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労働者死傷病報告2026|休業4日未満は10月末が期限・電子申請の実務

労働者死傷病報告の休業4日未満の提出期限と電子申請義務化を解説する記事のアイキャッチ画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:労働者が労働災害等により死亡し、又は休業したときは、事業者が所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出しなければなりません(労働安全衛生規則第97条)。労災保険の請求手続とは別の義務です。
  • 2ポイント2:休業4日以上は災害発生後遅滞なく、休業4日未満は四半期ごとの報告です。7月から9月までに発生したものは10月末日までが期限になります。
  • 3ポイント3:令和7年1月1日から報告事項が改正され、電子申請が義務化されました。経過措置として、当面の間は電子申請が困難な場合に書面による報告も可能です。

現場で従業員が転んで足をひねり、3日休んだ。病院にはかかったが労災保険は使わず、会社が治療費を出した。このとき、多くの会社が「特に手続は不要」と考えて終わらせてしまいます。しかし、休業が1日でもあれば労働者死傷病報告の提出義務が生じ、7月から9月までに発生したものは10月末日が期限になります。令和7年1月1日からは報告事項が改正され、電子申請も義務化されました。四半期の締めが近づく今、社内に未報告の労働災害が残っていないかを確認しておきたい時期です。

労働者死傷病報告の制度概要と令和7年改正

労働安全衛生規則第97条に基づく労働者死傷病報告の制度概要を表す書類フォルダのイラスト

厚生労働省のリーフレットは、この義務を次のように説明しています。「労働者が労働災害等により死亡し、又は休業したときには、事業者は所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出しなければなりません(労働安全衛生規則第97条)」。事業規模や業種を問わず、労働者を使用するすべての事業者が対象です。

報告が必要になる4つの場面

東京労働局がまとめたリーフレットは、報告対象を次の4つに整理しています。

  • ☑ 労働者が労働災害により、負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
  • ☑ 労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
  • ☑ 労働者が事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
  • ☑ 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき

同リーフレットは「災害の発生が就業中でなくても、事業場内又は付属建設物内で発生したものは、提出する必要があります」と注意しています。休憩時間中に社内の階段で転んで休んだケースも、報告の対象に入り得るということです。「労働災害により」に限らず「就業中に」「事業場内又はその附属建設物内で」という要件が並列で置かれている点が、実務では見落とされがちです。

令和7年1月1日からの改正内容

厚生労働省は「令和7年1月1日から労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されました」と公表しています。改正の柱は2つです。

1つ目は報告事項のコード入力方式への変更です。厚生労働省のリーフレットによれば、事業の種類は「日本標準産業分類から該当する細分類項目」、被災者の職種は「日本標準職業分類から該当する小分類項目」を選ぶ形になりました。傷病名及び傷病部位、国籍・地域及び在留資格も選択式です。2つ目は災害発生状況及び原因の欄の分割です。改正後の様式は、①どのような場所で(被災時の作業場所)、②どのような作業をしているときに(作業者の作業行動を含む)、③どのような物(機械、化学物質等)または環境に(起因物及び加害物)、④上記②又は③にどのような不安全な又は有害な状態があったか、⑤どのような災害が発生したか(事故の型、傷病の部位、傷病名等)、の5つの項目別に記入する構成になっています。

旧様式は使えない
厚生労働省は「令和7年1月1日以降は、従前の労働安全衛生規則様式第23号及び同第24号は使用しないでください」としています。社内に保管している古い様式のストックは処分し、改正後の様式に差し替えてください。

報告事項そのものも細かくなりました。神奈川労働局が示している一覧によれば、労働保険番号、事業の種類ならびに事業場の名称・所在地・電話番号、常時使用する労働者の数のほか、被災した労働者については「氏名、生年月日及び年齢、性別、職種、当該職種における経験期間ならびに傷病の名称及び部位」が求められます。休業見込期間または死亡日時、休業の日数が4日に満たないときはその休業日数、労働災害等の発生日時・発生場所の所在地・発生状況およびその略図ならびに原因も報告事項です。被災者が外国人である場合は、国籍または地域の名称と在留資格の区分も記載します。

