堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
ソフトウェアの税務2026|取得価額と耐用年数5年・改修費の判定
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:ソフトウエアは減価償却資産(無形固定資産)で、耐用年数は複写して販売するための原本または研究開発用のものが3年、その他のものが5年です。
- 2ポイント2:導入時の設定作業や自社の仕様に合わせる付随的な修正作業の費用は取得価額に含まれます。導入後の改修は、機能の追加なら資本的支出、障害の除去なら修繕費です。
- 3ポイント3:決算前に当期のソフトウエア関連の支出を契約ごとに分類し、令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満となった少額特例の対象かを確認しましょう。
CONTENTS目次
業務システムの導入、会計ソフトの入れ替え、自社アプリの開発など、ソフトウェアへの支出は中小企業でも身近になりました。ところが税務上は、パソコンのような目に見える資産と違い、どこまでを資産に計上して何年で費用にするのかが分かりにくい分野です。導入時の設定費用やカスタマイズ費用、導入後の改修費用の扱いを誤ると、損金の額に算入できる金額がずれて申告の誤りにつながります。
本記事では、国税庁のタックスアンサーと法人税基本通達をもとに、ソフトウェアの取得価額と耐用年数、改修費用の判定、少額特例の使い方を、決算前の実務の順番で整理します。なお、国税庁の資料は「ソフトウエア」と表記しているため、制度の説明では同じ表記を使います。
制度の概要:ソフトウェアの取得価額と耐用年数
国税庁のタックスアンサーNo.5461は、ソフトウエアについて、減価償却資産(無形固定資産)に該当するとしたうえで、取得価額と耐用年数を取得の形態ごとに説明しています。根拠法令等には「法令13、54、法基通7-3-15の2~15の3、耐令別表第三、第六」が挙げられています。法人税の計算では、ソフトウエアの代金を支払った期に全額を費用にするのではなく、原則として資産に計上し、耐用年数に応じて償却していくことになります。
購入した場合の取得価額
他から購入したソフトウエアの取得価額は「購入の代価+購入に要した費用の額+事業の用に供するために直接要した費用の額」です。実務で見落としやすいのはNo.5461の注記で、「そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業および自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、取得価額に算入します。」とされています。パッケージ本体の代金だけでなく、導入時の設定や自社向けの調整にかかった費用も、ソフトウエアの取得価額に含めて償却します。
自社で製作した場合の取得価額
自社で製作したソフトウエアの取得価額は、製作に要した原材料費、労務費および経費の額に、事業の用に供するために直接要した費用の額を加えた金額です。法人税基本通達7-3-15の2は、取得価額は適正な原価計算に基づき算定するとしつつ、法人が原価の集計、配賦等につき、合理的であると認められる方法により継続して計算している場合には、これを認めるとしています。社内の開発担当者の人件費も労務費として集計の対象になるため、作業時間の記録が取得価額の計算の土台になります。
既に有しているソフトウエアや購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用の額は、その新たなソフトウエアの取得価額になります。この場合、新たなソフトウエアの製作後に既存ソフトウエア等を利用することが見込まれない場合に限り、既存ソフトウエア等の残存簿価は、新たなソフトウエアの製作のために要した原材料費となります。古いシステムの帳簿価額を、作り直した新しいシステムの取得価額に引き継ぐ考え方です。
耐用年数は3年と5年の2区分
| 区分 | 耐用年数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 複写して販売するための原本 | 3年 | No.5461 |
| 研究開発用のもの | 3年 | No.5461、法基通7-1-8の2 |
| その他のもの(自社の業務で利用するものなど) | 5年 | No.5461 |
研究開発用については、法人税基本通達7-1-8の2が、特定の研究開発にのみ使用するため取得又は製作をしたソフトウエアであっても、研究開発のためのいわば材料となるものであることが明らかなものを除き、減価償却資産に該当することに留意するとしています。そのうえで注記により、耐用年数省令第2条第2号に規定する開発研究の用に供されている場合には、耐用年数省令別表第六に掲げる耐用年数が適用されます。研究開発のためだけに使うソフトウエアでも、取得した期に全額を損金にできるわけではない点に注意してください。
中小企業への実務影響:改修費の判定と少額特例
ソフトウエアは、導入した後も改修やバージョンアップの支出が続く資産です。ここでは、取得価額に含めなくてよい費用、導入後の修正費用の区分、少額の減価償却資産の判定という3つの場面を、通達とタックスアンサーの記述に沿って確認します。
取得価額に算入しないことができる費用
法人税基本通達7-3-15の3は、次に掲げるような費用の額は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができるとしています。
- ☑ 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額
- ☑ 研究開発費の額(自社利用のソフトウエアに係る研究開発費の額については、その自社利用のソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合に限ります)
- ☑ 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの
自社開発の途中で計画を見直し、作りかけの部分を使わないことにした場合は、その部分の費用を取得価額から外せる可能性があります。ただし不要となったことが明らかであることが条件なので、計画変更の決定を記録に残しておくことが前提です。
