堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
インボイス登録の取りやめ2026|12月17日の期限と3割特例の判断
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:個人事業者がインボイス発行事業者の登録を令和9年1月1日から取りやめるには、令和8年12月17日までに「登録取消届出書」を提出する必要があります。この期限は土日祝でも翌日にずれません。
- 2ポイント2:2割特例は個人事業者では令和8年分が最後ですが、令和9年分・令和10年分は「3割特例」が使えます。登録を取りやめると3割特例の要件を満たさなくなります。
- 3ポイント3:登録を取りやめても、経過措置で登録した場合は登録日以後2年を経過する日の属する課税期間まで免税事業者に戻れません。取りやめの判断は年内に試算してから決めてください。
CONTENTS目次
2割特例が個人事業者では令和8年分で終わるため、「インボイスの登録をやめようか」と考えている方が増えています。しかし令和8年度税制改正で、個人事業者向けに令和9年分・令和10年分の「3割特例」が創設されました。3割特例はインボイス発行事業者の登録を受けていることが要件のため、登録を取りやめると使えません。この記事では、登録取りやめの手続きと令和8年12月17日という期限、そして取りやめる前に必ず確認すべき判断材料を、堺市の税理士事務所の視点で整理します。
インボイス登録の取りやめ手続きと期限
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まず手続きの全体像を確認します。適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録をやめたい場合は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(以下「登録取消届出書」)を提出します。根拠は消費税法第57条の2第10項第1号、消費税法施行令第70条の5第3項、消費税法施行規則第26条の2第3項です。
提出時期は「15日前」がすべてを決める
国税庁の手続案内(D1-70)は、提出時期について次のように示しています。「届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間の初日から登録の効力を失わせるためには、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出が必要です」。そして「翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて提出した場合には、翌々課税期間の初日に効力を失うことになります」とされています。
個人事業者の課税期間は暦年(1月1日から12月31日)です。したがって令和9年1月1日から登録を取りやめたい場合、提出期限は令和8年12月17日(木)となります。国税庁のリーフレット「インボイス発行事業者の登録をやめようとするときは」も、個人事業者や12月決算法人がX3年1月1日から取りやめる場合はX2年12月17日までに提出、と明示しています。
もっとも注意すべき落とし穴:国税庁のQ&A(問13)は、「翌課税期間の初日から起算して15日前の日」が日曜日、国民の祝日、その他一般の休日、土曜日、または12月29日・30日・31日であったとしても、これらの日の翌日とはなりませんと明記しています。申告期限のように「休日なら翌開庁日」とはならないということです。令和8年12月17日は木曜日ですが、期限が動かないルール自体は変わりません。1日でも遅れれば効力発生は令和10年1月1日となり、令和9年分は登録事業者のままです。
法人の場合の期限は決算月で決まる
法人は事業年度が課税期間になるため、期限は決算月ごとに異なります。国税庁Q&Aの設例では、3月決算法人が令和7年4月1日から登録を取りやめる場合、令和7年3月17日までに登録取消届出書を提出する必要があるとされています。同じ設例で、令和7年3月25日に提出した場合は、翌々課税期間の初日である令和8年4月1日に登録の効力が失われます。つまり令和8年3月期までは登録事業者のままです。各期首の15日前が実質的な締切と覚えておくと間違えません。
提出方法と提出先
作成・提出はe-Taxソフトで行えるほか、書面で作成して送付することもできます。書面の場合の送付先は税務署ではなく、納税地を管轄する各国税局のインボイス登録センターです。この点は登録申請時と同じですが、通常の届出書と送付先が異なるため、誤って所轄税務署へ送ると到達が遅れ、期限に間に合わなくなるおそれがあります。
なお、個人事業者が死亡した場合や事業を廃止した場合、法人が清算結了・合併消滅した場合は、登録取消届出書ではなく「事業廃止届出書」や「適格請求書発行事業者の死亡届出書」など別の手続きになります。登録取消届出書の提出は不要です。
中小企業・個人事業者への実務影響
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次に、「やめるかどうか」を判断するうえで欠かせない令和8年度税制改正の内容を確認します。ここを知らずに取りやめを決めてしまうと、使えたはずの負担軽減措置を自ら手放すことになります。
2割特例は終わるが、3割特例が始まる
2割特例(適格請求書発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)は、令和8年9月30日が属する課税期間までの適用です。個人事業者の課税期間は暦年ですから、令和8年分が最後になります。
ここで重要なのが、令和8年度税制改正で創設された3割特例です。国税庁の令和8年度税制改正特集は、これを「インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者に係る令和9年分・令和10年分の消費税の確定申告において納付税額を売上税額の3割とすることができる特例」と説明しています。主な適用要件は次の3点です。
- ☑ 個人事業者であること(法人は対象外)
- ☑ 基準期間(適用を受ける年の2年前。令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年)の課税売上高が1,000万円以下であること
- ☑ インボイス発行事業者の登録を受けていること
3つ目の要件に注目してください。登録を取りやめると、3割特例の適用要件を満たさなくなります。「2割特例が終わるからもう登録している意味がない」という判断は、少なくとも令和9年分・令和10年分については早計だということです。
