堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
障害者控除2026|75万円の同居特別障害者と年末調整の確認点
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:障害者控除は、本人・同一生計配偶者・扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合の所得控除で、控除額は障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。
- 2ポイント2:16歳未満の扶養親族も対象になる一方、特定親族は対象外です。介護保険法の要介護認定を受けただけでは対象にならず、手帳のない65歳以上の人は市町村長等の認定が必要です。
- 3ポイント3:年末調整では扶養控除等(異動)申告書の障害者の記載を確認しましょう。控除が漏れた場合は、その年の翌年1月1日から5年間、還付申告で取り戻せます。
CONTENTS目次
年末調整の書類を回収する時期になりました。扶養控除などに比べて見落とされやすいのが障害者控除です。手帳を持つ家族が申告書に書かれていないことや、介護が必要な親が対象か分からないままのこともあります。
本記事では、国税庁のタックスアンサーと「令和8年分 年末調整のしかた」をもとに、障害者控除の対象者と控除額、年末調整で確認すべき点、申告漏れが起きやすい場面と取り戻し方を整理します。
制度の概要:障害者控除の対象者と控除額
国税庁のタックスアンサーNo.1160は、障害者控除について、納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができると説明しています。あわせて、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されるとしています。根拠法令等は「所法2、79、所令10、所基通2-39」です。
障害者控除の金額は3区分
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、納税者自身、配偶者、その納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人です。配偶者控除のタックスアンサーNo.1191も、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できるとしています。
障害者控除の対象となる人の範囲
No.1160は、障害者控除の対象となる人を次のように列挙しています。括弧内は特別障害者になる場合です。
- ☑ 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(全て特別障害者)
- ☑ 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により知的障害者と判定された人(重度の知的障害者と判定された人)
- ☑ 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(障害等級が1級と記載されている人)
- ☑ 身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている人(障害の程度が1級または2級と記載されている人)
- ☑ 精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、障害の程度が上記に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人(特別障害者に準ずるものとして認定を受けている人)
- ☑ 戦傷病者手帳の交付を受けている人(障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人)
- ☑ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人(全て特別障害者)
- ☑ その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人(全て特別障害者)
最後の項目の複雑な介護を必要とする状態について、No.1160は「介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる」と補足しています。また、65歳以上で市町村長等の認定を受けている人の項目について、令和8年分の年末調整のしかたは、年齢65歳以上の人を昭和37年1月1日以前に生まれた人と示しています。手帳を持っていない高齢の家族については、この項目に当たるかどうかが判断の分かれ目になります。
療育手帳については、No.1160のQ&Aが、療育手帳の交付を受けている人は障害者に該当し、障害の程度が重度として「A」(「マルA」、「A2」など)と表示されている人は特別障害者に該当するとしています。療育手帳は自治体によって「愛護手帳」や「愛の手帳」、「みどりの手帳」など別の名称で呼ばれていることがあります。
中小企業への実務影響:年末調整で障害者控除を確認する
給与所得者の障害者控除は、通常は会社の年末調整で適用します。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除を、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書で受ける控除として整理しています。給与担当者が確認すべき点は次のとおりです。
年の中途で障害者に該当した場合の異動申告
同じ資料は、異動申告が忘れずに行われているかを確認すべき事情として、本年の中途で、本人が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当することとなったことと、同一生計配偶者や扶養親族が障害者に該当することとなったことを挙げています。年の途中で家族が手帳の交付を受けた従業員がいないか、書類の回収時に声をかけることが有効です。特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族が申告された場合には、同居特別障害者に該当するかどうかを所得者本人に確認し、控除漏れのないように注意するよう求めています。
同一生計配偶者の障害者控除は扶養控除等申告書で受ける
