堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
年末調整2026|12月1日施行・基礎控除104万円と精算実務
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。
- 2ポイント2:給与を支払うすべての事業者が対象です。令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はなく、12月に行う年末調整で1年分をまとめて精算します。
- 3ポイント3:所得要件の緩和で新たに扶養に入る親族がいる従業員から、扶養控除等申告書を出し直してもらう必要があります。回収を11月中に始めてください。
CONTENTS目次
国税庁は令和8年9月24日、ホームページに「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」を公開しました。今年の年末調整は、例年の様式差し替えでは済みません。令和8年度税制改正による基礎控除の引上げなどが年の途中の12月1日に施行され、その年分の所得税にさかのぼって適用されるためです。毎月の給与計算は11月まで従来どおりで、12月の年末調整で一気に精算することになります。給与を支払うすべての事業者に関係する改正ですので、何が変わり、いつ何を回収すればよいのかを、国税庁の一次資料に沿って整理します。
制度・改正の概要
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国税庁は「令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ及び扶養親族等の所得要件の改正等が行われました」としたうえで、「これらの改正は、原則として、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます」と説明しています。年末調整の実務にとって決定的なのは、続く一文です。「このため、令和8年12月に行う年末調整など、令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます(令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じません。)」。
基礎控除は所得税法本体が62万円、特例の加算で最大104万円
基礎控除は、所得税法第86条の規定による基礎控除額が62万円(改正前:58万円)に引き上げられ、これに租税特別措置法第41条の16の2の規定による加算額を加算した額が控除額になります。加算は居住者についてのみ適用があります。令和8年・9年分の基礎控除額は、合計所得金額に応じて次のとおりです。
| 合計所得金額 [収入が給与だけの場合の収入金額] | 改正後(令和8・9年分) | 改正前(令和8年分) |
|---|---|---|
| 132万円以下(206万円以下) | 104万円 | 95万円 |
| 132万円超336万円以下(206万円超475万1,999円以下) | 88万円 | |
| 336万円超489万円以下(475万1,999円超665万5,556円以下) | 68万円 | |
| 489万円超655万円以下(665万5,556円超850万円以下) | 67万円 | 63万円 |
| 655万円超2,350万円以下(850万円超2,545万円以下) | 62万円 | 58万円 |
括弧内の給与収入は、改正後の給与所得控除額に基づいた金額で、特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合は表の金額と異なります。合計所得金額2,350万円超の場合の基礎控除額に改正はありません。なお令和10年分以後は、合計所得金額132万円以下が99万円、それを超える部分は62万円となり、令和8年・9年分の上乗せは2年限りの措置です。令和8年中を通じて非居住者となる方には特例の加算がないため、基礎控除額は62万円(改正前:58万円)です。
給与所得控除の最低保障額は74万円へ
給与所得控除については、「65万円の最低保障額が74万円に引き上げられました」。令和8年・9年分は、給与等の収入金額が220万円以下であれば給与所得控除額は74万円です(租税特別措置法第29条の4の特例の適用後の金額)。改正前は、190万円以下が65万円、190万円超220万円以下がその収入金額×30%+8万円でした。令和10年分以後は、190万円以下と190万円超220万円以下のいずれも「その収入金額×30%+8万円(69万円未満となる場合は、69万円)」となります。あわせて、令和8年・9年分の給与等の収入金額が74万1,000円以上219万1,000円未満である場合の給与所得の金額は「その収入金額-74万円」とすることとされました。この規定と基礎控除104万円を重ねると、給与収入178万円までは課税所得が生じない計算になります(当事務所による試算)。
中小企業への実務影響
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11月までは従来どおり、12月の年末調整で精算
最初に押さえるべきは、毎月の給与計算を今すぐ変える必要はないという点です。国税庁は「令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じません」と明記しています。令和8年分の年末調整では、引上げ後の基礎控除額と、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います。毎月は改正前の税額表で多めに徴収し続け、12月にまとめて戻すという流れになるため、12月の還付額は例年より大きくなります。
還付の実務も確認しておきましょう。毎月の徴収税額の合計額が年調年税額よりも多いときは、その差額(過納額)を年末調整を行った月分(通常は12月分、納期の特例の承認を受けている場合は7月から12月までの分)として納付する徴収税額から差し引いて還付します。年末調整を行った月分の徴収税額だけでは還付しきれないときは、その後に納付する徴収税額から順次差し引きます。還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれないと見込まれる場合は、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を作成して所轄税務署に提出することで還付を受けられます。従業員数が少なく毎月の納付額が小さい事業所ほど、この請求書が必要になる可能性があります。
扶養の範囲が広がり、申告書の出し直しが発生する
基礎控除の引上げに伴い、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件も改正されました。
| 扶養親族等の区分 | 改正後(括弧内は給与だけの場合の収入金額) | 改正前 |
|---|---|---|
| 扶養親族/同一生計配偶者/ひとり親の生計を一にする子 | 62万円以下(136万円以下) | 58万円以下(123万円以下) |
| 特定親族 | 62万円超123万円以下(136万円超197万円以下) | 58万円超123万円以下(123万円超188万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 62万円超133万円以下(136万円超207万円以下) | 58万円超133万円以下(123万円超201万5,999円以下) |
