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食事補助の非課税枠が月7,500円へ|2026年4月改正の実務対応

食事補助 非課税7500円 2026年4月改正
この記事の要点

  • 何が・いつから:食事補助の所得税非課税限度額が、令和8年(2026年)4月1日以後に支給する食事から、月額3,500円→7,500円へ約2.1倍に引き上げられました。長年据え置かれていた非課税枠の大幅拡充です。
  • 誰に影響:従業員に弁当・社食・チケット型食事補助を提供している中小企業すべて。深夜勤務の夜食代金銭支給枠も1食300円→650円に拡大。
  • すぐやるべきこと:①自社の食事補助額が新限度額内か再計算、②「自己負担50%以上」要件を満たしているか確認、③就業規則・賃金規程の改定検討、④源泉徴収システムの設定見直し。

令和8年(2026年)3月31日、国税庁は所得税基本通達36-38の2を改正し、食事補助の非課税限度額を月額3,500円から月額7,500円へと約2.1倍に引き上げました。長らく据え置かれていた非課税枠が、物価上昇と人材確保競争を背景に大幅に拡充された注目の改正です。本記事では、中小企業の経営者・経理担当者・労務担当者の方が押さえておくべき改正の要点、非課税要件の判定方法、就業規則の整備、源泉徴収実務への影響まで、税理士が実務目線でわかりやすく解説します。「食事補助 非課税 7500円」を最大限活用し、給与課税リスクを避けるための具体的なチェックポイントもご紹介します。

食事補助 非課税7500円改正の概要

1-1. 改正の根拠通達と適用日

令和8年3月31日付の「課法12-1ほか2課共同『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」により、所得税基本通達36-38の2が改正されました。これにより、従業員が使用者から食事の現物支給を受ける場合の所得税非課税限度額が、従来の月額3,500円から月額7,500円へと引き上げられています。

適用開始は令和8年4月1日以後に支給する食事からです。施行は遡及せず、3月31日以前に支給された食事には旧限度額(3,500円)が適用される点に注意してください。

ポイント:食事補助の非課税枠は長期間にわたり3,500円のまま据え置かれていた制度です。この間、消費者物価や外食費の上昇により、福利厚生としての実効性が薄れていました。今回の引き上げは、近年の物価高騰と人材獲得競争の激化を踏まえた政策判断と位置づけられます。

1-2. 深夜勤務の夜食代「金銭支給」も拡大

あわせて、深夜勤務に伴う夜食を現物で支給できない場合に金銭で支給する際の非課税枠も、1回の支給につき300円以下から650円以下へと引き上げられました(令和8年3月31日付 課法12-3ほか1課共同通達)。これも令和8年4月1日以後の支給分から適用されます。深夜勤務がある運輸業・医療・介護・警備・飲食業などでは、給与計算・支給規程に直結する重要な改正です。

中小企業への実務影響

2-1. 福利厚生強化と「実質賃上げ」効果

従業員1人あたり月額7,500円を非課税で食事補助できるということは、社会保険料の対象にもならない(給与課税されないため)ことから、給与で同額を支給する場合よりも企業・従業員の双方にメリットがあります。仮に月額4,000円の食事補助を1人に支給する場合、給与で支給するなら所得税・住民税・社会保険料合計で従業員手取りは概ね6〜7割に減少しますが、食事補助なら満額が「経済的利益なし」として手元に残ります。

従業員30名の中小企業が新枠の月額7,500円をフル活用すれば、年間270万円分の福利厚生を非課税で提供できる計算になります。賃上げの原資が限られる中小企業にとって、給与アップに匹敵する従業員満足度の向上策となります。

2-2. 既存の食事補助制度を持つ企業の見直しポイント

すでに食事補助制度を導入している企業では、以下の見直しが推奨されます。

  • 月額3,500円ぎりぎりで設計していた制度:新枠まで増額するか、現状維持で原資を他の福利厚生に回すかを経営判断する
  • 3,500円超で給与課税扱いにしていた部分:7,500円までは非課税に切り替えられるため、源泉徴収・年末調整の処理を見直す
  • チケットレストランや弁当宅配サービス:契約上限額の見直しを契約先と協議する

