堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
民間給与実態統計調査2026|平均給与487万円と源泉所得税17.4%増
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:国税庁が令和8年9月に公表した令和7年分民間給与実態統計調査で、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円となり、5年連続の増加で過去最高となりました。
- 2ポイント2:影響を受けるのは給与を支払うすべての事業者です。源泉徴収された所得税額は13兆1,262億円で前年比17.4%増、納税者の割合も73.1%から80.9%へ上がっています。
- 3ポイント3:まずは自社の業種の平均給与を表で確認し、源泉所得税の納付額の推移を12か月分並べたうえで、年末調整に向けて扶養控除等申告書の記載内容を従業員に再確認してもらってください。
CONTENTS目次
国税庁は令和8年9月、令和7年分の民間給与実態統計調査の結果を公表しました。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円で、5年連続の増加となり過去最高を記録しています。数字だけを見ると景気のよい話に見えますが、給与を支払う側の中小企業にとっては、源泉徴収する所得税額が全国で前年比17.4%増えたという事実のほうが実務に直結します。本記事では、公表された数値を業種別まで分解したうえで、自社の給与水準をどう比べるか、年末調整と源泉所得税の納付に向けて何を確認すべきかを整理します。
制度・改正の概要
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民間給与実態統計調査は、統計法に基づく基幹統計「民間給与実態統計」を作成するための調査です。国税庁の資料によれば、この調査は昭和24年分から始まり、今回が第77回目に当たります。目的は、民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討、税務行政運営等の基本資料とすることとされています。
調査の対象と推計の方法
調査の対象は、各年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者です。国税庁は対象の範囲について「所得税の納税の有無を問わない。」としており、税額が発生しない人も含まれます。抽出は、国税庁が作成する源泉徴収義務者名簿を基に行われ、母集団事業所数は3,461,171所、標本事業所数は27,420所です。母集団のうち従事員1~9人の事業所が2,679,078所を占めており、統計の土台そのものが小規模事業所を含む形になっています。
この調査はサンプル調査です。国税庁は報道発表資料の注書きで「この調査は、サンプル調査であり、標本事業所等から得た標本値に標本抽出率等の逆数を乗じて全体の給与額等を推計している。」と説明しています。全数調査ではないため、公表値には一定の幅があることを前提に読む必要があります。
国税庁はこの調査の特色として、従事員1人の事業所から従事員5,000人以上の事業所まで広く調査していること、給与階級別、性別、年齢階層別及び勤続年数別による給与所得者の分布が分かること、企業規模別(事業所の属する企業の組織及び資本金階級別)に給与の実態が分かることの3点を挙げています。なお、昭和29年分の調査から統計法に基づく指定統計(第77号)となり、平成19年の統計法改正により、平成20年分の調査からは基幹統計とされています。
令和7年分の主な結果
給与所得者全体では、令和7年12月31日現在の給与所得者数が6,080万人(対前年比0.0%増、2万人の増加)、令和7年中に民間の事業所が支払った給与の総額が247兆6,479億円(同2.6%増、6兆2,091億円の増加)でした。源泉徴収された所得税額は13兆1,262億円(同17.4%増、1兆9,429億円の増加)で、給与総額に占める税額の割合は5.30%となっています。
1年を通じて勤務した給与所得者に絞ると、人数は5,163万人(対前年比0.5%増、26万人の増加)、その平均給与は487万円(同1.9%増、91千円の増加)です。男女別では男性597万円(同1.7%増、100千円の増加)、女性342万円(同2.6%増、86千円の増加)でした。雇用形態別では正社員(正職員)559万円(同2.6%増、144千円の増加)、正社員(正職員)以外210万円(同1.6%増、32千円の増加)となっています。
平均給与の内訳を見ると、平均給料・手当は412万円(前年比2.2%増)、平均賞与は75万円(前年比0.4%増)です。国税庁は平均賞与の推移について「令和6年:74.6万円 令和7年:74.9万円」と記載しており、2年連続の増加としています。
中小企業への実務影響
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業種別の平均給与と平均賞与
自社の水準を比べるうえで最も使いやすいのが業種別の数値です。国税庁は業種別の平均給与・平均賞与を千円単位で公表しています。以下は報道発表資料に掲載された表をそのまま書き写したものです。
