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税務署とのWeb会議2026|国税庁オンラインツールの同意手続と注意点

税務署とのWeb会議と国税庁オンラインツールの同意手続を解説する記事のアイキャッチ画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:国税庁はデジタル庁が提供するGSSのオンラインツール(インターネットメール、Web会議システム、オンラインストレージサービス、アンケート作成ツール)を業務利用しています。令和8年6月1日現在、仙台・金沢・福岡・熊本の各国税局と沖縄国税事務所で利用が始まっています。
  • 2ポイント2:利用は税務署等の担当者と利用者双方の合意がある場合に限られ、合意が得られない場合に利用されることはありません。同意事項に同意したあとでも、個々のやり取りで断ることができます。
  • 3ポイント3:税務調査は臨場による調査が原則です。オンラインツールは日程調整や資料の提出といった場面で部分的に使われるもので、申告書や届出書をメールで提出することはできません。

税務署から電話ではなくメールが届き、資料のやり取りをオンラインで、という場面が現実のものになりつつあります。国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーションの一環として、デジタル庁が提供する政府共通の業務実施環境であるGSSのオンラインツールを業務で使う取組を進めており、令和8年7月にはその取扱いを定めたQ&Aが改訂されました。もっとも、すべての税務調査がオンラインに置き換わるわけではありません。何が変わり、何が変わらないのかを、国税庁が公表している資料にそって整理します。

国税庁のオンラインツールとは何か

国税庁と税務署がオンラインツールを導入する取組を表した官庁庁舎のイラスト

GSSで提供される4つのツール

国税庁は、納税者の利便性向上や税務行政の効率化を図る観点から、税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(デジタルを活用した、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し)に取り組んでいるとしています。その一環として、令和7年9月以降、デジタル庁が提供する政府共通の業務実施環境であるGSS(ガバメントソリューションサービス)を順次導入しており、GSSにおいて提供される次の4つのオンラインツールを、必要に応じて業務利用することとしています。

ツール国税庁の表記主な使われ方
メールインターネットメール日程調整、準備する資料の連絡や提出依頼、担当者への連絡依頼など
会議Web会議システム(Microsoft Teams)面談。滞納整理及び査察調査以外の場面で利用
ファイル授受オンラインストレージサービス(PrimeDrive)容量の大きい資料の受渡し
登録フォームアンケート作成ツール(Microsoft Forms)同意事項への同意とメールアドレス等の登録

どこまで広がっているか

国税庁は、令和8年6月1日現在、仙台国税局・金沢国税局・福岡国税局・熊本国税局・沖縄国税事務所において利用を開始しているとしています。一方で、同意事項への同意とメールアドレス等を登録するための登録フォームは、札幌国税局から沖縄国税事務所まで全12の国税局等について用意されています。取扱いを定めた「税務行政におけるオンラインツールの利用に関するQ&A」は令和7年11月に公表され、令和8年6月と令和8年7月に改訂されています。同Q&Aの冒頭では、令和7年10月以降、各国税局において業務における利用を順次開始しているとされています。大阪国税局管内の事業者についても登録フォームは用意されていますので、いつ順番が回ってきてもよいように、仕組みそのものは先に理解しておく価値があります。なお、大規模法人(調査課所管法人)を対象とした取組については、国税庁が別に「調査等におけるオンラインツールの利用に関する情報」を案内しており、本記事で扱う一般の取扱いとは分けて説明されています。

使われる場面は税務調査だけではない

国税庁は、税務調査等の際に必要に応じてオンラインツールを利用するとしており、この「税務調査等」には、税務調査のほか、行政指導、滞納整理及び査察調査等も含むとしています。Q&Aの問1は、行政指導には書面添付制度に基づく意見聴取、事業者等への協力要請及び酒類の免許等関係事務における申請書の補正等を含むと注記しています。ただしWeb会議システムについては、滞納整理及び査察調査以外で利用するとされています。関係民間団体の方や調達の契約事業者等との連絡でも使われます。