2-3. 給与計算・源泉徴収システムへの影響

給与計算ソフトや勤怠管理システムで食事補助の課税判定を自動化している場合、限度額のパラメータ更新が必須です。多くの市販ソフトは2026年4月のアップデートで対応済みですが、自社開発のシステムや古いバージョンを使用している場合は、4月以降の給与計算で誤って課税してしまっていないか確認が必要です。

非課税要件の判定方法(比較表)

3-1. 改正前後の比較

項目改正前(〜2026年3月31日)改正後(2026年4月1日〜)
食事の現物支給の非課税限度額月額3,500円以下月額7,500円以下
自己負担割合の要件食事価額の50%相当額以上食事価額の50%相当額以上(変更なし)
深夜勤務の夜食金銭支給(現物に代わるもの)1回300円以下1回650円以下
根拠通達所得税基本通達36-38の2(旧)所得税基本通達36-38の2(令和8年3月31日改正)

3-2. 非課税となる2つの要件

役員または従業員が会社から食事の現物支給を受ける場合、次の2つの要件を「両方」満たすときに限り、その経済的利益はなかったものとされます(所得税基本通達36-38の2)。

非課税となる2要件

  1. 要件①:従業員から実際に徴収している対価の額が、食事の価額の50%相当額以上であること
  2. 要件②:食事の価額から実際に徴収している対価の額を控除した残額が、月額7,500円以下であること

3-3. 計算例で確認

具体例で計算方法を確認しましょう。

【ケースA:非課税OK】1食600円の弁当を月20回支給、従業員から1食300円徴収

  • 食事の月額価額:600円×20回=12,000円
  • 従業員自己負担:300円×20回=6,000円(食事価額の50%=6,000円以上 → 要件①OK)
  • 会社負担額:12,000円-6,000円=6,000円(7,500円以下 → 要件②OK)
  • 非課税(給与課税なし)

【ケースB:給与課税となる】1食1,000円の社食を月20回支給、従業員から1食300円徴収

  • 食事の月額価額:1,000円×20回=20,000円
  • 従業員自己負担:300円×20回=6,000円(食事価額の50%=10,000円に満たない → 要件①NG)
  • 会社負担分14,000円全額が給与課税(一部だけでなく全額が課税対象)
注意:非課税要件は「いずれかを満たせばOK」ではなく「両方満たす必要あり」です。また、超過分のみが課税されるのではなく、要件を1つでも欠くと会社負担額の全額が給与として課税対象になります。給与計算実務でよくある誤りなので注意してください。

3-4. 食事代を「金銭で支給」した場合の取扱い

食事そのものではなく現金で「食事手当」を支給する場合は、原則として全額が給与課税となります。本通達の非課税枠は、あくまで「現物(食事そのものや弁当・チケットレストランなど食事に充当される利用権)」を支給する場合に限られる点に注意が必要です(深夜勤務に伴う夜食を現物で支給できない場合の金銭支給1回650円以下の特例を除く)。

当事務所の見解・実務上の注意点

4-1. 就業規則・賃金規程の整備が論点

当事務所で多くの中小企業の労務・税務をご支援する中で、食事補助の取扱いで税務調査の指摘を受けるケースの多くは「制度設計の不備」に起因しています。具体的には:

  • 就業規則や賃金規程に食事補助の支給根拠が明記されていない
  • 支給対象者の範囲(正社員のみ/パート含む等)が曖昧
  • 自己負担額の徴収方法(給与天引きの根拠規定)が未整備

新限度額への移行を機に、就業規則・賃金規程を見直し、食事補助規程として独立した規程を整備することをおすすめします。労使協定や賃金控除に関する協定も併せて確認しましょう。

4-2. 「食事価額」の評価方法

外部購入の弁当などは「購入価額」がそのまま食事価額となりますが、社員食堂で自社調理する場合は「材料費+直接人件費」を基準とした合理的な評価が必要です。社員食堂運営の損益計算書を作成し、税務調査で根拠を示せるよう資料を整えておくのが安全です。