簡易課税への移行も柔軟になった
あわせて、簡易課税制度への移行措置も創設されました。簡易課税は原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要がありますが、2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、その課税期間の申告期限までに届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できます。つまり、実際の売上や仕入れの結果を見てから簡易課税を選べるということです。
簡易課税は基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について適用でき、みなし仕入率は事業区分に応じて第1種事業(卸売業)90%から第6種事業(不動産業)40%まで定められています。なお、簡易課税制度は選択したら原則として2年間は継続適用が必要です。
取引先側の控除割合も段階的に下がる
登録を取りやめると、取引先はあなたへの支払いについて仕入税額控除を全額は受けられなくなります。免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置は、令和8年度税制改正で適用期限が2年間延長されたうえで、控除可能割合が次のように見直されました。
| 期間 | 仕入税額控除の可能割合 |
|---|---|
| 令和8年10月〜令和10年9月 | 70%控除 |
| 令和10年10月〜令和12年9月 | 50%控除 |
| 令和12年10月〜令和13年9月 | 30%控除 |
さらに、この7・5・3割控除については、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)が、その年または事業年度で1億円(改正前は10億円)を超える場合、その超えた部分の課税仕入れについては適用できないこととされました。この見直しは令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
2年縛りで免税事業者に戻れないことがある
もうひとつの重要な制約が、いわゆる2年縛りです。国税庁Q&A(問13)は、免税事業者が登録に係る経過措置により令和5年10月1日を含む課税期間以外の課税期間に登録を受けた場合、登録を取りやめたとしても、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間について免税事業者となることはできないとしています(平成28年改正法附則44条5項)。
この場合、登録は失われるのでインボイスは発行できなくなる一方で、消費税の申告と納税は続くという、事業者にとって最も不利な状態が生じます。登録日がいつだったかを確認せずに取りやめると、この落とし穴にはまります。
登録を続ける場合とやめる場合の比較
令和9年分以降について、個人事業者が登録を継続する場合と取りやめる場合を並べて整理します。
| 比較項目 | 登録を継続する | 登録を取りやめる |
|---|---|---|
| 3割特例(令和9年分・令和10年分) | 要件を満たせば適用可 | 適用不可(登録が要件のため) |
| インボイスの交付 | 交付できる | 交付できない |
| 取引先の仕入税額控除 | 全額控除できる | 経過措置により段階的に縮小 |
| 消費税の申告・納税 | 必要 | 2年縛りに該当する間は必要 |
| 簡易課税への移行 | 移行措置により申告期限までの届出で可 | 課税事業者である間のみ検討可 |
| 向いているケース | 売上先が課税事業者中心(企業間取引) | 売上先が消費者中心で登録の実益が乏しい |
判断の軸はシンプルです。売上先が誰か。取引先が課税事業者中心であれば、登録をやめた瞬間に価格交渉や取引見直しの対象になり得ます。一方、売上のほとんどが一般消費者であれば、登録を維持するメリットは相対的に小さくなります。
当事務所の見解・実務上の注意点
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ここからは、堺市で個人事業主・中小企業の税務顧問を担当してきた立場から、実務で判断を誤りやすい点をお伝えします。
1|「2割特例が終わる」だけを理由に決めない
相談の場で最も多いのが「2割特例が終わると聞いたので、やめようと思う」というご相談です。しかし令和9年分・令和10年分は3割特例があり、その要件はインボイス登録を受けていることです。負担が2割から3割に増えるとしても、原則課税で計算した納税額より有利になるケースは十分にあります。やめる判断の前に、3割特例・簡易課税・原則課税の3通りで試算することをおすすめします。
2|登録日を必ず確認してから決める
2年縛りの適用は、登録日が令和5年10月1日を含む課税期間中かどうかで変わります。制度開始と同時に登録した方は該当しませんが、その後に登録した方は、取りやめても2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れません。登録通知に記載された登録年月日を確認せずに届出を出すのは危険です。
3|課税事業者選択届出書を出している場合は届出が2枚必要
見落とされやすいのがこの点です。「消費税課税事業者選択届出書」を提出している事業者が、登録の効力が失われた後の課税期間について免税事業者に戻るためには、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどに加えて、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。登録取消届出書だけでは免税事業者に戻れません。令和9年分から戻るのであれば、こちらの期限は令和8年12月31日です。登録取消届出書の12月17日と期限が違う点にご注意ください。
4|取引先への告知は「事前に」「書面で」
登録を取りやめると、取引先の経理処理と納税額が変わります。何の連絡もなく請求書から登録番号が消えると、取引先は請求書の不備を疑い、支払保留や問い合わせ対応が発生します。取りやめを決めたら、効力が生じる日と、それ以降は適格請求書を交付できない旨を、事前に書面やメールで通知してください。日々の請求書・帳簿の様式変更を含め、記帳・経理代行のサポートで切替時期の実務を整理しておくと混乱を防げます。
5|取りやめても帳簿・証憑の保存義務は消えない
