堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
地震保険料控除2026|最高5万円の計算と旧長期損害保険料の注意点
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:地震保険料控除は、自己や生計を一にする親族が所有する常時居住用の家屋や生活用動産を目的とする契約の地震等損害部分の保険料が対象で、控除額は最高50,000円です。
- 2ポイント2:平成18年12月31日までに締結した一定の長期損害保険契約の保険料は旧長期損害保険料として最高15,000円を控除でき、地震保険料と合わせて最高50,000円です。
- 3ポイント3:年末調整では保険料控除申告書と証明書類を照合し、本年中に支払った額か、店舗併用住宅で居住用部分だけを計上しているかを確認しましょう。
CONTENTS目次
11月に入ると、従業員から給与所得者の保険料控除申告書が提出され始めます。生命保険料控除に比べて確認が手薄になりやすいのが地震保険料控除です。火災保険の証明書を見て地震保険料の欄と旧長期損害保険料の欄を取り違えたり、店舗を兼ねた自宅の保険料を全額計上したりする例があります。
本記事では、国税庁のタックスアンサーNo.1145・No.1146、所得税基本通達の第77条関係、「令和8年分 年末調整のしかた」をもとに、地震保険料控除の対象と控除額、年末調整で確認すべき点、判断を誤りやすい場面を整理します。
制度の概要:地震保険料控除の対象と控除額
国税庁のタックスアンサーNo.1145は、納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができるとし、これを地震保険料控除と説明しています。根拠法令等は所法77、120、所令262、所規47の2、平18改正法附則10、平成29年国税庁告示10号です。
対象となるのは居住用の家屋と生活用動産
No.1146によると、地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約は、一定の資産を対象とする契約で、地震等による損害により生じた損失の額をてん補する保険金または共済金が支払われる契約です。一定の資産とは、自己や自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する家屋で常時その居住の用に供するもの、または生活に通常必要な家具、じゅう器、衣服などの生活用動産です。
契約の相手方は損害保険会社に限られません。No.1146は、農業協同組合の締結した建物更生共済契約または火災共済契約、火災等共済組合の締結した火災共済契約、消費生活協同組合連合会の締結した火災共済契約、自然災害共済契約なども挙げています。なお、損害保険会社または外国損害保険会社等の締結した損害保険契約のうち一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補するものからは、外国損害保険会社等が国外において締結したものが除かれます。
支払った損害保険料が地震保険料控除の対象となるかについては、保険会社などから送られてくる証明書(電磁的記録印刷書面を含む。)によって確認することができます(No.1146)。従業員から問い合わせを受けたときは、まず証明書の記載を一緒に確認するのが確実です。
控除額の計算
控除額は、その年に支払った保険料の金額に応じて次のとおり計算します(No.1145)。
| 区分 | 年間の支払保険料の合計 | 控除額 |
|---|---|---|
| (1)地震保険料 | 50,000円以下 | 支払金額の全額 |
| (1)地震保険料 | 50,000円超 | 一律50,000円 |
| (2)旧長期損害保険料 | 10,000円以下 | 支払金額の全額 |
| (2)旧長期損害保険料 | 10,000円超 20,000円以下 | 支払金額×1/2+5,000円 |
| (2)旧長期損害保険料 | 20,000円超 | 15,000円 |
| (1)・(2)両方がある場合 | - | (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円) |
年末調整のしかたは、地震保険料の控除額の計算において算出した金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げるとしています。
旧長期損害保険料の経過措置
No.1145によると、平成18年の税制改正で、平成19年分から損害保険料控除が廃止されました。経過措置として、次の要件をすべて満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料は、地震保険料控除の対象とすることができます。
