堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
記帳指導2026|税務署の無料指導と帳簿不備による加算税10%加重
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:税務署は、帳簿のつけ方から決算・確定申告の手続まで一貫して教える「記帳指導」を無料で実施しています。大阪国税局管内では会計ソフトを使うコースと手書き帳簿のコースの2種類が用意されています。
- 2ポイント2:令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告から、税務調査で売上げの帳簿を提示できない場合などに過少申告加算税・無申告加算税が10%または5%加重されます。記帳は節税ではなく防御の問題です。
- 3ポイント3:申込みは「記帳指導の受講希望アンケート(兼申込書)」を税務署へ提出するか、個人課税部門(記帳指導担当)へ直接連絡します。申込み時期によっては翌年度の案内になります。
CONTENTS目次
確定申告の準備を始める時期になりました。毎年この時期は「帳簿をつけていないがどうすればよいか」という相談が増えます。実は税務署が、帳簿のつけ方から決算・確定申告の手続まで一貫した指導を無料で行う「記帳指導」を用意しており、申込みも年度途中から受け付けています。しかも令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告からは、帳簿を出せないことが加算税の加重に直結する仕組みが動き始めています。本記事では、堺市で個人事業者の関与先を多く担当する税理士の立場から、記帳指導の中身と、帳簿を軽く見た場合に実際に生じる負担を整理します。
記帳指導の概要と記帳・帳簿等保存制度
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まず前提の確認です。国税庁のリーフレット「事業所得や不動産所得等のある方には帳簿の記帳・保存義務があります!」は、「個人で事業や不動産貸付け等を行う全ての方(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない方も含みます。)は、記帳と帳簿書類の保存義務があります。」としています。白色申告でも、申告が不要な規模でも、記帳義務そのものは外れません。
帳簿に何を書くのか
記帳のハードルは、多くの方が思っているほど高くありません。同リーフレットは記帳する内容を「収入金額や必要経費に関する事項について、取引の年月日、相手方の名称、金額や日々の売上げ・仕入れの合計金額等を帳簿に記載します。」と説明し、さらに「記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっています。」としています。小売業や飲食業で1日に何十件も現金売上げがある場合でも、日計でまとめて差し支えないということです。なお大阪国税局は、記帳を始める白色申告の方のために業務の内容に応じた「記帳練習帳」を作成しており、事業所得者用・不動産所得者用・農業所得者用の3種類が公開されています。同局は、この練習帳の「様式」を備付帳簿として活用することができるとしています。
帳簿と書類の保存期間
| 区分 | 保存が必要なもの | 保存期間 |
|---|---|---|
| 青色申告 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
| 青色申告 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表などの決算関係書類 | 7年 |
| 青色申告 | 領収書、小切手控、預金通帳、借用証などの現金預金取引等関係書類 | 7年(前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年) |
| 青色申告 | 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状などその他の書類 | 5年 |
| 白色申告 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
| 白色申告 | 任意帳簿、棚卸表その他の書類、請求書・納品書・領収書など | 5年 |
同リーフレットは「消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等や、インボイス発行事業者として交付した適格請求書の写し及び提供した電磁的記録については、上記に関わらず7年間保存する必要があります。」と注記しています。インボイス発行事業者になった方は、書類の保存期間が実質的に7年に揃うと考えておくほうが安全です。
税務署の無料の記帳指導
大阪国税局は「税務署では、『記帳の方法が分からない、教わりたい』という方を対象に、記帳のつけ方から決算・確定申告の手続まで一貫した指導を行う『記帳指導』の機会を設けています。」と案内しています。同局の案内では、記帳指導には国税局が無料配布する体験版の会計ソフトを利用する「イチからできる会計ソフト記帳」コースと、主に手書きで帳簿を作成される方を対象にした「お使いの帳簿等を活用」コースの2種類が設けられています。堺市は大阪国税局の管内です。同局は「『記帳の仕方』に関するご質問等は、最寄りの税務署にお電話いただき、自動音声にしたがって「2」を選択後、個人課税部門(記帳指導担当)へお問合せください。」と案内しています。
