堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
国税庁と入管庁の情報連携2026|7月開始・重加算税と在留資格の審査
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:出入国在留管理庁と国税庁は令和8年6月30日付で情報連携に関する確認書を交わし、令和8年7月1日から適用を開始しました。令和2年6月18日付の旧確認書は廃止されています。
- 2ポイント2:影響を受けるのは、外国人の役員または従業員がいる会社です。重加算税の賦課決定処分を受けた機関を運営する者は、在留資格の審査で特に消極的な要素として評価されます。
- 3ポイント3:まず自社に在留資格をもって在留する役員・従業員がいるかを洗い出し、国税と地方税の申告・納付状況、労働保険と社会保険の加入手続を税目・制度ごとに点検してください。
CONTENTS目次
国税庁は、出入国在留管理庁との間で交わした情報連携に関する確認書と、2通の補足書簡を公開しました。内容は、税務署が把握した悪質な納税義務違反の情報を入管に渡し、入管が在留資格の審査に使うというものです。対象になるのは外国人の経営者だけではありません。外国人を雇用している中小企業にとっても、自社の申告・納付や社会保険の状況が、従業員の在留期間の更新に影響し得る話になりました。本記事では、公開された3本の文書に書かれている内容を正確に押さえたうえで、雇用する側が何を点検すべきかを整理します。
制度・改正の概要
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今回公開されたのは、令和8年6月30日付の「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」(入管庁管第2537号・課総3―1)と、同日付の補足書簡1(入管庁管第2538号・課総3―2)および補足書簡2(入管庁管第2539号・課総3―3)の3本です。確認書は出入国在留管理庁次長と国税庁次長の連名で発出されています。
適用の開始日と旧確認書の廃止
確認書は「本確認書の適用の開始日は、令和8年7月1日とする。」と定めています。あわせて「なお、本確認書の発出をもって、「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」(令和2年6月18日付入管庁管第2249号・課総5-1)は廃止する。」と記載されており、令和2年から運用されてきた枠組みが置き換わった形です。
根拠となる法令
確認書の「1 基本方針」は、本情報連携の目的を、外国人の在留の公正な管理並びに内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現を図ることとしたうえで、根拠として出入国管理及び難民認定法第六十一条の七、国税通則法第七十四条の十二及び国税徴収法第百四十六条の二の規定を挙げています。両庁がそれぞれの事務の遂行に関し相手方に協力を求め、協力を求められた方が、可能な限りこれに応じることにより行うという建て付けです。
どちらが何を渡すのか
確認書の「2 国税庁が行う措置」では、国税庁は、出入国管理及び難民認定法別表第一又は別表第二に掲げる在留資格をもって在留する外国人のうち、納税の義務に関する悪質な違反があったものについて、出入国在留管理庁に対し、当該外国人に関する情報を提供するものとするとされています。「3 出入国在留管理庁が行う措置」では、出入国在留管理庁は、提供を受けた情報を活用し、在留外国人が在留資格に係る諸申請に及んだ際に慎重な審査を行うとされています。
やり取りの進め方
補足書簡1は、実際の情報のやり取りの手順も定めています。国税庁は、出入国在留管理庁からの求めに応じるに当たり、対象に該当するものの有無を定期的に確認し、情報提供を行うこととするとされています。反対に、出入国在留管理庁は、国税庁からの求めに応じるに当たり、申請人等へ処分結果を通知する前に国税庁に通知するとともに、一定の在留資格や在留期間に該当する在留外国人に関する情報について、定期的に確認し、情報提供を行うこととするとされています。
確認書の「5 その他」では、本確認書に定めのない事項又は疑義の生じた事項については、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課長と国税庁課税部課税総括課長が、協議の上、決定するものとするとされています。
確認書の「4 機密保持」では、両庁は関係法令等に従い、相手方から受領した情報を本来の目的以外で利用することや、他者に提供することは行わないものとするほか、情報の機密性を保持するものとするとされています。情報が無制限に流通するわけではありません。
中小企業への実務影響
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補足書簡1が示した「悪質な違反」の中身