電子申請の義務化には経過措置があります。厚生労働省は「パソコン端末を所持していない等の事情により電子申請が困難な場合には、当分の間、書面による報告も可能です」としており、書面の場合は同省サイトから改正後の様式をダウンロードして所轄の労働基準監督署へ提出します。なお令和7年1月1日からは、労働者死傷病報告のほかに、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医の選任報告、定期健康診断結果報告、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告、有害な業務に係る歯科健康診断結果報告、有機溶剤等健康診断結果報告、じん肺健康管理実施状況報告についても電子申請が義務化されています。

中小企業の実務への影響と提出期限の管理

休業4日未満の労働者死傷病報告を四半期ごとに提出する期限管理を表す砂時計のイラスト

休業日数で変わる報告のタイミング

神奈川労働局は、報告について「休業4日以上の場合は遅滞なく、休業4日未満の場合は、1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間における当該事実について、それぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、電子申請により報告してください」と案内しています。整理すると次のとおりです。

休業日数災害の発生時期報告のタイミング
休業4日以上(死亡含む)災害発生後遅滞なく
休業4日未満(1日〜3日)1月から3月までに発生したもの4月末日まで
4月から6月までに発生したもの7月末日まで
7月から9月までに発生したもの10月末日まで
10月から12月までに発生したもの1月末日まで

「遅滞なく」の解釈について、東京労働局のリーフレットは「正当又は合理的な理由がある場合を除き、事情の許す限り最も速やかに」とされ「概ね1週間から2週間以内程度」と解されている、と説明しています。休業4日以上の災害を1か月放置していれば、それだけで指摘の対象になり得ます。

労災保険の請求とは別の手続

実務で最も多い誤解が、労災保険の給付請求書を出したから報告も済んでいる、という思い込みです。東京労働局のリーフレットは「休業・死亡災害が発生したときは、労災保険の請求手続きとは別に提出する必要があります」と明記しています。提出先は事業場を管轄する労働基準監督署で、建設現場の場合は原則として工事現場の所在地を管轄する労働基準監督署です。報告部数は1部で、控えが必要な場合は提出時に報告書の写しを用意します。労災保険を使わずに会社が治療費を負担した場合でも、休業があれば報告義務は残ります。

電子申請に必要なアカウントと略図の扱い

神奈川労働局は、電子申請を利用する場合に「e-Govアカウント、GビズID、またはMicrosoftアカウントが必要です」としており、スマートフォンなどのモバイル端末での操作もできると案内しています。厚生労働省は、電子申請に当たってポータルサイト「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」の活用を勧めています。同サービスは届出する様式の作成・印刷に加え、入力した情報をe-Govを介して直接電子申請でき、入力内容を端末に保存して再利用することもできます。

発生時の状況を図示する略図については、厚生労働省のリーフレットが「従前の手書きでの作成とは異なり、イラスト等の『略図』のデータを添付してください」とし、「『略図』を手書き等で作成後、携帯電話等で写真を撮ってそのデータを添付していただいても構いません」と説明しています。手書きの図をそのまま活かせるため、作図ソフトを用意する必要はありません。

労災かくしは犯罪行為
神奈川労働局の相模原労働基準監督署が作成した資料は、労働災害の発生をかくすために労働者死傷病報告を故意に提出しないこと、虚偽の内容を記載して提出することを「労災かくし」と呼び、「提出を怠るか、または虚偽の内容を報告すると、50万円以下の罰金に処せられる場合があります」と注意しています。同資料は「労災かくしは法違反であり、犯罪行為ということになります」とも述べています。

派遣労働者が被災した場合

報告事項には、派遣労働者が被災した場合に、報告を行う事業者が派遣先と派遣元のいずれに該当するかの別、ならびに派遣先の事業場の名称および郵便番号を記載することが含まれています。派遣先と派遣元の双方が、それぞれ所轄の労働基準監督署長に提出する取扱いです。構内下請事業の場合は親事業場の名称、建設業の場合は元方事業場の名称も報告事項に含まれます。

