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源泉所得税の納期の特例2026|7月10日納付期限と納付書の書き方

2026.06.09
源泉所得税の納期の特例2026|7月10日の納付期限と納付書の書き方を解説する道濟会計事務所の税務ニュース
この記事の要点3点

  • ポイント1:源泉所得税の納期の特例を受けている事業者は、1月から6月までに源泉徴収した所得税を、2026年は7月10日(金)までに納付します。2026年は休日にあたらないため、期限の繰下げはありません。
  • ポイント2:対象は「給与の支給人員が常時10人未満」の源泉徴収義務者です。納付できるのは給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士など一定の士業報酬から源泉徴収した分に限られ、原稿料や講演料などは対象外で毎月納付が必要です。
  • ポイント3:納付すべき税額がゼロの月でも、所得税徴収高計算書(納付書)の提出は必要です。納付が遅れると不納付加算税や延滞税が課されるため、期限管理を徹底しましょう。

毎年7月は、多くの中小企業にとって源泉所得税の納付月です。給与から天引きした所得税を半年分まとめて納める「納期の特例」を受けている事業者は、1月から6月までに源泉徴収した税額を7月10日までに納付しなければなりません。2026年の7月10日は金曜日のため、期限の繰下げはなく、この日が納付期限です。本記事では、納期の特例の対象範囲、納付書(所得税徴収高計算書)の書き方、納付額がない場合の取扱いまで、実務でつまずきやすいポイントを国税庁の情報にもとづいて整理します。

源泉所得税の納期の特例とは|制度の概要

源泉所得税の納期の特例とは、給与などから源泉徴収した所得税および復興特別所得税を、毎月ではなく半年分まとめて年2回で納付できる制度です。源泉徴収義務者は本来、源泉徴収した税額を「徴収した月の翌月10日まで」に毎月納付する必要があります。しかし、毎月の納付は小規模な事業者にとって事務負担が重いため、一定の要件を満たす事業者には、納付を年2回にまとめる特例が認められています。

源泉徴収義務者が毎月納付を原則とするのは、源泉所得税が「会社が従業員などから預かった税金」であり、できるだけ早く国庫へ納めるべきものとされているためです。とはいえ、従業員数の少ない事業者にとって毎月の納付事務は負担が大きいことから、納付回数を年2回に減らせる特例が設けられています。中小企業や個人事業主にとっては、利用価値の高い制度といえます。

対象となる事業者の要件

納期の特例を受けられるのは、「給与の支給人員が常時10人未満」である源泉徴収義務者です。ここでいう「常時10人未満」は、繁忙期に一時的に10人以上になることがあっても、平常時に10人未満であれば該当すると考えられています。この人数は、役員を含む給与の支給人員で判定します。パートやアルバイトも給与の支給人員に含まれるため、短時間労働者を多く雇用している事業者は、人数の数え方に注意が必要です。常時10人以上になると特例の要件を満たさなくなるため、採用が進んで人員が増えてきた事業者は、自社が要件内にとどまっているかを定期的に確認しておきましょう。

納期の特例は自動的に適用されるものではありません。「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署へ提出し、承認を受ける必要があります。申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認または却下の通知がない場合は、その翌月末日に承認があったものとみなされ、申請書を提出した月の翌々月の納付分から特例が適用されます。

申請から適用までの流れを具体例で確認しましょう。たとえば6月中に申請書を提出した場合、原則として7月末日までに却下の通知がなければ7月末日に承認があったものとみなされ、8月の納付分から特例が適用されます。この場合、6月分・7月分の給与にかかる源泉所得税は、まだ特例の対象外であるため、それぞれ翌月10日(7月10日・8月10日)までに毎月納付し、特例が適用される8月以降の分から半年ごとの納付に切り替わります。申請のタイミングによって、いつの分から特例が使えるかが変わるため、切り替え時期の納付漏れには十分注意してください。新たに事業を始めて従業員を雇い始めた事業者は、給与支払事務所等の開設届出書の提出とあわせて、早めに納期の特例の申請も検討するとよいでしょう。

納付期限は年2回

納期の特例の承認を受けると、源泉所得税の納付期限は次の年2回になります。半年ごとにまとめて納付するため、毎月の納付と比べて事務が大幅に軽くなります。

源泉徴収した期間納付期限
1月から6月までの分7月10日
7月から12月までの分翌年1月20日

納付期限が日曜日・祝日などの休日や土曜日にあたる場合は、その休日明けの日が納付期限となります。2026年の上半期分については、7月10日が金曜日であり休日にあたらないため、繰下げはなく7月10日が納付期限です。下半期分の納付期限である2027年1月20日についても、確定したら曜日を確認しておきましょう。

中小企業の実務影響|納付期限と対象範囲

納期の特例は便利な制度ですが、対象となる所得の範囲が限られている点を見落とすと、納付漏れや延滞のリスクが生じます。実務で特に注意したい3つのポイントを整理します。