確認書だけでは「納税の義務に関する悪質な違反」が何を指すのか分かりません。これを具体化したのが補足書簡1です。同書簡は、出入国在留管理庁が国税庁に求める情報を、当分の間、次の2つに掲げるものとしています。
- ☑ 消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のもの
- ☑ 所得税・法人税等の重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のもの
いずれも重加算税の賦課決定処分が基準になっています。さらに補足書簡1は、出入国在留管理庁が「「経営・管理」の在留資格基準の明確化」において、消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を受けた機関及び所得税・法人税等に関して重加算税の賦課決定処分を受けた機関を運営する者について、特に消極的な要素として評価される旨を明示するとしています。
重加算税の水準
重加算税は、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を仮装・隠蔽したところに基づいて申告していた場合に、他の加算税に代えて課されるものです。国税庁の資料に示された割合は次のとおりです。
| 加算税の区分 | 5年以内に同じ税目で課されたことが「無」 | 同じく「有」 |
|---|---|---|
| 重加算税(過少申告加算税に代えて課されるもの又は不納付加算税に代えて徴収されるもの) | 35% | 45% |
| 重加算税(無申告加算税に代えて課されるもの) | 40% | 50% |
| 無申告加算税 | 15%〔20%〕 | 25%〔30%〕 |
国税庁は表の注記で「〔〕書きは、加重される部分(50万円を超える部分)に対する加算税割合を表します。」としています。加重措置は、平成29年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について、期限後申告等があった場合に適用されます。
入管から国税庁へ渡される情報の範囲
情報は一方通行ではありません。補足書簡2は、出入国在留管理庁が国税庁に提供する「一定の在留資格や在留期間に該当する在留外国人」を、当分の間、次に掲げるものとしています。第一に、「経営・管理」又は「高度専門職1号ハ」の在留資格をもって在留する外国人です。第二に、出入国管理及び難民認定法別表第一に掲げる在留資格(「外交」、「公用」、「高度専門職」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」及び「家族滞在」を除く。)をもって在留する外国人です。なお、両方とも具体的な絞り込みの条件は、情報公開法第5条第6号柱書及び同号イに該当するため不開示とされています。
第二の類型から除かれているのは8つの在留資格だけです。技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習、育成就労などで働く従業員は、除外リストに入っていません。外国人を雇用している会社は、経営者が日本人であっても、この枠組みの外にいるわけではないという前提で実務を組み立てる必要があります。
審査で見られるのは税金だけではない
出入国在留管理庁の「「経営・管理」の在留資格の明確化等について」は、令和4年10月策定、令和5年4月・令和6年3月・令和7年10月・令和8年6月の各改訂を経ています。同庁のウェブサイトは今回の改訂について「(注)令和8年6月の改訂では、「4 事業者としての義務の履行について」における「(1)租税関係法令を遵守していること」の記載を更新。」と説明しています。同資料の「4 事業者としての義務の履行について」は、(1)租税関係法令と(2)労働関係法令・社会保険関係法令の2本立てになっています。
外国人経営者の側から見ると、在留資格「経営・管理」には事業所の確保と事業規模等の要件があります。出入国在留管理庁の資料は、上陸基準省令の「経営・管理」の項の第2号ロに「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること」とする基準が定められていると説明しています。設立時の資本金の設計から在留資格に直結するため、会社設立の段階で税務と入管の両面を見ておく必要があります。
当事務所の見解・実務上の注意点
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今回の文書を読んで実務上重要だと考える点は3つあります。
1. 「未納」と「重加算税」は書き分けられている
出入国在留管理庁の資料は、納税義務の不履行により刑を受けている場合や、刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されるとしています。そのうえで重加算税の賦課決定処分があった機関を運営する者については、事業の運営を適正に行うとは認められないものとして、特に消極的な要素として評価されるとしています。同じ「消極的な要素」でも、重加算税には「特に」が付いています。資金繰りが苦しくて納付が遅れている状態と、仮装・隠蔽を認定された状態とは、評価の重さが違うということです。