申込方法について大阪国税局は、「記帳指導」を希望する場合は「記帳指導の受講希望アンケート(兼申込書)」を税務署へ提出するか、税務署の個人課税部門(記帳指導担当)へ直接連絡するよう案内しています。東京国税局の案内には「※申し込み時期によっては、翌年度のご案内となる場合があります。」という注記があります。年明けに申し込んでも今期の申告に間に合うとは限らないため、動くなら秋のうちです。
税務署以外にも指導機関があります。大阪国税局は、納税協会と商工会議所・商工会を挙げ、納税協会の簿記教室では「税の専門家(税理士)が簿記の基礎知識や複式簿記による帳簿のつけ方を指導しています。」としています。商工会議所・商工会は、小規模事業者に対する「経営改善普及事業」の一環として記帳指導を行っています。
帳簿不備がもたらす加算税の加重と実務影響
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記帳を先送りすることの本当のコストは、手間ではなく加算税です。国税庁の「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」は、令和4年度税制改正により、記帳義務の適正な履行を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑止するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられたと説明しています。
加重の3類型
同Q&Aは、申告所得税、法人税・地方法人税、消費税の税務調査において、税務職員から「売上げ(業務に係る収入を含む。)に関する調査に必要な帳簿」の提示等を求められ、かつ、次のいずれかに該当する場合に、通常の過少申告加算税・無申告加算税の割合が10%又は5%加重されるとしています。
| 類型 | 状況 | 加重幅 |
|---|---|---|
| ① | 帳簿の提示等をしなかった場合 | 10%加重 |
| ② | 帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等をすべき金額の2分の1未満だった場合 | 10%加重 |
| ③ | 帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等をすべき金額の3分の2未満だった場合(②に該当する場合を除きます。) | 5%加重 |
国税庁は具体例として、個人事業者に対する税務調査において提示等がされた帳簿について、本来記載等をすべき売上金額が2,000万円であったにもかかわらず、実際には800万円しか記載等がされておらず、その結果、申告漏れが生じていた場合を挙げ、この場合は②に該当することから、申告漏れとなっていた1,200万円に対して新たに納める必要のある所得税額を基礎として課される過少申告加算税の割合が10%加重されることとなる、と説明しています。なお同Q&Aは「申告所得税、法人税・地方法人税、消費税の本税の割合が加重されるものではありません。」と注記しています。
いつから、誰に適用されるか
適用開始について同Q&Aは「本措置は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税・地方法人税、消費税について適用されます。」としています。税目ごとの適用場面も示されており、申告所得税は令和5年分から、法人税・地方法人税は令和5年10月決算期分(例えば、3月決算法人の場合には令和6年3月決算期分)から、消費税は課税期間が1年間の場合には申告所得税、法人税・地方法人税と同様とされています。すでに動いている制度だという点を押さえてください。
対象となる個人は、帳簿の備付け・保存義務がある事業所得、不動産所得、山林所得を生ずべき業務を行う事業者です。同Q&Aは、雑所得を生ずべき業務(副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの)を行う事業者は所得税については本措置の対象とならないが、消費税の課税事業者に該当する場合には消費税に限って対象となる、と注記しています。副業で消費税の課税事業者になっている方は、所得税では対象外でも消費税では対象になり得ます。
一方で、対象外の範囲も明確です。同Q&Aは、本措置は過少申告加算税及び無申告加算税を対象としたものであり、重加算税や不納付加算税については対象とされていないとしています。また、税務調査を受けていない状況において自発的に無申告の事実に気が付いて期限後申告書を提出した場合には本措置の適用はない、ともしています。ただし、本措置の適用があるかどうかにかかわらず、期限後申告の場合は原則として通常の無申告加算税や延滞税がかかります。
判定の基準は「売上げ」です。国税庁は、所得税については商品製品等の売上げ、役務提供に係る売上げ、農作物の売上げ、賃貸料、山林の伐採や譲渡による売上げを挙げ、家事消費とその他の収入(いわゆる雑収入)は含まれないとしています。経費側の記帳が多少荒くても、売上げの記帳が欠けていれば加重の対象になり得る、という優先順位になります。
当事務所の見解・実務上の注意点
