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消耗品費の損金算入2026|決算前のまとめ買いと貯蔵品の判定基準

消耗品費の損金算入2026の記事タイトル。決算前のまとめ買いと貯蔵品の判定基準を解説するアイキャッチ画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:法人税基本通達2-2-15により、消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得費用は、原則として消費した日の属する事業年度の損金になります。個人事業者には所得税基本通達37-30の3が同じ内容を定めています。
  • 2ポイント2:事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品などで、各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものは、継続して取得時に損金算入していれば認められます。
  • 3ポイント3:決算前に通常を大きく超える量を購入すると、この取扱いの前提から外れるおそれがあります。期末の未使用分の把握、10万円未満かどうかの判定単位、経理方法の継続性を確認しておきましょう。

決算が近づくと、事務用品や包装材料などの消耗品をまとめて購入し、当期の経費にしたいという相談が増えます。消耗品費は金額が小さく日常的な支出であるため見過ごされがちですが、法人税の取扱いでは、購入した時ではなく消費した時に損金になるのが原則です。

本記事では、国税庁が公表している法人税基本通達2-2-15と所得税基本通達37-30の3をもとに、消耗品費を取得時に損金算入できる条件、決算前のまとめ買いの注意点、減価償却資産との区別、消費税の仕入税額控除の時期を整理します。

消耗品費の損金算入の概要:原則と通達の取扱い

原則は消費した日の属する事業年度の損金

法人税基本通達2-2-15(消耗品費等)は、消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入すると定めています。つまり、消耗品は購入した時点ではまだ棚卸資産であり、使った時点で費用になるというのが基本の考え方です。期末に使わずに残っている消耗品があれば、原則として、その分は当期の損金にはなりません。会計上は、このような未使用の消耗品を貯蔵品などの科目で資産に計上して翌期に繰り越すのが一般的です。

取得時に損金算入できる特例的な取扱い

同じ通達は、続けて例外を定めています。法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認めるとしています。

項目内容
対象となるもの事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産
数量・消費の条件各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するもの
経理の条件取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入していること
原則(上記に当たらない場合)消費した日の属する事業年度の損金

この取扱いには注記があり、この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意するとされています。製造業で使う作業用消耗品などは、損金ではなく製造原価として、製品の原価計算に含める必要があります。

個人事業者は所得税基本通達37-30の3

個人事業者については、所得税基本通達37-30の3(消耗品費等)が同じ趣旨を定めています。消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する年分の必要経費に算入するのが原則です。そのうえで、各年ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものの取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する年分の必要経費に算入している場合には、これを認めるとしています。法人の事業年度が個人では年分に置き換わっていると理解するとよいでしょう。

短期前払費用の通達との関係

法人税基本通達2-2-15の直前には、2-2-14(短期前払費用)が置かれています。こちらは一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用を対象とする取扱いであり、物品である消耗品とは対象が異なります。2-2-14は、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合に、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認めるとしています。決算前の支出を検討する際は、支出の内容に応じてどの通達の取扱いに当たるのかを分けて確認します。

中小企業への実務影響:決算前の購入と期末の在庫

決算前のまとめ買いが抱える論点

決算前に消耗品を購入して当期の損金にしたいという場合、問題になるのは通達の括弧書きです。取得時の損金算入が認められるのは、各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限られます。通常の年間購入量を大きく超える量を決算直前に購入した場合、その購入分がこの限定に当てはまるかどうかが問われることになります。当てはまらない場合は原則に戻り、期末に未使用で残っている分は、消費した日の属する翌事業年度以降の損金になります。

また、取得時に損金算入する経理は継続していることが条件です。前期までは期末の未使用分を貯蔵品として資産に計上していた会社が、当期だけ取得時に全額を損金にする、あるいはその逆を行うと、継続の条件との関係で説明が難しくなります。利益の出た期だけ処理を変えるような運用は避けるべきです。

消耗品か減価償却資産かの区別

消耗品費として処理してよいのは、棚卸資産としての消耗品です。パソコンや机、棚のような器具及び備品は減価償却資産であり、取得価額に応じて別の規定が適用されます。国税庁のタックスアンサーNo.5403は、少額の減価償却資産として、使用可能期間が1年未満のものと、取得価額が10万円未満のものを挙げ、事業の用に供した事業年度においてその取得価額に相当する金額を損金経理した場合には損金の額に算入されるとしています。

