堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
年次有給休暇取得促進期間2026|10月に中小企業が整える年5日の実務
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:厚生労働省は毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけています。年5日の時季指定義務は2019年4月から全ての企業に適用されており、10月は基準日が4月の会社にとって残り半年の折り返し点です。
- 2ポイント2:対象は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者で、管理監督者や有期雇用労働者も含みます。年5日を取得させなかった場合は労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科されることがあります。
- 3ポイント3:今月のうちに年次有給休暇管理簿で取得日数が5日未満の人を洗い出し、意見を聴いたうえで時季を指定するか、計画的付与制度の労使協定を結ぶ準備を始めてください。
CONTENTS目次
10月に入りました。厚生労働省は毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけており、年次有給休暇の取得促進に向けた広報が全国で行われる月です。年5日の年次有給休暇を確実に取得させる義務は2019年4月から全ての企業に課されていますが、基準日を4月に統一している会社は、ちょうど1年の後半に入ったところです。ここで点検しておかないと、年明けから3月にかけて「5日に届かない社員」が一気に表面化します。本記事では、堺市で中小企業の顧問業務を担当する税理士の立場から、年5日の義務の中身と、10月のうちに手を打つ実務手順を整理します。
年次有給休暇取得促進期間と年5日の義務の概要
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厚生労働省は、WEBマガジン「厚生労働」の記事で「厚生労働省では、毎年10月を『年次有給休暇取得促進期間』と位置づけ、年次有給休暇の取得促進に向けた機運の醸成に取り組んでいます。」と説明しています。同記事は、取得促進に効果的な手段として「年次有給休暇の計画的付与制度」と「時間単位の年次有給休暇」の導入・活用を挙げています。
年次有給休暇が発生する要件と付与日数
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が作成したパンフレット「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」は、年次有給休暇の発生要件を「1.雇入れの日から6か月継続して雇われている」「2.全労働日の8割以上を出勤している」の2点としています。この2点を満たした労働者には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。同パンフレットは「対象労働者には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。」と注記しています。
| 継続勤務年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
パートタイム労働者など所定労働日数が少ない労働者は、日数が比例付与されます。同パンフレットは比例付与の対象を「所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者」と定義しています。週4日勤務の人は継続勤務3年6か月で10日に達し、この時点から年5日の義務の対象に入ります。
年5日の時季指定義務と、指定してはいけない場合
東京労働局は「2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。」と説明しています。時季指定にあたって使用者は労働者の意見を聴取しなければならず、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
見落とされがちなのが、指定が許されない場面があることです。パンフレットは「既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。」と明記しています。労働者が自ら請求・取得した日数と、労使協定で計画的に取得日を定めて与えた日数(計画年休)は、年5日から控除します。つまり「使用者による時季指定」「労働者自らの請求・取得」「計画年休」のいずれかの方法で合計5日に達すれば足り、達した時点で使用者からの時季指定はできなくなります。
年次有給休暇管理簿と就業規則、そして罰則
使用者は、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。パンフレットは「年次有給休暇管理簿は労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます。また、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、システム上で管理することも差し支えありません。」としています。また、休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等を就業規則に記載しなければなりません。
| 違反条項 | 違反内容 | 罰則規定 | 罰則内容 |
|---|---|---|---|
| 労働基準法第39条第7項 | 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 | 労働基準法第120条 | 30万円以下の罰金 |
| 労働基準法第89条 | 使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合 | 労働基準法第120条 | 30万円以下の罰金 |
罰金は会社単位ではなく、違反の状態にある労働者ごとに判断される点に注意が必要です。対象者のうち5日に届いていない人が複数いれば、それぞれが違反として扱われ得る、という前提で点検してください。
中小企業への実務影響と最新の取得率データ
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厚生労働省の令和7(2025)年就労条件総合調査によると、令和6(2024)年1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)は労働者1人平均18.1日、このうち労働者が取得した日数は12.1日、取得率は66.9%でした。概況は、取得日数と取得率がいずれも昭和59(1984)年以降で最も多く、最も高いと説明しています。数字だけ見れば改善が続いていますが、規模と業種で中身は大きく違います。