4-3. 消費税の扱い

食事価額の判定における消費税の扱いについては、消費税および地方消費税相当額を除いた「税抜価額」で判定します(国税庁 タックスアンサーNo.2594-1)。社員食堂や弁当購入の単価を税抜きベースで算出し、月額判定する運用を徹底してください。社内で処理基準を文書化し、年度をまたいで取り扱いがブレないよう統一することが税務調査対応上も重要です。

4-4. 残業食事代との関係

残業や宿日直の際に提供される食事は、所得税基本通達36-24「課税しない経済的利益…残業又は宿日直をした者に支給する食事」の規定により、本通達とは別枠で全額非課税となります。通常の食事補助と残業食事代は別管理とし、月額7,500円の非課税枠とは切り離して処理する必要があります。

4-5. 競合差別化:弁当宅配サービス等の比較

市販の福利厚生サービス(チケットレストラン、社食サービス、お弁当宅配など)は、それぞれ非課税枠の使い方や運用設計が異なります。当事務所では、御社の勤務形態・店舗立地・予算に応じて最適なサービス選定までお手伝いしています。

今すぐやるべきこと(チェックリスト)

  1. ステップ1:現行の食事補助制度の棚卸し
    自社で運用中の食事補助(社員食堂、弁当配布、チケットレストラン等)の月額会社負担額を従業員別に集計し、新限度額7,500円と比較する。
  2. ステップ2:非課税2要件の充足確認
    「自己負担50%以上」と「会社負担月額7,500円以下」の両要件を満たすかを全従業員について確認する。1人でも要件を欠くと当該従業員分が全額給与課税となるため要注意。
  3. ステップ3:給与計算ソフトのパラメータ更新
    食事補助の非課税限度額を3,500円→7,500円に変更。深夜勤務の夜食金銭支給は300円→650円に変更。古い数値のままだと過剰な給与課税が発生する。
  4. ステップ4:就業規則・賃金規程の改定
    食事補助規程の独立化、支給対象、自己負担徴収方法、支給金額の上限を明記。社労士と連携して労基署への届出を行う。
  5. ステップ5:従業員への周知
    非課税枠拡大を福利厚生の魅力としてアピール。社内ポスターやイントラネットで「実質的な処遇改善」として情報発信する。
  6. ステップ6:年度末の税務確認
    令和8年4月以降の支給分が新限度額で正しく処理されているか、年末調整前に再点検する。

よくある質問

Q. 食事補助の非課税限度額が7,500円に引き上げられるのはいつからですか?
A. 令和8年(2026年)4月1日以後に支給する食事から、月額7,500円の新限度額が適用されます。令和8年3月31日付で国税庁が法令解釈通達(課法12-1ほか2課共同)を改正し、所得税基本通達36-38の2が新数値に書き換えられました。
Q. 食事補助の非課税はどのような要件で判定しますか?
A. ①従業員からの徴収額が食事価額の50%相当額以上であること、②会社負担額(食事価額-徴収額)が月額7,500円以下であること、この2要件を「両方」満たす必要があります。1つでも欠けると会社負担額の全額が給与課税の対象となります。
Q. 現金で食事手当を支給する場合も7,500円まで非課税ですか?
A. いいえ。現金で支給する食事手当は原則として全額が給与課税となります。本非課税枠は、食事そのものや弁当・チケットレストランなど「現物(食事に充当される利用権を含む)」での支給に限定されます。例外は深夜勤務の夜食を現物で支給できない場合の金銭支給で、1回650円以下なら非課税です。
Q. 深夜勤務の夜食代はいくらまで非課税ですか?
A. 深夜勤務に伴う夜食を現物で支給できず金銭で支給する場合、1回650円以下までが非課税です(令和8年4月1日以後支給分)。改正前の300円以下から大幅に拡大されました(令和8年3月31日付 課法12-3ほか1課共同通達)。
Q. 食事補助は社会保険料の対象になりますか?
A. 所得税法上「経済的利益なし」と判定される非課税の食事補助は、原則として社会保険料の標準報酬月額の対象にもなりません。ただし、健康保険・厚生年金の現物給与の評価には厚生労働省告示による別の基準があるため、運用前に社労士に確認することをおすすめします。

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参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。

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