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仕入明細書2026|インボイスで必要な売手の確認と6つの記載事項

仕入明細書2026のインボイス制度で必要な売手の確認と6つの記載事項を示すタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:仕入明細書や支払通知書は、相手方の確認を受けたものに限り、インボイス制度の下でも仕入税額控除のための請求書等になります。
  • 2ポイント2:記載事項は作成者の氏名又は名称、相手方の氏名又は名称及び登録番号、年月日、内容、税率ごとの対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等の6つです。
  • 3ポイント3:確認の方法は基本契約で取り決めておきましょう。返品や配送料を同じ書類に載せる場合の扱いも確認が必要です。

取引先から請求書を受け取らず、自社が作成した支払通知書や仕入明細書で代金を支払う取引は、製造業や小売業、建設業などで広く使われています。インボイス制度の下でもこの方法は使えますが、記載事項と相手方の確認という2つの条件があります。

本記事では、国税庁のQ&Aと消費税法基本通達をもとに、仕入明細書が請求書等として認められる要件、確認の方法、返品や配送料、誤りの扱いを整理します。

制度の概要:仕入明細書が仕入税額控除の請求書等になる要件

国税庁のQ&A問84は、適格請求書等保存方式の下では、一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされている(消法30⑦)と説明しています。保存すべき請求書等には、適格請求書のほか、適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これに類する書類も含まれます。ただし、課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当するもので、相手方の確認を受けたものに限られます(消法30⑨)。

つまり、仕入明細書は買手が作成する書類でありながら、売手が交付する適格請求書と同じ役割を果たせます。その条件が、決められた事項の記載と、売手による内容の確認です。名称は仕入明細書でも支払通知書でも構いません。

問86の参考は、区分記載請求書等保存方式においても、仕入れを行った者が作成する仕入明細書等の書類で、一定事項が記載されており、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当しますとしています。ただし、適格請求書等保存方式における仕入明細書等と区分記載請求書等保存方式における仕入明細書等の記載事項は異なります。以前から仕入明細書を使っている会社は、書式が現行の記載事項に合っているかを確認する必要があります。

仕入明細書の6つの記載事項

問87は、適格請求書等保存方式の下で仕入明細書等による仕入税額控除を行うには、次の事項の記載が必要としています(消法30⑨三、消令49④)。

番号記載事項
①仕入明細書の作成者の氏名又は名称
②課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
③課税仕入れを行った年月日
④課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨)
⑤税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
⑥税率ごとに区分した消費税額等

このうち②の登録番号、⑤の適用税率、⑥の消費税額等は、区分記載請求書等保存方式における仕入明細書の記載事項に追加されたものです。問87の注記は、②の登録番号を記載しないで作成した仕入明細書は、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの間における区分記載請求書等として取り扱われるとしています。登録番号は自社ではなく売手の番号を記載する点に注意が必要です。

⑤の支払対価の額は税込金額ですが、問89は、税率ごとに区分した仕入金額の税抜きの合計額及び税率ごとに区分した消費税額等を記載することで、その記載があるものとして取り扱われるとしています。問87の記載例では、10%対象 88,000 円(消費税 8,000 円)、8%対象 43,200 円(消費税 3,200 円)のように、税率ごとの対価の額と消費税額を並べて記載しています。また、保存が必要な請求書等には、上記①から⑥までの記載事項に係る電磁的記録も含まれます(消令49⑦)。

中小企業への実務影響:相手方の確認の方法と書類の作り方

仕入明細書を使う場合、最も重要なのが相手方の確認です。消費税法基本通達11-6-6は、課税仕入れの相手方の確認を受けたものとは、保存する仕入明細書等に課税仕入れの相手方の確認の事実が明らかにされたもののほか、例えば次のようなものがこれに該当するとしています。

方法内容
(1)仕入明細書等への記載内容を通信回線等を通じて課税仕入れの相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で自己の端末機から出力したもの
(2)仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録につきインターネットや電子メールなどを通じて課税仕入れの相手方へ提供し、当該相手方からその確認をした旨の通知等を受けたもの
(3)仕入明細書等の写しを相手方に交付し、又は当該仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を相手方に提供し、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおりに確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの

