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セーフティネット保証4号2026|台風18号・25号で別枠2億円保証

セーフティネット保証4号2026年の記事タイトルを示すアイキャッチ画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:経済産業省は2026年10月1日、令和8年台風第18号と令和8年台風第25号に伴う災害について、被災中小企業・小規模事業者支援措置を実施すると公表しました。
  • 2ポイント2:柱はセーフティネット保証4号です。信用保証協会が一般保証とは別枠で、普通保証2億円以内・無担保保証8,000万円以内を100%保証します。対象は適用地域に事業所を置く中小企業・小規模事業者です。
  • 3ポイント3:利用には市区町村長の認定が必要です。まず直近の売上高等を月次で集計し、信用保証協会の事前相談と並行して認定申請の準備に入ってください。

台風で店舗や工場が浸水した、あるいは直接の被害はないものの交通の寸断や観光客の減少で売上が落ち込んだ——こうした局面で中小企業・小規模事業者が最初に使う制度が、信用保証協会のセーフティネット保証4号です。経済産業省は2026年10月1日、令和8年台風第18号と令和8年台風第25号に伴う災害について、この4号の適用を含む被災中小企業・小規模事業者支援措置を実施すると公表しました。

ただし4号は「被災したら自動的に使える」制度ではありません。適用地域に事業所があること、売上高等が一定割合まで落ち込んでいること、市区町村長の認定を受けることという三つの関門があります。本記事では、公表された二つの発表資料と中小企業庁の制度資料をもとに、4号の内容と手続、あわせて使える貸付制度、そして見落とされがちな災害時の税務上の取扱いまでを整理します。

セーフティネット保証4号の制度概要と今回の発動

制度・改正の概要|セーフティネット保証4号が中小企業の資金調達を別枠で保証することを表す盾のイラスト

2026年10月1日に公表された二つの支援措置

経済産業省は2026年10月1日、二つのニュースリリースを公表しました。一つめは令和8年台風第18号に伴う災害に関するもので、鹿児島県大島郡徳之島町に災害救助法が適用されたことを踏まえ、被災中小企業・小規模事業者支援措置を行うとしています。

二つめは令和8年台風第25号に伴う災害に関する【第2報】です。神奈川県三浦市及び横須賀市に災害救助法が適用されたことを受け、支援措置の対象地域を第1報から追加しました。対象は千葉県の49市町村、東京都の1町及び神奈川県の2市に広がっています。東京都の対象は大島町、神奈川県の対象は三浦市と横須賀市です。

なお台風第25号の発表資料には、令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に関して災害救助法が適用された千葉県の25市町については、既に9月15日に指定を告示済みである旨の注記があります。

二つの発表に共通する5つの措置
いずれの発表も、1.特別相談窓口の設置、2.災害復旧貸付等の実施、3.セーフティネット保証4号の適用、4.既往債務の返済条件緩和等の対応、5.小規模企業共済災害時貸付の適用という同じ5項目で構成されています。この5点セットが中小企業向け災害支援の標準形です。

4号は経営安定関連保証の一類型

セーフティネット保証は、中小企業庁の説明では経営安定関連保証(中小企業信用保険法第2条第5項)として整理され、1号から8号までの号数ごとに対象となる事由が異なります。

号数対象となる事由
1号連鎖倒産防止
2号取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号突発的災害(事故等)
4号突発的災害(自然災害等)
5号業況の悪化している業種(全国的)
6号取引金融機関の破綻
7号金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

自然災害で発動されるのは、このうち4号です。

災害の指定基準と保証の内容

経済産業省の参考資料3「セーフティネット保証4号の概要」は、4号を「自然災害等の突発的事由(噴火、地震、台風等)により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で保証(100%保証)を行う制度」と定義しています。

災害の指定基準は二つです。一つは、災害の発生に起因して多数の中小企業・小規模事業者が直接又は間接的に被害を受け、又は受けるおそれが生じたとして都道府県から指定の要請があった場合であって、国として指定する必要があると認めるとき。もう一つは、災害救助法が適用された災害及び地域であって、中小企業に被害が及んでいる、又は及ぶおそれがある場合です。今回はいずれも後者にあたります。

