堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
家事関連費2026|自宅兼事務所の家賃按分と50%基準の判定実務
SUMMARY
この記事の要点3点
- 1ポイント1:自宅兼事務所の家賃や水道光熱費のように、家事上と業務上の両方にかかわる支出を家事関連費といいます。必要経費になるのは、業務の遂行上必要であった部分を明らかに区分できる場合のその金額に限られます。
- 2ポイント2:所得税基本通達45-2は業務上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしていますが、但書で50%以下でも明らかに区分できれば必要経費に算入して差し支えないとしています。
- 3ポイント3:割合そのものより、面積や使用時間といった区分の根拠を記録に残しているかが要点です。生計を一にする親族へ支払う家賃は必要経費になりません。
自宅の一室を仕事場にしている個人事業主の方から、家賃や電気代をどこまで経費にしてよいのかというご相談をよくいただきます。ちょうど半分なら大丈夫という説明を耳にすることもありますが、国税庁が示している基準はもう少し具体的で、しかも半分に届かない場合の取扱いまで書かれています。
この記事では、家事関連費の考え方を国税庁のタックスアンサーと所得税基本通達に沿って確認し、費目ごとにどのような基準で按分するのが説明しやすいか、そして税務調査で問われたときに何を示せばよいかを整理します。
家事関連費の制度の概要
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家事関連費とは何か
国税庁のタックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)は、家事上の費用は必要経費とならないとしたうえで、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用となるものがあり、これを家事関連費というと説明しています。例として挙げられているのは、店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)です。
そのうえで同ページは、この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られる、としています。同じ趣旨はNo.1350「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」(令和8年4月1日現在法令等)にも記載があり、家事上の経費に関連する経費のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分に相当する経費の金額は必要経費となる、と書かれています。
2つの条件
家事関連費が必要経費になるには、(1) その部分が業務の遂行上必要であったこと、(2) その部分を明らかに区分できること、の両方が必要です。感覚で何割と決めるのではなく、区分の根拠が必要になるという点が出発点です。
家事関連費が必要経費になるには、(1) その部分が業務の遂行上必要であったこと、(2) その部分を明らかに区分できること、の両方が必要です。感覚で何割と決めるのではなく、区分の根拠が必要になるという点が出発点です。
あわせて押さえておきたいのが、家事関連費が置かれている条文上の位置です。No.2210は根拠法令等として「所法37、45、51、56、57、70、70の2、所令96、所基通37-1、37-2、37-27、45-1、45-2」などを挙げています(所得税法第37条・第45条、所得税法施行令第96条、所得税基本通達45-1・45-2)。所得税基本通達45-9は法第45条を《家事関連費等の必要経費不算入等》と表記しており、家事関連費の判断は、必要経費の一般規定である所法37と、この所法45、そして通達45-1・45-2が引用する所令96《家事関連費》を組み合わせて行うことになります。
通達が示す50%という基準
区分の判定について、所得税基本通達は2つの項を置いています。45-1(主たる部分等の判定等)は、令第96条第1号《家事関連費》に規定する「主たる部分」又は同条第2号に規定する「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分」は、業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する、としています。
続く45-2(業務の遂行上必要な部分)は、令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする、としたうえで、但書で次のように定めています。すなわち、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない、というものです。
つまり50%は、総合勘案の目安として置かれた判定基準であり、これを下回ったら一切経費にできないという足切りではありません。この但書の存在が、実務では最も大きな意味を持ちます。
費目ごとの按分と実務影響
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按分の基準は費目ごとに選ぶ
通達45-1が「資産の利用状況等を総合勘案して判定する」としている以上、按分の基準は費目の性質に合ったものを選ぶ必要があります。自宅兼事務所で典型的に問題になる費目と、説明しやすい基準を整理すると次のとおりです。いずれも一律の正解があるわけではなく、自分の使い方を説明できる基準を選ぶという考え方になります。
| 費目 | 説明しやすい按分の基準 | 残しておく資料 |
|---|---|---|
| 家賃・地代 | 業務に使う部屋の床面積が住居全体の床面積に占める割合 | 賃貸借契約書、間取り図、各室の面積を記した計算メモ |
| 水道光熱費 | 床面積割合、または業務に使用する時間・日数の割合 | 検針票、業務時間を記録した日報や予定表 |
