堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
課税売上割合2026|95%未満なら全額控除できない仕入税額控除の計算
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:課税期間中の課税売上高が5億円超、または課税売上割合が95%未満だと、支払った消費税を全額は控除できません
- 2ポイント2:社宅家賃・土地の売却・貸付金の利子などの非課税売上があれば、中小企業でも95%を割り込みます
- 3ポイント3:個別対応方式は用途区分の経理が前提、一括比例配分方式は2年間の継続適用が必要です。決算前に方式を決めてください
CONTENTS目次
消費税の申告で「預かった消費税から支払った消費税を差し引く」という理解だけでいると、思わぬところで納税額が跳ね上がります。支払った消費税を全額差し引けるのは一定の条件を満たす場合に限られ、その条件を左右するのが課税売上割合です。9月決算法人の申告準備が始まるこの時期、「社宅の家賃をもらっている」「使っていない土地を売った」といった一つの取引で割合が95%を割り込み、控除できる消費税が数十万円単位で減ることは珍しくありません。本記事では、国税庁が示している計算ルールを確認しながら、中小企業が実際につまずく場面と、決算までに手を打つ方法を整理します。
課税売上割合と仕入税額控除の全体像
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全額控除できるのは「5億円以下かつ95%以上」の場合だけ
国税庁のタックスアンサーによれば、仕入控除税額の計算方法は、その課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ課税売上割合が95%以上の場合と、その課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満の場合とで異なります。前者であれば、課税期間中の課税売上げに係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除できます。後者に該当すると全額控除はできず、課税売上げに対応する部分のみを控除することになります。
2つの条件は「かつ」で結ばれています
課税売上高5億円以下という条件と、課税売上割合95%以上という条件の両方を満たして初めて全額控除です。片方でも外れれば、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかで計算しなければなりません。
課税売上高5億円以下という条件と、課税売上割合95%以上という条件の両方を満たして初めて全額控除です。片方でも外れれば、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかで計算しなければなりません。
なお、当課税期間が1年に満たない場合には、当課税期間の課税売上高を当課税期間の月数で除し、これに12を乗じて算出した金額、つまり年換算した金額で5億円かどうかを判定します。設立初年度や決算期変更を行った期は、実額が5億円以下でも年換算すると超えることがあるので注意してください。
課税売上割合の分母と分子に何が入るか
国税庁は、分母の総売上高を国内における資産の譲渡等の対価の額の合計額(課税売上高と輸出による免税売上高、非課税売上高の合計額)とし、分子の課税売上高を国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額としています。分子には輸出による免税売上高が含まれます。したがって輸出取引が多い事業者でも、そのことだけで課税売上割合が下がることはありません。
集計上の細かな取扱いも押さえておく必要があります。総売上高と課税売上高の双方には、貸倒れになった売上高を含めます。また売上げについて返品を受け、または値引、割戻し等を行った場合は、それらに係る金額を控除します。さらに、特定の有価証券等および貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(資産の譲渡等の対価として取得したものを除きます)の譲渡対価の額は、その譲渡対価の額の5%に相当する金額を総売上高に加えることとされています。有価証券を売却した場合に、売却額の全額ではなく5%だけが分母に入るというのはこの取扱いによるものです。
非課税と不課税は「分母に入るかどうか」で決定的に違う
国税庁は、非課税取引と不課税取引について、消費税が課税されないことは同じでも課税売上割合の計算においては取扱いが異なると整理しています。非課税取引は原則として分母のみに算入するのに対し、不課税取引はそもそも消費税の適用の対象にならない取引ですから、分母にも分子にも算入しません。土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などは非課税、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などは不課税です。
中小企業への実務影響と2つの計算方式