区分主な根拠損金になる時期
消耗品その他これに準ずる棚卸資産法人税基本通達2-2-15原則は消費した日の属する事業年度。一定の条件を満たし継続適用していれば取得をした日の属する事業年度
少額の減価償却資産(取得価額10万円未満など)法令133、法基通7-1-11、7-1-12事業の用に供した事業年度に損金経理した場合
一括償却資産(取得価額20万円未満)No.5403(注1)取得価額の合計額を3年間で償却

10万円未満かどうかは、法人税基本通達7-1-11により、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定するとされており、No.5403は、応接セットはテーブルと椅子が1組で取引されるため1組で判定する例を示しています。消耗品費として処理する前に、それが消耗品なのか器具備品なのかを確認しておく必要があります。

もう一つの類型である使用可能期間が1年未満のものについて、No.5403は、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいうと説明しています。法人税基本通達7-1-12の注記は、平均的な使用状況、補充状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準として判定するとしています。

なお、No.5403の(注2)は、少額の減価償却資産について、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできないと注意を促しています。取得した事業年度の処理が後から変えにくい点は、消耗品の経理方法を決める際にも意識しておきたいところです。

消費税の仕入税額控除は購入時

消費税の取扱いは法人税とは異なります。消費税法基本通達11-3-1は、課税仕入れを行った日とは、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいうとしています。消耗品を購入して引渡しを受けた課税期間に仕入税額控除の対象となり、法人税で翌期の損金となる未使用分であっても、消費税の課税仕入れの時期が使用時まで繰り延べられるわけではありません。

当事務所の見解:消耗品費で否認されないための4つの視点

1. 例年の購入量を記録で示せるようにする

おおむね一定数量かどうかは、各事業年度の購入実績と比べて判断することになります。当事務所では、コピー用紙、梱包材、チラシ、サンプル品といった主要な消耗品について、過去数期の購入量や購入額を一覧にしておくことをおすすめしています。決算前の購入が例年の範囲内であることを、帳簿や請求書から説明できる状態にしておくことが大切です。購入単価が上がって金額が増えただけなのか、数量そのものが増えたのかを区別して記録しておくと、通達がいう数量の観点から説明しやすくなります。

また、決算期の前後で購入時期が偏っていないかも確認します。毎月少しずつ購入していた品目を、決算月にだけまとめて購入している場合は、その理由を記録しておくと説明に役立ちます。

2. 広告宣伝用印刷物と見本品は期末残に注意

通達は広告宣伝用印刷物と見本品を例示に含めていますが、これも経常的に消費するものに限られます。新商品の発売やイベントに合わせて大量に作ったパンフレットやサンプルが期末に多く残っている場合は、例年の取得と同じように扱えるかを個別に確認します。取扱いが判断しにくいときは、期末の未使用分を数量で把握しておくことが、後の説明の基礎になります。翌期に配布する予定の印刷物は、配布計画とあわせて残数を記録しておきましょう。見本品についても、取引先に提供した数と手元に残った数を区別して管理しておくと、期末の判定が明確になります。

3. 経理方法を毎期そろえる

取得時の損金算入は、継続して行っていることが条件です。経理担当者が交代した、会計ソフトを変えたといった場面で、期末の貯蔵品の計上方法が変わってしまうことがあります。会社としての経理方針を決め、毎期同じ方法で処理しましょう。方針は決算の手順書や引継ぎ資料に書き残しておくと、担当者が替わっても同じ処理を続けられます。取得時に損金算入する品目と、期末に貯蔵品として計上する品目を分けて管理している会社では、その区分も方針に含めておきます。

4. 製造原価に含めるべき消耗品を区別する

製造業や建設業では、作業用消耗品が製品や工事の原価を構成することがあります。通達の注記のとおり、製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合は製造原価に算入します。販売費及び一般管理費の消耗品と、製造部門の消耗品を勘定科目や補助科目で分けておくと、決算での判定が容易になります。製造原価に算入した消耗品費は、期末に仕掛品や製品が残っていれば、その原価の一部として翌期に繰り越されることになります。日々の記帳から科目の区分を整えたい場合は、記帳・経理代行もご利用いただけます。

今すぐやるべきこと:決算前の消耗品の点検手順

消耗品費は一件ごとの金額が小さくても、件数が多いため、期末にまとめて見直すと時間がかかります。決算月の前月から、次の手順で消耗品の処理を点検しておくと、決算の締めがスムーズになります。

