売の方法により行われる資産の譲渡について、消費税の課税関係の見直しが行われました。内容は次の3つです。
1つ目が「少額輸入貨物の譲渡に係る課税関係の見直し」です。事業者が通信販売の方法により国内以外の地域から国内に宛てて発送する資産の譲渡で、一の資産について対価の額が1万円(税抜き)以下のものは、「特定少額資産の譲渡」として、国内において行われた資産の譲渡として消費税の課税対象となりました。リーフレットは「特定少額資産の譲渡を行う事業者は、国内事業者であるか国外事業者であるかに関係なく、消費税の申告・納税を行う必要があります(消費税の免税事業者を除きます。)」と明記しています。
2つ目が「特定少額資産販売事業者の登録制度」です。これは任意の登録で、登録を受けると、保税地域から引き取られる課税貨物のうち、その登録事業者の特定少額資産の譲渡に係るものとして証明されたものについて、輸入者側の引取りに係る消費税が免除されます。
3つ目が「プラットフォーム課税」です。一定の要件を満たし国税庁長官から指定を受けたプラットフォーム事業者を第二種プラットフォーム事業者といい、そのデジタルプラットフォームを介して行われる一定の資産の譲渡については、第二種プラットフォーム事業者が譲渡を行ったものとみなして申告・納税を行うこととされました。リーフレットは、第二種プラットフォーム事業者を介して対価を収受する場合には、譲渡を行った事業者の側では申告・納税の対象とする必要はないとしています。裏を返せば、指定を受けていないプラットフォーム事業者を介して販売する場合や、自社が提供するショッピングサイトを介して販売する場合は、その譲渡を行った事業者が消費税の申告・納税を行うことになります。
3つはそれぞれ役割が異なります。1つ目が課税の範囲を決めるルール、2つ目が輸入時の二重の負担を避けるための任意の登録、3つ目が誰が申告・納税をするかを決めるルールです。自社がどの立場に当たるのかを先に決めてから読み進めると、必要な準備が絞り込めます。
「通信販売の方法」の範囲
国税庁のQ&Aによれば、ここでいう「通信販売の方法」とは、関税法施行令第59条第1項第6号に規定する通信販売の方法をいいます。具体的には、販売者が不特定かつ多数の者に販売条件を電気通信回線を通じて提示して行う商品の販売で、購入者が電子計算機を用いた送信により申込みの意思表示を行い、販売者が同様に承諾の意思表示を行う方法などが該当します。Q&Aは例として「出品・出店型のプラットフォームや自社通販サイトによる商品の販売」、「売手による即決価格が提示され、買手が当該要件により購入を決定するといったオークションサイトによる商品の販売」を挙げています。
1万円以下の判定が中小企業の実務に与える影響
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判定は「販売されている最小の単位ごと」
実務でまず決めなければならないのが、1万円以下かどうかを何単位で判定するかです。リーフレットは「一の資産について対価の額が1万円(税抜き)以下であるかどうかは、資産の販売されている最小の単位ごとに判定します」としたうえで、具体例を示しています。
| 販売の仕方 | 判定に使う金額 | 結論 |
|---|---|---|
| ボールペンを5本販売(12,500円) | 1本の金額で判定 | 特定少額資産の譲渡に該当します |
| ボールペン複数本を1つのセット商品として販売 | セットの金額(11,000円)で判定 | 特定少額資産の譲渡に該当しません |
| 100グラムあたり1,500円のコーヒー豆を1キロ販売 | 計量後の金額(15,000円)で判定 | 特定少額資産の譲渡に該当しません |
送料の扱いも押さえておきましょう。リーフレットは「特定少額資産の譲渡における対価の額には、別途徴収する送料の額は含まれません」としつつ、「特定少額資産の譲渡の対価の額と送料を明確に区分していない場合には、当該送料の額を含めた金額で判定する」と書いています。送料込み価格で売っているサイトは、この点だけで結論が変わる可能性があります。商品代金と送料を請求書や注文確認メールの上でどう表示しているかまで含めて、実際の運用を確認してください。
この判定は、一度決めれば終わりというものではありません。仕入価格の改定や為替の変動で1万円をまたぐ商品が出てきますし、新商品を追加するたびに同じ判断が必要になります。判定の考え方を社内で共有し、誰が担当しても同じ結論になる状態にしておくことが、結果として手戻りを減らします。
値引きと外貨建ての取扱い
Q&Aによれば、値引きして商品を販売する場合は、その値引き後の金額により1万円以下かどうかを判定します。購入総額から一律で値引きするキャンペーンを行っている場合には「個々の商品ごとの値引き額を明らかにする対応が必要となります」とされ、「一番高額な商品から値引きするなど、あらかじめ事業者において定めた方法により、特定の商品から値引きするといった対応も可能です」と示されています。
外貨建てで販売している場合は円換算が必要です。Q&Aは「例えば、その販売時(注文確定日)における為替相場により円換算する対応が考えられます」としています。商品の注文画面で円換算した金額を参考表記している場合は、その為替相場が合理的で継続して適用している限り、その金額で判定して差し支えないとされています。
免税事業者と簡易課税への影響