| 通信費 | 業務での使用時間や回線の用途に応じた割合 | 通信明細、業務用回線と私用回線を分けた記録 |
| 自動車関係費 | 業務での走行距離が総走行距離に占める割合 | 運行記録、給油時の走行距離メモ |
| 固定資産税 | 業務用部分に対応する割合 | 納税通知書、面積按分の計算書 |
| 建物の減価償却費 | 業務用部分の床面積割合 | 売買契約書、減価償却資産の明細 |
固定資産税については、No.2210が明確に、事業税は全額必要経費になるが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になる、と述べています。一方で所得税や住民税は必要経費になりません。持ち家の場合の建物の減価償却については、No.2100「減価償却のあらまし」(令和8年4月1日現在法令等)が、事業などの業務のために用いられる建物などの資産は減価償却資産であり、その取得に要した金額は使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものである、としています。
表に挙げていない費目でも考え方は同じです。住居全体にかけている火災保険料は、業務用部分に対応する割合で按分することになりますし、業務用部分の修繕費については、No.2210が、業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になる、としています。逆に、業務に一切使っていない部屋だけの修繕であれば、家事関連費ですらなく全額が家事上の費用です。費目ごとに、そもそも業務にかかわりがあるのかという段階から確認してください。
生計を一にする親族へ支払う家賃は経費にならない
見落とされやすいのが、家族名義の住居で事業を行っている場合です。No.2210は、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費にならず、逆に受け取った人も所得としては考えない、としています。これは土地や家屋に限らず、その他の資産を借りた場合も同様です。
ただし同ページには続きがあります。例えば、子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になる、とされています。家賃そのものは経費にならなくても、その資産にかかる固定資産税などの実費は、業務用部分について子の側の必要経費になるという整理です。個人事業主の確定申告のサポートでは、この点を取り違えたまま数年分の申告をされていた例を実際に拝見します。
計上する年分は債務確定基準で決まる
按分割合が決まっても、どの年分の経費にするかは別の論点です。No.2210は、必要経費となる金額はその年において債務の確定した金額であるとし、その年に支払った場合でもその年に債務の確定していないものは必要経費にならず、逆に支払っていない場合でもその年に債務が確定しているものは必要経費になる、としています。債務が確定しているとは、その年の12月31日までに、債務が成立していること、その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、金額が合理的に算定できること、の3つをすべて満たす場合をいうとされています。12月分の電気代を翌年1月に支払った場合の取扱いは、この基準で判断します。
当事務所の見解・実務上の注意点
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「50%を超えないと経費にできない」は誤り
家事関連費の解説でいちばん多い誤解が、業務使用割合が50%を超えなければ一切経費にできない、という理解です。通達45-2の本文だけを読むとそう見えますが、但書は、必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えないと定めています。自宅の1室だけを仕事に使っていて面積割合が2割程度という方でも、その2割を区分できるのであれば必要経費に算入できるという読み方になります。
逆に言えば、割合を大きく見せることに意味はありません。争点になるのは割合の大小ではなく、区分の根拠が示せるかどうかです。面積割合で按分するなら間取り図と各室の面積、使用時間で按分するなら業務時間の記録、走行距離で按分するなら運行記録が、そのまま説明資料になります。
根拠を残す作業は記帳と同時に行う
按分の根拠は、年が明けてから思い出して作るものではありません。通達45-1が判定要素として挙げている業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、資産の利用状況は、いずれも日々の実態です。実務としては、按分割合を決めた時点でその計算過程を1枚の書面にまとめ、賃貸借契約書や間取り図と一緒に保存しておくのが最も確実です。割合を変更した年は、変更した理由もあわせて記録します。記帳代行のご依頼をいただく際も、この按分の根拠資料を最初にお預かりしています。
青色申告特別控除との関係
家事関連費の区分は、帳簿の作り方とも結びついています。No.2072「青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在法令等)は、55万円の控除を受けるための要件として、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していること、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書および所得の金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、確定申告期限までに提出することを挙げています。65万円の控除は、これに加えて、仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存を行っているか、確定申告書等を提出期限までにe-Taxを使用して送信することが要件です。