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95%を割り込む引き金は、決して珍しい取引ではない
「うちは物を売っているだけだから非課税売上などない」と考えていても、決算書を開くと次のような項目が見つかることがあります。いずれも非課税売上として分母に入ります。
| よくある取引 | 消費税の区分 | 課税売上割合への影響 |
|---|---|---|
| 従業員から受け取る社宅の家賃 | 非課税(住宅の貸付け) | 分母のみ増加し割合が下がる |
| 遊休地の売却代金 | 非課税(土地の譲渡) | 分母のみ増加し割合が大きく下がる |
| 預金利息・貸付金の利子 | 非課税 | 分母のみ増加する |
| 受取配当金 | 不課税 | 分母にも分子にも入らない |
| 商品の輸出売上 | 免税 | 分母・分子の双方に入るため割合は下がらない |
とくに影響が大きいのが土地の売却です。金額が大きいうえに分母だけを押し上げるため、課税売上割合が一気に下がります。事業用資産の入替えで土地を売った期に、本業では何も変わっていないのに控除できる消費税だけが減る、という現象が起きるわけです。
規模のイメージをつかむために、課税売上高が3億円、非課税売上が受取利息のみで年20万円という会社を考えます。この状態なら課税売上割合は99.9%となり全額控除の範囲に収まります。ところが同じ期に遊休地を2,000万円で売却すると、分母は3億2,020万円、分子は3億円となり、課税売上割合は約93.7%まで下がって95%を割り込みます。土地の売却益に対する法人税だけを見て意思決定していると、消費税の控除税額が減る影響が計算に入っていない、ということが起こります。なおこの試算は、割合の下がり方を示すために設定した仮の数値です。実際の割合は自社の総勘定元帳の金額で計算してください。
もう一つの入口は「課税売上高5億円超」
課税売上割合ばかりが注目されますが、条件はもう一つあります。課税期間中の課税売上高が5億円を超えれば、課税売上割合が100%に近くても全額控除はできません。売上が伸びて5億円の壁を初めて超えた期に、消費税の計算方法まで変わることに気づかず、申告直前になって用途区分の作業に追われる会社は毎年あります。成長局面にある会社ほど、売上計画と一緒にこの5億円のラインを見ておくべきです。
なお、課税売上割合に準ずる割合について所轄税務署長の承認を受けていたとしても、その課税期間における課税売上高が5億円以下である場合に全額控除ができる「課税売上割合が95%以上」かどうかは、本来の課税売上割合で判定する、と国税庁は注記しています。準ずる割合は個別対応方式の共通対応分の按分に使うものであって、全額控除できるかどうかの入口の判定には使えないということです。ここは混同しやすい論点です。
個別対応方式は課税仕入れを3つに区分する
全額控除ができない場合、まず検討するのが個別対応方式です。国税庁は、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを次のイ・ロ・ハに区分し、算式により計算した仕入控除税額を控除するとしています。
- ☑ イ 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
- ☑ ロ 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
- ☑ ハ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの
算式は「仕入控除税額=イ+(ハ×課税売上割合)」です。ロは一切控除できません。そして国税庁は、この方式は上記の区分がされている場合に限り採用することができると明記しています。決算を締めてから遡って区分しようとしても、根拠となる記帳がなければ採用できないということです。
一括比例配分方式には2年間の縛りがある
一括比例配分方式は、課税仕入れ等に係る消費税額がイ・ロ・ハのように区分されていない場合、または区分されていてもこの方式を選択する場合に適用します。算式は「仕入控除税額=課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合」で、区分経理が不要な分だけ簡便です。
注意
国税庁は、一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更することはできない、としています。また一括比例配分方式では課税売上割合に準ずる割合を適用できません。「今期は区分が間に合わないから一括比例配分方式で」という判断は、翌期の選択肢まで縛ります。
国税庁は、一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更することはできない、としています。また一括比例配分方式では課税売上割合に準ずる割合を適用できません。「今期は区分が間に合わないから一括比例配分方式で」という判断は、翌期の選択肢まで縛ります。
当事務所の見解・実務上の注意点
