堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
勤労学生控除2026|令和8年分は合計所得89万円以下・給与163万円が目安
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:勤労学生控除は、給与などの勤労による所得がある学生本人が受ける27万円の所得控除です。令和8年度税制改正で、令和8年分から合計所得金額の要件が89万円以下に改正されました。
- 2ポイント2:国税庁の年末調整のしかたによると、給与所得だけの場合は給与の収入金額が163万円以下であれば合計所得金額が89万円以下になります。勤労以外の所得が10万円以下で、特定の学校の学生であることも要件です。
- 3ポイント3:学生アルバイトを雇う事業者は、12月の年末調整までに扶養控除等(異動)申告書の記載を確認しましょう。専修学校等の生徒は、学校から交付を受けた証明書の添付または提示が必要です。
CONTENTS目次
学生アルバイトを雇っている事業者にとって、12月の年末調整で確認すべき控除のひとつが勤労学生控除です。親の扶養に入っているかどうかとは別に、働きながら学ぶ学生本人が自分の所得税の計算で受ける控除であり、要件を満たせば27万円が所得から差し引かれます。
令和8年度税制改正では、基礎控除の引上げとあわせて扶養親族等の所得要件が改正され、勤労学生の合計所得金額の要件も見直されました。本記事では、国税庁のタックスアンサーと令和8年分の年末調整のしかたをもとに、要件、改正の内容、年末調整での確認点を整理します。
勤労学生控除の概要:3つの要件と令和8年分の改正
勤労学生控除とは
国税庁のタックスアンサーNo.1175は、納税者自身が勤労学生であるときに一定の金額の所得控除を受けることができ、これを勤労学生控除というと説明しています。控除額は27万円です。扶養控除や特定親族特別控除のように、家族を養っている人が受ける控除ではなく、働く学生本人が自分の所得税を計算するときに使う控除である点が特徴です。
勤労学生に当たるかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。No.1175が示す要件は、次の3つのすべてに当てはまることです。
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 合計所得金額が一定額以下で、かつ、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
- 特定の学校の学生、生徒であること
令和8年分の所得要件は89万円以下
No.1175によると、合計所得金額の要件は85万円以下(令和2年分から令和6年分までは、75万円以下)とされていますが、令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される金額は89万円以下です。国税庁の令和8年度税制改正Q&A(令和8年5月)は、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されると説明しています。このQ&Aでいう所得要件には、勤労学生の合計所得金額の要件も含まれています。
令和8年分の年末調整のしかたでは、勤労学生の所得要件を次のとおり示しています。
| 区分 | 改正後(令和8・9年分) | 改正前 |
|---|---|---|
| 合計所得金額の要件 | 89万円以下 | 85万円以下 |
| 収入が給与だけの場合の収入金額 | 163万円以下 | 150万円以下 |
給与の収入金額の欄は、改正前と改正後それぞれの給与所得控除額に基づいた金額であり、特定支出控除の適用がある場合には表の金額とは異なると注記されています。給与所得控除の最低保障額は、改正により65万円から74万円に引き上げられました。
合計所得金額の考え方
年末調整のしかたによると、合計所得金額とは、事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)と、総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額との合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額の合計額も加算します。学生本人に給与以外の所得がある場合は、この定義に沿って金額を確認します。
対象となる学校の範囲
年末調整のしかたは、勤労学生の対象となる学校等を3つに分けています。1つ目は、学校教育法に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校です。2つ目は、国、地方公共団体、学校法人などが設置した専修学校等で、職業に必要な技術の教授をするなど一定の要件に該当する課程を履修させるものです。3つ目は、認定職業訓練を行う職業訓練法人で、一定の要件に該当する課程を履修させるものです。
No.1175は、専修学校の高等課程および専門課程について、職業に必要な技術の教授をすること、修業期間が一年以上であること、1年の授業時間数が800時間以上であることなどを一定の課程の要件として挙げています。どの学校に当てはまるか分からないときは、通学している学校の窓口で確認するよう案内しています。
中小企業への実務影響:年末調整と学生アルバイトの給与
学生アルバイトの年末調整に直結する改正
勤労学生控除は、給与所得者の場合、扶養控除等(異動)申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出することで、年末調整で適用されます。学生アルバイトを雇っている事業者は、令和8年分の年末調整で、改正後の89万円以下という要件に基づいて判定することになります。
令和8年度税制改正Q&Aは、令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じないとしています。改正後の基礎控除額と年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表を使って1年間の税額を計算し、精算するのは、令和8年12月に行う年末調整の際です。