- ☑ 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
- ☑ 満期返戻金等のあるもので保険期間または共済期間が10年以上の契約
- ☑ 平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの
現在も支払が続いている古い積立型の火災保険や建物更生共済があれば、この経過措置の対象かどうかを証明書類で確認します。
中小企業への実務影響:年末調整で保険料控除申告書を確認する
給与を支払う会社にとって、地震保険料控除は年末調整で毎年確認する項目です。年末調整のしかたは、年末調整の際には、生命保険料控除や地震保険料控除などの控除を行うとしたうえで、保険料控除申告書の用紙をあらかじめ各人に配付しておき、年末調整を行う時までに提出を受けるよう求めています。年末調整のしかたは、この控除は本人から提出された保険料控除申告書に基づいて控除することになっているとし、次のような点の確認を求めています。
証明書類は金額にかかわらず必要
年末調整のしかたによると、保険料の金額の多少に関係なく、その保険料を支払ったこと等の証明書類、またはその証明書類に記載すべき事項を記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面を保険料控除申告書に添付して提出または提示する必要があります。証明書類の交付を請求中などのため確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件として、地震保険料の控除をしたところで年末調整を行ってもよいことになっています。
本人自身が支払ったものか
控除の対象は所得者本人が支払ったものに限られます。会社が従業員の負担すべき保険料を負担している場合、年末調整のしかたは、給与の支払者が負担した地震保険料の金額で給与として課税されるべきものは、本人自身が支払ったものとして控除の対象になるとしています。所得税基本通達77-7は、使用者が負担した使用人等の負担すべき地震保険料について、76-3から76-7までの取扱いに準ずると定めています。
本年中に支払ったものか
払込期日が到来した保険料であっても、現実に支払っていないものは含まれません。いわゆる振替貸付により保険料の払込みに充てられた金額や、いわゆる前納保険料があるときは、生命保険料の場合と同様に取り扱われます。前納保険料は、次の算式により計算した金額が本年中に支払った保険料の金額となります。
振替貸付とは、保険料の払込みのない契約を有効に継続させるため、保険会社などが貸付けを行ってその払込みに充当する処理をいいます。所得税基本通達76-3の注書きは、いわゆる振替貸付けにより生命保険料等に充当した金額を後日返済しても、その返済した金額は支払った生命保険料等には該当しないとしており、地震保険料の金額は77-7により76-3の取扱いに準じます。
前納保険料の算式(年末調整のしかた)
前納保険料の総額(前納により割引をされた場合には、その割引後の金額)×前納保険料に係る本年中に到来する払込期日の回数÷前納保険料に係る払込期日の総回数
前納保険料の総額(前納により割引をされた場合には、その割引後の金額)×前納保険料に係る本年中に到来する払込期日の回数÷前納保険料に係る払込期日の総回数
また、所得税基本通達77-3は、責任開始日前に支払った地震保険料については、現実の支払の日によらず、その責任開始日において支払ったものとするとしています。年末近くに新しい契約の保険料を払い込んだ場合は、責任開始日がいつかで計上する年分が変わります。
剰余金・割戻金の差引き
剰余金の分配や割戻金の割戻しを受けたり、その剰余金や割戻金を保険料の払込みに充てたりした場合には、その年中に支払った保険料の合計額からその剰余金や割戻金の合計額を差し引いた残額が控除の対象となります。
担当者が見るべき書類
保険料控除申告書の地震保険料控除欄の金額と、添付された証明書類の地震保険料・旧長期損害保険料の区分と金額が一致しているかを照合します。1枚の証明書に両方の欄がある場合は、どちらの区分で記入されているかを確認します。
保険料控除申告書の地震保険料控除欄の金額と、添付された証明書類の地震保険料・旧長期損害保険料の区分と金額が一致しているかを照合します。1枚の証明書に両方の欄がある場合は、どちらの区分で記入されているかを確認します。
なお、地震保険料控除は確定申告でも受けられます。その場合は、確定申告書の地震保険料控除の欄に記入するほか、証明書類または電磁的記録印刷書面を確定申告書に添付するか、申告の際に提示します。年末調整で控除された場合はその必要はありません(No.1145)。
当事務所の見解:判断を誤りやすい4つの場面
地震保険料控除は計算そのものは単純ですが、契約の中身や家屋の使い方によって結論が変わります。当事務所が年末調整や確定申告の確認で特に注意している場面は次の4つです。