保証の内容は、対象資金が経営安定資金、保証割合は100%保証、保証限度額は無担保8,000万円・普通2億円(別枠)、保証人は原則第三者保証人は不要とされています。保証料率は中小企業庁によれば、おおむね1%以内で、各信用保証協会毎および各保証制度毎に定められています。

告示前でも事前相談は始まっています
二つの発表はいずれも「近日中に官報にて地域の指定を告示する予定ですが、信用保証協会においてセーフティネット保証4号の事前相談を開始します」と記載しています。告示を待たず、今から相談と書類準備に入れるのが運用上の要点です。

中小企業への実務影響と認定の要件

中小企業への実務影響|台風で被災した中小企業・小規模事業者の店舗兼作業場を表すイラスト

売上高等の減少要件は「過去1か月」と「先3か月」の二段構え

最もつまずきやすいのが、対象中小企業者の要件です。参考資料3はこう定めています。災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。売上高等の減少については市区町村長の認定が必要です。

読み落としやすいのは、見るべき期間が二つあることです。実績としての最近1か月と、見込みを含む3か月間です。実績の1か月だけを集計して窓口に行くと、見込みの資料が足りずに出直しになります。

一般保証とは別枠という意味

4号の価値は「別枠」にあります。中小企業庁によれば、保証限度額は一般保証限度額と別枠保証限度額の二階建てです。

区分普通保証無担保保証無担保無保証人保証
一般保証限度額2億円以内8,000万円以内2,000万円以内
別枠保証限度額2億円以内8,000万円以内2,000万円以内

つまり、通常の保証枠をすでに使っていても、別枠として新たな保証枠が立ち上がります。

認定申請はどこに出すのか

手続きの流れは中小企業庁が示しています。法人の場合は登記上の住所地又は事業実体のある事業所の所在地、個人事業主の方は事業実体のある事業所の所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等の窓口に認定申請書を提出し、その事実を証明する書面等があれば添付して認定を受けます。そのうえで、希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書を持参して保証付き融資を申し込む二段構えです。

誤解が多いのですが、申請先は税務署でも信用保証協会でもなく市区町村です。また中小企業庁は、審査の結果、希望にそいかねる場合があるとも明記しています。

電子申請の道もあります。中小企業者認定・融資電子申請システム(SNポータル)により、令和5年4月1日より認定申請をシステム上で行うことが可能となりました。ただし中小企業庁は、認定主体である市区町村が利用を認める場合にのみ利用可能であると注意を促しています。利用にはGビズIDが必要です。

同時に使える二つの貸付制度

4号は「保証」であって「融資」そのものではありません。発表資料はこれとは別に、日本政策金融公庫の災害復旧貸付等を挙げています。

項目国民生活事業中小企業事業
融資限度額3千万円(各融資制度に上乗せされる金額)1億5千万円(別枠)
融資期間
(うち据置期間)
運転資金:10年以内(3年以内)
設備資金:20年以内(3年以内)
運転資金:10年以内(3年以内)
設備資金:20年以内(3年以内)
金利3.20%3.20%

参考資料2はこの金利を、いずれも令和8年10月1日現在、貸付期間5年の場合と注記しています。

もう一つが小規模企業共済災害時貸付です。参考資料4によれば、対象者は50万円以上の借入れの限度額を有する共済契約者であって、災害救助法が適用された災害の被災区域内に事業所を有し、かつ、事業所又は主要な資産について全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準じる損害を受けていること、または原則として1月間の売上高が前年同月に比して減少することが見込まれることのいずれかに該当し、その旨の証明を商工会等から受けていることが要件です。

借入限度額は、原則として納付済掛金の合計額に掛金納付月数に応じて7~9割を乗じて得た額(50万円以上で5万円の倍数となる額)と1,000万円のいずれか少ない額です。借入期間は借入金額500万円以下で36ヵ月、505万円以上で60ヵ月。借入利率は年0.9%(令和8年10月1日時点)で、担保、保証人は不要とされています。