年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるには、配偶者控除等申告書の提出が必要です。一方で、同一生計配偶者に係る障害者控除の適用を受けるためには、扶養控除等(異動)申告書に所定の事項を記載し、給与の支払者に提出する必要があります。同一生計配偶者とは、所得者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除きます)で、合計所得金額が62万円以下の人をいいます。配偶者控除等申告書だけを見て確認を終えると、障害者控除が漏れることがあります。
特定親族は障害者控除の対象外
令和8年分の年末調整のしかたは、特定親族は扶養控除や障害者控除の対象となる扶養親族には該当しないと注意を促しています。扶養控除等(異動)申告書に特定親族と記載されている人を控除対象扶養親族として控除することのないよう、申告書の記載を確認してください。
判定の時点と手帳の申請中の扱い
控除対象扶養親族や障害者などに該当するかどうかは、年末調整を行う日の現況により判定します。現に身体障害者手帳や戦傷病者手帳の交付を受けていない人であっても、これらの手帳の交付を申請中の人やこの申請をするために必要な医師の診断書の交付を受けている人で、年末調整の時点において明らかにこれらの手帳の交付が受けられる程度の障害があると認められる人は、障害者(又は特別障害者)に該当するものとして取り扱われます。
判定の要素のうち、合計所得金額は年末調整を行う日の現況により見積もった本年1月1日から12月31日までの合計所得金額により、年齢は本年12月31日の現況により判定します。控除対象扶養親族などが本年の中途で死亡した場合でも、死亡の日の現況により判定することになりますから、本年分については扶養控除などの控除の対象となります。
国外居住親族を障害者控除の対象とする場合は、親族関係書類と送金関係書類を扶養控除等(異動)申告書に添付して提出又は提示する必要があります。親族関係書類は申告書を提出する際に、送金関係書類は年末調整の際に添付又は提示します。No.1160のQ&Aは、外国に居住する16歳未満の扶養親族であっても、特別障害者の要件に該当することが明らかであれば障害者控除を受けられるとしたうえで、法令上の要件ではありませんが、医師の診断書など特別障害者であることを確認できる書類を提出または提示してもらって確認することを勧めています。
来年分の申告書も同じ時期に回収する
給与の支払を受ける人は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに扶養控除等(異動)申告書を給与の支払者に提出しなければなりません。令和9年分の申告書を年末に回収する会社では、障害者の記載を令和8年分と見比べると、等級の変更や記載漏れに気づきやすくなります。
当事務所の見解:障害者控除の申告漏れが起きやすい場面
障害者控除は、本人や家族の状況を会社が把握しにくいため、従業員からの申告がなければ年末調整に反映されません。当事務所が相談を受けるなかで、特に漏れや誤りが起きやすいと感じる場面を挙げます。
要介護認定だけでは障害者控除の対象にならない
国税庁のNo.1185は、介護保険法の要介護認定を受けられただけでは障害者控除の対象とはならないとしています。一方で、要介護認定の有無にかかわらず、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは対象になります。市町村長等の障害者認定については、お住まいの市区町村の窓口に尋ねるよう案内されています。介護が必要な親を扶養している従業員には、この認定の有無を確認してもらうとよいでしょう。
過去にさかのぼれる場合とさかのぼれない場合
国税庁の質疑応答事例には、結論が分かれる2つの事例があります。福祉事務所長の認定を受けていない認知症の高齢者については、前年の12月31日現在において、認定を受けられる程度の障害があり、かつ、申告時において認定を申請中である場合には、障害者控除を適用して差し支えないとしています。一方、本年に身体障害者手帳の交付を受けた人が、手帳交付の基因となった障害が3年前と同程度であるとして前年以前3年分の適用を求めた事例では、過去に遡及して適用を認める趣旨ではないため、障害者控除を遡及して適用することはできないと回答しています。判定はその年の12月31日の現況が基本になるため、手帳や認定の申請は早めに進めることが大切です。
従業員への周知の文例を活用する
令和8年分の年末調整のしかたは、「年末調整がよくわかるページ」に、各種申告書の記載に当たっての注意事項を各人に周知するための文例「各種控除について(給与所得者用)」や「年末調整を受ける際の注意事項」が掲載されていると案内しています。障害者控除は本人が申し出なければ会社が把握できないため、書類の配布時にこうした文例を添えて、家族の手帳や認定の有無を確認してもらうことが漏れの防止につながります。
手帳が交付されない程度の障害
No.1160のQ&Aは、障害の程度が7級に相当し身体障害者手帳が交付されない人について、年齢が満65歳以上で障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けていなければ、障害者控除を受けることはできないとしています。従業員の家族の状況に合わせた年末調整の運用に不安がある場合は、堺市の税務顧問として給与計算の段階から一緒に確認することもできます。
今すぐやるべきこと:年末調整前の障害者控除チェック
扶養控除等(異動)申告書を回収したら、次の順番で障害者控除の記載を確認してください。
- ステップ1:障害者の記載の有無を確認する
本人、同一生計配偶者、扶養親族のそれぞれについて、障害者の欄に記載があるかを確認します。16歳未満の扶養親族も障害者控除の対象になるため、子どもの記載も見落とさないようにします。 - ステップ2:一般の障害者か特別障害者かを確認する
身体障害者手帳の1級または2級、精神障害者保健福祉手帳の障害等級1級、療育手帳の「A」の表示などは特別障害者に当たります。手帳の種類と等級を従業員に確認します。精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人や、原子爆弾被爆者として厚生労働大臣の認定を受けている人は、全て特別障害者です。 - ステップ3:同居の状況を確認する
特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族が、本人や配偶者などとの同居を常況としている場合は、同居特別障害者として75万円の控除になります。同居に当たらない場合は特別障害者として40万円です。 - ステップ4:申請中や対象外の人を確認する