  1. ステップ1:当期の消耗品の購入実績を集計する
    総勘定元帳の消耗品費や事務用品費、荷造運賃などから、当期に購入した消耗品を品目ごとに集計します。前期以前の同じ時期の実績と並べ、購入量に大きな変化がないかを確認します。単価の変動と数量の変動は分けて把握します。品目の数が多い場合は、金額の大きい上位の品目から確認します。
  2. ステップ2:決算前に予定している購入を点検する
    決算までに購入を予定している消耗品について、例年の購入量の範囲内かどうかを確認します。例年を大きく超える量を予定している場合は、期末に未使用で残る分の扱いを事前に検討します。購入の目的と使用予定時期もメモに残します。
  3. ステップ3:期末の未使用分を数量で把握する
    期末日に、主要な消耗品やパンフレット、見本品の残数を数え、記録に残します。取得時の損金算入をしていない会社は、この残数をもとに貯蔵品を計上します。棚卸表は商品の棚卸とあわせて保存します。
  4. ステップ4:器具備品が混ざっていないか確認する
    消耗品費に計上した支出の中に、器具及び備品などの減価償却資産が含まれていないかを確認します。取得価額が10万円未満かどうかは、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
  5. ステップ5:経理方針を文書にして継続する
    取得時に損金算入するか、消費時に損金算入するかの経理方針を社内で文書にし、翌期以降も同じ方法で処理します。製造原価に含める消耗品の範囲もあわせて決めておきます。方針は顧問税理士とも共有しておきます。
消費税の仕入税額控除は、消耗品の引渡しを受けた課税期間に行います。法人税で期末の未使用分を貯蔵品に計上した場合でも、消費税の課税仕入れの時期は購入時のままである点に注意しましょう。

決算前の支出の判断を含めた法人税の相談は、堺市の税務顧問としてお受けしています。

よくある質問

Q. 決算月に1年分のコピー用紙をまとめて買った場合、全額を当期の経費にできますか?
A. 法人税基本通達2-2-15が取得時の損金算入を認めているのは、各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限られます。例年の購入量を大きく超える量を決算月に購入した場合は、この限定に当てはまるかが問題となり、当てはまらなければ期末の未使用分は消費した事業年度の損金になります。購入前に例年の購入量と比べておくことが大切です。
Q. 期末に残っている消耗品は、必ず貯蔵品に計上しなければなりませんか?
A. 原則として、消耗品の取得費用は消費した日の属する事業年度の損金になるため、期末の未使用分は資産として残ります。ただし、事務用消耗品などで各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し経常的に消費するものについて、継続して取得時に損金算入している場合は、その経理が認められます。どちらの方法をとるかは、毎期そろえることが前提です。
Q. チラシやパンフレットも消耗品費として扱えますか?
A. 法人税基本通達2-2-15は、広告宣伝用印刷物を例示に含めています。経常的に消費するもので、継続して取得時に損金算入していれば、その経理が認められます。一方、特定のイベント向けに大量に作成して期末に多く残っている場合は、経常的に消費するものといえるかを個別に確認することをおすすめします。期末の残数を記録しておくと判断の材料になります。
Q. 10万円以上する工具を消耗品費で処理してもよいですか?
A. 工具は減価償却資産であり、棚卸資産である消耗品とは区別します。国税庁のタックスアンサーNo.5403によると、取得価額が10万円未満のものなどが少額の減価償却資産として損金算入の対象となり、取得価額は通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。10万円以上の場合は一括償却資産などの規定を検討します。使用可能期間が1年未満のものも少額の減価償却資産に含まれます。
Q. 個人事業者でも同じ取扱いがありますか?
A. あります。個人事業者の場合は損金ではなく必要経費の問題になります。所得税基本通達37-30の3は、消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得費用を、原則として消費した日の属する年分の必要経費とし、各年ごとにおおむね一定数量を取得し経常的に消費するものについて、継続して取得をした日の属する年分の必要経費に算入している場合はこれを認めるとしています。法人の事業年度が年分に置き換わった形です。
Q. 期末に残った消耗品の消費税は、使った年に仕入税額控除するのですか?
A. いいえ。消費税法基本通達11-3-1によると、課税仕入れを行った日とは資産の譲受けをした日などをいいます。消耗品は購入して引渡しを受けた課税期間の課税仕入れとなるため、法人税で貯蔵品として翌期に繰り越した分も、消費税は購入した課税期間に仕入税額控除の対象とします。使った課税期間に改めて控除するわけではありません。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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