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消費税の中間申告2026|対象者と納付回数・仮決算方式を税理士が解説

消費税の中間申告2026の対象者と納付回数・仮決算方式を示す図
この記事の要点3点

  • 消費税の中間申告は、前の課税期間の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると義務になる。金額に応じて年1回・年3回・年11回と回数が変わる。
  • 納付額の計算には「予定申告方式」と「仮決算方式」の2つがある。届出は不要で、その都度どちらかを選べる。売上が落ちた期は仮決算方式で納付額を抑えられる。
  • インボイス制度で新たに課税事業者になった事業者は、来年以降に初めて中間申告の対象となることがある。資金繰りに備え、自社の確定消費税額を早めに確認しておく。

消費税の中間申告は、年に一度の確定申告とは別に、課税期間の途中で消費税を前払いする仕組みです。前の課税期間に納めた消費税額が一定の基準を超えると、その金額に応じて自動的に対象となります。対象になると税務署から納付書が送られてきますが、計算方法には2つの選択肢があり、選び方しだいで納付額や事務負担が変わります。本記事では、中間申告の対象者と回数、予定申告方式と仮決算方式の違い、そしてインボイス制度の開始後に新たに課税事業者となった事業者が押さえておくべき注意点を、税理士が具体的に解説します。

消費税の中間申告とは・制度の概要

消費税の中間申告とは、課税期間(個人事業者は1月から12月、法人は事業年度)の途中で、消費税および地方消費税の一部をあらかじめ納付する手続きです。確定申告で一度に多額の納税が発生することを避け、納税者の資金負担を分散するとともに、国の税収を平準化する目的があります。所得税や法人税の予定納税・中間申告と似た考え方の制度です。

中間申告が必要かどうかは、「直前の課税期間の確定消費税額」で決まります。ここでいう確定消費税額とは、地方消費税を含まない国税分の消費税額のことです。この金額が48万円を超える事業者が中間申告の対象となります。逆に、48万円以下であれば原則として中間申告は不要です(後述する任意の中間申告制度を除きます)。

判定の基準は「国税分」の消費税額
中間申告の要否を判定する48万円は、地方消費税を含まない国税分の消費税額です。確定申告書では、地方消費税と合算した金額が表示されることが多いため、判定の際は国税分だけを取り出して確認する必要があります。

中間申告の回数は、直前の課税期間の確定消費税額(国税分)の大きさに応じて、年1回・年3回・年11回の3段階に分かれます。金額が大きいほど回数が増え、1回あたりの納付額は確定消費税額を回数で按分した額になります。

納付する税額の計算方法には、「予定申告方式」と「仮決算方式」の2つがあります。予定申告方式は、前の課税期間の実績をもとに機械的に計算する方法で、税務署から送られてくる納付書の金額をそのまま納めれば手続きが完了します。一方の仮決算方式は、その中間申告の対象期間について実際に仮の決算を行い、その期間の売上と仕入れから消費税額を計算し直す方法です。どちらを選ぶかは事業者の自由で、事前の届出も必要ありません。

なお、中間申告で納める消費税には、国税分に加えて地方消費税も併せて納付します。地方消費税は、中間納付する国税分の消費税額の78分の22に相当する額です。確定消費税額が48万円以下で中間申告の義務がない事業者でも、「任意の中間申告制度」を利用すれば、自主的に年1回の中間申告・納付を行うことができます。利用するには事前に届出書の提出が必要です。

中間申告には、確定申告のような細かな計算が原則として不要です。予定申告方式を選べば、税務署から送られてくる納付書に記載された金額を納めるだけで手続きが完了します。これは、納税者の事務負担を抑えつつ、年1回の確定申告時に納税が集中することを避けるための仕組みです。なお、消費税には課税期間を3か月ごとや1か月ごとに短縮する特例もありますが、これは輸出が多く還付を早く受けたい事業者などが選ぶ制度で、中間申告とは目的が異なります。中間申告はあくまで「年1回の課税期間を前提に、その途中で消費税を前払いする」手続きである点を押さえておきましょう。

中小企業への実務影響と納付回数の早見表

自社が中間申告の対象になるか、なるとして何回の納付が必要かは、直前の課税期間の確定消費税額(国税分)で次のように決まります。1回あたりの納付額の目安とあわせて整理します。

直前期の確定消費税額(国税分)中間申告の回数1回あたりの納付額(予定申告方式)
48万円以下不要(任意の中間申告は可)
48万円超〜400万円以下年1回確定消費税額の6/12(約2分の1)
400万円超〜4,800万円以下年3回確定消費税額の3/12(約4分の1)
4,800万円超年11回確定消費税額の1/12

例えば、直前の課税期間の確定消費税額(国税分)が120万円だった法人は、48万円超400万円以下の区分に当たるため、年1回の中間申告が必要です。予定申告方式での中間納付額は、国税分が120万円の6/12で60万円、これに地方消費税(60万円の78分の22)が加わります。確定消費税額が600万円であれば年3回、6,000万円であれば年11回の納付となります。

