堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
外形標準課税2026|資本金1億円以下でも対象になる100%子法人の判定
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、資本金1億円以下でも外形標準課税の対象になる法人が生まれます
- 2ポイント2:対象は、払込資本50億円超の親会社の100%子法人等で、自社の払込資本が2億円を超える中小規模の法人です
- 3ポイント3:決算日時点の資本金と資本剰余金の合計額を今すぐ確認し、対象なら付加価値額の集計体制を整えてください
CONTENTS目次
「資本金は1億円以下だから、うちは外形標準課税とは関係ない」。これまで多くの中小企業でそう理解されてきました。しかし令和6年度税制改正により、その前提は二段階で崩れています。第一段階の減資への対応は令和7年4月1日以後に開始する事業年度から、そして第二段階となる100%子法人等への対応が、いよいよ令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されました。大企業グループに属する子会社であれば、資本金が1億円以下でも法人事業税の課税方式そのものが変わります。赤字でも納税が生じ、集計しなければならない数字も増えます。本記事では総務省が公表している要件をもとに、自社が対象になるかどうかの判定手順と、決算までに整えておくべき実務を具体的に整理します。
外形標準課税と令和6年度改正の全体像
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外形標準課税は「事業規模」に対して課される法人事業税
総務省の説明によれば、平成16年度以後、法人事業税のうち資本金1億円超の普通法人には、収益配分額(報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額)と単年度損益との合計額を課税標準とする付加価値割と、資本金等の額を課税標準とする資本割からなる外形標準課税が課されています。所得に対して課される所得割だけを納めていればよい通常の法人と異なり、外形標準課税の対象法人は所得割・付加価値割・資本割の三本立てで法人事業税を計算することになります。
この仕組みは、法人が事業規模に応じて広く薄く負担を担うものとして設計されており、税負担の公平性の確保、応益課税としての事業税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化等の観点から重要な意義を有している、と総務省は位置づけています。平成27年度・28年度の税制改正では「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方針の下で、所得割の税率を引き下げる一方、外形標準課税を拡大する改正が行われてきました。
実務の感覚でいえば、所得割だけの法人にとって法人事業税は「儲かったら払う税金」です。ところが外形標準課税の対象になると、給与を支払っている、借入金の利息を払っている、事務所や倉庫を借りている、という事業活動そのものが課税標準を構成するようになります。同じ売上規模・同じ利益でも、人を多く雇っている会社ほど、拠点を多く借りている会社ほど税額が大きくなる。これが「事業規模に応じて広く薄く負担を担う」という設計思想の帰結です。課税方式が切り替わるということは、単に税額が増えるかどうかの話ではなく、税額の決まり方そのものが入れ替わるということだと理解してください。
令和6年度改正は「減資への対応」と「100%子法人等への対応」の二本柱
令和6年度税制改正では、従前の適用対象法人(事業年度終了の日において資本金1億円超の法人)に加えて、次の二つの類型が新たに外形標準課税の対象とされました。適用開始時期が1年ずれている点が実務上の混乱のもとになっています。
| 類型 | 主な要件 | 適用開始 |
|---|---|---|
| 減資への対応 | 前事業年度に外形標準課税の対象/期末の資本金1億円以下/期末の払込資本10億円超 | 令和7年4月1日以後開始事業年度 |
| 100%子法人等への対応 | 期末の資本金1億円以下/特定法人との完全支配関係/期末の払込資本2億円超 | 令和8年4月1日以後開始事業年度 |
減資への対応は、いったん外形標準課税の対象だった法人が減資によって対象から外れる動きへの手当てです。これに対して100%子法人等への対応は、もともと資本金1億円以下で外形標準課税とは無縁だった法人であっても、大企業グループに属していれば新たに対象に取り込むもので、中小規模の法人にとって影響が大きいのはこちらです。
押さえどころ
二つの見直しは別々の規定です。減資の経緯がまったくない法人でも、親会社の規模と自社の払込資本の額によって、100%子法人等への対応だけで新たに対象になることがあります。
二つの見直しは別々の規定です。減資の経緯がまったくない法人でも、親会社の規模と自社の払込資本の額によって、100%子法人等への対応だけで新たに対象になることがあります。
100%子法人等が対象となる3つの要件