同じQ&AのQ3-1は、令和8・9年分の給与の収入金額が74万1,000円以上219万1,000円未満である場合の給与所得の金額を、その収入金額-74万円としています。また、Q1-2は、例年11月から年末調整関係書類を提出している事業者について、令和8年12月1日以後適用される改正を反映した年末調整関係書類を、同日前から提出することとしても差し支えないとしています。12月の繁忙期に間に合わせるため、11月中に学生アルバイトから申告書を回収しておくと実務が円滑に進みます。
家族の控除と本人の控除は別に判定する
学生の給与が増えると、親が受ける控除と学生本人が受ける控除を分けて考える必要があります。令和8年分の年末調整のしかたは、扶養親族等の所得要件を次のように整理しています。
| 区分 | 所得要件(改正後) | 給与だけの場合の収入金額 |
|---|---|---|
| 扶養親族 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族 | 62万円超123万円以下 | 136万円超197万円以下 |
| 勤労学生 | 89万円以下 | 163万円以下 |
扶養親族と特定親族は、親などの納税者が控除を受けるかどうかを決める要件です。国税庁のタックスアンサーNo.1177によると、特定親族は、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で、控除対象扶養親族に該当しない人などをいいます。一方、勤労学生の要件は学生本人の所得税に関するものです。たとえば給与だけの学生の場合、親の扶養控除の判定と、本人の勤労学生控除の判定は、それぞれの基準で行うことになります。
扶養控除等申告書と異動の申告
年末調整のしかたは、異動申告が忘れずに行われているかを確認すべき事情として、本年の中途で、本人が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当することとなったことを挙げています。年の途中で入学した、年の途中から働き始めたといった学生については、申告書の記載内容を年末調整の前に確認しておく必要があります。反対に、年の途中で卒業や退学をした人についても、申告書の勤労学生欄の記載が残っていないかを確認します。
また、令和8年度税制改正Q&AのQ2-1は、改正により新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を扶養控除等申告書に記載する際には、異動月日及び事由欄に令和8年12月1日改正などと記載するよう案内しています。令和8年11月30日以前に支払う給与については、源泉徴収税額表を使用する際の扶養親族等の数に、この改正により新たに対象となる扶養親族等を含めないよう注意が必要です。
年の途中で退職した学生への対応
Q&AのQ1-3は、令和8年分の最後の給与を令和8年11月30日以前に支払った場合の年末調整においては、改正後の控除等は適用されないとしています。その給与の支払を受けた人が改正後の控除等の適用を受けるためには、確定申告等をする必要があります。夏休みだけ働いて退職した学生などは、勤務先の年末調整の対象とならない場合があるため、源泉徴収票の交付とあわせて確定申告の必要性を伝えると親切です。退職時に本人の住所や連絡先を確認しておくと、源泉徴収票を確実に届けられます。
当事務所の見解:勤労学生控除で見落としやすい4つの点
1. 判定の基準日は12月31日の現況
勤労学生に該当するかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。11月の時点で年間の給与を見込み、合計所得金額が89万円以下に収まるかを確認しておかないと、12月の給与や賞与で要件を超える場合があります。学生アルバイトのシフトが年末に増える業種では、年間の給与見込みを早めに本人と共有しておくことが大切です。
2. 勤労以外の所得10万円以下の要件
年末調整のしかたは、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得金額が10万円以下であることを要件とし、給与所得等とは自分の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得をいうとしています。勤労に基づかない所得がある学生は、給与が163万円以下でも要件を満たさない場合があります。年末調整では本人の申告に基づいて判定するため、申告書を受け取る際に、給与以外の所得の有無を本人に確認しておくと安心です。事業者が本人の所得をすべて把握することはできないため、申告内容に疑問があれば本人に確かめましょう。
3. 専修学校等の生徒は証明書が判定の決め手
年末調整のしかたは、専修学校等の生徒若しくは学生又は職業訓練法人の訓練生が勤労学生に該当するかどうかは、証明書の有無により判定するとしています。必要な証明書は、在学する学校等が一定の要件に該当する課程を設置する専修学校等であることを証明する文部科学大臣又は厚生労働大臣の証明書の写しと、その課程を履修する生徒であることを証明する専修学校等の長の証明書です。大学や高等学校の学生には、この証明書の添付は求められていません。
4. 年末調整を受けない学生は自分で確定申告をする
No.1175は、確定申告を行う場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出するよう案内しています。年の途中で退職した学生や、年末調整を受けなかった学生は、勤務先で控除の適用を受けていないことがあります。その場合でも、要件を満たしていれば本人の確定申告で控除を受けられます。専修学校等の生徒は、確定申告の際にも証明書の添付または提示が必要です。勤務先としては、源泉徴収票を交付する際に、この点を一言添えておくとよいでしょう。
当事務所では、学生アルバイトの採用時に申告書の勤労学生欄の記載を確認する手順を、給与計算の流れに組み込むことをおすすめしています。年末調整を含めた給与実務の見直しは、堺市の税務顧問としてご相談をお受けしています。