申告・納付の期限は、原則として各中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内です。例えば3月決算の法人で年1回の中間申告の場合、対象期間は事業年度開始から6か月(4月〜9月)で、その末日の翌日から2か月以内、つまり11月末が期限となります。個人事業者で年1回の場合は、対象期間が1月〜6月、納付期限は8月末日です。年3回・年11回の場合は、それぞれの対象期間ごとに期限が設定されます。

重要:中間申告を忘れても「予定申告」をしたものとみなされる
中間申告書を期限までに提出しなかった場合でも、予定申告方式による申告があったものとみなされます。つまり、税務署が計算した金額の納税義務は残ります。納付が遅れれば延滞税の対象になるため、納付書が届いたら必ず期限内に納めてください。仮決算方式を選びたい場合は、自ら期限内に申告書を提出する必要があります。

中間納付額は、年度末の確定申告で計算した年税額から差し引かれます。中間納付の合計額が確定した年税額を上回っていれば、その差額は確定申告で還付されます。中間納付は「払いすぎたら確定申告で戻る」前払いであり、最終的な税負担を増やすものではない点を理解しておくことが大切です。

個人事業者と法人では、中間申告の対象期間と納付期限の考え方が異なります。個人事業者は課税期間が暦年(1月〜12月)に固定されているため、年1回の場合の対象期間は1月から6月、納付期限は8月末日です。法人は事業年度によって対象期間が変わりますが、いずれの場合も各対象期間の末日の翌日から2か月以内が期限となります。納付方法は、金融機関や税務署の窓口のほか、口座から自動で引き落とす「ダイレクト納付」、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付など複数の方法から選べます。期限内に確実に納付できるよう、自社に合った方法をあらかじめ準備しておくと安心です。なお、中間納付額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てて計算します。

複数回の納付が必要な事業者ほど、各回の納付管理が煩雑になります。納付を忘れると延滞税が発生するため、納付期限をカレンダーや会計ソフトのリマインダーに登録しておくと安心です。また、前期に一時的な大口売上があって確定消費税額が大きくなった事業者は、当期も前期と同水準の中間納付を求められます。当期の業績が落ち着いている場合は、予定申告方式のままにせず、仮決算方式による軽減を早めに検討するとよいでしょう。

当事務所の見解・実務上の注意点

中間申告は、納付書どおりに納めれば手続き自体は完了しますが、選び方しだいで資金繰りや事務負担が変わります。会計事務所として顧問先にお伝えしている、実務上の3つのポイントを解説します。

売上が落ちた期は仮決算方式で納付額を抑えられる

予定申告方式は前年実績にもとづくため、当期の業績が前年より大きく落ち込んでいても、前年並みの中間納付を求められます。このようなときに有効なのが仮決算方式です。中間申告の対象期間について実際に仮決算を行えば、当期の実態に合った(多くの場合より少ない)税額で納付できます。資金繰りが厳しい時期に過大な前払いを避けられる点で大きな意味があります。ただし、仮決算の結果、税額がマイナスになっても中間段階で還付は受けられません。また、仮決算は確定申告に準じた計算が必要で事務負担が増えるため、納付額の軽減効果と手間を比較して選ぶことが重要です。特に、季節変動が大きい事業や、大口の売上が前期に偏っていた事業では、仮決算方式による納付額の軽減効果が大きくなることがあります。

簡易課税・2割特例の事業者も予定申告方式は前年実績で計算される

簡易課税制度やインボイスの2割特例を適用している事業者も、確定消費税額が48万円を超えれば中間申告の対象になります。予定申告方式では、これらの特例を適用して計算された前年の確定消費税額をもとに中間納付額が決まります。一方、仮決算方式を選ぶ場合は、その課税期間に適用している計算方法(簡易課税なら簡易課税)で仮決算を行います。自社がどの計算方法を使っているかによって、仮決算の手間は大きく変わります。簡易課税や2割特例を適用している場合は、売上に対するみなし的な割合で税額を計算するため、仕入れを一つひとつ集計する本則課税に比べて仮決算の計算負担は比較的軽く済みます。

インボイスで課税事業者になった人は「初めての中間申告」に備える

インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった方は、課税事業者として初めての確定申告で納めた消費税額が48万円を超えると、その翌期から中間申告の対象になります。これまで消費税の納税自体がなかった事業者にとっては、確定申告に加えて期中の中間納付という新たな資金負担が発生します。「気づいたら大きな納付通知が届いていた」とならないよう、確定消費税額が48万円に近い、あるいは超えそうな事業者は、早めに翌期の資金計画に中間納付を織り込んでおくことをおすすめします。当事務所では、中間納付も含めた年間の納税スケジュールの作成をご支援しています。所得税の予定納税と同様に、納税のための資金をあらかじめ別口座に積み立てておくと、納付月の資金繰りが安定します。消費税は預かった税金を納める性格が強いため、日ごろから納税資金を別管理する習慣が特に有効です。