免税事業者であれば無関係かというと、そうとは限りません。リーフレットは事業者免税点制度の経過措置として、特定少額資産の譲渡を行う事業者の令和10年4月1日を含む課税期間については、その基準期間または特定期間の初日から特定少額資産の譲渡が課税対象であるものとして計算した課税売上高(プラットフォーム課税の対象となるものを除きます)が1,000万円を超えるときは、事業者免税点制度の適用はないとしています。
簡易課税を選択している事業者にも注意点があります。Q&Aによれば、簡易課税制度により仕入控除税額を計算する場合、その計算の基礎となる課税売上高や売上対価の返還等の金額には、特定少額資産の譲渡に係るものは含みません。売上の集計を区分しておく必要があるということです。あわせてQ&Aは、基準期間における課税売上高が5千万円を超える事業者と、その課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者は、簡易課税制度の適用を受けることはできないとしています。クラウド会計で売上区分を設計し直すなら、クラウド会計・DXの導入支援の段階で消費税区分まで含めて設計しておくと手戻りが減ります。
当事務所の見解・実務上の注意点
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登録は任意だが、しないと購入者の負担が残る
特定少額資産販売事業者の登録は任意です。しかし、登録しない場合に何が起きるかを考えると、販売事業者にとっては実質的に選択の余地が小さい制度だと考えています。特定少額資産の譲渡は国内取引として課税される一方、登録番号を輸入申告書に付記しなければ、輸入時の免除は受けられません。つまり、同じ商品について国内取引の消費税と引取り時の消費税が重なる場面が生じます。
Q&Aは、登録を受けていない場合や輸入申告書に登録番号を記載しなかった場合、引取り時の課税価格の合計額が1万円以下であっても、免税対象外物品(革製品、編物類等)に該当すれば引取り時にも消費税が課されると説明しています。自社の取扱商品にこの免税対象外物品が含まれていないかは、早い段階で確認しておく価値があります。革小物やニット製品を扱っている事業者は、とくに確認が必要な分野だといえます。
また、Q&Aは、複数の商品をまとめて発送したことで引取り時の課税価格の合計額が1万円を超えた場合であっても、輸入申告書に登録番号と該当する旨を付記して証明されたときは、引取り時の消費税が免除されるとしています。まとめ発送を前提にしている事業者ほど、登録の実益が大きくなります。
登録すると免税事業者ではいられなくなる
登録の前に確認したい点
Q&Aによれば、特定少額資産販売事業者は、その登録の効力が生じている課税期間について事業者免税点制度の適用はなく、免税事業者とはなりません。また、特定少額資産販売事業者の登録は課税事業者のみが受けることができます。登録の判断は、課税事業者になることの是非とセットで検討する必要があります。
Q&Aによれば、特定少額資産販売事業者は、その登録の効力が生じている課税期間について事業者免税点制度の適用はなく、免税事業者とはなりません。また、特定少額資産販売事業者の登録は課税事業者のみが受けることができます。登録の判断は、課税事業者になることの是非とセットで検討する必要があります。
さらに見落とされやすいのが、インボイスとの関係です。Q&Aは「特定少額資産の譲渡は、国内において行われる資産の譲渡等に該当することから、その販売先(輸入者)が課税事業者の場合には、当該事業者から仕入税額控除のために必要な適格請求書又は適格簡易請求書の交付を求められる場合があります」としたうえで、適格請求書等を交付するためには特定少額資産販売事業者の登録とは別に適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があると明記しています。2つの登録は別物だということです。
買い手側にも確認しておきたいことがある
ここまでは主に売り手側の話ですが、海外の通販サイトで少額の商品を仕入れている事業者も無関係ではありません。令和10年4月1日以後、1万円以下の商品の購入は国内取引としての課税仕入れに変わる可能性があり、仕入税額控除を受けるには相手方が適格請求書発行事業者であるかどうかが問われることになります。
なお、Q&Aは、課税事業者が行った特定少額資産の譲渡に係る課税貨物の引取り時にも消費税が課された場合について、販売した事業者が一定の書類を保存して控除の適用を受けたときは、購入者側ではその課税仕入れに係る仕入税額控除の適用を受けることはできないとしています。取引条件を詰める段階で、どちらが控除を取るのかを確認しておくべき論点です。制度の当てはめでお困りの際は、堺市の税務顧問としてご相談をお受けしています。
今すぐやるべきこと
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令和10年4月1日の施行までには時間がありますが、判定の単位を決める作業は商品マスタや受注システムに及びます。次の順番で進めることをおすすめします。
- ステップ1:国外から国内へ直送している取引を洗い出す
自社倉庫、海外の委託倉庫、仕入先からの直送など、発送元が国内以外になっている取引を抽出します。国内倉庫を経由して出荷している取引とは切り分けて管理してください。 - ステップ2:1万円以下の判定単位を商品ごとに決める
単品販売かセット販売か、計量して販売するものかを整理し、判定に使う金額を商品マスタ上で決めます。送料を別建てにするか込みにするかも、ここで方針を固めます。 - ステップ3:値引きと外貨建ての運用ルールを文書化する