登録を取りやめた後も、登録事業者であった期間に交付した適格請求書の写しや帳簿の保存義務は残ります。「もう関係ない」と廃棄してしまうと、後日の税務調査で説明ができません。切り替えのタイミングでこそ、書類の保存ルールを再確認しておくべきです。個人事業主の消費税の判断に迷われる場合は、個人事業主向けの税理士サポートもご検討ください。
今すぐやるべきこと
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令和9年分から登録を取りやめる可能性がある方に向けて、期限から逆算した5つのステップを示します。
- ステップ1:登録通知で登録年月日を確認する
登録日が令和5年10月1日を含む課税期間中かどうかで、2年縛りの適用が変わります。それ以外の期間に登録した方は、取りやめても登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れません。まずここを確定させてください。 - ステップ2:売上先の構成を課税事業者と消費者に分ける
直近1年の売上を、課税事業者向けと一般消費者向けに分類します。課税事業者向けの比率が高いほど、登録を取りやめた場合の取引影響は大きくなります。金額ベースで比率を出してください。 - ステップ3:令和9年分の納税額を3通りで試算する
3割特例、簡易課税、原則課税の3パターンで令和9年分の納税額を試算します。3割特例は基準期間である令和7年の課税売上高が1,000万円以下であることが要件のため、令和7年の実績を確定させたうえで判定してください。 - ステップ4:取りやめるなら令和8年12月17日までに届出書を提出する
「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を、e-Taxまたは書面で提出します。書面の場合の送付先は所轄税務署ではなく、納税地を管轄する国税局のインボイス登録センターです。この期限は休日でも翌日にずれません。 - ステップ5:課税事業者選択届出書の有無を確認し、必要なら不適用届出書も出す
過去に「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合は、令和9年分から免税事業者に戻るために「消費税課税事業者選択不適用届出書」を令和8年12月31日までに提出する必要があります。あわせて取引先への事前通知も済ませてください。
判断に迷う場合は、まず登録を継続したまま令和9年分を3割特例で申告し、実績を見て令和10年以降に改めて判断するという選択もあります。取りやめは翌年以降にも実行できますが、いったん取りやめると再登録には改めて登録申請が必要になります。急いで結論を出す必要はありません。
よくある質問
- Q. 令和9年1月1日から登録をやめたい場合、いつまでに届出書を出せばよいですか?
- A. 令和8年12月17日までです。国税庁は「翌課税期間の初日から起算して15日前の日まで」と定めており、リーフレットでも個人事業者や12月決算法人がX3年1月1日から取りやめる場合はX2年12月17日までと示しています。この日を過ぎて12月31日までに提出した場合は、令和10年1月1日から効力が失われることになります。
- Q. 提出期限が土日祝に当たったら翌開庁日まで延びますか?
- A. 延びません。国税庁のQ&Aは、「翌課税期間の初日から起算して15日前の日」が日曜日、国民の祝日、その他一般の休日、土曜日、または12月29日・30日・31日であったとしても、これらの日の翌日とはならないと明記しています。申告期限の休日延長と混同しやすい点なので、余裕をもって提出してください。
- Q. 登録をやめれば、すぐに消費税の申告は不要になりますか?
- A. 必ずしもそうではありません。免税事業者が経過措置により令和5年10月1日を含む課税期間以外の課税期間に登録を受けた場合は、登録を取りやめても、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間について免税事業者となることはできません。また「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合は、別途「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出も必要です。
- Q. 3割特例はどんな人が使えますか。法人でも使えますか?
- A. 3割特例の対象は個人事業者のみで、法人は対象外です。インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者が、基準期間(令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年)の課税売上高1,000万円以下という要件を満たす場合に、令和9年分・令和10年分の確定申告で納付税額を売上税額の3割とすることができます。
- Q. 3割特例を使った翌年に簡易課税へ切り替えることはできますか?
- A. できます。令和8年度税制改正で移行措置が創設され、2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、その課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できます。通常必要な「課税期間の初日の前日まで」という事前届出が不要になる点が大きな違いです。
- Q. 一度やめた登録は、また受け直せますか?
- A. 登録を取りやめた後に再びインボイスを交付したくなった場合は、改めて「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して登録を受ける必要があります。登録には審査と通知の期間を要するため、思い立ってすぐ交付できるわけではありません。取引先の構成が変わる可能性がある場合は、この手戻りのコストも織り込んで判断してください。
参考資料・出典
- 国税庁 D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続
- 国税庁 令和8年度税制改正特集(インボイス制度)
- 国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問13(登録の取りやめ)
- 国税庁「インボイス発行事業者の登録をやめようとするときは」
- 国税庁 タックスアンサー No.6505 簡易課税制度
- 国税庁「インボイス制度において事業者が注意すべき事例集」(令和8年4月改訂)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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