堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
売上の計上時期2026|出荷基準・検収基準の継続適用と期ズレ対策
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:資産の販売等による収益の額は、原則として目的物の引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入します。棚卸資産の引渡しの日は、出荷した日、相手方が検収した日など、合理的と認められる日のうち法人が継続して収益計上を行うこととしている日によります。
- 2ポイント2:国税庁は、出荷した日を引渡しの日として継続して適用している場合に、期末の取引だけ検収した日とすることは認められないとしています。基準の選択は自由でも、選んだ基準は毎期・全取引で守る必要があります。
- 3ポイント3:中小企業は従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められています。決算前に、自社の計上基準の確認、期末前後の出荷・検収記録の整理、請負や売上割戻しの計上時期の点検を進めましょう。
CONTENTS目次
決算の時期が近づくと、期末日の前後に出荷した商品や、期末をまたいで完成する工事の売上をどちらの事業年度に入れるかが問題になります。売上の計上時期が本来の事業年度とずれることを、実務ではいわゆる期ズレと呼び、税務調査で指摘されやすい論点のひとつです。
平成30年度の税制改正で、法人税法に資産の販売等に係る収益の額の規定が設けられ(通達では法第22条の2《収益の額》と表記)、法人税基本通達も見直されました。本記事では、国税庁の通達と解説資料に沿って、売上の計上時期の原則、出荷基準や検収基準の選び方、期ズレを防ぐための決算前の点検手順を解説します。
売上の計上時期のルールの概要
![]()
原則は目的物の引渡し又は役務の提供の日
国税庁の解説資料「収益認識に関する会計基準」への対応について~法人税関係~(平成30年5月)は、平成30年度改正について、資産の販売等による収益の額は、原則として目的物の引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入することを法令上明確化する(30改正新法22の2①)と説明しています。法人税基本通達でも、法第22条の2第1項《収益の額》を引いて、役務の提供の日や引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入することが示されています。
同資料は、30改正は、改正前の公正処理基準(これを補完する通達・判例)における取扱いを明確化したもので、新会計基準を適用しない場合の収益計上時期を従来と変更するものではないとしています。つまり、売上は代金を受け取った日や請求書を出した日ではなく、商品を引き渡した日やサービスを提供した日を基準に計上するという考え方が、法令上はっきりした形です。なお、割賦販売における割賦基準に基づく収益認識は認められないとされています。
棚卸資産の引渡しの日の判定(通達2-1-2)
商品や製品などの棚卸資産について、法人税基本通達2-1-2は、棚卸資産の販売に係る収益の額は、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入するとしています。そのうえで、引渡しの日がいつであるかについては、例えば出荷した日、船積みをした日、相手方に着荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日等、当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとされています。
| 引渡しの日の例(通達2-1-2) | 実務での呼び方の例 |
|---|---|
| 出荷した日 | 出荷基準 |
| 相手方に着荷した日 | 着荷基準 |
| 相手方が検収した日 | 検収基準 |
| 相手方において使用収益ができることとなった日 | 使用収益開始基準 |
引渡しの日に近接する日による計上も認められる
引渡しの日そのものでなくても、公正処理基準に従い引渡しの日に近接する日を収益計上時期としている場合には、その近接する日において収益計上することが認められます。通達は、委託販売で売上計算書が売上の都度作成され送付されている場合の到達日(2-1-3)や、ガス、水道、電気等の販売での検針日(2-1-4)を、法人が継続して収益計上を行っていることを条件に、引渡しの日に近接する日に該当するものとしています。
中小企業の会計処理は従来どおりで可
国税庁は、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされていますので、今般の通達改正により従来の取扱いが変更されるものではありませんとしています。収益認識に関する会計基準を適用していない中小企業でも、引渡しの日を基準に計上するという原則は同じです。
国税庁は、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされていますので、今般の通達改正により従来の取扱いが変更されるものではありませんとしています。収益認識に関する会計基準を適用していない中小企業でも、引渡しの日を基準に計上するという原則は同じです。
中小企業への実務影響:取引の種類ごとの計上時期
![]()
物販・卸売業:どの日を引渡しの日とするかを決めて続ける