2. 重加算税の認定を受け入れる判断の重みが変わった
税務調査の現場では、追徴税額の多寡だけを見て重加算税の認定を受け入れるかどうかを判断してしまうことがあります。今回の情報連携により、外国人が役員を務める会社では、その判断が在留資格の審査にまで及ぶ可能性が生じました。仮装・隠蔽の事実があったといえるのかは、事実関係に即して個別に検討すべき論点です。
あわせて注意したいのが、加重措置の存在です。期限後申告等があった日前5年以内に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課された(徴収された)ことがあるときは割合が加重されます。過去の処分歴は自社で把握しておかないと、調査の場で初めて確認することになります。
3. 労務の整備が税務と同じ土俵に乗った
(2)労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していることの項目は、税理士の関与範囲の外に見えますが、実際には給与計算と社会保険の資格取得手続は一体で動きます。パートやアルバイトの社会保険の資格取得手続が漏れていた、労働保険の年度更新を失念していたといった事例は、規模の小さい会社ほど起こりやすいものです。税務顧問の立場からも、外国人を雇用している関与先については、労働保険と社会保険の加入状況を決算のタイミングで確認することをおすすめしています。
もう一点、事業の継続性の審査にも触れておきます。出入国在留管理庁の資料は、新興企業について、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しについて評価を行った書面などの提出を求めたうえで、合理的な理由があると判断される場合には事業の継続性について柔軟に判断することとしています。赤字が続いている会社ほど、決算書の数字だけでなく、その背景を説明できる資料を整えておく意味が大きいということです。
今すぐやるべきこと
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外国人の役員または従業員がいる会社は、次の5つの順番で点検してください。在留期間の満了日から逆算して進めるのが効率的です。
- ステップ1:自社に外国人の役員・従業員がいるかを洗い出す
まず、役員名簿と従業員名簿を見て、在留資格をもって在留する人がいるかを確認します。対象となる在留資格の範囲は補足書簡2に示されており、「経営・管理」「高度専門職1号ハ」のほか、出入国管理及び難民認定法別表第一に掲げる在留資格から一部を除いたものが挙げられています。該当者がいる場合は、在留カードの写しと在留期間の満了日を一覧にしておいてください。 - ステップ2:国税の申告と納付の状況を税目ごとに確認する
法人税、消費税、源泉所得税、地方税(住民税、事業税等)について、申告期限までに申告しているか、納付が完了しているかを税目ごとに確認します。出入国在留管理庁の資料は、国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税、事業税等)を適切に納付している必要があるとしています。未納がある場合は、放置せず、納付計画や猶予制度の利用を含めて早めに手当てしてください。 - ステップ3:過去に重加算税の賦課決定処分を受けていないかを調べる
過去の税務調査の結果通知や更正通知書を確認し、重加算税の賦課決定処分を受けた事実がないかを調べます。補足書簡1は、情報連携の対象を、消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のものと、所得税・法人税等の重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のものとしています。該当する可能性がある場合は、在留期間の更新許可申請の前に専門家へ相談してください。 - ステップ4:労働保険・社会保険の加入手続と納付状況を点検する
労働保険の適用事業所であれば加入手続と保険料の納付を、健康保険及び厚生年金保険の適用事業所であれば事業所の加入手続と従業員の資格取得手続、保険料の納付を確認します。パートやアルバイトの資格取得手続が漏れている例は少なくありません。外国人の会社設立から関与している場合は、設立当初の届出まで遡って確認しておくと安全です。会社設立の段階からの整備については会社設立のサポートもご利用ください。 - ステップ5:税務・労務の記録を在留期間の更新時期に合わせて整える
在留期間の更新許可申請では、事業の継続性と事業者としての義務の履行が審査されます。決算書、申告書の控え、納税証明書、労働保険と社会保険の納付を示す書類を、在留期間の満了日から逆算して準備できる状態にしておきます。書類がそろわないまま申請期限が迫ると選択肢が狭まります。顧問税理士がいる場合は、更新時期を共有しておくと準備が円滑です。継続的な体制づくりは堺市の税理士による税務顧問でご支援しています。
よくある質問
- Q. この情報連携はいつから始まりましたか?