納期の特例で納められるのは「給与・退職手当・士業報酬」だけ

納期の特例の対象となるのは、次の所得から源泉徴収した所得税および復興特別所得税に限られます。

  • 給与・賞与から源泉徴収した所得税および復興特別所得税
  • 退職手当から源泉徴収した所得税および復興特別所得税
  • 税理士、弁護士、司法書士など一定の士業の報酬・料金から源泉徴収した所得税および復興特別所得税
注意したいのは、これら以外の報酬から源泉徴収した税額は納期の特例の対象外で、原則どおり「翌月10日まで」に毎月納付しなければならない点です。たとえば、原稿料・デザイン料・講演料・外交員報酬・芸能人の出演料などから源泉徴収した所得税は、特例の対象になりません。これらを半年分まとめて7月10日に納めてしまうと、納付遅延として不納付加算税や延滞税の対象になりかねません。

中小企業でも、ホームページ制作のデザイン料やセミナー講師への講演料などを支払う場面は珍しくありません。こうした支払で源泉徴収が必要なものは、給与とは別の納付書で、毎月の期限までに納付する必要があります。納期の特例の対象になる支払と、ならない支払を切り分けて管理することが実務の出発点です。

納付書(所得税徴収高計算書)の書き方

納期の特例を受けている事業者が使用する納付書は、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)」です。毎月納付用とは様式が異なるため、納期の特例専用の用紙を使う点に注意してください。主な記載項目は次のとおりです。

  • 「支払年月日」「人員」「支給額」「税額」を、俸給・給料等、賞与、退職手当等、税理士等の報酬の区分ごとに記入する
  • 1月から6月までの半年分を合計して記入する(月ごとに分ける必要はないが、内訳は源泉徴収簿で管理しておく)
  • 年末調整による超過税額・不足税額がある場合は、下半期分(7月から12月分)の納付書で調整する
  • 「本税」「合計額」を記入し、納付すべき税額を確定させる

記入にあたっては、支払金額と税額を区分ごとに正しく集計することが重要です。とくに、給与と士業報酬を同じ欄に混ぜて記入してしまうミスが起こりがちなので、源泉徴収簿の区分にそって転記しましょう。納付書の様式や記載例は国税庁のウェブサイトでも確認できます。

年末調整による過不足は下半期分で調整する

納期の特例を受けている場合、年末調整は12月(または翌1月)に行い、その結果生じた源泉徴収税額の過不足は、下半期分(7月から12月分、納付期限は翌年1月20日)の納付額で精算します。年末調整で従業員に還付した超過税額が大きいと、下半期分の納付額がその分減り、場合によっては納付税額がゼロやマイナス(充当しきれない分は翌期へ繰越または還付請求)になることもあります。上半期分(7月10日納付)には年末調整は関係しませんので、混同しないようにしましょう。

納付額がゼロでも納付書(徴収高計算書)の提出は必要

その期間に源泉徴収すべき税額がなかった場合でも、納付書(所得税徴収高計算書)の提出は必要です。税額がゼロのときは、納付書の税額欄に「0」と記載し、本税0円として税務署へ提出します。提出を失念すると、税務署から問い合わせを受けることがあるため、納付額の有無にかかわらず期限内に提出する習慣をつけましょう。

期限に遅れると不納付加算税・延滞税のリスク

源泉所得税の納付が期限に遅れると、納付すべき税額に対して不納付加算税(原則10%、自主的な納付の場合は5%)と、延滞税が課される可能性があります。源泉所得税は会社が従業員などから預かっている税金であり、納付遅延に対する取扱いは比較的厳格です。半年分がまとまると納付額も大きくなるため、資金繰りの観点からも、7月10日と1月20日の納付資金を計画的に確保しておくことが重要です。

納付方法は窓口だけでなく電子納税も選べる

納付の方法は、金融機関や税務署の窓口での現金納付に限りません。e-Taxを利用した電子納税では、ダイレクト納付(事前に届け出た預貯金口座からの引落し)、インターネットバンキングによる納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付などが利用できます。とくにダイレクト納付は、納付書を持参して窓口に並ぶ手間がなく、納付期限当日でも手続きが完結するため、納期の特例の納付資金管理と相性が良い方法です。はじめて電子納税を利用する場合は、事前にe-Taxの利用開始手続きやダイレクト納付の口座登録が必要になるため、納付期限に余裕をもって準備しておきましょう。納付方法を効率化しておくと、年2回の納付がより確実かつスムーズになります。

当事務所の見解・実務上の注意点

納期の特例は事務負担を軽くする一方で、半年に一度の納付であるがゆえの落とし穴もあります。道濟会計事務所が実務で重視している点を3つお伝えします。

「半年分まとめて」は資金繰りの山をつくる

毎月納付であれば平準化されていた納税が、納期の特例では7月と翌年1月の年2回に集中します。賞与の支給月とも重なりやすく、納付額が想定以上に膨らむことがあります。とくに従業員が増えた年や、賞与を増額した年は、前年同期より納付額が大きくなりがちです。納付月の前に、半年分の源泉徴収簿を集計し、納付額の見込みを早めに把握しておくことをお勧めします。