場面1:一つの契約で地震保険料と旧長期損害保険料を払っている
No.1145の注記は、一の損害保険契約等または一の長期損害保険契約等に基づき、地震保険料および旧長期損害保険料の両方を支払っている場合には、納税者の選択により地震保険料または旧長期損害保険料のいずれか一方の控除を受けることとなるとしています。国税庁の質疑応答事例では、地震保険料が年間10,000円、旧長期損害保険料が年間17,000円のケースで、旧長期損害保険料による控除額13,500円(= 17,000円 × 1/2 + 5,000円)の方が有利になるとしています。両方を合算して記入していないかを確認します。
場面2:店舗や事務所を兼ねた自宅
所得税基本通達77-2は、居住の用と事業等の用とに併用している家屋は、居住の用に供している部分だけが居住の用に供する家屋に該当するとしています。77-5は、居住用資産と事業用の家屋、商品等とが一括して保険等の目的とされている場合には、居住用資産に係るものだけが控除の対象となり、保険証券等に明確に区分表示されていないときは算式により計算するとしています。一方、77-6は、家屋の全体のおおむね90%以上を居住の用に供しているときは、その家屋について支払った地震保険料の全額を居住用資産に係る地震保険料の金額として差し支えないとしています。個人事業主の自宅兼店舗は、この割合の確認が欠かせません。
場面3:家族名義の家屋と附属建物
対象となる家屋は本人所有に限らず、本人と生計を一にする親族が所有して常時居住している家屋も含まれます。また、77-2は、門、塀又は物置、納屋その他の附属建物で居住の用に供する家屋と一体として居住の用に供していると認められるものは、居住の用に供する家屋に含まれるとしています。ただし、同通達の注書きは、通常の損害保険約款等によれば、これらは保険証券等に明記されていない限り保険等の目的に含まれないものとされているとしています。
場面4:控除が漏れたことに後から気づいた
証明書の提出が遅れて年末調整で控除できなかった場合でも、本人が確定申告をすれば控除を受けられます。国税庁のNo.2030によれば、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
今すぐやるべきこと:年末調整前の地震保険料控除チェック
保険料控除申告書を回収したら、次の順番で地震保険料控除の記載を確認してください。年末調整の事務が集中する12月より前に、11月中に確認を終えておくと、証明書類の再提出を依頼する時間を確保できます。
- ステップ1:保険料控除申告書と証明書類を突き合わせる
地震保険料控除欄の金額が、添付された証明書類または電磁的記録印刷書面の金額と一致しているかを確認します。証明書類が未着の人には、翌年1月末日までに提出または提示するよう案内します。 - ステップ2:地震保険料と旧長期損害保険料の区分を確認する
証明書類の区分どおりに記入されているかを確認します。一つの契約で両方を支払っている場合は、いずれか一方を選択しているかを点検します。 - ステップ3:対象資産と所有者を確認する
保険の目的が本人または生計を一にする親族の所有する常時居住用の家屋や生活用動産かを確認します。事業用の建物や商品だけを目的とする契約は対象外です。 - ステップ4:本年中に支払った金額かを確認する
前納保険料は算式により本年分を計算し、剰余金や割戻金があれば差し引きます。責任開始日前に支払ったものは責任開始日に支払ったものとして扱います。 - ステップ5:控除額を計算し端数を処理する
地震保険料は最高50,000円、旧長期損害保険料は最高15,000円、両方の合計は最高50,000円で計算し、1円未満の端数は切り上げます。
従業員に配付時に伝えておくこと
- ☑ 地震保険料控除の対象は地震等損害部分の保険料で、火災保険料そのものは原則として対象外であること
- ☑ 証明書類または電磁的記録印刷書面は、保険料の金額の多少に関係なく添付して提出または提示が必要なこと
- ☑ 一つの契約で地震保険料と旧長期損害保険料の両方を支払っている場合は、いずれか一方を選んで記入すること
- ☑ 自宅の一部を事業に使っている場合は、居住用部分の保険料だけが対象になること
- ☑ 年末調整で控除できなかった場合でも、確定申告で控除を受けられること
迷ったときの相談先
店舗併用住宅の区分や旧長期損害保険料の判定は、保険証券の内容を見ないと判断できないことがあります。年末調整の体制づくりは堺市の税務顧問で、個人事業主ご本人の申告は個人の確定申告のサポートでご相談をお受けしています。
店舗併用住宅の区分や旧長期損害保険料の判定は、保険証券の内容を見ないと判断できないことがあります。年末調整の体制づくりは堺市の税務顧問で、個人事業主ご本人の申告は個人の確定申告のサポートでご相談をお受けしています。
よくある質問
- Q. 地震保険料控除はいくらまで受けられますか?