導入後の修正は修繕費か資本的支出か
法人税基本通達7-8-6の2は、法人がその有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が「プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当する」ことに留意するとしています。
| 修正等の内容 | 税務上の区分 |
|---|---|
| プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等 | 修繕費 |
| 新たな機能の追加、機能の向上等 | 資本的支出 |
同じ通達の注記は、本文の修正等に要した費用(修繕費に該当するものを除く)が研究開発費に該当する場合には、資本的支出に該当しないこととすることができるとしています。ここでも自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合に限られます。ベンダーの請求書が保守費用という名目でも、中身が新機能の追加であれば資本的支出になるため、作業内容の説明書きを確認することが大切です。
少額の減価償却資産の判定
ソフトウエアも減価償却資産であるため、少額の減価償却資産の規定が使えます。国税庁のNo.5403とNo.5408によると、取得価額に応じた主な扱いは次のとおりです。
| 取得価額 | 主な扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 事業の用に供した事業年度に損金経理した金額を損金算入 | No.5403 |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年間で償却することを選択可 | No.5403 |
| 40万円未満(中小企業者等) | 合計300万円までを損金算入する特例 | No.5408 |
No.5408の特例は、青色申告書を提出する中小企業者等で、常時使用する従業員の数が400人以下(特定法人については、300人以下)の法人が対象です。令和8年度法人税関係法令の改正により、令和8年4月1日以後に取得などをした少額減価償却資産に係る取得価額の基準は40万円未満(改正前:30万円未満)に引き上げられました。No.5408は、この特例がソフトウエア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象になると明記しています。
あわせて押さえたいのが限度額と対象外の資産です。適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超えるときは、そのうち300万円に達するまでの取得価額の合計額が限度となります。また、取得価額が10万円未満のものや一括償却資産の損金算入制度などの適用を受けるもの、貸付け(主要な事業として行われるものは除きます)の用に供した資産は、この特例の対象になりません。
当事務所の見解:ソフトウェアの税務で迷いやすい注意点
ソフトウエアの税務は、ルール自体は短い通達にまとまっていますが、請求書や契約書の書き方によって判断が揺れやすい分野です。当事務所が決算支援の場面で特に注意している点を3つ挙げます。
見積書の内訳で取得価額を組み立てる
ソフトウエアの見積書は、ライセンス料、初期設定費、カスタマイズ費、操作説明、保守料などが一式で記載されていることが少なくありません。No.5461の注記のとおり、導入に必要な設定作業や自社の仕様に合わせる付随的な修正作業の費用は取得価額に含まれます。少額特例が使えるかどうかの判定は、本体の価格だけでなく、こうした費用を含めた取得価額で行う必要があります。No.5403は、取得価額は通常1単位として取引されるその単位ごとに判定するとしているため、請求書を分けてもらうことで判定を変えようとするのではなく、取引の実態に沿って単位を確認しましょう。
いったん資産計上した後の一時損金は認められない
No.5403の注記は、少額の減価償却資産について「いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできません」と注意しています。少額特例を使うかどうかは、事業の用に供した事業年度の決算で判断する必要があります。また、No.5408の特例は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません。設備投資の税制と組み合わせる場合は、どの制度をどの資産に使うかを決算前に整理してください。
使わなくなったソフトウエアは除却損を検討する
システムの入れ替えで古いソフトウエアを使わなくなった場合、法人税基本通達7-7-2の2により、物理的な除却や廃棄がなくても、今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を損金の額に算入できます。自社利用のソフトウエアでは、データ処理の対象となる業務が廃止された場合や、ハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになった場合が挙げられています。複写して販売するための原本については、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが社内りん議書、販売流通業者への通知文書等で明らかな場合が挙げられています。いずれも、利用を停止した日と理由を社内の記録に残しておくことが、説明の根拠になります。クラウド会計の導入やシステムの入れ替えを検討している場合は、クラウド会計・DX化の支援とあわせて税務処理の段取りもご相談ください。
今すぐやるべきこと:決算前のソフトウェア支出チェック
決算整理の前に、次の順番で当期のソフトウエア関連の支出を確認してください。前期以前から償却しているソフトウエアも点検の対象です。
- ステップ1:当期の支出を一覧にする
総勘定元帳の支払手数料、外注費、通信費、消耗品費などから、ソフトウエアの購入、開発委託、設定、改修、保守に関する支出を抜き出し、契約書と見積書をそろえます。前期から償却しているソフトウエアは、固定資産台帳と照合しておきます。 - ステップ2:取得価額に含める費用を集計する