人員が増えて「常時10人未満」を外れたとき

事業が拡大して給与の支給人員が常時10人以上になった場合は、納期の特例の要件を満たさなくなります。この場合、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を遅滞なく提出し、以後は原則どおり毎月納付に切り替える必要があります。人を増やしたタイミングで届出を失念すると、毎月納付すべき税額を半年分ためてしまう事態になりかねません。採用計画と納付方法はセットで点検しましょう。

対象外の報酬の源泉漏れに注意

前述のとおり、原稿料・講演料・デザイン料などは納期の特例の対象外で、毎月納付が必要です。実務では、こうした報酬の源泉徴収そのものを失念しているケースも見受けられます。士業以外への報酬・料金の支払で源泉徴収が必要なものは何かを整理し、支払時に正しく源泉徴収・毎月納付ができる体制を整えておくことが、後々のトラブル防止につながります。源泉徴収の対象となる報酬・料金は所得税法で限定列挙されており、対象かどうかの判断は支払の名目ではなく内容で行います。判断に迷う支払があれば、後からまとめて修正するより、支払前に専門家へ確認しておくほうが、加算税や延滞税といった余計な負担のリスクを、確実に避けられます。

今すぐやるべきこと

2026年上半期分の納付期限である7月10日に向けて、次の順番で準備を進めましょう。

  1. ステップ1:1月から6月分の源泉徴収簿を集計する
    毎月の給与・賞与・退職手当・士業報酬から源泉徴収した所得税および復興特別所得税を、1月から6月までの6か月分について合計します。
  2. ステップ2:対象外の報酬が混ざっていないか確認する
    原稿料・講演料・デザイン料など、納期の特例の対象外の報酬を半年分にまとめていないかを点検します。対象外の分は毎月納付が原則です。
  3. ステップ3:所得税徴収高計算書(納付書)を作成する
    給与等・退職手当・士業報酬の区分ごとに支払金額と税額を記入します。納付すべき税額がない場合も、税額欄を0として作成します。
  4. ステップ4:納付資金を確保し、7月10日までに納付する
    金融機関の窓口のほか、e-Taxによる電子納税、ダイレクト納付、クレジットカード納付なども利用できます。期限の7月10日(金)までに納付を完了します。
  5. ステップ5:人員や報酬の状況に変化があれば届出を検討する
    給与の支給人員が常時10人以上になった場合は、要件に該当しなくなった旨の届出書の提出を検討します。
チェックリスト

  • ☑ 1月から6月分の源泉徴収税額を集計した
  • ☑ 納期の特例の対象外の報酬が混ざっていないか確認した
  • ☑ 所得税徴収高計算書(納付書)を作成した
  • ☑ 納付資金を確保した
  • ☑ 7月10日(金)までに納付を完了した

よくある質問

Q. 2026年の上半期分の納付期限はいつですか?
A. 2026年1月から6月までに源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納付期限は、2026年7月10日です。2026年の7月10日は金曜日で休日にあたらないため、期限の繰下げはありません。納付期限が土日祝にあたる年は休日明けが期限となりますが、2026年はその必要がない点に注意してください。
Q. 納期の特例で、すべての源泉所得税をまとめて納付できますか?
A. いいえ、できません。納期の特例で半年分まとめて納付できるのは、給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士など一定の士業報酬から源泉徴収した分に限られます。原稿料、講演料、デザイン料などその他の報酬から源泉徴収した所得税は対象外で、原則どおり翌月10日までの毎月納付が必要です。
Q. 納付すべき税額がない月でも、何か提出する必要はありますか?
A. はい、必要です。源泉徴収すべき税額がなかった期間でも、所得税徴収高計算書(納付書)の提出は求められます。税額欄に「0」と記入し、本税0円として税務署へ提出します。提出を失念すると税務署から照会を受けることがあるため、納付額の有無にかかわらず期限内に提出しましょう。
Q. 納付が期限に遅れると、どのようなペナルティがありますか?
A. 不納付加算税と延滞税が課される可能性があります。不納付加算税は原則として納付税額の10%ですが、税務署から指摘される前に自主的に納付した場合は5%に軽減されます。あわせて、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税もかかります。源泉所得税は預かった税金であるため、期限管理を徹底することが重要です。
Q. 従業員が増えて10人以上になったら、どうすればよいですか?
A. 給与の支給人員が常時10人以上になると、納期の特例の要件を満たさなくなります。「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を遅滞なく所轄税務署へ提出し、以後は原則どおり翌月10日までの毎月納付に切り替えてください。届出を忘れると納付方法に齟齬が生じるため、人員増のタイミングで確認しましょう。

参考資料・出典

道濟会計事務所の税務相談

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本記事は道濟会計事務所が監修しました。





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