| 業種区分 | 平均給与(千円) | 対前年伸び率(%) | 平均賞与(千円) | 対前年伸び率(%) |
|---|---|---|---|---|
| 建設業 | 5,903 | 4.4 | 868 | 5.3 |
| 製造業 | 5,730 | 1.0 | 1,119 | ▲ 2.5 |
| 卸売業,小売業 | 4,134 | 0.9 | 579 | ▲ 0.9 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 2,758 | ▲ 1.3 | 168 | ▲ 8.2 |
| 金融業,保険業 | 7,256 | 3.3 | 1,731 | 4.0 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 5,125 | 3.4 | 683 | ▲ 3.0 |
| 運輸業,郵便業 | 4,825 | ▲ 1.0 | 598 | ▲ 3.1 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 8,544 | 2.6 | 1,638 | ▲ 5.4 |
| 情報通信業 | 6,819 | 3.4 | 1,243 | 1.4 |
| 学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業 | 5,679 | 3.4 | 998 | 6.3 |
| 医療,福祉 | 4,240 | ▲ 1.2 | 529 | ▲ 4.9 |
| 複合サービス事業 | 5,095 | 4.0 | 1,001 | 4.7 |
| サービス業 | 4,017 | 3.2 | 459 | 3.4 |
| 農林水産・鉱業 | 3,937 | 13.2 | 537 | 1.3 |
| (業種平均) | 4,866 | 1.9 | 749 | 0.4 |
業種平均は4,866千円で対前年伸び率は1.9%です。最も高い電気・ガス・熱供給・水道業の8,544千円と、最も低い宿泊業,飲食サービス業の2,758千円との間には3倍を超える開きがあります。賞与の伸び率を見ると、宿泊業,飲食サービス業が▲ 8.2、電気・ガス・熱供給・水道業が▲ 5.4と減少している一方で、学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業が6.3、建設業が5.3と伸びており、業種によって方向が分かれています。
源泉徴収の実務に直接効く3つの数字
第一に、源泉徴収された所得税額が前年比17.4%増であることです。給与総額の伸びが2.6%であるのに対し、税額の伸びはその何倍にもなっています。第二に、納税者の割合です。給与所得者のうち源泉徴収により所得税を納税している人は令和7年分で4,175万人、その割合は80.9%でした。国税庁は報道発表資料でこれを「80.9%(前年比 7.8 ポイント増)」と記載しています。令和6年分の同じ数値は3,753万人・73.1%です。第三に、その税額は12兆9,141億円(対前年比17.0%増、1兆8,778億円の増加)であることです。
給与の支払額が前年と同じでも、源泉徴収して国に納める金額は同じとは限りません。毎月の納付額が増えているのに気づかないまま資金繰りを組むと、納期の特例を適用している事業者では7月と翌年1月の納付時に一度にまとまった資金が必要になります。納付書の控えを12か月分並べて比較してください。
年末調整に関わる数字
令和7年分で年末調整を行った者は4,744万人(対前年比0.5%増、23万人の増加)でした。このうち配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は1,122万人(同4.5%減、53万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.39人となっています。令和6年分では、年末調整を行った者が4,721万人、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者が1,175万人、平均扶養人員が1.41人でした。
年末調整の対象者はわずかに増えている一方で、配偶者控除や扶養控除を実際に使った人は53万人減っています。自社でも、前年は扶養に入れていた家族が今年は外れる、あるいはその逆という従業員が一定数いると考えたほうが安全です。扶養控除等申告書を配って回収するだけの運用では、変更の申告漏れを拾えません。
給与階級別の分布
給与所得者の給与階級別分布を見ると、男性では年間給与額400万円超500万円以下の者が487万人(構成比16.6%)、女性では200万円超300万円以下の者が417万人(同18.7%)と最も多くなっています。令和6年分では男性が493万人(構成比16.9%)、女性が421万人(同19.0%)でした。求人票に書く想定年収を決めるときは、平均値よりもこの分布の山がどこにあるかを見たほうが、応募者の感覚に近い数字になります。
当事務所の見解・実務上の注意点
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この調査の数値は、報道では「平均年収」として一言で紹介されがちですが、実務で使うには3つの読み分けが要ります。いずれも、読み違えると自社の判断を誤らせるものです。