当事務所の見解・災害時に忘れられやすい税務の論点

当事務所の見解|災害損失欠損金の繰戻し還付など被災時の税務判断を表す天秤のイラスト

被災時の情報は融資に集中しがちですが、資金繰りと同じくらい効くのに見落とされているのが税務上の取扱いです。国税庁は災害関連情報のページで、災害により被害を受けた場合の手続を整理しています。

法人は災害損失欠損金の繰戻し還付が使える

法人にとって即効性が高いのは、災害損失欠損金額の繰戻しによる還付です。国税庁のタックスアンサーNo.5763によれば、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度または同日以後6か月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度または中間期間(災害欠損事業年度)開始の日前1年(青色申告である場合には、前2年)以内に開始したいずれかの事業年度(還付所得事業年度)の法人税額のうち、災害損失欠損金額に対応する部分の金額について還付を請求することができます。

この制度は、通常は中小企業者等以外の法人について平成4年4月1日から令和8年3月31日までの間に終了する各事業年度に生じた欠損金額には適用しないこととされていますが、国税庁は災害損失欠損金額をその例外として挙げています。資本金の規模を問わず検討の余地があります。

ここで重要なのが災害損失欠損金額の定義です。国税庁は、災害欠損事業年度の欠損金額のうち、災害により棚卸資産、固定資産または一定の繰延資産について生じた損失の額で、資産の滅失等により生じた損失の額、被害資産の原状回復のための費用等に係る損失の額および被害の拡大または発生の防止のための費用に係る損失の額の合計額に達するまでの金額としています。このうち保険金、損害賠償金等により補てんされるものは除かれる点を、試算の前提に置いてください。

期限の延長と納税の猶予は「後から」でも申請できる

国税庁は、災害により申告・納税等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限が延長されると説明しています。実務でありがたいのは、この手続は期限が経過した後でも行うことができる、と明記されている点です。あわせて、災害により財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し承認を受けることで納税の猶予を受けられます。

消費税の簡易課税には災害特例がある

見落とされやすいのが消費税です。国税庁は、災害により被害を受けた事業者が、災害等の生じた日の属する課税期間等について簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請し承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、又は適用をやめることができると説明しています。

国税庁が挙げる具体例は、事務処理能力が低下したため一般課税から簡易課税へ変更する場合や、緊急な設備投資のため簡易課税から一般課税へ変更する場合です。設備を建て直す局面で簡易課税のままだと、本来受けられたはずの還付を逃します。

当事務所では、融資・保証と税務の両面を一つの資金繰り表に落として判断することをおすすめしています。据置期間が明けて返済が始まる時期と、還付金が入る時期を同じ表に置くと、借入額の過不足が見えます。資金調達・融資のサポートでは、被災時の緊急融資の組み立ても扱っています。

今すぐやるべきこと・認定申請までの6ステップ

今すぐやるべきこと|セーフティネット保証4号の認定申請までの手順を表す階段のイラスト

告示前でも事前相談は始まっています。順番を間違えると二度手間になるため、次の順で動いてください。

  1. ステップ1:事業所の所在地が適用地域かを確認する
    台風第18号は鹿児島県大島郡徳之島町、台風第25号は千葉県の49市町村・東京都大島町・神奈川県三浦市・横須賀市が対象です。法人は登記上の住所地だけでなく、事業実体のある事業所の所在地でも判定できます。
  2. ステップ2:最近1か月の売上高等を締める
    前年同月と比較できる形に月次で集計します。日次の売上データしかない場合は、この段階で月次に組み替えておきます。
  3. ステップ3:その後2か月を含む3か月間の見込みを作る
    要件は実績と見込みの二段構えです。予約状況、受注残、仕入計画など、見込みの根拠になる資料も同時にそろえます。
  4. ステップ4:市区町村の商工担当課へ認定申請する
    提出先は市町村(または特別区)の商工担当課等の窓口です。認定主体である市区町村がSNポータルの利用を認めている場合は電子申請もできます。その場合はGビズIDを先に用意してください。
  5. ステップ5:信用保証協会・金融機関に事前相談する
    認定書が出たら、希望の金融機関または所在地の信用保証協会に持参して保証付き融資を申し込みます。審査の結果、希望にそいかねる場合がある点は中小企業庁も明記しています。
  6. ステップ6:公庫・商工中金のメニューと比較する
    災害復旧貸付、小規模企業共済災害時貸付、既往債務の返済条件緩和のどれを組み合わせるかを決めます。共済の災害時貸付は取扱期間が災害発生の日から6ヵ月以内と区切られているため、先に期限を確認してください。
同時に進めたい税務側の準備