当事務所の見解・休業中の支払には税務の分岐がある

休業手当と休業補償で課税と非課税に分かれる区分を表す2つに仕切られた引き出しのイラスト

労働者死傷病報告は労務の手続ですが、その後に会社が支払うお金の扱いは税務の問題になります。当事務所が顧問先からご相談を受けるなかで、処理を誤りやすいのが源泉徴収の要否です。

「休業手当」と「休業補償」は課税の扱いが逆になる

国税庁のタックスアンサーNo.1905「労働基準法の休業手当等の課税関係」(令和8年4月1日現在法令等)は、2つの支払を明確に区別しています。労働基準法第26条の規定に基づく「休業手当」は、「使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給される」ものであり、給与所得となります。一方、労働基準法第76条の規定に基づく「休業補償」など、労働基準法第8章(災害補償)の規定により受ける療養のための給付等は、非課税所得です。

名称が似ているため給与計算の担当者が取り違えやすく、本来は非課税である休業補償から源泉所得税を天引きしてしまう誤りが起こります。逆に、資材待ちによる休業に対する休業手当を非課税として処理すれば、源泉徴収漏れになります。判断の起点は「何を原因とする休業か」です。業務上の負傷等による休業か、使用者の都合による休業かで扱いが分かれます。

就業規則で上乗せした付加給付も非課税になる

同タックスアンサーは、就業規則に基づき労働基準法第76条第1項に定める割合を超えて支給される付加給付金についても、「労働基準法上の給付では補てんされない部分に対応する民法上の損害賠償に相当するものであり、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料として非課税所得となります」としています。労災保険の給付は平均賃金の全額を補填するわけではないため、差額を会社が上乗せする規定を就業規則に置いている会社は少なくありません。その上乗せ分を給与として課税してしまうと、従業員の手取りが本来より減ることになります。根拠規定が就業規則に明記されているかどうかを、労働災害が起きる前に確認しておくべきです。

3つの書類を同時に走らせる
労働災害が起きたときに必要なのは、①労働者死傷病報告、②労災保険の給付請求書、③社内の災害報告と再発防止の記録、の3つです。①と②は提出先が同じ労働基準監督署でも別の手続であり、③は次の監督指導に備える資料になります。担当者がひとりの会社ほど②だけで止まりやすいため、災害発生時のチェックリストを用意しておくことをおすすめします。

給与計算や社会保険の手続を含めて社内の体制を整理したい場合は、経理代行のサービスとあわせてご検討ください。税務上の取扱いの判断を含めたご相談は、堺市の税務顧問として承っています。

今すぐやるべきこと

労働者死傷病報告を期限までに電子申請で提出する手順を表す紙飛行機のイラスト

7月から9月までに発生した休業4日未満の災害は、10月末日が報告期限です。次の順番で確認してください。

  1. ステップ1:7月から9月の欠勤記録を災害の有無で洗い直す
    勤怠データの欠勤・遅刻・早退から、けがや体調不良を理由とするものを抜き出します。有給休暇を充てた日も、業務上の負傷が原因であれば休業に当たる可能性があります。現場の責任者にも口頭で確認してください。勤怠システム上は通常の欠勤として処理されていることが多く、記録だけを見ても災害かどうかは判別できません。
  2. ステップ2:労災保険を使っていない災害を特に確認する
    治療費を会社が負担した、健康保険で受診した、といったケースは記録に残りにくく、報告漏れが起きやすい類型です。労災保険の請求の有無と報告義務は連動しません。東京労働局のリーフレットも、労災保険の請求手続とは別に提出が必要であると明記しています。過去の四半期分に漏れが見つかった場合も、気づいた時点で速やかに提出してください。
  3. ステップ3:電子申請のアカウントを準備する
    e-GovアカウントかGビズID、またはMicrosoftアカウントが必要です。GビズIDのプライムは取得に日数がかかるため、期限直前に着手すると間に合わないおそれがあります。社会保険労務士に提出代行を依頼している場合は、対応範囲を事前に確認してください。
  4. ステップ4:報告事項をそろえてから入力を始める
    労働保険番号、事業の種類の分類番号、被災者の職種の分類番号、当該職種における経験期間、傷病名および部位、発生日時と場所、略図のデータを先に集めます。入力支援サービスは途中保存ができます。
  5. ステップ5:給与計算側で課税・非課税の区分を確認する
    休業中に支払った金銭が労働基準法第26条の休業手当か、第76条の休業補償かを整理し、源泉徴収の処理が正しいかを年末調整の前に点検します。就業規則に法定を上回る補償の規定があるかどうかも、あわせて確認してください。