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記帳指導は無料で、質も安定しています。ただし万能ではありません。関与先の状況を見てきた立場から、使い方の線引きを整理します。
記帳指導が向いている方
開業から日が浅く、取引の件数が月に数十件程度で、自分で会計ソフトを動かす意思がある方には有効です。大阪国税局も「会計ソフトを利用すれば、日々の取引内容を入力するだけで簡単に記帳ができますので、パソコンをお持ちの方は『イチからできる会計ソフト記帳』コースがお勧めです。」としています。自分で入力できるようになれば、月次の数字が自分の手元で見えるようになり、資金繰りの判断が早くなります。これは税理士に丸ごと任せていると得にくい感覚です。
記帳指導だけでは足りない方
一方で、次のような方は指導を受けても最終的に行き詰まります。取引件数が多く入力そのものに時間を取られる方、在庫や原価計算が必要な方、消費税の課税事業者で税率ごとの区分経理が必要な方、従業員を雇って給与計算と源泉徴収が発生している方です。国税庁のリーフレットも「消費税の課税事業者となる方は、軽減税率の対象となる売上げ・仕入れがある場合、税率ごとに区分して帳簿に記載する必要があります。また、仕入れについては、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)からのものか否かの区分も必要となります。」としています。この区分を独力で正確に回すのは、想像よりも負担が重い作業です。
時間単価で考えると判断しやすくなります。入力と照合に毎月十数時間かかっているなら、その時間を本業に充てたほうが利益は大きいという結論になりやすいものです。記帳そのものを外部化したい場合は、堺市の記帳代行・経理代行サービスもご検討ください。
青色申告への接続を同時に設計する
記帳指導を受けるなら、青色申告をゴールに置くべきです。国税庁のタックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」は、青色申告者に対する特典の1つとして、所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除するという青色申告特別控除があると説明しています。65万円の控除を受けるためには、55万円の控除の要件に該当したうえで、その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存を行っているか、確定申告書、貸借対照表、損益計算書等を確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して送信することのいずれかに該当する必要があります。
ここで重要なのは順序です。複式簿記による記帳ができていなければ、電子申告をしても65万円には届きません。記帳の体制を先に作り、そのうえで申告手段を選ぶ、という順番で設計してください。
今すぐやるべきこと
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確定申告期に慌てないために、10月から12月のうちに終えておきたい作業を順番に示します。
- ステップ1:今年分の売上げの記帳状況を確認する
加算税の加重措置の判定は売上げが基準です。1月から直近月までの売上げについて、取引の年月日、相手方の名称、金額が帳簿に入っているかを確認します。通帳の入金だけで管理している場合は、現金売上げと掛け売上げの計上漏れがないかを重点的に見てください。 - ステップ2:保存すべき書類を年単位で箱に揃える
請求書、納品書、送り状、領収書を年ごとにまとめ、青色申告なら帳簿と決算関係書類を7年、その他の書類を5年という区分で保管できる形にします。インボイス発行事業者が交付した適格請求書の写しは7年保存です。 - ステップ3:電子取引のデータ保存を点検する
国税庁のリーフレットは「請求書や領収書などに相当する電子データをやりとりした場合には、原則、その電子データを一定の要件の下で保存する必要があります。」としています。メールやクラウドで受け取った請求書を紙に印刷して捨てていないか、この機会に確認してください。 - ステップ4:記帳指導を申し込むか、外部委託するかを決める
自力で続ける方針なら、「記帳指導の受講希望アンケート(兼申込書)」を税務署へ提出するか、個人課税部門(記帳指導担当)へ直接連絡します。申込み時期によっては翌年度の案内になる点を踏まえ、年内に動いてください。 - ステップ5:来年分の青色申告承認申請の要否を確認する
青色申告をするには、「所得税の青色申告承認申請書」に必要な事項を記載して所轄税務署に提出する必要があります。現在白色申告であれば、記帳体制が整う見込みの年分から青色に切り替えられるよう、申請の期限を調べて逆算してください。
- ☑ 今年分の売上げが取引年月日・相手方・金額まで帳簿に入っている
- ☑ 請求書・領収書を年単位でまとめ、保存期間の区分を決めた
- ☑ 電子で受け取った請求書をデータのまま保存している
- ☑ 消費税の課税事業者なら税率ごとの区分経理ができている
- ☑ 記帳指導の申込みか外部委託かを年内に決めた
- ☑ 青色申告承認申請書の提出要否を確認した
- ☑ 現金売上げと掛け売上げの計上漏れを取引先ごとに突き合わせた
よくある質問
- Q. 税務署の記帳指導は本当に無料ですか?