  • ☑ 滅失した資産の帳簿価額と、原状回復費用の見積りを区分して記録する
  • ☑ 保険金・損害賠償金の請求額と入金予定を一覧にする
  • ☑ 申告・納付の期限が迫っているものを洗い出す(期限後の申請も可)
  • ☑ 設備を入れ替える予定があるなら消費税の課税方式を見直す

月次の売上集計が止まっていると、ステップ2と3で足が止まります。記帳・経理代行で月次を常に締めておくことが、災害時の初動を速くする確実な備えです。

セーフティネット保証4号についてよくある質問

Q. 災害救助法が適用されていない市町村の事業者は、セーフティネット保証4号を使えませんか?
A. 4号の災害の指定基準は二つあります。災害救助法が適用された災害及び地域であって中小企業に被害が及んでいる、又は及ぶおそれがある場合に加えて、都道府県から指定の要請があった場合であって国として指定する必要があると認めるときも対象です。今回の二つの発表はいずれも災害救助法の適用を根拠としています。追加指定の可能性もあるため、都道府県や市区町村の公表内容を確認してください。
Q. 売上が20%まで減っていなくても認定を受けられますか?
A. 4号の要件は、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれることです。減少幅がこれに届かない場合、4号での認定は原則として受けられません。経営安定関連保証には1号から8号まで別の類型があり、対象事由が異なります。自社がどの号に当たるかを金融機関や信用保証協会と確認してください。
Q. 一般保証をすでに限度額まで使っていても、別枠で保証を受けられますか?
A. 中小企業庁の制度説明では、保証限度額は一般保証限度額と別枠保証限度額に分かれています。別枠保証限度額は普通保証2億円以内、無担保保証8,000万円以内、無担保無保証人保証2,000万円以内です。一般保証枠の使用状況とは別に4号としての枠が用意されます。ただし枠があることと融資が実行されることは別で、審査の結果、希望にそいかねる場合があると中小企業庁は明記しています。
Q. 保証料や金利はどれくらいかかりますか?
A. 保証料率は、おおむね1%以内で、各信用保証協会毎および各保証制度毎に定められていると中小企業庁は説明しています。日本政策金融公庫の災害復旧貸付の金利は、国民生活事業・中小企業事業ともに3.20%です。これは参考資料2において、いずれも令和8年10月1日現在、貸付期間5年の場合と注記された数値です。小規模企業共済の災害時貸付は借入利率が年0.9%(令和8年10月1日時点)と案内されています。
Q. 自社に直接の被害はなく、取引先が被災して売上が落ちた場合も対象になりますか?
A. 4号の指定基準には、多数の中小企業・小規模事業者が直接又は間接的に被害を受け、又は受けるおそれが生じた場合という記述があります。また対象中小企業者の要件も、資産の損壊ではなく売上高等の減少で判定します。建物や設備が無事でも、売上高等の減少が要件を満たし適用地域に事業所があれば検討の対象です。可否は認定を行う市区町村の判断によります。
Q. 小規模企業共済の災害時貸付は、いつまでに手続きすればよいですか?
A. 参考資料4は、取扱期間を災害発生の日から6ヵ月以内としています。借入窓口は商工組合中央金庫の本・支店で、原則、即日貸付が可能です。ただし借入窓口を商工中金以外に登録している場合は、借入窓口を商工中金に変更する手続きが必要になるため即日貸付はできないと注意書きがあります。必要書類は、市町村が発行する罹災証明書などの被災したことを証明する資料、中小企業基盤整備機構からの通知物、実印、印鑑証明書、本人確認資料、収入印紙です。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。

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