堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
税務署の行政指導2026|調査との違いと加算税が賦課されない条件
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:税務署からの連絡は調査か行政指導のいずれかで、担当者は手続に入る前にどちらに当たるのかを明示することとされています。
- 2ポイント2:行政指導に基づいて自主的に修正申告をした場合、延滞税は納付する場合がありますが過少申告加算税は賦課されません。
- 3ポイント3:国税庁レポート2026は、悪質な納税者には厳正な調査、その他には文書や電話等による簡易な接触という運営方針を示しています。
CONTENTS目次
税務署から「申告書の内容を確認したいので、必要なら修正申告を」という電話や文書が届いたとき、それが税務調査なのか、それとも行政指導なのかで、その後に負担する税額が変わります。国税庁レポート2026は、悪質な納税者に対しては厳正な調査を実施する一方で、その他の納税者に対しては文書や電話等による簡易な接触も実施する、という運営方針を明記しています。つまり、調査ではない接触を受ける機会のほうが多い、ということです。本記事では、国税通則法の法令解釈通達と事務運営指針、国税庁のFAQを根拠に、両者の区分と実務対応を整理します。
制度・改正の概要
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通達が定める「調査」の意義
国税庁の法令解釈通達1-1は、国税通則法第7章の2において、調査とは、国税に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいう、と定義しています。ここでいう一連の行為には、更正決定等を目的とするもののほか、再調査決定や申請等の審査のために行うものも含まれます。重要なのは、目的が「認定」や「処分」に向いているかどうかという点です。
通達が列挙する「調査に該当しない行為」
これに対して通達1-2は、当該職員が行う行為であって、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しないことに留意する、としたうえで具体例を列挙しています。そこに挙がっているのは、申告書に添付すべき書類が添付されていない場合の自発的な提出の要請、計算誤り、転記誤り又は記載漏れ等があるのではないかと思料される場合の自発的な見直しの要請、税法の適用誤りがあるのではないかと思料される場合の基礎的情報の自発的な提供の要請、納税申告書の提出がない場合の提出義務の有無の確認、源泉徴収税額に過不足徴収額があるのではないかと思料される場合の自主納付等の要請です。そして通達1-2は、これらの行為のみに起因して修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収等による国税の自主納付があった場合には、当該修正申告書等の提出等は更正若しくは決定又は納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないことに留意する、と続けています。この一文が、後で述べる加算税の扱いの根拠になっています。
区分を明示する義務
事務運営指針 第2章1「調査と行政指導の区分の明示」
納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う。
納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う。
国税庁のFAQも、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています、と説明しています。電話一本であっても、書面一枚であっても、この明示は行われる建前です。なお、調査であっても実地の調査とは限りません。国税庁のFAQは、税務当局では、実地の調査以外にも、税務署にお越しいただいて申告内容を確認するなどの方法で調査を行う場合がある、としています。このような実地の調査以外の調査を行う場合は、法令上は事前通知は求められていませんが、運用上の対応として、来署等を依頼するための連絡の際などに、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等を説明することとしています。来署を求められたからといって行政指導とは限らず、調査である場合もあるということです。
中小企業への実務影響
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修正申告のタイミングで加算税が変わる
行政指導に基づいて自主的に修正申告書を提出した場合の扱いについて、国税庁のFAQは、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません、としています。括弧書きで、当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5パーセント賦課されます、と補足されている点も見落とせません。一方、調査が始まった後の扱いはタックスアンサーNo.2026が段階的に示しています。
| 修正申告を出すタイミング | 過少申告加算税の割合 | 割増しとなる部分 |
|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に修正申告 | かかりません | — |
| 事前通知の後、調査による更正を予知する前の修正申告 | 5パーセント | 新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている部分は10パーセント |
| 調査を受けた後の修正申告、または更正を受けた場合 | 10パーセント | 同じ基準を超えている部分は15パーセント |
タックスアンサーNo.2026は、誤りを把握した際には、できるだけ早く修正申告をしてください、と書いています。気づいた時点が事前通知の前か後かという一点で、負担が変わる仕組みだからです。なお、新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日に納めてくださいとされ、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります。
帳簿を出せない場合の加重