- A. 無料です。大阪国税局は、税務署では事業所得等を有する白色申告の方等に対し、記帳に関する説明会を開催し、記帳・記録保存制度の概要や具体的な記帳の仕方等についての説明を無料で行っているとしています。また、記帳のつけ方から決算・確定申告の手続まで一貫した指導を行う「記帳指導」の機会も設けられています。東京国税局の案内では、委託先の民間の指導機関から会計ソフトによる一貫した記帳指導を無料で受けられるとされています。費用負担を理由に先送りする必要はありません。
- Q. 白色申告でも帳簿をつける必要がありますか?
- A. あります。国税庁のリーフレットは「個人で事業や不動産貸付け等を行う全ての方(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない方も含みます。)は、記帳と帳簿書類の保存義務があります。」としています。白色申告の場合、収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年、任意帳簿や棚卸表その他の書類、請求書・納品書・領収書などは5年の保存が必要です。申告義務がないから記帳義務もない、という理解は誤りですのでご注意ください。
- Q. 帳簿を出せないと加算税はどれだけ増えますか?
- A. 国税庁のQ&Aによれば、税務調査で売上げに関する調査に必要な帳簿の提示等を求められ、帳簿の提示等をしなかった場合は過少申告加算税・無申告加算税の割合が10%加重されます。帳簿への売上金額の記載等が本来記載等をすべき金額の2分の1未満だった場合も10%加重、3分の2未満だった場合は5%加重です。本税の割合が加重されるわけではありませんが、同じ申告漏れでも帳簿の有無で負担が変わります。
- Q. この加重措置はいつから適用されていますか?
- A. 国税庁のQ&Aは「本措置は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税・地方法人税、消費税について適用されます。」としています。税目別では、申告所得税は令和5年分から、法人税・地方法人税は令和5年10月決算期分(例えば、3月決算法人の場合には令和6年3月決算期分)から適用されるとされています。消費税は課税期間が1年間の場合には申告所得税、法人税・地方法人税と同様です。すでに適用が始まっている制度です。
- Q. 副業の雑所得でも対象になりますか?
- A. 所得税については対象外ですが、消費税では対象になり得ます。国税庁のQ&Aは、雑所得を生ずべき業務(副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの)を行う事業者は所得税については本措置の対象とならないものの、消費税の課税事業者に該当する場合には消費税に限って本措置の対象となる、としています。また、令和4年以降、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超の方は、その業務に係る現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。
- Q. 記帳指導を受ければ青色申告特別控除65万円を受けられますか?
- A. 指導を受けること自体が要件ではありません。国税庁のタックスアンサーNo.2072は、65万円の青色申告特別控除について、55万円の控除の要件に該当したうえで、その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存を行うか、確定申告書、貸借対照表、損益計算書等を確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して送信することのいずれかに該当する必要があるとしています。55万円の要件には正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)による記帳が含まれます。
参考資料・出典
- 大阪国税局「記帳の仕方がわからない方へ」
- 東京国税局「記帳・帳簿等に関する情報サイト」
- 国税庁「事業所得や不動産所得等のある方には帳簿の記帳・保存義務があります!」(PDF)
- 国税庁「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」(令和4年10月)(PDF)
- 国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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