導入に必要な設定作業や自社の仕様に合わせる付随的な修正作業の費用を、本体の代金とあわせて取得価額として集計します。自社開発は原材料費、労務費、経費を集計します。製作計画の変更等により不要となったことが明らかな費用は、取得価額に算入しないことができます。 - ステップ3:導入後の修正を区分する
改修の内容が機能上の障害の除去や現状の効用の維持なのか、新たな機能の追加や機能の向上なのかを作業報告書で確認し、修繕費と資本的支出に分けます。 - ステップ4:耐用年数と少額特例を判定する
複写して販売するための原本または研究開発用なら3年、その他は5年です。40万円未満の少額特例を使う場合は、合計300万円の限度と、確定申告書への別表16(7)の添付を確認します。取得価額が10万円未満のものや、一括償却資産の規定を選んだものは、この特例の対象外です。 - ステップ5:使わなくなったソフトウエアを確認する
システムの入れ替えなどで利用しなくなったものがあれば、利用停止の事実を記録し、帳簿価額の除却損の計上を検討します。処分見込価額がある場合は、これを控除した残額が対象になります。
明細書の添付を忘れない
No.5408の特例の適用を受けるには、事業の用に供した事業年度において損金経理をするとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。年間の顧問業務の中でこうした点検を進めたい場合は、堺市の税務顧問のページもご覧ください。
No.5408の特例の適用を受けるには、事業の用に供した事業年度において損金経理をするとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。年間の顧問業務の中でこうした点検を進めたい場合は、堺市の税務顧問のページもご覧ください。
よくある質問
- Q. 業務用のパッケージソフトを購入した場合、何年で償却しますか?
- A. 国税庁のNo.5461によると、ソフトウエアの耐用年数は、複写して販売するための原本または研究開発用のものが3年、その他のものが5年です。自社の業務で利用するパッケージソフトは、通常その他のものとして5年で償却します。ただし取得価額が10万円未満であれば、事業の用に供した事業年度に損金経理した金額を損金の額に算入できます。
- Q. ソフトウェアの初期設定費用は、その期の経費にできますか?
- A. 原則としてできません。No.5461は、ソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業および自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、取得価額に算入するとしています。本体の代金とあわせて資産に計上し、耐用年数に応じて償却します。合計した取得価額が少額であれば、少額の減価償却資産の規定を検討します。
- Q. 導入後のバージョンアップ費用はどう処理しますか?
- A. 法人税基本通達7-8-6の2により、修正の内容で判断します。プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときは修繕費、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときは資本的支出です。請求書の名目ではなく、作業内容で区分するため、ベンダーの作業報告書や変更内容の説明を保存しておきましょう。
- Q. 自社開発の途中で計画を変更し、作った部分が無駄になりました。どうなりますか?
- A. 法人税基本通達7-3-15の3により、自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額は、取得価額に算入しないことができます。不要となったことが明らかであることが前提なので、計画変更を決めた会議の記録などを残しておくことが大切です。
- Q. 40万円未満の少額特例はソフトウェアにも使えますか?
- A. 使えます。No.5408は、この特例が器具および備品などの有形減価償却資産のほか、ソフトウエア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象になるとしています。青色申告書を提出し、常時使用する従業員の数が400人以下の中小企業者等が対象で、令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満が基準です。合計300万円の限度があります。
- Q. 使わなくなった古いシステムは、廃棄しないと損金にできませんか?
- A. 物理的な廃棄は要件ではありません。法人税基本通達7-7-2の2により、データ処理の対象となる業務が廃止された場合や、他のソフトウエアを利用することになり従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合は、帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を損金の額に算入できます。利用停止の記録を残しましょう。
- Q. 研究開発のためだけに使うソフトウェアも資産計上が必要ですか?
- A. 必要です。法人税基本通達7-1-8の2は、特定の研究開発にのみ使用するため取得又は製作をしたソフトウエアであっても、研究開発のためのいわば材料となるものであることが明らかなものを除き、減価償却資産に該当するとしています。No.5461では研究開発用のものの耐用年数は3年とされています。
参考資料・出典
- 国税庁 No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 法人税基本通達 第7章第1節第1款 減価償却資産
- 国税庁 法人税基本通達 第7章第3節第1款 固定資産の取得価額
- 国税庁 法人税基本通達 第7章第7節第1款 除却損失等の損金算入
- 国税庁 法人税基本通達 第7章第8節 資本的支出と修繕費
- 国税庁 法人税基本通達の制定について
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)
税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。