- A. 令和8年6月30日付で出入国在留管理庁と国税庁が確認書(入管庁管第2537号・課総3-1)を交わし、確認書は適用の開始日を「本確認書の適用の開始日は、令和8年7月1日とする。」と定めています。同時に、令和2年6月18日付入管庁管第2249号・課総5-1の旧確認書は廃止されました。国税庁のウェブサイトでは、確認書と補足書簡1・補足書簡2の3本が「その他法令解釈に関する情報」として公開されており、やり取りする情報の中身が文書上示されています。
- Q. 日本人が経営する会社には関係のない話ですか?
- A. 外国人を雇用している会社には関係があります。補足書簡2によれば、出入国在留管理庁が国税庁へ提供する情報の対象には、「経営・管理」又は「高度専門職1号ハ」の在留資格をもって在留する外国人のほか、出入国管理及び難民認定法別表第一に掲げる在留資格(「外交」、「公用」、「高度専門職」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」及び「家族滞在」を除く。)をもって在留する外国人が含まれます。技術・人文知識・国際業務や特定技能などで働く従業員も対象の範囲に入るため、雇用主として在留資格の更新に関わる立場であれば無関係ではありません。
- Q. 重加算税とは、どのような場合に課されるものですか?
- A. 国税庁の資料では、過少申告加算税に代えて課されるものが35%、無申告加算税に代えて課されるものが40%とされています。さらに、期限後申告等があった日前5年以内に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課された(徴収された)ことがある場合は、それぞれ45%、50%に加重されます。単なる計算間違いや解釈の相違による申告漏れではなく、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を仮装・隠蔽していた場合に課される点が、他の加算税との違いです。
- Q. うっかりの申告漏れでも在留資格審査で不利になりますか?
- A. 出入国在留管理庁の「経営・管理」の在留資格の明確化等についてでは、納税義務の不履行により刑を受けている場合や、刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されるとしています。そのうえで、消費税の不正受還付や所得税・法人税等に関して重加算税賦課決定処分があった機関を運営する者については、事業の運営を適正に行うとは認められないものとして、特に消極的な要素として評価されるとしています。つまり未納と重加算税では評価の重さが書き分けられています。
- Q. 税金以外にも審査で見られる項目はありますか?
- A. あります。同じ資料の「(2)労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していること」では、雇用する従業員(アルバイトを含む。)の労働条件が労働関係法令に適合していることが必要とされ、労働保険の適用事業所である場合は、当該保険の加入手続を適正に行い、保険料を適切に納付していることが求められています。健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合には、加入手続と、雇用する従業員の資格取得手続を行い、保険料を適切に納付していることが求められます。これらに適合していないと認められる場合には消極的な要素として評価されます。
- Q. 税務調査で重加算税を指摘されたら、どう対応すればよいですか?
- A. その場で受け入れる前に、仮装・隠蔽の事実があったといえるのかを個別に確認してください。重加算税は過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されるもので、税率が大きく変わるだけでなく、今回の情報連携によって在留資格の審査にも影響し得る処分になりました。事実関係の整理と、調査官の認定根拠の確認は、税理士が立ち会って進めるのが安全です。また、期限後申告等があった日前5年以内に同じ税目で課されたことがあると加重される仕組みがあるため、過去の処分歴も併せて確認しておく必要があります。
参考資料・出典
- 国税庁「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」(令和8年6月30日付入管庁管第2537号・課総3―1)
- 国税庁「同確認書に係る補足書簡1」(入管庁管第2538号・課総3―2)
- 国税庁「同確認書に係る補足書簡2」(入管庁管第2539号・課総3―3)
- 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」
- 出入国在留管理庁「「経営・管理」の在留資格の明確化等について」(令和8年6月改訂・PDF)
- 国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」(PDF)
本記事の引用は、上記の各資料に記載された表記をそのまま用いています。個別の事案の判断に当たっては、原資料および最新の公表内容をご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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