よくある質問

Q. 労災保険の給付を請求していれば、労働者死傷病報告は出さなくてもよいのですか?
A. 別に提出が必要です。労働者死傷病報告は労働安全衛生規則第97条に基づく事業者の報告義務で、労災保険の保険給付を請求する手続とは目的も根拠も異なります。東京労働局がまとめたリーフレットも「休業・死亡災害が発生したときは、労災保険の請求手続きとは別に提出する必要があります」と注意を促しています。労災保険を使わずに治療費を会社が負担した場合でも、休業があれば報告義務は残ります。
Q. 休業が1日だけでも報告しなければならないのですか?
A. 必要です。休業日数が1日から3日の場合は、休業4日未満として様式第24号で報告します。神奈川労働局の案内によれば、1月から3月までに発生したものは4月末日まで、4月から6月までは7月末日まで、7月から9月までは10月末日まで、10月から12月までは翌年1月末日までに、それぞれ報告することとされています。1件ずつ都度提出するのではなく、四半期分をまとめて出す形です。
Q. 労働者死傷病報告を出さなかった場合、どうなりますか?
A. 神奈川労働局の相模原労働基準監督署が作成した資料は、労働災害の発生をかくすために労働者死傷病報告を故意に提出しないことや、虚偽の内容を記載して提出することを「労災かくし」と呼び、「提出を怠るか、または虚偽の内容を報告すると、50万円以下の罰金に処せられる場合があります」としています。同資料は「労災かくしは法違反であり、犯罪行為ということになります」とも明記しています。
Q. パソコンがなく電子申請ができない場合はどうすればよいですか?
A. 厚生労働省は「パソコン端末を所持していない等の事情により電子申請が困難な場合には、当分の間、書面による報告も可能です」としています。ただし、令和7年1月1日以降は従前の労働安全衛生規則様式第23号および同第24号は使用できません。厚生労働省のサイトから改正後の様式をダウンロードし、所轄の労働基準監督署へ提出してください。なお同省は、ブラウザの印刷ボタンで印刷された様式の場合、改めて窓口で様式に記入してもらう場合があると案内しています。
Q. 従業員に支払う休業中の補償は、給与として源泉徴収が必要ですか?
A. 支払の根拠によって扱いが分かれます。国税庁のタックスアンサーNo.1905は、労働基準法第26条に基づく「休業手当」は給与所得になるとしています。一方、労働基準法第76条に基づく「休業補償」など労働基準法第8章(災害補償)の規定により受ける療養のための給付等は非課税所得です。使用者の都合による休業か、業務上の負傷による休業かで、源泉徴収の要否が逆になります。
Q. 就業規則で法定を上回る補償を上乗せした場合、その部分も非課税ですか?
A. 国税庁のタックスアンサーNo.1905は、勤務先の就業規則に基づき労働基準法第76条第1項に定める割合を超えて支給される付加給付金についても、「労働基準法上の給付では補てんされない部分に対応する民法上の損害賠償に相当するものであり、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料として非課税所得となります」としています。ただし支給の根拠が就業規則等に定められていることが前提になります。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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