按分の根拠を残す作業は、結局のところ正規の簿記の原則に沿って記帳することの一部です。経費を増やすための作業ではなく、控除の要件を満たす帳簿を作る作業だと位置づけると、優先順位を決めやすくなります。
今すぐやるべきこと
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年内に整えておけば、確定申告の時期に慌てずに済みます。次の順序で進めてください。
- ステップ1:家事関連費に当たる支出を洗い出す
家賃・地代、水道光熱費、通信費、自動車関係費、火災保険料、固定資産税、持ち家の場合の建物の減価償却費など、家事上と業務上の両方にかかわる支出を一覧にします。全額が業務用の支出と、家事関連費に当たる支出を分けて並べるのが最初の作業です。 - ステップ2:費目ごとに按分の基準を決める
家賃や固定資産税は床面積割合、水道光熱費は床面積割合か使用時間割合、自動車関係費は走行距離割合というように、その費目の性質に合った基準を選びます。同じ住居に複数の基準が混在しても構いませんが、なぜその基準にしたかを一言で説明できるようにしておきます。 - ステップ3:区分の根拠資料をそろえる
賃貸借契約書、間取り図、各室の面積を記した計算メモ、検針票、通信明細、運行記録などを集めます。面積は実測でなくても、間取り図の表示や契約書の記載から計算できれば十分に説明できます。計算過程を1枚の書面にまとめ、根拠資料と一緒に保存します。 - ステップ4:生計を一にする親族との取引を確認する
住居や車両が配偶者や親の名義で、その方に家賃や使用料を支払っている場合は、その支払いが必要経費にならないことを確認します。あわせて、その資産に課される固定資産税等のうち業務用部分について、経費計上の余地がないかを検討します。 - ステップ5:計上する年分を債務確定基準で確認する
12月分で翌年1月に支払う費用や、年をまたぐ契約の費用について、その年の12月31日までに債務が成立し、給付原因の事実が発生し、金額が合理的に算定できるかを確認します。判断に迷うものは、顧問税理士に取引の内容を示して相談してください。以上の作業は、確定申告期に入ってからではなく、支出が発生している年のうちに進めておくほど精度が上がります。
よくある質問
- Q. 自宅の一室を仕事に使っています。家賃の何割まで経費にできますか?
- A. 一律の割合は定められていません。所得税基本通達45-1は、業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定するとしています。実務では業務に使う部屋の床面積が住居全体に占める割合で按分し、間取り図と面積の計算メモを根拠として残す方法が説明しやすい形です。割合そのものより、その割合を導いた根拠を示せることが要点になります。なお通達45-1は判定要素として、業務の内容や経費の内容だけでなく、家族及び使用人の構成も挙げています。同居の家族が何人いてどの部屋を使っているかも、判断の材料になるという趣旨です。
- Q. 業務で使う割合が50%以下だと、まったく経費にできないのでしょうか?
- A. そうではありません。所得税基本通達45-2は、必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するとしたうえで、但書で、必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えないとしています。区分できることが条件であり、割合が小さいこと自体が否認の理由になるわけではありません。ただし但書が求めているのは「明らかに区分することができる」ことですので、根拠のない概算で割合を置くことまで認めるものではない点には注意してください。
- Q. 配偶者名義の自宅で事業をしています。家賃を払えば経費になりますか?
- A. 必要経費にはなりません。国税庁のタックスアンサーNo.2210は、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費にならず、受け取った人も所得としては考えないとしています。ただし同ページは、子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になるとしており、実費部分については業務用部分に応じた計上の余地があります。
- Q. 持ち家の場合、住宅ローンの返済額は経費になりますか?
- A. 返済額そのものではなく、費目を分けて考えます。No.2210は、業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になるとしています。元本の返済は必要経費ではありません。また建物については、No.2100が示すとおり減価償却資産として、取得に要した金額を使用可能期間にわたって配分し、その業務用部分が必要経費になります。
- Q. 按分割合は毎年同じにしなければいけませんか?
- A. 同じにしなければならないという定めはありません。所得税基本通達45-1が挙げる判定要素には資産の利用状況等が含まれており、働き方や使用状況が変われば割合も変わりえます。大切なのは、変更した年について、変更後の割合を導いた根拠と変更の理由を記録に残しておくことです。根拠がないまま割合だけが動くと、説明が難しくなります。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.2210 必要経費の知識
- 国税庁 所得税基本通達 45-1・45-2(家事関連費)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1350 事業所得の課税のしくみ
- 国税庁 タックスアンサーNo.2100 減価償却のあらまし
- 国税庁 タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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