問86によると、(3)の方法では、仕入明細書等に通知文書等を添付して相手方に送付し了承を得る方法や、仕入明細書等に文言を記載し相手方の了承を得る方法があり、仕入明細書等の記載事項が相手方に示され、その内容が確認されている実態にあることが明らかであれば、相手方の確認を受けたものとなります。一定期間について、問86は具体的な日数等を表示することまで求めるものではありませんが、業務の内容や取引先との関係を踏まえて、認識を合わせておくことが求められますとしています。

書面と電子データを組み合わせる場合

EDI取引のように、日々の明細は電子データで交換し、月まとめの支払通知書だけを書面で交付する取引もあります。問88は、記載事項は一の書類だけで満たす必要はなく、書類相互の関連が明確であり、取引内容を正確に認識できる方法で交付されていれば、その全体により記載事項を満たすことができるとしています。この場合は、書面の支払通知書と取引明細の電磁的記録を合わせて保存します。取引明細に係る電磁的記録の保存方法は、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法と同様となります(消令50①、消規15の5)。紙の支払通知書だけを保存し、電子データの明細を削除してしまうと記載事項がそろわなくなるため、保存の担当と方法を決めておきます。

売手側にも関係する2つの論点

仕入明細書で支払を受ける売手にも影響があります。返品があった場合、問90は、相手方が仕入税額控除のために作成・保存している支払通知書に、返品に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれば、売手は改めて適格返還請求書を交付しなくても差し支えないとしています。また、事業者ごとに継続して、課税仕入れに係る支払対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を税率ごとに支払通知書に記載することで、仕入明細書と適格返還請求書の両方の記載を満たすこともできます。なお、売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます(消法 57 の4③、消令 70 の9③二)。

一方、売手が行った配送などの対価を仕入明細書の中で控除している場合、問91は、配送料については別途、相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務があるとしています。配送料に係る適格請求書を仕入明細書とは別に交付するか、仕入明細書に合わせて配送料に係る適格請求書の記載事項を1枚の書類で交付するといった方法で対応します。問91の記載例では、仕入明細書に買手と売手の双方の登録番号を記載し、控除金額として11 月分 配送料 3,300 円 (消費税 300 円)を記載しています。

当事務所の見解:仕入明細書で見落としやすい3つの点

仕入明細書は、売手から請求書を受け取る手間を省ける便利な方法です。一方で、買手が作成した書類である以上、記載や確認の不備はそのまま買手の仕入税額控除に影響します。当事務所が特に注意している点は次の3つです。

1.登録していない取引先には使えない

仕入明細書の記載事項には売手の登録番号が含まれるため、適格請求書発行事業者ではない取引先との取引では、仕入明細書を作成しても適格請求書等保存方式の請求書等にはなりません。問113によると、免税事業者等からの課税仕入れには経過措置があり、令和8年10月1日から令和10年9月30日までは仕入税額相当額の70%を控除できます。この経過措置の適用には、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載した帳簿と、区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等の保存が必要です。取引先ごとに登録の有無を確認し、帳簿の記載を分けておきます。

2.記載の誤りは仕入明細書で直せる

交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合、問92は、買手は原則として自ら追記や修正を行うことはできないとしています。ただし、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けた上で、その仕入明細書等を保存することもできます。なお、この場合でも、売手において当初交付した適格請求書の写しを保存しなければなりません(消法57の4⑥)。

3.建設業の出来高検収書

消費税法基本通達11-6-7は、建設工事等の受託業者が再受託業者の工事の出来高について検収を行い作成する出来高検収書について、仕入明細書等の記載事項を記載し、再受託業者の確認を受けているものに限り、請求書等に該当するものとして取り扱うとしています。ただし、建設工事完了日において再受託業者が適格請求書発行事業者でなかった場合には、出来高検収書により仕入税額控除の対象とした消費税額を控除するものとしています。下請業者の登録状況は工事の途中でも確認しておく必要があります。

3つに共通するのは、仕入明細書は作って終わりではなく、取引先の登録状況と確認の記録をあわせて管理して初めて仕入税額控除の根拠になるという点です。売手の側でも、問92は、売上税額の積上げ計算を行う場合には、確認を行った仕入明細書等を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存する必要があるとしています。買手と売手の双方で保存の方法を確認しておきましょう。