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要件は「資本金」「資本関係」「払込資本」の3つすべてを満たすこと
総務省によれば、100%子法人等への対応で外形標準課税の対象となるのは、次の要件をすべて満たす法人です(地方税法第72条の2第1項第1号イ・ロ)。ひとつでも欠ければ対象になりません。
- ☑ 所得等課税法人以外の法人で、事業年度終了の日において資本金の額が1億円以下であること
- ☑ 特定法人との間にその特定法人による法人税法に規定する完全支配関係がある法人(ケース1)、または100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている法人(ケース2)であること
- ☑ 事業年度終了の日において、払込資本の額が2億円を超えること
ここでいう特定法人とは、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が50億円を超える法人(外形標準課税の対象外である法人を除きます)、及び保険業法に規定する相互会社(外国相互会社を含みます)をいいます。また払込資本の額は、令和6年3月30日(公布日)以後にその法人が行う資本剰余金を原資とした配当等により減少した額を加算した後の金額で判定します。配当によって払込資本を2億円以下に落としても、判定上は足し戻されるということです。
親会社が日本国内に拠点を持たない外国法人でも対象になる
見落とされやすいのが外国法人の扱いです。総務省は、日本国内に恒久的施設を有しない外国法人であっても、特定法人の要件を満たせば、事業年度終了の日においてその外国法人である特定法人と完全支配関係にある子法人(払込資本の額が2億円超)は外形標準課税の対象になる、と明示しています。外資系企業の日本法人で、資本金は1億円以下に抑えているものの資本準備金を厚く積んでいるケースは、まさにこの類型に該当する可能性があります。
赤字でも納税が生じるのが最大の変化
外形標準課税の対象になると、所得がゼロやマイナスでも法人事業税の負担が生じ得ます。付加価値割の課税標準は収益配分額と単年度損益の合計であり、単年度損益がマイナスであっても、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の合計がそれを上回れば課税標準はプラスになるからです。資本割も資本金等の額を課税標準とするため、業績とは切り離して発生します。人件費が大きい労働集約型の事業や、賃借している店舗・倉庫が多い事業ほど、影響が読みにくくなります。
3年かけて負担が満額に近づく激変緩和措置
100%子法人等への対応によって新たに外形標準課税の対象となったことにより、申告納付すべき法人事業税額が従来の課税方式で計算した税額を超えることとなる場合には、次のとおり軽減されます(令和6年改正法附則第8条第2項)。
| 開始事業年度 | 軽減内容 |
|---|---|
| 令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度 | 当該超える額の3分の2を軽減 |
| 令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度 | 当該超える額の3分の1を軽減 |
| 令和10年4月1日以後に開始する事業年度 | 軽減なし(増加額をそのまま負担) |
軽減されるのは「従来の課税方式で計算した税額を超える額」であって、税額そのものではありません。つまり初年度から負担は増えます。3期目に負担が跳ね上がる構造なので、資金繰り計画は初年度の実績ではなく3期目の水準で立てておくべきです。
中間申告義務の判定も前事業年度基準に変わった
適用対象法人の見直しに併せて、法人事業税の中間申告義務を有することとされる外形標準課税の適用対象法人かどうかの判定方法も改正されました。現行は事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日の現況によりますが、改正後は当該事業年度の前事業年度の事業税について外形標準課税の適用対象法人であるかどうかによって判定します(法附則第8条の3の3第2項、令和8年4月1日以後開始事業年度においては法第72条の26第9項)。
注意
総務省は、前事業年度について外形標準課税の適用対象法人であった場合には、当該事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日において外形標準課税の対象外であっても中間申告の義務がある、と注意喚起しています。期中に資本構成を変えて対象から外れても、その事業年度の中間申告義務は消えません。
総務省は、前事業年度について外形標準課税の適用対象法人であった場合には、当該事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日において外形標準課税の対象外であっても中間申告の義務がある、と注意喚起しています。期中に資本構成を変えて対象から外れても、その事業年度の中間申告義務は消えません。
当事務所の見解・実務上の注意点