1. 「平均給与487万円」は誰の平均か
487万円は1年を通じて勤務した給与所得者5,163万人の平均です。一方、12月31日現在の給与所得者数は6,080万人です。両者の差に当たる人たちは、年の途中の就職・退職などで1年を通じては勤務していません。自社の平均年収を出して比較するときに、4月入社の新卒や10月に退職した人を分母に入れてしまうと、自社だけが低く出ます。比較するなら、期首から期末まで在籍した従業員に絞って計算してください。
2. 業種平均と全体平均は別の数字である
業種別表の最終行「(業種平均)」は4,866千円です。一方、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円と公表されています。近い数字ですが同じものではなく、表記の単位も千円と万円で異なります。社内資料に引用するときは、どちらの数値を使ったかを明記しておくと、後から見返したときに混乱しません。
3. サンプル調査の幅を踏まえる
国税庁は各推定総額についての標準誤差率を公表しています。給与の項目では、事業所の従事員数1~9人の層が1.40、10~29人の層が1.56であるのに対し、1,000人~4,999人の層は0.59です。小規模な事業所ほど推定値の幅が大きく出ることになります。従業員数名の会社が自社の平均と公表値との小さな差に一喜一憂しても、統計の側にその差を上回る幅があり得るということです。水準の差を論じるなら、単年ではなく数年の推移で見るほうが実態に近づきます。
賃上げの判断材料としてどう使うか
平均給与は5年連続で増加しています。賃上げをしない選択をした場合、単年では大きな影響が出なくても、数年続けば採用市場での相対的な位置は確実に下がります。一方で、無理な賃上げは資金繰りを直撃します。当事務所では、業種別の数値を出発点に、自社の労働分配率と直近の資金繰り表を並べて、上げられる幅を先に決めてから配分方法を考えることをおすすめしています。月例給で上げるのか賞与で配るのかは、賞与の伸び率が業種によって正負に分かれている今回の結果からも、業種の慣行に左右される部分が大きい論点です。判断の前提となる決算見込みの精度が重要になるため、堺市の税理士による税務顧問をご利用の企業には、期中の段階で試算をお出ししています。
今すぐやるべきこと
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公表された数値を自社の実務に落とし込むために、次の5つの順番で進めてください。年末調整の準備と並行して行える内容です。
- ステップ1:自社の業種の数値を国税庁の表で確認する
業種別の平均給与と平均賞与は千円単位で公表されています。まず自社が属する業種区分の行を見て、平均給与と対前年伸び率を書き写します。次に自社の年間給与総額を1年を通じて勤務した従業員の人数で割り、同じ土俵の数値を作ります。中途入社者や年の途中で退職した人を分母に入れると自社の数値だけが低く出るため、必ず除いてください。 - ステップ2:源泉所得税の納付額の推移を12か月分並べる
源泉徴収された所得税額は全国で前年比17.4%増となりました。自社でも、毎月の納付書の控え(納期の特例の適用を受けている場合は半年分)を12か月分並べ、前年同月と比べて増えている月がないかを確認します。納付額が増えていれば、その分の資金を毎月確保しておく必要があります。納期の特例を使っている事業者は、7月と翌年1月にまとめて納付するため、増加の影響が一度に出ます。 - ステップ3:扶養控除等申告書の記載内容を従業員に再確認してもらう
配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は前年比53万人の減少でした。自社でも扶養親族の状況が変わっている従業員がいる可能性があります。年末調整の書類を配る際に、前年の記載内容の写しを添えて「変更があれば訂正してください」と伝えるだけで、記載漏れと誤りがかなり減ります。子の就職、配偶者の勤務時間の増加、親との同居開始などが典型的な変更事由です。 - ステップ4:賃上げの原資と賃上げ促進税制の適用可否を同時に検討する
平均給与は5年連続で増加しており、賃上げを見送った場合の採用面の不利は年々大きくなります。賃上げを検討する際は、増加させる給与総額と、中小企業向けの賃上げ促進税制による税額控除の見込みを同時に試算し、手元資金への影響を確認します。制度の適用要件と期限は事前に確認が必要です。判断に迷う場合は、顧問税理士に決算見込みと合わせて検討を依頼してください。 - ステップ5:給与規程と賞与支給基準を文書で整える
賞与の伸び率は業種によって大きく分かれています。賞与を業績連動にするのか固定的に支給するのかを決めていない会社は、支給のたびに社内で不満が生じます。支給時期、算定期間、算定方法、在籍要件を給与規程または賞与支給基準に書き込み、従業員に周知してください。給与計算と源泉徴収の事務まで含めて負担が重い場合は、記帳・経理代行のサービスの利用も選択肢になります。
よくある質問
- Q. 民間給与実態統計調査はいつ公表されますか?