今すぐやるべきこと:年末調整までの確認手順
年末調整は、本人からの申告に基づいて行われます。勤労学生控除の要件は本人にしか分からない事情を含むため、事業者側で一方的に判定することはできません。11月中に次の手順で確認を進めておくと、12月の精算で慌てずに済みます。
- ステップ1:学生アルバイトの一覧を作る
在籍している学生アルバイトを一覧にし、学校の種類(大学・高等学校・専修学校等)と、扶養控除等(異動)申告書の勤労学生欄の記載状況を確認します。年の途中で採用した人や、年の途中で入学した人も漏れなく含めます。 - ステップ2:年間の給与見込みを計算する
1月から12月までの給与の支払実績と12月までの見込額を合計し、給与だけの場合の目安である163万円以下に収まるかを確認します。年末にシフトが増える学生は、本人にも見込額を伝えておきます。12月の賞与や手当も忘れずに含めます。 - ステップ3:給与以外の所得を本人に確認する
合計所得金額のうち給与所得等以外の所得金額が10万円以下であるかを、本人の申告で確認します。判断がつかない場合は、本人の確定申告で控除を受ける方法もあることを伝えます。 - ステップ4:専修学校等の証明書を受け取る
専修学校等の生徒や職業訓練法人の訓練生については、学校から交付を受けた証明書を申告書に添付して提出するか、提示を受けます。証明書がないと、勤労学生に該当するかどうかを判定できません。 - ステップ5:退職者への案内と年末調整を行う
令和8年11月30日以前に最後の給与を支払った学生には、源泉徴収票を交付し、改正後の控除等は確定申告等で受けることを案内します。在籍者については、12月の年末調整で改正後の基準により精算し、精算後の源泉徴収票を交付します。
学生本人が確定申告を行う場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出します。専修学校等の生徒は、証明書の添付または提示が必要です。ただし、給与所得者で年末調整の際に控除の適用を受けた人は、その必要はありません。
よくある質問
- Q. アルバイトの給与が年間150万円を超えても勤労学生控除は受けられますか?
- A. 令和8年分は受けられる可能性があります。国税庁の令和8年分の年末調整のしかたによると、給与所得だけの場合は、本年中の給与の収入金額が163万円以下であれば合計所得金額が89万円以下になります。改正前の目安は150万円以下でした。ただし、給与以外の所得が10万円以下であることや、特定の学校の学生であることも要件です。給与の額だけで判断せず、他の要件もあわせて確認しましょう。
- Q. 親の扶養に入っていても勤労学生控除は受けられますか?
- A. 受けられます。勤労学生控除は学生本人の所得税の計算で受ける控除であり、親が扶養控除や特定親族特別控除を受けるかどうかとは別に判定します。令和8年分の扶養親族の所得要件は62万円以下、特定親族は62万円超123万円以下、勤労学生は89万円以下と、それぞれ基準が異なります。親の勤務先と学生の勤務先で、別々に申告書を確認することになります。
- Q. 専門学校の学生も勤労学生控除の対象になりますか?
- A. 一定の要件に該当する課程を履修させる専修学校等の生徒であれば対象になります。この場合、学校が一定の課程を設置する専修学校等であることを証明する文部科学大臣又は厚生労働大臣の証明書の写しと、その課程を履修する生徒であることを証明する学校の長の証明書を、申告書に添付するか提示する必要があります。証明書は学校で交付を受けられるか、早めに学校の窓口に問い合わせておきましょう。
- Q. 社会人として働きながら大学に通っている場合も対象ですか?
- A. No.1175が示す3つの要件に年齢は含まれていません。学校教育法に規定する大学や高等学校などの学生、生徒であれば、特定の学校の要件に当てはまります。そのうえで、勤労による所得があること、合計所得金額が89万円以下であることなどの要件を満たすかを判定します。在籍している学校が要件に当てはまるか分からないときは、国税庁は通学している学校の窓口で確認するよう案内しています。
- Q. 年の途中で学生でなくなった場合はどうなりますか?
- A. 勤労学生に当たるかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。そのため、年の途中で卒業や退学をして12月31日に学生でない人は、その年分の勤労学生控除を受けることはできません。卒業予定の学生は、12月31日の時点で在学しているかを確認しておきます。反対に、年の途中で入学した人は、12月31日の現況で要件を満たしていれば対象となるため、異動の申告を確認しておきましょう。
- Q. 11月に退職したアルバイトの学生は改正後の要件で判定されますか?
- A. 国税庁の令和8年度税制改正Q&Aによると、令和8年分の最後の給与を令和8年11月30日以前に支払った場合の年末調整においては、改正後の控除等は適用されません。その人が改正後の控除等の適用を受けるためには、確定申告等をする必要があります。源泉徴収票の交付とあわせて、確定申告について案内しておくとよいでしょう。確定申告では、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載します。
参考資料・出典
- 国税庁 No.1175 勤労学生控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた Ⅰ 昨年と比べて変わった点(PDF)
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた 2 各種控除額の確認(PDF)
- 国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)(PDF)
- 国税庁 No.1177 特定親族特別控除
- 国税庁 No.1180 扶養控除
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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