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寄附金控除2026|所得控除と税額控除の選び方と40%・25%の上限

寄附金控除の所得控除と税額控除の選び方を解説する記事のタイトル画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:寄附金控除は、特定寄附金の合計額と総所得金額等の40パーセント相当額のいずれか低い金額から2000円を差し引いて計算する所得控除です。受けるには確定申告が必要です。
  • 2ポイント2:認定NPO法人等・公益社団法人等への寄附は2千円を超える部分の40%、政党等への寄附は30%を所得税額から差し引く税額控除も選べます。限度は所得税額の25パーセント相当額です。
  • 3ポイント3:どちらを選ぶかは確定申告で決め、修正申告での選択替えは認められません。寄附の一覧と証明書をそろえ、申告前に両方を試算しておきましょう。

年末が近づくと、ふるさと納税や地域団体への寄附をまとめて行う方が増えます。寄附をしたときの所得税には、所得から差し引く寄附金控除と、税額から直接差し引く税額控除の2つの仕組みがあり、寄附先によっては有利な方を選べます。ただし、選択は確定申告で行い、後から変えることはできません。

本記事では、国税庁タックスアンサーNo.1150・No.1260・No.1263・No.1266と質疑応答事例をもとに、寄附金控除の対象となる特定寄附金の範囲、計算の上限、税額控除を選べる寄附先、必要書類を整理します。

寄附金控除の概要:所得控除と税額控除の2つの仕組み

寄附金控除は特定寄附金を支出したときの所得控除

国税庁のタックスアンサーNo.1150は、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができ、これを寄附金控除というと説明しています。特定寄附金には、国・地方公共団体に対する寄附金、財務大臣が指定した寄附金、公益社団法人・公益財団法人・学校法人・社会福祉法人などの特定公益増進法人に対する寄附金、一定の公益信託への寄附金、政治活動に関する寄附金のうち一定のもの、認定NPO法人等に対する寄附金などが含まれます。

一方で、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益がおよぶと認められるもの、政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しません。国や地方公共団体への寄附であっても、寄附によって設けられた設備を寄附者が専属的に利用するなど特別の利益がおよぶものは除かれます。

なお、No.1150のQ&Aは、国や地方公共団体に土地を贈与した場合について、その贈与はなかったものとみなされて譲渡所得等が非課税となり、贈与した土地の取得費に相当する金額が特定寄附金の額になると説明しています。金銭以外の財産を寄附する場合は、特定寄附金の額が時価になるとは限らない点に注意が必要です。

寄附金控除額の計算と40パーセントの上限

No.1150によると、寄附金控除額は、その年に支出した特定寄附金の額の合計額と、その年の総所得金額等の40パーセント相当額のいずれか低い金額から2000円を差し引いた金額です。寄附額がいくら大きくても、総所得金額等の40パーセント相当額を超える部分は控除の対象になりません。また、所得控除であるため、税負担が軽くなる額は控除額にその人の所得税率を乗じた分にとどまります。

3種類の寄附金は税額控除を選択できる

No.1150は、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金または公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができるとしています。それぞれの計算の骨格は次のとおりです。

区分控除額の計算限度
寄附金控除(所得控除)特定寄附金の合計額と総所得金額等の40パーセント相当額のいずれか低い金額-2000円総所得金額等の40パーセント相当額
政党等寄附金特別控除(政党等に対する寄附金の合計額-2千円)×30%所得税額の25パーセント相当額
認定NPO法人等寄附金特別控除(認定NPO法人等寄附金の合計額-2千円)×40%所得税額の25パーセント相当額
公益社団法人等寄附金特別控除(公益社団法人等に対する一定の寄附金の合計額-2千円)×40%所得税額の25パーセント相当額

税額控除の特別控除額はいずれも100円未満の端数を切り捨てます。また、税額控除の計算の基礎となる寄附金の額にも、総所得金額等の40パーセント相当額という上限があり、寄附金控除の対象となる特定寄附金などがある場合は、その額を差し引いた残額が上限になります。2千円についても、特定寄附金等の額がある場合には2,000円からその額を控除した残額とされています。政党等寄附金特別控除の対象は、個人が平成7年1月1日から令和11年12月31日までに支払った政党等に対する寄附金です。

寄附金控除が中小企業の経営者・個人事業主に与える実務影響

年末調整では完結せず確定申告が前提になる

No.1150の手続は、寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に、寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証などを添付するか、提出の際に提示するというものです。給与所得者で普段は年末調整だけで済んでいる方も、寄附金控除を受けるには確定申告が必要になります。ふるさと納税については、確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5団体以内の場合に限り、寄附先団体への申請で控除を受けられる制度があり、No.1155はこれを「ふるさと納税ワンストップ特例制度」と説明しています。