- A. 国税庁が毎年9月に前年分の結果を公表しています。令和7年分の結果は、国税庁企画課データ活用推進室が令和8年9月に報道発表資料として公表しました。この調査は昭和24年分から始まり、今回が第77回目に当たります。統計法に基づく基幹統計であり、民間の事業所における年間の給与の実態を明らかにすることに加えて、租税収入の見積り、租税負担の検討、税務行政運営等の基本資料とすることを目的としています。公表時期が毎年おおむね一定であるため、翌年度の人件費計画を9月から10月にかけて組み立てる中小企業にとっては、最新版を待って判断する価値のある統計です。
- Q. 平均給与487万円とは、どの範囲の人の平均ですか?
- A. 1年を通じて勤務した給与所得者5,163万人の平均です。年の途中で就職または退職した人はこの5,163万人には含まれていません。一方、12月31日現在の給与所得者数は6,080万人で、こちらは中途就職者や短期間だけ働いた人も含みます。つまり487万円は「1年フルに働いた人」の平均であり、パート・アルバイトを含む全給与所得者の平均ではありません。自社の平均年収と比べるときは、在籍期間が1年未満の従業員を除いたうえで比較しないと、実態より低く見える点に注意が必要です。
- Q. 自社の給与水準が業種平均より低い場合、何か問題がありますか?
- A. 税務上ただちに問題となるわけではありません。この調査は給与水準の適正さを判定するための基準ではなく、統計法に基づく基幹統計として給与の実態を把握するためのものです。ただし採用や定着の観点では、同業他社の水準を知らないまま募集条件を決めると応募が集まらない原因になります。業種別の数値は千円単位で公表されているため、自社の年間給与総額を従業員数で割った金額と並べて比較できます。差が大きい場合は、賞与の有無や諸手当の設計を含めて見直す材料になります。
- Q. 源泉徴収した所得税額が17.4%も増えたのはなぜですか?
- A. 国税庁の報道発表資料は、源泉徴収された所得税額が13兆1,262億円で前年比1兆9,429億円(17.4%)増となったことと、給与総額が247兆6,479億円で前年比2.6%増となったことを数値として示していますが、増加の理由そのものは記載していません。あわせて公表されている数値として、源泉徴収により所得税を納税している人の割合が令和6年分の73.1%から令和7年分は80.9%へ上昇しています。給与の伸び(2.6%)に比べて税額の伸びが大きい点は、自社の納付額の見通しを立てるうえで押さえておきたいところです。
- Q. 配偶者控除や扶養控除を受けた人が53万人減ったのは、年末調整にどう影響しますか?
- A. 令和7年分で配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は1,122万人(前年比4.5%減、53万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.39人でした。前年の令和6年分は1,175万人・1.41人です。実務上は、扶養親族の人数や所得の見積りが前年と変わる従業員が一定数いることを前提に、扶養控除等申告書の内容を鵜呑みにせず、記載内容の確認を従業員へ依頼する運用が有効です。確認を省くと、年末調整のやり直しや翌年の住民税の誤りにつながります。
- Q. 賞与の伸びが給料・手当より小さいのはなぜですか?
- A. 令和7年分の平均給料・手当は412万円(前年比2.2%増)であるのに対し、平均賞与は75万円(前年比0.4%増)でした。平均賞与は令和6年が74.6万円、令和7年が74.9万円です。業種別に見ると賞与の伸び率はばらつきが大きく、宿泊業,飲食サービス業が▲ 8.2、電気・ガス・熱供給・水道業が▲ 5.4である一方、学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業は6.3、建設業は5.3となっています。月例給を上げる形の賃上げが進んだ業種と、賞与で調整した業種が混在していると読めます。
参考資料・出典
- 国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果について」(令和8年9月・PDF)
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」(概要・調査結果)
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(前年分との比較用)
- 国税庁「民間給与実態統計調査」(調査の目的・対象・抽出方法)
- 国税庁「報道発表」(公表時期の確認)
本記事の数値は、上記の国税庁資料に記載された表記をそのまま引用しています。統計の利用に当たっては、原資料の注記および利用上の注意を併せてご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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