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「たまたま土地を売った期」は準ずる割合の承認申請を検討する
土地の売却で課税売上割合が下がった期に、実務で最も効くのが課税売上割合に準ずる割合です。国税庁は、課税売上割合により計算した仕入控除税額がその事業者の事業の実態を反映していないなど、課税売上割合に準ずる割合によって計算する方が合理的である場合には、課税売上割合に代えて準ずる割合によって計算することもできる、としています。具体的には、使用人の数または従事日数の割合、消費または使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合など、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等の性質に応じた合理的なものである必要があります。
ここで見落とせないのが期限です。適用には「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、適用を受けようとする課税期間の末日までに承認を受けておく必要があります。ただし、その課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日から同日以後1月を経過する日までに承認を受けた場合は、その課税期間の末日において承認があったものとみなされます。いずれにしても申請書の提出自体が課税期間の末日までですから、決算が終わってから「割合が下がっていた」と気づいても手遅れです。土地の売買契約を結んだ時点で検討を始めてください。
用途区分は「仕入れた時点の目的」で決まる
個別対応方式でのイ・ロ・ハの区分は、経理担当者の感覚で振り分けるものではありません。その課税仕入れが何のために行われたかという用途で決まります。本社家賃や役員報酬に係る課税仕入れのように、課税売上げと非課税売上げの双方に貢献するものはハに入りますし、社宅の修繕費のように非課税売上げにのみ要するものはロとなり控除できません。区分は日々の記帳の中で行うのが原則です。記帳・経理代行をご利用の場合でも、用途区分の方針は経営者と共有しておかないと、決算期にまとめて手戻りが発生します。
方式の選択は「今期の有利不利」だけで決めない
一般には個別対応方式のほうが控除税額は大きくなりやすいのですが、区分経理の手間との兼ね合いで一括比例配分方式が選ばれることもあります。ただし前述のとおり一括比例配分方式には2年間の継続適用義務があるため、翌期に大きな設備投資を予定している場合、その投資に係る消費税まで課税売上割合を掛けて按分されることになります。土地の売却と設備投資が近い期に重なる会社では、この2年縛りが数百万円単位の差になることもあります。中長期の設備投資計画と合わせて判断すべき論点です。判断に迷う場面では、堺市の税務顧問として日々の記帳から決算までを通して見ている税理士に、期中の段階で相談されることをおすすめします。
今すぐやるべきこと
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決算を締めてからでは選べる手が限られます。次の順序で確認してください。
- ステップ1:直近期の課税売上割合を実際に計算する
総勘定元帳から非課税売上(受取地代、社宅家賃、受取利息、土地の売却代金など)を拾い出し、分母・分子を組み立てて割合を出します。95%を大きく上回っているのか、ぎりぎりなのかで打ち手が変わります。 - ステップ2:当期に非課税売上が増える予定がないかを洗い出す
土地の売却、有価証券の売却、社宅の新設などは割合を下げます。契約前の段階で消費税への影響を試算しておくと、契約時期の調整という選択肢が残ります。 - ステップ3:課税売上高が5億円を超えないかを確認する
課税売上割合が95%以上でも、課税売上高が5億円を超えれば全額控除はできません。事業年度が1年未満の場合は年換算して判定します。 - ステップ4:用途区分ができる記帳になっているかを点検する
個別対応方式はイ・ロ・ハの区分がされている場合に限り採用できます。会計ソフトの税区分や補助科目で区分できているかを、期の途中で必ず確認してください。 - ステップ5:準ずる割合が必要なら課税期間の末日までに申請する
承認審査には一定の期間を要します。国税庁も時間的余裕をもって提出するよう案内していますので、決算月の直前ではなく、非課税売上の発生が見えた時点で動いてください。 - ステップ6:一括比例配分方式を選ぶ前に翌期の投資計画を見る
一括比例配分方式は2年間以上継続して適用しなければ個別対応方式に戻せません。翌期に設備投資や店舗の改装を予定しているなら、その課税仕入れも按分の対象になることを前提に比較してください。
ステップ1で課税売上割合が95%を大きく上回り、課税売上高も5億円に届かないことが確認できれば、当期は全額控除で問題ありません。確認の記録を残しておけば、翌期以降は差分だけを見れば済みます。逆に95%を少しだけ上回っている会社は、期末近くの一件の取引で判定がひっくり返る可能性があるため、四半期ごとに割合を計算し直しておくと安全です。
よくある質問
- Q. 課税売上割合はどうやって計算するのですか?