ここで注意したいのが、No.1155の、確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるという説明です。役員報酬のほかに不動産所得がある経営者や、医療費控除を受けるために申告する方は、ワンストップ特例を申請した分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります。申告漏れがあると控除を取りこぼすことになります。

ふるさと納税は申告書の記載欄にも注意する

No.1155は、確定申告で寄附金控除の適用を受ける場合、確定申告書第二表の寄附金控除に関する事項の欄にふるさと納税先団体名と寄附金額を記載するとともに、住民税に関する事項の都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)の欄にも金額を必ず記載するよう求めています。所得税の確定申告書は個人住民税の申告書も兼ねているため、この欄が記載されていないと、個人住民税の賦課決定の際に控除されないこともあるとされています。

また、ワンストップ特例の申請をした方が、誤って寄附金控除の適用を受けずに確定申告をした場合は、更正の請求により寄附金控除の適用を受けることができるとされています。ただし、寄附金控除を適用しても最終的な所得税等の額に異動がない場合は更正の請求ができないため、お住まいの市区町村に相談するよう案内されています。

税額控除が使える寄附先かどうかで手取りの差が出る

所得控除の効果は控除額に所得税率を乗じた分です。No.1155は所得税率を0%から45%と示しています。一方、認定NPO法人等や公益社団法人等への寄附で税額控除を選ぶと、2千円を超える部分の40%が所得税額から直接差し引かれます(所得税額の25パーセント相当額が限度)。どちらが有利かは、寄附額、総所得金額等、所得税額、適用される税率によって変わるため、申告前に両方を計算して比べることが欠かせません。事業所得が年ごとに大きく変動する個人事業主は、所得税額そのものが変わり25パーセント相当額の限度も動くため、毎年の試算が必要です。

寄附先の証明書の有無で控除の可否が決まる

税額控除を受けるには、寄附先が制度の対象であることを示す書類が必要です。No.1266によると、公益社団法人等寄附金特別控除では、寄附金を受領した法人の名称や寄附金の額などを証する書類に加えて、その法人がこの制度を適用できる公益社団法人等であることを所轄庁等が証する書類の写し(寄附金を支出する日以前5年以内に発行されたものに限ります)などを確定申告書に添付します。公益社団法人であれば必ず税額控除を選べるわけではなく、一定の要件を満たし証明を受けた法人に限られる点に注意が必要です。認定NPO法人等も、No.1263によると認定等の有効期間内に支払った寄附金が対象です。

政党等への寄附については、No.1260が、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」の添付を求めています。申告期限までに間に合わない場合は、寄附金の領収書の写しのみを添付して申告し、後日書類の送付を受けた後、速やかに税務署長に提出する取扱いです。

当事務所の見解:寄附金控除で損をしないための4つの視点

寄附金控除は申告書の1欄にすぎませんが、どの控除を選ぶか、誰の名義で寄附したか、証明書がそろっているかによって、控除できる額が大きく変わります。申告の直前に気づいても取り返せない論点が多いため、当事務所では、寄附をする前と申告の前の2つの時点で、次の4つの視点から確認することをおすすめしています。

視点1:選択は確定申告の1回きり
国税庁の質疑応答事例は、政党等寄附金特別控除の適用を受けていた人が、正しく計算すると寄附金控除の方が有利だと後で判明した事案について、修正申告において寄附金控除の選択替えは認められませんと回答しています。どちらの控除を受けるかの選択は確定申告(期限後申告を含みます)において行わなければならないとされています。申告前の試算が唯一の判断機会であり、申告ソフトの初期設定に任せず、両方の計算結果を見比べてから提出することが大切です。
視点2:寄附の名義は控除を受ける本人に
No.1150のQ&Aは、配偶者控除の対象となっている妻が妻名義で寄附した場合について、本人以外が支払った寄附金については、寄附金控除を適用することができないとしています。家族で寄附をまとめる場合は、所得の高い本人名義で寄附し、領収書の宛名も本人とすることが基本です。
視点3:お寺や地域団体への寄附は対象を確認する
同じQ&Aは、菩提寺の改築工事のための寄附について、寄附先が公益法人であり、その寄附が財務大臣から特定寄附金に該当するものとして指定を受けたものである場合には対象になるが、それ以外の場合は対象とならないと回答しています。寄附の前に、寄附先が控除対象かどうかを確認しておくと、申告時の想定違いを防げます。町内会や任意団体への寄附も、財務大臣の指定などがなければ控除の対象にならない可能性があります。
視点4:会社の寄附と個人の寄附を混同しない
経営者が会社の資金で寄附をした場合は法人税の寄附金の問題となり、個人の所得税の寄附金控除とは別の制度です。領収書の宛名が会社か個人かで処理が分かれるため、寄附をする段階でどちらの名義で行うかを決め、社内の経理担当者とも共有しておくことが大切です。名義が混在すると、どちらの申告にも計上できない支出が生じるおそれがあります。