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親会社の払込資本50億円超は、登記事項証明書では確認できない
実務で最初につまずくのがここです。判定の起点となる特定法人の要件は「資本金+資本剰余金が50億円超」ですが、登記事項証明書に記載されるのは資本金の額だけで、資本剰余金は載りません。親会社が上場企業であれば有価証券報告書の貸借対照表で確認できますし、非上場でも会社法上の決算公告や、グループ内で共有される連結パッケージから拾えることが多いはずです。グループ会社の経理担当者に「純資産の部の資本金と資本剰余金の合計額」を書面で照会し、その回答を判定根拠として保存しておくことをおすすめします。判定の誤りは修正申告と延滞税に直結します。
資本剰余金を原資とした配当による「駆け込み対策」は封じられている
払込資本が2億円を少し超えているだけの法人では、「資本剰余金を配当して2億円以下にすればよいのでは」という発想が出がちです。しかし前述のとおり、令和6年3月30日以後に行う資本剰余金を原資とした配当等により減少した払込資本の額は、判定上加算されます。減少させても足し戻されるため、この手当ては効きません。会計上・税務上の他の影響だけが残ることになりかねないので、判定回避を目的とした資本政策は慎重に検討してください。同じことは減資への対応の側でも起きています。前事業年度に外形標準課税の対象だった法人が期末までに資本金を1億円以下に落としても、払込資本が10億円を超えていれば対象から外れません。令和6年度改正は、資本金という一つの数字を動かすだけで課税方式が変わる状態そのものを見直したものだ、と押さえておくと、個々の要件が頭に入りやすくなります。
M&Aで100%子会社になった場合は5年を経過する事業年度まで対象外
一方で、産業競争力強化法に定める特別事業再編計画に基づいて行われる企業買収により100%子会社となった法人等については、買収から5年を経過する事業年度まで外形標準課税の対象外とする特例が置かれています(法附則第8条の3の4)。特別事業再編計画の認定を受けた事業者が、その計画の認定を受ける前5年以内に買収した法人も含まれます。ただし、その100%子会社等が他の基準による外形標準課税の対象である場合は、この特例の対象外です。事業承継の出口としてグループ入りを検討している場合は、この特例が使えるかどうかで手取りが変わるため、計画認定の要否を早い段階で確認しておくべきです。判断に迷う場面では、堺市を中心とした税務顧問として顧問先の資本政策から関与している税理士に、決算を締める前の段階で相談されることをおすすめします。
今すぐやるべきこと
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令和8年4月1日以後に開始する事業年度が対象ですから、令和9年3月期の法人はすでに適用期間に入っています。次の順序で確認を進めてください。
- ステップ1:自社の払込資本を決算書で確認する
直近の貸借対照表から、資本金と資本剰余金(資本準備金+その他資本剰余金)の合計額を計算します。2億円以下であれば、この類型では対象になりません。2億円を超えていれば次に進みます。 - ステップ2:株主構成と親会社の払込資本を照会する
発行済株式等の全部を、単独または100%グループ内の複数の法人に保有されているかを確認します。そのうえで親会社に払込資本の額を照会し、50億円を超えるかどうかを書面で確認します。 - ステップ3:資本剰余金を原資とした配当の履歴を洗い出す
令和6年3月30日以後に資本剰余金を原資とした配当を行っていれば、その減少額を足し戻して判定します。過去の株主総会議事録と株主資本等変動計算書を突き合わせてください。 - ステップ4:付加価値額の集計体制を先に作る
対象となる見込みなら、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料を期中から集計できるよう勘定科目を整理します。派遣料や請負費、社宅の家賃、リース料の扱いは決算期末にまとめて拾うと必ず漏れます。会計ソフトの補助科目を先に切っておけば、翌期以降の集計コストが大きく下がります。 - ステップ5:中間申告の要否と資金繰りを確認する
前事業年度に外形標準課税の適用対象法人だったかどうかで中間申告の義務が決まります。激変緩和措置は3年目になくなるため、3期目の税負担を織り込んだ資金計画に更新しておきます。中間納付は期中の資金繰りに直接効くので、金融機関への説明資料にも反映させておくと安心です。
ステップ1で払込資本が2億円以下と分かれば、その時点で確認は終わります。逆に2億円を超えていた場合は、株主構成の確認まで進めない限り対象かどうかを結論づけられません。判定に使った資料と計算過程は、後日の税務調査で説明を求められることを想定して、事業年度ごとにファイルとして残しておいてください。
判定は事業年度終了の日の現況で行います。期中の一時点で要件を外れていても、期末時点で三要件をすべて満たせば対象です。期末日の資本構成を確定させる意思決定は、税額への影響を確認したうえで行ってください。
よくある質問
- Q. 資本金1億円以下なら外形標準課税の対象外ではないのですか?