規模が小さいほど、取得率は下がる
| 企業規模 | 1人平均付与日数 | 1人平均取得日数 | 1人平均取得率 |
|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 18.5日 | 12.8日 | 69.0% |
| 300~999人 | 18.4日 | 12.3日 | 66.8% |
| 100~299人 | 17.8日 | 11.7日 | 65.5% |
| 30~99人 | 17.4日 | 11.3日 | 64.9% |
30~99人規模の取得日数は11.3日、付与は17.4日です。年次有給休暇の請求権の時効は2年であり、前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に与える必要があります。未消化分が毎年積み上がり、退職時にまとめて請求されて引き継ぎが止まる、という相談は堺市の関与先でも珍しくありません。
業種別の差はさらに鮮明です。同調査では、取得率は「電気・ガス・熱供給・水道業」が75.2%と最も高く、「宿泊業,飲食サービス業」が50.7%と最も低くなっています。「卸売業,小売業」は59.9%、「建設業」は60.7%、「製造業」は72.8%です。シフト勤務や現場常駐が前提の業種ほど取得率が低く、年5日の義務との距離が遠いことが読み取れます。
計画的付与制度は、まだ4割の企業しか使っていない
同調査によると、年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合は40.8%で、企業規模30~99人では42.1%です。計画的付与日数の階級別では「5~6日」が71.6%と最も高くなっています。逆にいえば、残る6割弱の企業は、個別の声かけと時季指定だけで年5日を確保していることになります。
年休の3つの取らせ方を整理する
| 方法 | 必要な手続 | 年5日へのカウント | 実務上の留意点 |
|---|---|---|---|
| 労働者自らの請求・取得 | 特になし(時季変更権の行使は可) | カウントされる | 5日に達した人へは時季指定ができなくなる |
| 使用者による時季指定 | 就業規則への記載+本人の意見聴取 | カウントされる | 就業規則に書かずに実施すると第89条違反 |
| 計画的付与(計画年休) | 就業規則の定め+労使協定の締結 | カウントされる | 労働者が自由に取得できる5日は必ず残す |
| 時間単位年休 | 労使協定の締結 | カウントされない | 年5日を限度。使い勝手は良いが義務の充足には使えない |
時間単位年休について、厚生労働省は「時間単位年休の取得分は、この5日には含まれません。」と明記しています。通院や学校行事に合わせて細かく使える便利な仕組みですが、年5日の義務を満たすカードにはならない、という区別が必要です。
税務上の扱いは「通常の給与」と同じ
国税庁のタックスアンサーNo.2508「給与所得となるもの」は、給与所得を「使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得」と説明しています。年休日の賃金もこの賃金に含まれ、通常の勤務日と同じく源泉徴収と年末調整の対象です。税務面を理由に取得を抑制する必要はありません。
年休を取得させても人件費そのものは増えません。増えるとすれば、代替要員の手配や、休んだ分を取り戻すための時間外労働です。年5日の義務への対応は、人件費の増加ではなく業務の平準化の問題として設計するのが実務的です。法人の労務管理と税務の両面でお困りの場合は、堺市の税務顧問サービスでもご相談を承っています。
当事務所の見解・実務上の注意点
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制度そのものを知らない会社はほとんどなくなりました。にもかかわらず調査で指摘を受ける会社が残るのは、制度の理解ではなく「管理の設計」でつまずいているからです。関与先の実例から4点を挙げます。
1. 基準日がバラバラのまま運用している
入社日ごとに基準日が異なると、「誰がいつまでに5日なのか」を人ごとに追う必要が生じます。パンフレットも実務対応編で「基準日を年始や年度始めに統一する」「基準日を月初などに統一する」という2つの方法を示しています。統一のために付与を前倒しする場合、前倒しで10日以上を付与した日から1年以内に5日を取得させる義務が発生します。付与を早めると義務の起算も早まります。
2. 管理監督者を対象から外している
「管理職は自分で調整できるから」と対象から外している会社があります。しかしパンフレットは対象労働者に管理監督者を含むと明記しています。労働時間規制の一部が適用されないことと、年休の義務が外れることは別の話です。現場を回すために休めていないのは管理職であることが多く、ここが最大のリスクになっている会社は少なくありません。
3. 計画年休で「付与日数が少ない人」の手当てを忘れる
事業場全体を休業させる一斉付与方式は分かりやすい反面、新規採用者など5日を超える年次有給休暇がない人への配慮が要ります。パンフレットは、こうした労働者に対して「一斉の休業日について、有給の特別休暇とする。」か「一斉の休業日について、休業手当として平均賃金の60%以上を支払う。」のいずれかの措置をとるとしています。ここを決めずに一斉休業に踏み切ると、入社間もない社員だけが無給で休まされることになり、賃金不払いの問題に発展します。
4. 労使協定と就業規則を取り違える
計画的付与を行う場合、就業規則に定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。パンフレットは「なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。」としています。届出が不要なのは労使協定であって、就業規則の変更届は別途必要です。この2つを混同し、「届出不要と書いてあったから何も出していない」という状態になっている会社を実際に見かけます。
あわせて、年次有給休暇を取得した労働者への不利益取扱いは禁止されています。パンフレットは、精皆勤手当や賞与の額の算定などに際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤または欠勤に準じて取扱うなどの不利益取扱いをしないようにしなければならない、としています。賞与査定表に「出勤率」の欄がある会社は今月中に確認してください。
今すぐやるべきこと
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10月のうちに終えておきたい作業を、順番に並べます。基準日が4月の会社であれば、繁忙期に入る前に調整できるタイミングです。
- ステップ1:年次有給休暇管理簿を最新化する