- A. 国税庁のNo.1145によると、地震保険料は年間の支払保険料の合計が50,000円以下なら支払金額の全額、50,000円超なら一律50,000円です。旧長期損害保険料は最高15,000円で、地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、それぞれの方法で計算した金額の合計額で最高50,000円です。控除額の計算で1円未満の端数が出たときは切り上げます。
- Q. 火災保険の保険料も地震保険料控除の対象になりますか?
- A. 火災保険の保険料そのものは、原則として対象になりません。損害保険料控除は平成19年分から廃止され、現在の対象は地震等損害部分の保険料または掛金です。ただし、平成18年12月31日までに締結した、満期返戻金等のある保険期間10年以上の契約で、その後に変更をしていないものは、旧長期損害保険料として控除の対象とすることができます。
- Q. 賃貸住宅に住んでいる場合でも控除を受けられますか?
- A. No.1146によると、対象となる一定の資産には、生計を一にする親族などが所有する常時居住用の家屋のほか、生活に通常必要な家具、じゅう器、衣服などの生活用動産も含まれます。賃貸住宅に住んでいて家財を保険の目的とする契約に地震保険を付けている場合は、その地震等損害部分の保険料が対象になります。証明書類で区分を確認してください。
- Q. 親名義の家の地震保険料を自分が払っています。控除できますか?
- A. 控除の対象となる家屋は、自己や自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する家屋で常時その居住の用に供するものです。生計を一にする親が所有し常時居住している家屋の地震保険料を本人が支払っていれば、本人の控除の対象になります。控除を受けられるのは所得者本人が支払ったものに限られるため、実際に誰が支払っているかもあわせて確認します。
- Q. 複数年分の保険料を一括で払いました。どの年に控除しますか?
- A. 年末調整のしかたによると、いわゆる前納保険料は、前納保険料の総額に、本年中に到来する払込期日の回数が払込期日の総回数に占める割合を掛けた金額が本年中に支払った保険料の金額になります。保険会社の証明書類に記載された本年分の金額を確認してください。責任開始日前に支払ったものは、責任開始日において支払ったものとして扱います。
- Q. 自宅の一部を店舗にしています。保険料は全額控除できますか?
- A. 原則として居住用部分だけが対象です。所得税基本通達77-5により、保険証券等で区分表示されていないときは算式で居住用資産に係る保険料を計算します。ただし、77-6により、家屋の全体のおおむね90%以上を居住の用に供しているときは、その家屋について支払った地震保険料の全額を居住用資産に係るものとして差し支えありません。
- Q. 年末調整で地震保険料控除を受け忘れました。どうすればよいですか?
- A. 本人が確定申告をすれば控除を受けられます。確定申告では、確定申告書の地震保険料控除の欄に記入し、証明書類または電磁的記録印刷書面を添付するか、申告の際に提示します。国税庁のNo.2030によれば、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
参考資料・出典
- 国税庁 No.1145 地震保険料控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1146 地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 質疑応答事例 地震保険料控除に関する経過措置
- 国税庁 所得税基本通達 法第77条《地震保険料控除》関係
- 国税庁 所得税基本通達 法第76条《生命保険料控除》関係
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた 2-3 保険料控除申告書の受理と内容の確認(PDF)
- 国税庁 所得税基本通達(通達目次)
- 国税庁 No.2030 還付申告(令和8年4月1日現在法令等)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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