今すぐやるべきこと:仕入明細書の運用を見直す

仕入明細書や支払通知書で支払っている取引先がある場合は、次の順番で運用を点検してください。

  1. ステップ1:仕入明細書で支払っている取引先を洗い出す
    請求書を受け取らず、自社が作成した仕入明細書や支払通知書で代金を支払っている取引先を一覧にします。建設業の出来高検収書のように名称が異なる書類も含めます。
  2. ステップ2:取引先の登録番号を確認する
    仕入明細書には課税仕入れの相手方の登録番号の記載が必要です。取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認し、登録していない取引先は経過措置の対象として帳簿の記載を分けます。
  3. ステップ3:書式に6つの記載事項を反映する
    作成者の氏名又は名称、相手方の氏名又は名称及び登録番号、年月日、資産又は役務の内容、税率ごとに合計した支払対価の額及び適用税率、税率ごとに区分した消費税額等が記載されているかを確認します。
  4. ステップ4:相手方の確認の方法を取り決める
    一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には確認があったものとする基本契約を結ぶか、仕入明細書に同じ趣旨の文言を記載して相手方の了承を得ます。一定期間については取引先と認識を合わせておきます。
  5. ステップ5:返品・配送料・誤りの扱いと保存方法を決める
    返品を支払通知書に記載する場合は適格返還請求書として必要な事項を、配送料を控除する場合は売手の適格請求書の扱いを確認します。書面と電子データを組み合わせる場合は両方を合わせて保存します。
  • ☑ 仕入明細書・支払通知書で支払っている取引先の一覧がある
  • ☑ 取引先ごとの登録番号と登録の有無を確認している
  • ☑ 6つの記載事項を書式に反映している
  • ☑ 相手方の確認の方法を基本契約や文言で取り決めている
  • ☑ 書面と電子データを組み合わせる場合の保存方法を決めている
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よくある質問

Q. 支払通知書でも仕入明細書として認められますか?
A. 書類の名称は問われません。国税庁のQ&A問84は、保存すべき請求書等に、適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これに類する書類を含めています。支払通知書であっても、6つの記載事項が記載され、課税仕入れの相手方の確認を受けたものであれば、仕入税額控除のための請求書等になります。名称ではなく記載内容と確認の有無で判断してください。
Q. 仕入明細書に記載する登録番号は自社のものですか?
A. 自社ではなく、課税仕入れの相手方である売手の登録番号です。問87は、記載事項②を課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号としています。登録番号を記載しないで作成した仕入明細書は、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの間における区分記載請求書等として取り扱われるため、現在の仕入税額控除の請求書等としては記載事項を満たしません。
Q. 相手方の確認は毎回、署名や押印をもらう必要がありますか?
A. 必ずしも必要ありません。消費税法基本通達11-6-6は、仕入明細書等の写しを相手方に交付し、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおりに確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たものも、相手方の確認を受けたものに該当するとしています。問86は、一定期間について具体的な日数等を表示することまでは求めていません。
Q. 仕入明細書の消費税額は税抜金額で書いてもよいですか?
A. 問89によると、税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額は税込金額となりますが、税率ごとに区分した仕入金額の税抜きの合計額及び税率ごとに区分した消費税額等を記載することで、その記載があるものとして取り扱われます。自社の会計処理に合わせて税抜で作成している場合も、税率ごとの区分と消費税額等が記載されているかを確認してください。
Q. 返品があった月の支払通知書に返品を記載しています。売手は適格返還請求書を別に出す必要がありますか?
A. 問90によると、相手方が仕入税額控除のために作成・保存している支払通知書に、返品に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれば、売手と相手方の間で対価の返還等の内容について確認されているため、売手は改めて適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。支払通知書の書式に必要な事項が入っているかを確認します。
Q. 売手として仕入明細書で支払を受けています。売上税額の積上げ計算はできますか?
A. 問121によると、取引当事者間での取決め等により仕入明細書により代金の支払が行われる場合でも、仕入明細書に記載されている事項の確認に当たって仕入明細書を受領しており、かつ、当該受領した仕入明細書を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存している場合には、売上税額の積上げ計算を行って差し支えないとしています。
Q. 取引先が免税事業者の場合、仕入明細書を作れば仕入税額控除できますか?
A. 仕入明細書には相手方の登録番号の記載が必要なため、適格請求書発行事業者ではない取引先との取引では、仕入明細書による通常の仕入税額控除はできません。問113によると、免税事業者等からの課税仕入れには経過措置があり、令和8年10月1日から令和10年9月30日までは仕入税額相当額の70%を控除できます。適用には帳簿と請求書等の保存が必要です。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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