労働者ごとに、時季・日数・基準日が記載された管理簿を作成し、直近の取得実績まで反映させます。管理簿は労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができ、必要なときにいつでも出力できる仕組みであればシステム上の管理でも差し支えありません。保存期間は、年休を与えた期間中及びその期間の満了後3年間です。 - ステップ2:対象者と未取得者を機械的に抽出する
法定の付与日数が10日以上の人を対象者として確定し、そのうち基準日からの取得日数が5日未満の人を抜き出します。管理監督者、週4日勤務で3年6か月を超えたパートタイム労働者、年度途中に正社員へ転換した人を見落としやすいので、名簿と突き合わせてください。 - ステップ3:未取得者から意見を聴取する
時季指定の前提として、使用者は労働者の意見を聴取しなければなりません。面談、年次有給休暇取得計画表、メール、システムを利用した意見聴取など方法は任意です。聴取した事実と内容を記録に残しておくと、後の調査対応で説明がしやすくなります。 - ステップ4:就業規則の記載を確認する
使用者による時季指定を実施するのであれば、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等が就業規則に書かれている必要があります。記載がなければ、年内の改定を前提に条文案の検討を始めてください。記載のないまま時季指定を実施すると、それ自体が第89条違反として扱われ得ます。 - ステップ5:来期に向けて計画的付与を検討する
毎年の個別調整に疲れているなら、次の基準日から計画年休へ切り替える準備を始めます。労使協定で定めるのは、対象者、対象となる年次有給休暇の日数、具体的な方法、付与日数が少ない者の扱い、計画的付与日の変更手続の5項目です。年末年始やお盆に充てる場合は、取引先への周知も逆算して動く必要があります。
- ☑ 管理簿を更新し、3年間の保存体制を確認した
- ☑ 対象者のうち取得5日未満の人を全員リストアップした
- ☑ 管理監督者とパートタイム労働者を対象判定から漏らしていない
- ☑ 意見聴取の記録を残す方法を決めた
- ☑ 就業規則に時季指定の定めがあるか確認した
- ☑ 賞与・精皆勤手当の算定で年休日を欠勤扱いしていない
よくある質問
- Q. 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、どのような罰則がありますか?
- A. 厚生労働省のパンフレット「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」は、労働基準法第39条第7項に違反して年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科されることがあるとしています。あわせて、使用者による時季指定を行う場合に就業規則に記載していないときも、労働基準法第89条違反として同じく第120条の30万円以下の罰金の対象とされています。制度を運用していること自体ではなく、就業規則への記載と実際の取得日数の両方が問われる点に注意してください。
- Q. 管理職にも年5日の義務はかかりますか?
- A. かかります。東京労働局は、対象を「年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)」と説明しており、厚生労働省のパンフレットも「対象労働者には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。」と注記しています。労働時間や休憩・休日に関する規定の一部が管理監督者に適用されないことと、年次有給休暇の年5日の義務は別の話です。現場では管理職ほど休めていないことが多いため、むしろ優先して確認すべき層だと考えてください。
- Q. パートタイム労働者も年5日の対象になりますか?
- A. 法定の年次有給休暇付与日数が10日以上であれば対象です。比例付与の対象となるのは、所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者です。この比例付与表では、週所定労働日数4日の人は継続勤務3年6か月で10日に到達します。したがって、長く勤めている週4日勤務のパートタイム労働者は年5日の義務の対象に入ります。雇用区分ではなく、実際の付与日数で判定してください。
- Q. 本人が5日以上自分で取っている場合も、会社から時季指定が必要ですか?
- A. 必要ありません。それどころか、してはいけません。厚生労働省のパンフレットは「既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。」としています。労働者が自ら請求・取得した日数と、労使協定による計画年休の日数は、年5日から控除します。「使用者による時季指定」「労働者自らの請求・取得」「計画年休」の合計が5日に達した時点で、使用者からの時季指定はできなくなる、という整理です。
- Q. 時間単位で取った年次有給休暇は、年5日にカウントできますか?
- A. できません。厚生労働省は「時間単位年休の取得分は、この5日には含まれません。」と明記しています。時間単位年休は、年次有給休暇の付与が原則1日単位であるところ、労使協定を結べば年5日の範囲内で時間単位の取得を可能とする制度で、通院や子どもの学校行事、家族の介護などに合わせた柔軟な働き方に役立ちます。使い勝手は良い一方、年5日の義務を満たす手段にはならないため、1日単位の取得と区別して管理する必要があります。
- Q. 計画年休の労使協定は労働基準監督署に届け出が必要ですか?
- A. 必要ありません。厚生労働省のパンフレットは「なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。」としています。ただし、計画的付与を行うには就業規則に定めるところにより労使協定を締結する必要があるため、就業規則に根拠規定がない場合は規定を新設し、就業規則の変更手続を行うことになります。届出が不要なのは労使協定であって就業規則ではない、という点を取り違えないようにしてください。
参考資料・出典
- 厚生労働省「10 月は『年次有給休暇取得促進期間』です」
- 東京労働局「年5日の年次有給休暇の確実な取得」
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(PDF)
- 厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況(労働時間制度)」(PDF)
- 国税庁 タックスアンサー No.2508 給与所得となるもの
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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