寄附金の扱いは、所得税の申告全体の中で判断することで効果が最大になります。個人の申告をまとめて相談されたい方は、個人事業主・個人の確定申告のサポートもご覧ください。

今すぐやるべきこと:寄附金控除の申告準備の手順

  1. ステップ1:今年の寄附を一覧にする
    1月から現在までの寄附を、寄附先・日付・金額・名義の4項目で一覧にし、受領証の有無も記入します。ふるさと納税と、それ以外の寄附を分けて整理し、ワンストップ特例の申請の有無も記録します。年末までに予定している寄附があれば、予定欄として加えておきます。
  2. ステップ2:寄附先の区分を確認する
    国・地方公共団体、認定NPO法人等、公益社団法人等、政党等、それ以外のどれに当たるかを確認します。税額控除を選べる寄附先かどうかは、寄附先から受け取る証明書の写しで確認します。わからない場合は、寄附先に税額控除の対象かどうかを直接問い合わせ、回答を記録しておきます。
  3. ステップ3:受領証と証明書をそろえる
    寄附金の受領証、公益社団法人等や認定NPO法人等の証明書類、政党等の場合は確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」を集めます。ふるさと納税は特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」も使えます。証明書が届かないものは、年明けの早い時期に寄附先へ再発行を依頼します。
  4. ステップ4:所得控除と税額控除を試算する
    税額控除を選べる寄附がある場合は、寄附金控除を選んだ場合と税額控除を選んだ場合の両方で所得税額を計算し、有利な方を決めます。総所得金額等の40パーセント相当額と所得税額の25パーセント相当額の上限も確認します。事業所得や不動産所得の見込みが変わった場合は、試算をやり直します。
  5. ステップ5:確定申告書に記載して提出する
    選んだ控除の内容を確定申告書に記載し、税額控除の場合は計算明細書と証明書類を添付します。ふるさと納税分は、ワンストップ特例を申請した分も含めて記載し、第二表の住民税に関する事項の欄も記入します。提出後は控えと証明書を一緒に保存します。
重要:税額控除と寄附金控除の選択は、確定申告で行った選択がその後も維持されます。申告書を提出する前に、必ず両方の計算結果を見比べてください。

寄附金控除についてよくある質問

Q. 寄附金控除は年末調整で受けられますか?
A. 国税庁タックスアンサーNo.1150が示す手続は、寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に寄附金の受領証などを添付するか提示するというものです。年末調整で済んでいる給与所得者でも、寄附金控除を受けるには確定申告をします。ふるさと納税に限っては、確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5団体以内の場合に、ワンストップ特例制度で控除を受ける方法があります。
Q. 寄附金控除の上限はいくらですか?
A. 寄附金控除額は、その年に支出した特定寄附金の合計額と、その年の総所得金額等の40パーセント相当額のいずれか低い金額から2000円を差し引いた金額です。所得が少ない年に大きな寄附をすると、40パーセントの上限を超える部分は控除されません。税額控除を選ぶ場合は、さらに所得税額の25パーセント相当額という限度があります。寄附の時期を考える際は、その年の所得見込みもあわせて確認しましょう。
Q. 認定NPO法人への寄附は、所得控除と税額控除のどちらが有利ですか?
A. 国税庁タックスアンサーNo.1263は、寄附金控除の適用を受けるか、特別控除額について税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することができるとしています。税額控除は2千円を超える部分の40%を税額から差し引き、所得控除は控除額に所得税率を乗じた分だけ税が軽くなります。所得税額の25パーセント相当額の限度もあるため、寄附額と所得の状況に応じて両方を計算して比べてください。
Q. 申告後に、別の控除を選んだ方が有利だったと気づいたら変更できますか?
A. 国税庁の質疑応答事例は、政党等寄附金特別控除を選んだ後に寄附金控除の方が有利と判明した事案について、修正申告において寄附金控除の選択替えは認められませんと回答しています。選択は確定申告(期限後申告を含みます)において行わなければならず、確定申告で選択した控除がその後の課税関係を律するとされています。申告前の比較が重要です。
Q. 家族の名義で寄附した分も、自分の申告で控除できますか?
A. できません。国税庁のQ&Aは、収入がなく配偶者控除の対象となっている妻が妻名義で寄附し、妻名義で領収書を受け取った事例について、本人以外が支払った寄附金については、寄附金控除を適用することができないと回答しています。控除を受けたい方の名義で寄附を行い、受領証の宛名もその方になっているかを確認してください。
Q. ふるさと納税のワンストップ特例を申請していても、確定申告をする場合はどうなりますか?
A. 国税庁タックスアンサーNo.1155は、確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があると説明しています。医療費控除などのために申告する場合も同じです。申告書にはふるさと納税先と金額を記載し、住民税に関する事項の欄も忘れずに記入してください。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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