タックスアンサーNo.2026の注1は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)について、税務署の調査において、帳簿の提示または提出を求められた際に帳簿の提示等をしなかった場合および帳簿への売上金額の記載等が本来記載等をすべき金額の2分の1未満だった場合は、新たに納める税金に10パーセントの割合を乗じて計算した金額が過少申告加算税に加算されるとしています。また、帳簿への売上金額の記載等が本来記載等をすべき金額の3分の2未満だった場合は、5パーセントの割合を乗じた金額が加算されます。日々の記帳が、調査の局面で直接税額に跳ね返る形です。帳簿の整備に不安がある場合は、堺市の税務顧問として日常の処理段階から体制を整えることをご検討ください。
実地調査の件数が示す接触の実像
国税庁レポート2026には、実地調査の件数と追徴税額が事務年度ごとに載っています。令和6事務年度の実地調査の件数は、申告所得税が47千件、法人税が54千件、消費税が81千件、相続税が10千件です。令和4事務年度は申告所得税が46千件、法人税が62千件、消費税が87千件、相続税が8千件でしたので、法人税と消費税は件数が減る一方、相続税は増えています。同じ令和6事務年度の実地調査における追徴税額は、申告所得税が1,132億円、法人税が2,187億円、消費税が1,575億円、相続税が824億円でした。レポートは、様々なデータの中から必要な情報を抽出・加工・分析し、データ間の整合性・関連性・傾向等を把握することにより、申告漏れの可能性が高い納税者等を判定する予測モデルの構築に取り組んでいます、とも述べています。
事前通知は原則として行われる
実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税者に対して、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて、電話等により、実地の調査を行う旨、調査を開始する日時・場所や調査の対象となる税目・課税期間、調査の目的などが通知されます。ただし国税庁のFAQは、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は、その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともあります、としています。事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとされています。また、事前通知の方法は法令上規定されておらず、原則として電話により口頭で行うこととされており、納税者からの要望に応じて事前通知内容を記載した書面を交付することはありません。
当事務所の見解・実務上の注意点
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行政指導は「見直しの要請」であって指摘の確定ではない
当事務所がまず申し上げたいのは、行政指導の連絡が来たからといって、自社に誤りがあることが確定したわけではない、という点です。通達1-2が挙げるのは、誤りがあるのではないかと思料される場合の自発的な見直しの要請です。思料される、という語が示すとおり、税務署側も可能性として連絡しています。それにもかかわらず、連絡を受けた側が反射的に修正申告書を提出してしまう例を見かけます。まず自社で検算し、誤りがあるのかどうかを自分で判断する。この順番を崩さないでください。
早さがそのまま金額になる
一方で、自社で誤りを見つけた場合は、速度が負担に直結します。タックスアンサーNo.2026が示すとおり、事前通知の前であれば過少申告加算税はかからず、事前通知の後では5パーセント、調査を受けた後では10パーセントとなります。決算や申告の後で気になる論点が残ったまま放置されている場合、それは時間とともに高くなる負債です。期中に疑問が出た時点で詰めておくことが、結果的にもっとも安い対応になります。
修正申告に応じるかどうかは任意の判断
修正申告と不服申立ての関係
国税庁のFAQは、調査の結果として修正申告を勧奨された場合について、この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも納税者の方の任意の判断である、としています。そのうえで、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできません、と注意を促しています。
国税庁のFAQは、調査の結果として修正申告を勧奨された場合について、この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも納税者の方の任意の判断である、としています。そのうえで、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできません、と注意を促しています。
内容に納得していないのに修正申告書を出してしまうと、不服申立てという道は閉じます。納得できないのであれば、勧奨に応じずに更正等の処分を受け、そのうえで不服申立てを検討するという選択肢もあります。FAQは、修正申告の勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはありません、と明記しています。どちらを選ぶかは、争点の性質と立証の見込みによって変わります。
税理士への連絡経路を先に決めておく
最後に、手続面で先回りできることを一つ挙げます。国税庁のFAQは、平成26年7月1日以後に行う事前通知については、納税者の方の事前の同意がある場合には、税務代理権限証書を提出している税理士等に行えば足りることとされました、としています。この同意が記載されていない場合には、納税者の方と税務代理人の双方に事前通知を行うこととなります。連絡の窓口を誰にするかは、通知が来てから決めるものではなく、申告書を出す時点で決まっています。自社の税務代理権限証書にどの同意が記載されているかを、一度確認しておいてください。
今すぐやるべきこと
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税務署から連絡が来たときに、その場で判断できるよう手順を決めておくと、担当者が替わっても対応の質が揺れません。以下は、通達と事務運営指針、国税庁のFAQに書かれている内容だけで組み立てた手順です。
- ステップ1:連絡を受けたら、まず調査か行政指導かを確認して記録する
事務運営指針は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で行うことを定めています。電話を受けた担当者が確認し、日時・担当者の氏名と所属官署・調査か行政指導かを社内のメモに残してください。行政指導の目的で往訪する場合であっても身分証明書を携帯・提示し、行政指導で往訪した旨を明らかにすることは必要である、と事務運営指針は注記しています。 - ステップ2:行政指導なら、指摘された箇所を自社で検算する