購入総額からの値引きを行っている場合は、どの商品から値引きするかをあらかじめ定めて社内規程に残します。外貨建ての場合は、円換算に使う為替相場と適用時点を決めて継続適用します。 - ステップ4:課税売上高の見込みを計算し直す
特定少額資産の譲渡が課税対象であるものとして計算した場合に、基準期間または特定期間の課税売上高が1,000万円を超えないかを試算します。簡易課税を選択している場合は、集計から除く区分の設計も併せて行います。 - ステップ5:登録申請のスケジュールを押さえる
特定少額資産販売事業者の登録申請書は令和9年10月1日から提出が可能です。令和10年3月31日までに登録を受けた事業者は、令和10年4月1日から登録の効力が生じます。適格請求書発行事業者の登録の要否も同時に検討します。
プラットフォーム事業者に該当しうる場合
自社でモールを運営している事業者は、第二種プラットフォーム事業者の指定要件に注意が必要です。リーフレットによれば、制度開始時は令和9年1月から3月までの期間の対価の合計額に4を乗じて1年換算した金額が50億円を超えているかにより判定し、該当する場合は令和9年6月30日までに指定届出書の提出が必要とされています。
自社でモールを運営している事業者は、第二種プラットフォーム事業者の指定要件に注意が必要です。リーフレットによれば、制度開始時は令和9年1月から3月までの期間の対価の合計額に4を乗じて1年換算した金額が50億円を超えているかにより判定し、該当する場合は令和9年6月30日までに指定届出書の提出が必要とされています。
よくある質問
- Q. 改正はいつから適用されますか?
- A. 国税庁のリーフレットによれば、令和10年4月1日以後に行われる資産の譲渡について適用されます。ただし、第二種プラットフォーム事業者の指定届出書は令和9年6月30日までに提出が必要とされ、特定少額資産販売事業者の登録申請書は令和9年10月1日から提出が可能とされていますので、準備は令和9年中に始まります。
- Q. 国内の事業者でも対象になるのでしょうか?
- A. 対象になります。リーフレットは、特定少額資産の譲渡を行う事業者は国内事業者であるか国外事業者であるかに関係なく消費税の申告・納税を行う必要があるとしています(消費税の免税事業者を除きます)。海外の倉庫から国内の顧客へ直送している日本の事業者も、判定の対象です。
- Q. 1万円以下かどうかは、注文1件の合計金額で判定するのですか?
- A. いいえ。リーフレットは、資産の販売されている最小の単位ごとに判定するとしています。ボールペンを5本販売して12,500円になった場合でも1本の金額で判定しますが、複数本を1つのセット商品として販売した場合はセットの金額で判定します。
- Q. 特定少額資産販売事業者の登録は必ず受けなければなりませんか?
- A. 登録を受けるか否かは事業者の任意とされています。ただし登録を受けると、輸入申告書などに登録番号と該当する旨を付記することで、輸入者において保税地域からの引取りに係る消費税が免除されます。一方で、登録の効力が生じている課税期間は免税事業者とはなりません。
- Q. この登録を受ければ、インボイスも交付できるようになりますか?
- A. なりません。Q&Aは、適格請求書等を交付するためには特定少額資産販売事業者の登録とは別に適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があると明記しています。販売先が課税事業者の場合、仕入税額控除のために適格請求書等の交付を求められる場合があります。
- Q. 簡易課税の計算に特定少額資産の譲渡は含めますか?
- A. 含めません。Q&Aによれば、簡易課税制度により仕入控除税額を計算する場合の計算の基礎となる課税売上高や売上対価の返還等の金額には、特定少額資産の譲渡に係るものは含みません。売上を区分して集計できる体制を先に整えておく必要があります。なお、基準期間における課税売上高が5千万円を超える事業者は、そもそも簡易課税制度の適用を受けることができません。
- Q. 当社は免税事業者ですが、それでも影響はありますか?
- A. 影響する可能性があります。リーフレットによれば、令和10年4月1日を含む課税期間については、基準期間または特定期間の初日から特定少額資産の譲渡が課税対象であるものとして計算した課税売上高が1,000万円を超えるときは、事業者免税点制度の適用はないとされています。これまで課税売上として集計していなかった取引を含めて試算し直す必要があります。
- Q. 外貨建てで販売している場合、どの時点の為替で判定しますか?
- A. Q&Aは、例えば販売時(注文確定日)における為替相場により円換算する対応が考えられるとしています。また、注文画面で円換算した金額を参考表記している場合は、その為替相場が合理的なものであり、これを継続して適用している限り、その金額で1万円以下かどうかを判定して差し支えないとされています。
参考資料・出典
- 国税庁|国境を越えた電子商取引に係る消費税の課税関係について
- 国税庁|国境を越えた電子商取引に係る課税関係について(令和8年7月)
- 国税庁|国境を越えた電子商取引に係る消費税の課税に関するQ&A(令和8年7月)
- 国税庁|No.6501 納税義務の免除
- 国税庁|No.6531 新規開業や法人の新規設立のとき
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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