今すぐやるべきこと(チェックリスト)

中間申告で慌てないために、次の手順で自社の状況を確認しておきましょう。消費税の中間納付は、確定申告で精算されるとはいえ、納付の時点ではまとまった資金が必要になります。特に年3回・年11回と複数回の納付が必要な事業者は、年間を通じた資金計画に組み込んでおくことが欠かせません。

  1. ステップ1:直前期の確定消費税額(国税分)を確認する
    前の課税期間の確定申告書を見て、地方消費税を含まない国税分の消費税額を確認します。これが48万円を超えていれば中間申告の対象です。前期が免税だった場合や課税期間が1年未満だった場合は判定方法が異なるため、確定申告書の控えを手元に用意して確認します。
  2. ステップ2:中間申告の回数を判定する
    確定消費税額が48万円超400万円以下なら年1回、400万円超4,800万円以下なら年3回、4,800万円超なら年11回です。早見表で自社の区分を確認します。
  3. ステップ3:納付期限をスケジュールに書き込む
    原則として各対象期間の末日の翌日から2か月以内が期限です。個人事業者で年1回なら8月末日。期限を資金繰り表に反映します。
  4. ステップ4:予定申告方式と仮決算方式のどちらが有利か検討する
    当期の業績が前年より落ちている場合は、仮決算方式で納付額を抑えられないか試算します。事務負担と軽減効果を比較します。
  5. ステップ5:納付書が届いたら期限内に納付する
    予定申告方式なら届いた納付書の金額をそのまま納めます。仮決算方式を選ぶ場合は、自ら期限内に中間申告書を提出します。納付方法はダイレクト納付やスマホアプリ納付など複数あるため、期限内に確実に納められる方法を選んでおきます。判断に迷う場合は税理士に相談します。

よくある質問

Q. 消費税の中間申告は誰が対象になりますか?
A. 直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない国税分)が48万円を超える事業者が対象です。48万円以下であれば原則として中間申告は不要です。法人・個人事業者を問わず、また簡易課税や2割特例を適用している事業者でも、この基準を超えれば中間申告の対象となります。判定に使う48万円は国税分のみの金額で、地方消費税を含めない点に注意してください。確定申告書では合算で表示されることが多いため、国税分を取り出して確認します。
Q. 中間申告の回数はどのように決まりますか?
A. 直前の課税期間の確定消費税額(国税分)によって決まります。48万円超400万円以下は年1回、400万円超4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回です。1回あたりの納付額は、予定申告方式の場合、確定消費税額をそれぞれ6/12・3/12・1/12で按分した額になります。確定消費税額が大きい事業者ほど納付回数が増え、そのつど納付の事務も発生するため、年間スケジュールでの管理が重要になります。
Q. 予定申告方式と仮決算方式はどちらを選ぶべきですか?
A. 業績が前年並み、または前年より良い場合は、手続きが簡単な予定申告方式が便利です。一方、当期の売上が前年より大きく落ち込んでいる場合は、仮決算方式を選ぶと当期の実態に合った少ない税額で納付でき、資金繰りに有利です。ただし仮決算には確定申告に準じた計算の手間がかかります。判断に迷う場合は、上半期の試算をもとに予定申告方式と仮決算方式の納付額を比較し、軽減できる金額と事務の手間を見比べてから選ぶとよいでしょう。
Q. 仮決算方式で計算したら税額がマイナスになりました。還付されますか?
A. 中間申告の段階では還付されません。仮決算方式で計算した結果、税額がマイナス(控除超過)となっても、中間申告で還付を受けることはできず、中間納付額はゼロとして扱われます。最終的な精算は年度末の確定申告で行われ、中間納付額が年税額を上回っていれば、その差額は確定申告で還付されます。つまり仮決算方式は、中間段階での過大な前払いを避けるための制度であり、その期だけ早く還付を受けられるものではないと理解しておきましょう。
Q. 中間申告を忘れてしまった場合はどうなりますか?
A. 中間申告書を提出しなかった場合でも、予定申告方式による申告があったものとみなされ、税務署が計算した金額の納税義務は残ります。納付が期限に遅れると延滞税の対象になります。仮決算方式を選びたい場合は、自ら期限内に中間申告書を提出する必要があるため、納付書が届いたら早めに方針を決めてください。延滞税は法定納期限の翌日から発生するため、納付資金をあらかじめ準備しておくことが大切です。
Q. インボイスで課税事業者になりました。中間申告は必要ですか?
A. 課税事業者として行った確定申告での消費税額(国税分)が48万円を超えた場合、その翌期から中間申告の対象になります。免税事業者から課税事業者になったばかりの方は、確定申告に加えて期中の中間納付が新たに発生する可能性があるため、自社の確定消費税額を確認し、早めに資金計画へ反映しておくことが大切です。特に課税事業者になって初めての年は、確定申告による納税と中間納付の時期が重なって資金負担が大きくなりやすいため、計画的な準備が欠かせません。

参考資料・出典

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