- A. 令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは、資本金1億円以下でも対象になる場合があります。親会社が払込資本50億円超の特定法人で、その特定法人による完全支配関係にあり、かつ自社の払込資本が2億円を超えていれば対象です。資本金の額だけを見て判断すると見落とします。判定に使うのは資本金と資本剰余金の合計額ですので、貸借対照表の純資産の部を開いて、資本準備金とその他資本剰余金まで含めた金額を必ず確認してください。なお、親会社が単独ではなく100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている場合も対象です。
- Q. 払込資本とは決算書のどの数字を指しますか?
- A. 貸借対照表の純資産の部にある資本金と資本剰余金の合計額です。資本準備金とその他資本剰余金の両方が資本剰余金に含まれます。利益剰余金や自己株式、評価・換算差額等は含みません。なお令和6年3月30日以後に資本剰余金を原資とした配当を行って払込資本を減らした場合は、その減少額を足し戻した金額で判定します。判定日は事業年度終了の日ですので、期中に増減があっても、最終的に見るのは決算日時点の残高に過去の資本剰余金配当を加算した金額です。
- Q. 外形標準課税の対象になると赤字でも税金がかかりますか?
- A. 付加価値割の課税標準は、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の合計である収益配分額に単年度損益を加えたものです。単年度損益がマイナスでも、収益配分額がそれを上回れば課税標準が生じます。資本割も資本金等の額に対して課されるため、所得がゼロでも法人事業税の負担が残る点が、所得割だけの法人との最大の違いです。人件費や支払家賃の比重が高い事業ほど付加価値額が大きくなりやすく、業績が悪化した期ほど負担感が重くなります。
- Q. 激変緩和措置は何年間受けられますか?
- A. 100%子法人等への対応で新たに対象となった法人が、従来の課税方式で計算した税額を超える税額になる場合に適用されます。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度は超える額の3分の2、令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度は3分の1が軽減されます。3年目からは軽減がありません。軽減されるのは増加額の一部であって税額の全部ではないため、初年度から負担は増える点に注意してください。
- Q. 中間申告について何が変わったのですか?
- A. 改正前は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日の現況で外形標準課税の適用対象法人かどうかを判定していました。改正後は当該事業年度の前事業年度の事業税について適用対象法人だったかどうかで判定します。総務省は、前事業年度に適用対象法人であった場合、6か月を経過した日の前日に対象外であっても中間申告の義務がある、と注意喚起しています。期中に資本構成を変えても、その事業年度の中間申告義務は消えません。
- Q. グループ会社を買収して100%子会社にした場合はどうなりますか?
- A. 産業競争力強化法に定める特別事業再編計画に基づいて行われた買収により100%子会社となった法人等については、買収から5年を経過する事業年度まで外形標準課税の対象外とする特例が置かれています。特別事業再編計画の認定を受けた事業者が、その認定を受ける前5年以内に買収した法人も含まれます。ただし、その100%子会社等が他の基準による外形標準課税の対象である場合は、この特例の対象外です。
参考資料・出典
- 総務省「地方税制度|法人事業税における外形標準課税」(適用対象法人の見直し、特定法人の定義、激変緩和措置、中間申告義務の判定の見直し)
- 総務省「地方税制度|地方法人課税における偏在是正措置」(特別法人事業税・譲与税制度の位置づけ)
本記事は上記の一次資料の記載に基づいて作成しています。法人事業税の税率は都道府県の条例で定められ、事業所の所在地や資本金の額によって異なります。実際の税額計算にあたっては、事業所が所在する都道府県が公表している税率表を必ずご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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