ポイント:合意がなければ使われない
国税庁は、オンラインツールの利用について「税務署及び国税局の担当者と利用者双方の合意がある場合に限り利用するものとし、利用者の合意が得られない場合に利用することはありません」としています。導入されたからといって、自動的にメールでのやり取りが始まるわけではありません。

中小企業への実務影響と利用開始までの流れ

税務署と中小企業をオンラインでつなぐ仕組みを表した橋のイラスト

利用開始までは3段階

国税庁が示す流れは3段階です。第1に、税務署等の担当者から利用者に対してオンラインツールの利用に関する意思確認が行われます。利用を希望する場合は「オンラインツールの利用に関する同意事項」の内容に同意するとともに、オンラインツールの利用の際に使用するメールアドレスなど所定の事項を登録します。登録はアンケート作成ツールであるMicrosoft Formsから行い、税務署又は国税局ごとにフォーマットが用意されています。誤ったフォーマットを選択した場合は再度の登録が必要になります。

第2に、登録したメールアドレス宛てにテストメールが送信されます。なりすまし防止の観点から、税務署等の担当者が電話又は対面によりテストメールの受信確認を行い、利用者からテストメールへの返信を受けることで、インターネットメールの利用が開始となります。第3に、Web会議システムとオンラインストレージサービスは、担当者からメールで送信されるURLにアクセスすることで利用できます。パソコンからのアクセスであればアプリのダウンロードは不要ですが、スマートフォンやタブレットからWeb会議システムにアクセスする場合は事前にアプリのダウンロードが必要です。

提出できるデータと、できない書類

実務で最初に迷うのが、何をどの経路で出せるのかという点です。Q&Aの問15は、申告書や届出書・申請書などの各種届出書等は書面又はe-Taxにより提出する必要があり、インターネットメール又はPrimeDriveにより提出することはできないとしています。オンラインツールで送れるのは、あくまで調査等の過程で求められた資料です。容量の上限は次のとおりです。

提出方法データ形式データ容量提出後の確認
インターネットメールexe形式等は添付不可本文・添付ファイル合わせて1送信当たり最大20MBメールの送信履歴から確認できる
PrimeDrive制限なし1度に最大20ファイル、1ファイル1.9GBまで担当者のダウンロード後に削除されるため事後の確認はできない
e-TaxPDF形式又はCSV形式PDF形式は合計14MBまで、CSV形式は合計8MBまでメッセージボックスから送信データのダウンロードはできないため事後の確認はできない

オンライン環境を有していないなど、オンラインによる提供が困難な場合には、税務署等が用意するUSBメモリ等の情報記録媒体によりデータを提供する場合があるとされています。なお、税務調査等においてe-Taxで提出できる電子データは、税務調査、行政指導及び滞納整理の際に担当者から求められた書類に限られます。

税理士が関与している場合の扱い

顧問税理士がいる中小企業では、誰が登録するかが論点になります。Q&Aの問6は、納税者及び税理士の双方がオンラインツールを利用する場合、双方が同意事項に同意してメールアドレス等を登録する必要があり、いずれか一方のみが利用する場合は利用する方のみが手続をすると整理しています。また問5によれば、税理士が税務署の税務調査に際してメールアドレス等を登録した場合、当該登録を行った税務署において別の税務調査が実施される際には、再度の登録手続なく引き続き利用できます。税務署内の実施部門が異なる場合も同様です。一方、税務調査を実施する税務署が異なる場合には、改めて登録手続が必要です。転居等により納税地が変わり、所轄税務署とともに調査担当者が変更となった場合も、改めて同意と登録が必要になります。顧問税理士に窓口を任せる場合でも、社内でどのデータをすぐ出せるかは事業者側で把握しておく必要があります。