通達1-2は、計算誤り、転記誤り又は記載漏れ等があるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書又は更正の請求書の自発的な提出を要請する行為を、調査に該当しない行為として挙げています。指摘は見直しの要請であって税額の認定ではないため、まず自社で数字を突き合わせ、誤りの有無を自分で判断してください。 - ステップ3:誤りがあれば、事前通知が来る前に修正申告を済ませる
タックスアンサーNo.2026は、税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合であれば、過少申告加算税はかかりません、としています。新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日に納めてください、とも書かれています。納付の日までの延滞税を併せて納付する必要がある点も織り込んで資金を用意してください。 - ステップ4:誤りがなければ、根拠を示して回答する
行政指導は自発的な見直しの要請であり、見直した結果として誤りがなければ修正申告をする必要はありません。該当する取引の契約書、請求書、会計帳簿の該当箇所を示し、なぜ当初の申告が正しいのかを説明できる状態にしてください。通達1-1は、調査とは特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為をいう、としています。 - ステップ5:調査だと明示されたら、税務代理権限証書の記載を確認する
国税庁のFAQは、納税者の方の事前の同意がある場合には、税務代理権限証書を提出している税理士等に事前通知を行えば足りるとし、この場合には、税務代理人が税務署に提出する税務代理権限証書に、納税者の方の同意を記載しておく必要がある、としています。令和6年4月1日以後は、税務代理権限証書の様式に調査の終了の際の手続に関する同意欄が設けられています。
よくある質問
- Q. 税務署から電話が来たとき、調査か行政指導かはどうすれば分かりますか?
- A. 担当者に尋ねて構いません。事務運営指針は、納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う、と定めています。国税庁のFAQでも、税務署の担当者は納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています、と説明されています。明示がないまま話が進みそうなときは、その場で確認してください。
- Q. 行政指導で修正申告をすると、加算税はまったくかからないのですか?
- A. 過少申告加算税は賦課されません。国税庁のFAQは、行政指導に基づき納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません、としています。ただし同じ箇所に、当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5パーセント賦課されます、という括弧書きが付いています。延滞税は別途かかり得るため、加算税だけを見て負担がゼロになると考えないでください。
- Q. 自分で誤りに気づいた場合、いつまでに修正申告すれば加算税を避けられますか?
- A. 調査の事前通知が来る前です。タックスアンサーNo.2026は、税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合であれば、過少申告加算税はかかりません、としています。事前通知の後で、調査による更正を予知する前の修正申告であれば、新たに納める税金に5パーセントの割合を乗じた過少申告加算税がかかります。誤りを把握した際には、できるだけ早く修正申告をしてください、とも書かれており、早さがそのまま負担の差になります。
- Q. 納める税金が多すぎたことに気づいた場合も修正申告ですか?
- A. いいえ、更正の請求という手続になります。タックスアンサーNo.2026は、納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合は更正の請求という手続ができる場合があるとし、更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内、としています。所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額または純損失の金額に異動がない場合は更正の請求はできない点にも注意が必要です。請求の理由の基礎となる事実を証明する書類の提出も求められます。
- Q. 調査で帳簿の提示を求められたら、必ず応じなければならないのですか?
- A. 法令上、調査担当者は調査について必要があるときは帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるとされています。国税庁のFAQは、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)が科されることがあります、と説明しています。一方で、罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えておらず、趣旨を説明して承諾を得て行うこととしている、とも述べられています。
- Q. 調査の最後に修正申告を勧められたら、応じないと不利になりますか?
- A. 国税庁のFAQは、この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも納税者の方の任意の判断であり、修正申告の勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはありません、としています。ただし、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできません。内容に納得できていないのであれば、この違いを理解したうえで判断してください。
参考資料・出典
- 国税庁 法令解釈通達「第1章 法第74条の2〜法第74条の6関係(質問検査権)」
- 国税庁「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」
- 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
- 国税庁 タックスアンサーNo.2026「確定申告を間違えたとき」
- 国税庁「国税庁レポート2026」(PDF)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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