| 勤労学生 | 89万円以下(163万円以下) | 85万円以下(150万円以下) |
この改正により、これまで扶養から外れていた配偶者や子が新たに対象となる従業員が出てきます。国税庁は、令和8年分の扶養控除等申告書に記載する事項そのものに変更はないとしたうえで、「新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を有することとなった従業員は、その旨を記載した扶養控除等申告書を、給与の支払者に提出することとなります」と示しています。記載の際は「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと書きます。
提出期限は、原則として令和8年12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日までですが、年末調整を行う時までに申告書の提出があれば、その申告に基づいて年末調整を行うことができます。また、令和8年11月30日以前に支払う給与については、「源泉徴収税額表」を使用する際の「扶養親族等の数」に、この改正により新たに対象となった扶養親族等を含めないよう注意が必要です。
あわせて、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が69万円(改正前:65万円)に引き上げられました。内職や業務委託の収入がある従業員の配偶者について、扶養の判定をやり直す場面が出てきます。給与計算と年末調整を外部に委ねている場合でも、申告書の回収と従業員への周知は自社で行う必要があります。給与計算まわりの体制を見直すのであれば、経理代行・記帳代行のサービスもあわせてご検討ください。
当事務所の見解・実務上の注意点
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12月1日を待たずに書類を配ってよい
実務で最初に迷うのが、施行日前に書類を配ってよいのかという点です。多くの会社は11月には年末調整の書類を配り始めます。この点について国税庁は、「実務上、令和8年12月1日から年末調整関係書類の提出を受けたのでは、年末調整に間に合わない事態も想定されますので、同日以後適用される改正を反映した年末調整関係書類について、同日前から提出することとしても差し支えありません」と明示しています。改正を織り込んだ書類を11月中に配り、回収することに問題はありません。
11月30日までに最後の給与を払った人は年末調整では救済されない
見落としやすいのが、年の途中で退職・出国した従業員の扱いです。年末調整は給与の支払者がその年最後に給与の支払をする際に行うこととされているため、令和8年分の最後の給与を令和8年11月30日以前に支払った場合の年末調整においては、改正後の控除等は適用されません。年の中途で死亡により退職した人や、海外の支店等への転勤により非居住者となった人が該当します。これらの方が改正後の控除等の適用を受けるには、確定申告等をする必要があります。令和8年11月30日以前に準確定申告書を提出した方は、同年12月1日から令和13年12月1日(月)までに更正の請求を行うことにより、改正後の控除等の適用を受けることができます。会社としては、11月末までに退職者が出た場合に「12月以降に手続きが必要になる」と一言伝えられるかどうかで、従業員の手取りが変わります。
令和9年に持ち越される変更を混同しない
今回の改正には、令和8年12月1日施行のものと令和9年1月1日施行のものが混在しています。「源泉徴収税額表」の改正と、公的年金等に係る源泉徴収税額の計算における基礎的控除額の引上げは令和9年1月1日施行で、同日以後に支払うべき給与および公的年金等について適用されます。したがって令和9年1月の給与から「令和9年分 源泉徴収税額表」に切り替えます。また、ひとり親控除の控除額が38万円(改正前:35万円)に引き上げられた改正は令和9年分以後の所得税について適用されるため、令和8年分の年末調整には影響しません。この2点を混同すると、12月の年末調整で本来使えない控除額を使ってしまいます。
従業員への説明は「12月の手取りが増える理由」から入る
12月の給与明細を見た従業員から、還付額が例年と違うという問い合わせが来ることが予想されます。仕組みを知らなければ、計算ミスを疑われてもおかしくありません。毎月の源泉徴収は改正前の税額表で行われていたため多めに預かっていたこと、12月の年末調整でその差額が戻ること、来年1月からは毎月の源泉徴収税額そのものが下がることの3点を、給与明細に一枚添えて説明しておくと問い合わせ対応の手間を大きく減らせます。法人の給与・税務全般について不安があれば、堺市の税務顧問サービスでご相談を承っています。
今すぐやるべきこと
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- ステップ1:給与計算ソフトの改正対応バージョンと適用時期を確認する
12月の年末調整計算で使うのは、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」です。11月までの毎月の源泉徴収は改正前の税額表のままである点も含め、ソフトの更新時期と自動適用の範囲をベンダーに確認してください。 - ステップ2:年末調整関係書類を11月中に配布・回収する
12月1日より前に、改正を反映した書類を配って差し支えありません。基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書は前年分から様式が変更されているため、最新様式を使います。 - ステップ3:所得要件の緩和で新たに扶養に入る親族を洗い出す
配偶者や子の見込収入が123万円超136万円以下、学生の子が188万円超197万円以下といった従業員に個別に声をかけ、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」と記載して再提出してもらいます。 - ステップ4:12月分の納付額と還付原資を試算する
還付額が12月分の徴収税額を上回る見込みなら、翌月以降の徴収税額から順次差し引くか、還付請求書を所轄税務署に提出するかを事前に決めておきます。資金繰り表にも反映させてください。 - ステップ5:11月末までの退職者・出国者をリストアップする
最後の給与の支払日が11月30日以前の人は、年末調整では改正後の控除等が適用されません。確定申告または更正の請求が必要になる旨を、源泉徴収票の交付時に案内します。 - ステップ6:23歳未満の扶養親族がいる従業員に生命保険料控除の特例を案内する
新たに創設された一般生命保険料控除の特例は、保険料控除申告書の記載内容に影響します。控除証明書の提出漏れがないよう、該当しそうな従業員に個別に案内してください。 - ステップ7:令和9年1月からの切替えを予定表に入れる
令和9年1月1日以後に支払うべき給与から「令和9年分 源泉徴収税額表」を使用します。年末調整の作業が終わった直後に切替えが来るため、担当者の予定表に明記し、ソフトの更新も忘れずに行います。公的年金等の源泉徴収についても、同じ日から改正後の基礎的控除額が使われます。
よくある質問
- Q. 令和8年11月分の給与から新しい控除額を使ってもよいですか?