当事務所の見解・実務上の注意点

オンラインツール利用時の情報管理と注意点を表した南京錠のイラスト

「同意した」と「毎回応じる」は別のこと

実務でもっとも誤解されやすいのが、一度同意すると以後すべてオンラインになるのではないか、という点です。Q&Aの問2には、同意事項への同意をもって国税当局との全てのやり取りにおいてオンラインツールの利用が必須となるものではなく、個々のやり取りにおいて納税者等の合意が得られない場合はオンラインツールを利用しない、と明記されています。逆に、納税者等が利用を希望した場合であっても、事業所等に臨場して質問検査等を行う必要がある場合には、現状のとおり対面で税務調査が実施されます。便利だから使う、込み入った話は対面で、という使い分けが認められていると読むのが素直でしょう。

Web会議で禁止されていること、されていないこと

面談の場面では、できることとできないことを先に把握しておく価値があります。国税庁は、税務調査や行政指導において、録音・録画、チャット、文字起こし(トランスクリプション)及びホワイトボード機能の利用を禁止しています。一方で画面共有機能の利用は可能とされ、税務署等から資料を提示するほか、納税者等から資料を提示する場合があるとされています。また、第三者への情報漏えい等を防止する観点から、税務署側及び納税者側の参加者の範囲をあらかじめ明確にすることとされ、当日はカメラ機能をオンにした上で本人確認が行われます。事前に把握した参加者以外の参加が認められる場合、録音・録画等の機能の利用又は画面の撮影等が認められる場合には、利用が中断されます。

注意:事前通知は原則口頭のまま
Q&Aの問19は、メールで行われる連絡の例として日程調整、準備する資料の連絡や資料の提出依頼、担当者への連絡依頼、Web会議システムやオンラインストレージサービスのURLの連絡、キャッシュレス納付の利用勧奨を挙げたうえで、「税務調査における事前通知は、現状のとおり原則口頭により行います」と注記しています。メールが来ないから調査ではない、という判断はできません。

偽メール対策は登録の前から始まっている

国税庁をかたった不審なメールは以前から確認されています。国税庁は、税務署等の職員が使用するメールアドレスのドメインは「nta.go.jp」に限られ、その他のドメインが使用されることはないとしています。さらに税務署等の側では、事前にシステム登録されたメールアドレスに対してのみ送信できる仕組みとし、送信前に管理者が宛先及び内容等を確認するほか、利用者から受信したメールに返信する方法で送信するなどの誤送信防止策がとられています。担当者が使用する機器も職員に配備されたパソコンに限定され、私用端末は使用しないとされています。受け手側でできる対策は、担当者から届いたアドレスをアドレス帳に登録して判別できるようにしておくことです。クラウド会計への移行を含めた社内体制づくりは、クラウド会計・DX支援でご相談を承っています。

今すぐやるべきこと

税務署とのオンラインツール利用に向けた準備の手順を表したはしごのイラスト

導入済みの国税局は限られていますが、準備そのものは今日からできます。次の順番で進めてください。

  1. ステップ1:所轄の税務署がオンラインツールを使っているか確認する
    国税庁は令和7年9月以降GSSを順次導入しており、令和8年6月1日現在、仙台国税局・金沢国税局・福岡国税局・熊本国税局・沖縄国税事務所で利用を開始しているとしています。自社の所轄がどうかは、税務署等の担当者に尋ねるのが確実です。
  2. ステップ2:社内で使うメールアドレスを1つに決めておく
    登録するメールアドレスのドメイン等に制限はありません。担当者が代わっても引き継げる代表アドレスにしておくと、退職や異動のたびに登録し直す手間がなくなります。複数登録した場合は、それぞれにテストメールが送信されます。
  3. ステップ3:「nta.go.jp」からのメールを受信できるよう設定を確認する
    迷惑メールフィルタで弾かれると、日程調整や資料の提出依頼に気づけません。ドメイン指定受信の設定に「nta.go.jp」を加え、担当者から届いたアドレスをアドレス帳に登録して、税務署等からのメールだと判別できるようにしておきます。
  4. ステップ4:顧問税理士と、どちらが登録するかを相談する
    納税者と税理士の双方がオンラインツールを利用する場合は、双方が同意事項に同意してメールアドレス等を登録する必要があります。いずれか一方のみが利用する場合は、利用する方だけが手続をします。窓口を一本化するのか二重に持つのかを、調査が始まる前に決めておきます。
  5. ステップ5:Web会議の参加者と場所をあらかじめ決めておく
    Web会議システムによる面談では、参加者の範囲をあらかじめ明確にし、当日はカメラ機能をオンにして本人確認が行われます。事前に把握した参加者以外の参加が認められた場合は利用が中断されます。同席者は事前に伝え、会話が外部に漏れない個室を押さえてください。
  6. ステップ6:帳簿データをいつでも出せる形に整えておく
    税務調査では帳簿書類等に係る電子データの提供を依頼される場合があります。国税庁は、この依頼が質問検査権に基づくものであること、臨場前に提供を受けた場合は確認作業の一部を税務署で実施できることを示しています。会計データの書き出し方を普段から確かめておくと、調査期間の短縮につながります。