- A. 分母を総売上高、分子を課税売上高として計算します。総売上高は国内における資産の譲渡等の対価の額の合計額で、課税売上高と輸出による免税売上高、非課税売上高の合計額になります。分子の課税売上高には輸出による免税売上高が含まれます。いずれも消費税を含まない税抜きの金額で集計し、売上げについて返品を受けたり値引・割戻し等を行った場合は、それらに係る金額を控除して計算します。貸倒れになった売上高は分母・分子の双方に含めます。
- Q. 非課税売上と不課税売上で計算はどう変わりますか?
- A. 国税庁は、非課税取引は原則として分母のみに算入し、不課税取引はそもそも消費税の適用の対象にならないため分母にも分子にも算入しないと説明しています。つまり非課税売上が増えると課税売上割合は下がりますが、不課税取引はいくらあっても割合に影響しません。受取配当金や保険金、寄附金、単なる贈与などは不課税、土地の譲渡や貸付金の利子、社会保険医療などは非課税です。この振り分けを誤ると割合そのものが狂います。
- Q. 土地を1回売っただけで控除税額が減るのは避けられませんか?
- A. 国税庁は、課税売上割合により計算した仕入控除税額が事業の実態を反映していない場合などには、課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合によって計算できるとしています。適用には「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、適用を受けようとする課税期間の末日までに承認を受ける必要があります。承認審査には一定の期間を要するため、時間的余裕をもって提出してください。
- Q. 個別対応方式と一括比例配分方式はどちらが有利ですか?
- A. 一概には決まりません。個別対応方式は、課税売上げにのみ要するものを全額控除できるため有利になりやすい一方、課税仕入れをイからハの三つに区分して経理していることが適用の前提です。一括比例配分方式は区分が不要ですが、課税仕入れ等に係る消費税額の全体に課税売上割合を掛けるため控除額が小さくなりがちです。しかも一括比例配分方式を選択した場合、2年間以上継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更できません。
- Q. 課税売上割合が95%未満になるのはどんな会社ですか?
- A. 特別な会社に限りません。従業員へ社宅を貸している、所有地を駐車場などの施設としてではなく更地のまま1か月以上貸している、遊休地を売却した、といった取引があれば非課税売上が発生します。課税売上高が5億円以下でも、課税売上割合が95%を下回れば全額控除はできません。逆に課税売上割合が95%以上でも、課税売上高が5億円を超えていればやはり全額控除はできない点にも注意が必要です。
- Q. インボイス制度になって計算方法は変わりましたか?
- A. 課税売上割合の計算方法自体は変わっていません。変わったのは仕入税額の集計側です。国税庁は、適格請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて算出する積上げ計算を原則とし、税率ごとに区分した支払対価の額の合計額に108分の6.24または110分の7.8を掛ける割戻し計算も認めるとしています。割戻し計算ができるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー 6401「仕入控除税額の計算方法」(全額控除の判定、個別対応方式・一括比例配分方式の算式)
- 国税庁 タックスアンサー 6405「課税売上割合の計算方法」(分母・分子の範囲、金銭債権の譲渡対価の5%)
- 国税庁 タックスアンサー 6417「課税売上割合に準ずる割合」(承認申請の手続と期限)
- 国税庁 タックスアンサー 6209「非課税と不課税の違い」(課税売上割合の計算上の取扱いの違い)
- 国税庁 タックスアンサー 6391「課税仕入れに係る消費税額の計算」(積上げ計算と割戻し計算)
本記事は上記の一次資料の記載に基づいて作成しています。個別の取引が課税・非課税・不課税のいずれに該当するかは契約内容によって判断が分かれる場合があります。判定に迷う取引がある場合は、契約書を添えて所轄税務署または税理士にご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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