- A. 使えません。国税庁は「令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じません」としています。毎月の源泉徴収は改正前の「源泉徴収税額表」で行い、令和8年12月に行う年末調整で、引上げ後の基礎控除額と改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年分の税額を計算し、すでに徴収した税額と精算します。11月分の給与で先に反映させると、年末調整での精算額が合わなくなるうえ、毎月の納付額も過少になります。改正を織り込むのは12月の年末調整の計算段階だと覚えてください。
- Q. 扶養控除等申告書は全員から出し直してもらう必要がありますか?
- A. 全員ではありません。国税庁は「令和8年分の扶養控除等申告書に記載する事項に変更はありません」としています。出し直しが必要なのは、所得要件の改正によって新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を有することとなった従業員です。ただし、誰が該当するかは会社側では分かりませんので、実務としては全員に改正内容を周知し、心当たりのある人に申し出てもらう運用が安全です。該当者には「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載してもらいます。
- Q. 令和8年分の源泉徴収票の様式は変わりますか?
- A. 令和8年度税制改正に伴う「給与所得の源泉徴収票」の改正はありません。ただし国税庁は、国税システムの更改に伴い令和8年8月以降、「給与所得の源泉徴収票」を含む全ての法定調書の様式が変わるとしています。税制改正とは別の理由で様式が変わる点に注意してください。あわせて、令和9年1月以後に提出する令和8年分の源泉徴収票については、市区町村に給与支払報告書を提出した場合は税務署に提出する必要がありません。受給者には引き続き交付する必要があります。
- Q. 大学生の子を扶養している従業員への影響はありますか?
- A. あります。特定親族の所得要件が、合計所得金額58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)から、62万円超123万円以下(給与収入136万円超197万円以下)に改正されました。アルバイト収入が188万円を少し超えて対象外だった学生が、197万円以下であれば特定親族特別控除の対象に戻る可能性があります。また、扶養控除等申告書に源泉控除対象親族として記載していた特定親族が、改正により控除対象扶養親族(特定扶養親族)に該当することとなった場合は、その親族は扶養控除の対象となります。
- Q. 生命保険料控除で有利になる改正があると聞きました。どのような内容ですか?
- A. 年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例が創設されました。令和8年・9年分について、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の控除額は、年間の新生命保険料が30,000円以下ならその全額、30,000円超60,000円以下なら新生命保険料×1/2+15,000円、60,000円超120,000円以下なら新生命保険料×1/4+30,000円、120,000円超なら一律60,000円で計算します。旧生命保険料およびこの特例の適用がある新生命保険料を支払った場合の一般生命保険料控除の適用限度額は6万円(改正前:4万円)です。三つの保険料控除の合計適用限度額12万円は改正前と同様です。
- Q. 予定納税の減額申請には改正後の控除額を使えますか?
- A. 使えません。令和8年度税制改正による改正後の控除等は令和8年12月1日から施行されるため、同日前に期限が到来する予定納税額の減額申請においては適用がなく、改正前の規定に基づいて申請する必要があります。個人事業主の方が第2期分の減額申請を検討する場合は、改正前の基礎控除額で見積もることになります。改正後の控除額との差は、翌年の確定申告で精算されます。期限前に慌てて改正後の数字で申請しないよう注意してください。
参考資料・出典
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」
- 国税庁「新着情報」(令和8年9月24日に「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」を掲載)
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」
- 国税庁タックスアンサー No.1199 基礎控除
- 国税庁タックスアンサー No.1410 給与所得控除
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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