手帳の交付を申請中の人の扱いを確認し、特定親族や、要介護認定を受けただけの人を障害者として控除していないかを点検します。国外居住親族がいる場合は、親族関係書類と送金関係書類の提出又は提示も確認します。 - ステップ5:漏れていた場合の手当てを案内する
年末調整を行った後、本年12月31日までに異動があった場合は、年末調整のやり直しをすることができます。過去の年分の控除漏れは、従業員本人が還付申告をすることで取り戻せます。
還付申告の期間
国税庁のNo.2030によれば、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。年末調整で障害者控除が漏れていたことに後から気づいた場合も、この期間内であれば取り戻せる可能性があります。個人の確定申告の進め方は、個人の確定申告のサポートでもご案内しています。
国税庁のNo.2030によれば、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。年末調整で障害者控除が漏れていたことに後から気づいた場合も、この期間内であれば取り戻せる可能性があります。個人の確定申告の進め方は、個人の確定申告のサポートでもご案内しています。
よくある質問
- Q. 障害者控除はいくら受けられますか?
- A. 国税庁のNo.1160によると、控除額は障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。同居特別障害者は、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、納税者自身、配偶者、生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人です。配偶者が障害者の場合は、配偶者控除とは別に障害者控除を受けられます。
- Q. 16歳未満の子どもが障害者の場合も控除を受けられますか?
- A. 受けられます。16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象にはなりませんが、No.1160は、障害者控除は扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されるとしています。年末調整では扶養控除等(異動)申告書に記載して会社に提出します。子どもについての記載漏れが起きやすいため注意してください。
- Q. 親が要介護認定を受けています。障害者控除の対象になりますか?
- A. 要介護認定を受けただけでは対象になりません。国税庁のNo.1185は、介護保険法の要介護認定を受けられただけでは障害者控除の対象とはならないとしています。ただし、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは対象になります。認定はお住まいの市区町村の窓口に確認しましょう。
- Q. 身体障害者手帳を申請中ですが、今年の年末調整で控除できますか?
- A. 一定の場合は控除できます。No.1186によると、申告書を提出する時において手帳の交付を申請中であるか、手帳の交付を受けるための医師の診断書を有していて、その年の12月31日その他障害者であるかどうかを判定すべき時の現況において、明らかに手帳に記載され、またはその交付を受けられる程度の障害があると認められる人は、障害者控除の適用を受けることができます。
- Q. 療育手帳を持っている場合、特別障害者になりますか?
- A. 障害の程度によります。No.1160のQ&Aによると、療育手帳の交付を受けている人は障害者に該当し、障害の程度が重度として「A」(「マルA」、「A2」など)と表示されている人は特別障害者に該当します。療育手帳は自治体によって別の名称で呼ばれていることがあるため、手帳に記載された障害の程度を確認してください。
- Q. 19歳以上23歳未満の子どもが特定親族に当たる場合、障害者控除を受けられますか?
- A. 年末調整のしかたは、特定親族は扶養控除や障害者控除の対象となる扶養親族には該当しないとしています。特定親族については特定親族特別控除申告書で特定親族特別控除の適用を受けることになり、扶養控除等(異動)申告書で障害者控除を受ける扶養親族とは扱いが異なります。子どもの所得の見積額とあわせて区分を確認してください。
- Q. 過去の年末調整で障害者控除が漏れていました。取り戻せますか?
- A. 還付申告で取り戻せる可能性があります。国税庁のNo.2030によれば、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。ただし、障害者に該当するかどうかはその年の現況で判定するため、手帳の交付前の年分にさかのぼって適用することはできないとした質疑応答事例もあります。
参考資料・出典
- 国税庁 No.1160 障害者控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1160 障害者控除 Q&A
- 国税庁 No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1186 身体障害者手帳等の交付を申請中である場合の障害者控除の適用について(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1191 配偶者控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.2030 還付申告(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 質疑応答事例 福祉事務所長の認定を受けていない認知症の高齢者に係る障害者控除の適用
- 国税庁 質疑応答事例 障害者控除の適用を受けることのできる年分
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた 2 各種控除額の確認(PDF)
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた Ⅳ 令和9年分の給与の源泉徴収事務(PDF)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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