調査対応そのものの進め方や、どこまで資料を出すかの判断に迷われた場合は、堺市の税務顧問として立ち会いから事後のフォローまでお引き受けしています。

よくある質問

Q. 税務署から来たメールが本物かどうか、どう見分ければよいですか?
A. 国税庁は、税務署等の職員が使用するメールアドレスのドメインは「nta.go.jp」に限られており、その他のドメインが使用されることはないとしています。税務署等を名乗るメールを受信したら、まずアドレスのドメインを確認してください。「go.jp」は日本国の政府機関、独立行政法人及び特殊法人が取得できるドメインです。そもそもオンラインツールは、利用者が事前に意思確認を受けて登録した場合にのみ使われます。
Q. オンラインツールの利用を断ることはできますか?
A. できます。国税庁は、オンラインツールは税務署等の担当者と利用者双方の合意がある場合に限り利用するものとし、利用者の合意が得られない場合に利用することはないとしています。さらにQ&Aの問2では、「オンラインツールの利用に関する同意事項」への同意をもって国税当局との全てのやり取りにおいて利用が必須となるものではなく、個々のやり取りにおいて合意が得られない場合は利用しないと明記されています。
Q. Web会議システムを使えば、税務調査に来てもらわずに済みますか?
A. そうはなりません。国税庁は、税務調査については事業活動の現況確認等が必要不可欠であることから臨場による調査を原則としており、効率的な調査の実施に資すると国税当局が判断した場合に部分的に利用するとしています。納税者がオンラインツールの利用を希望した場合であっても、事業所等に臨場して質問検査等を行う必要がある場合には、現状のとおり対面で税務調査が実施されます。
Q. 申告書や届出書をメールで提出してもよいですか?
A. できません。Q&Aの問15は、申告書や届出書・申請書などの各種届出書等は書面又はe-Taxにより提出する必要があるため、インターネットメール又はPrimeDriveにより提出することはできないとしています。誤ってメールやPrimeDriveで提出してしまった場合は、書面又はe-Taxで改めて提出することになります。提出できる電子データと、提出しなければならない申告書類は分けて考えてください。なお、オンライン環境を有していないなど、オンラインによる提供が困難な場合には、税務署等が用意するUSBメモリ等の情報記録媒体によりデータを提供する場合があるとされています。
Q. Web会議の様子を録音・録画して記録に残せますか?
A. 国税庁は、税務調査や行政指導において、録音・録画、チャット、文字起こし(トランスクリプション)及びホワイトボード機能の利用を禁止しています。一方で画面共有機能の利用は可能とされており、税務署等から資料を提示するほか、納税者等から資料を提示する場合があります。録音・録画等の機能の利用又は画面の撮影等が確認された場合には、Web会議システムの利用が中断されることとされています。税務署等の側でも、Web会議システムの利用は原則として事務室内で行うこととされています。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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