物販や卸売を行う会社では、出荷した日を売上計上日とする出荷基準を採用していることが多いと考えられます。出荷基準は、自社の出荷記録だけで売上日を確定できるため、記帳の負担が軽いという利点があります。一方、据付けや動作確認が必要な機械、取引先の検査を経て初めて受け入れられる部品などは、相手方が検収した日を引渡しの日とするほうが取引の実態に合う場合もあります。
通達2-1-2が示すとおり、どの日を選ぶかは、棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じて合理的であると認められる日の中から法人が決めます。重要なのは、選んだ日を継続して使うことです。取引の種類ごとに基準を分けることは、通達の文言とは矛盾しませんが、同じ種類の取引で期によって基準を変えることはできません。
建設業・請負:引渡し等の日が原則
請負については、法人税基本通達2-1-21の7により、その引渡し等の日が役務の提供の日に該当し、その収益の額は、原則として引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入されます。引渡し等の日とは、物の引渡しを要する取引にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日をいい、物の引渡しを要しない取引にあってはその約した役務の全部を完了した日をいいます。
建設工事等の引渡しの日は、例えば作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等のうち、法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるとされています(2-1-21の8)。また、一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負い、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合など、部分完成の事実がある場合には、全部が完成しないときでも、その事業年度において引き渡した部分の収益を計上します(2-1-1の4)。
サービス業:一定の期間にわたる役務は進捗に応じて計上
清掃サービスなどの日常的又は反復的なサービスは、履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当するとされています(2-1-21の4)。この場合、履行義務が充足されていくそれぞれの日の属する事業年度の益金の額に算入され、契約期間の全体のうち、当該事業年度終了の日までに既に経過した期間の占める割合は、履行義務の進捗の度合を示すものとして合理的と認められるものに該当します(2-1-21の6)。保守契約の代金を前受けした場合に、受け取った期にすべてを売上にするのではなく、経過期間に応じて計上する考え方です。
土地や固定資産を売却した場合
棚卸資産である土地又は土地の上に存する権利で、引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日と、所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日のうち、いずれか早い日に引渡しがあったものとすることができます(2-1-2)。また、固定資産の譲渡に係る収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入し、土地、建物その他これらに類する資産については、契約の効力発生の日において収益計上を行っているときは、その日を引渡しの日に近接する日として扱うとされています(2-1-14)。期末近くに不動産や設備を売却する場合は、契約日と引渡日のどちらで計上するかを事前に決めておきましょう。
値引き・割戻し・対価が未確定の取引
販売した棚卸資産に係る売上割戻しについて変動対価の取扱いを適用しない場合には、当該売上割戻しの金額をその通知又は支払をした日の属する事業年度の収益の額から減額します(2-1-1の12)。また、引渡しの日の属する事業年度終了の日までにその対価の額が合意されていない場合は、同日の現況により引渡し時の価額等を適正に見積もるものとされ、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、差額をその確定した日の属する事業年度で減額又は増額します(2-1-1の10)。
当事務所の見解・期ズレを防ぐ実務上の注意点
![]()
期末の取引だけ基準を変えることはできない
当事務所が決算前に必ず確認するのが、計上基準の継続性です。国税庁の解説資料は、引渡しの日には複数の収益計上時期がありうるところ、引渡しの日の中で法人が選択した収益計上時期の基準は継続して適用することが求められるとし、例えばその取引について出荷した日が引渡しの日として合理的と認められ継続して適用している場合に、期末の取引だけ検収した日とすることは認められないと明記しています。
利益調整のための基準変更は否認の対象
今期の利益が多いからと、期末に出荷した分だけ検収日まで売上を遅らせるといった処理は、上記の考え方に反します。ふだんの基準で計上すべき売上を翌期に回すことになり、税務調査で計上時期の誤りとして是正されるおそれがあります。
今期の利益が多いからと、期末に出荷した分だけ検収日まで売上を遅らせるといった処理は、上記の考え方に反します。ふだんの基準で計上すべき売上を翌期に回すことになり、税務調査で計上時期の誤りとして是正されるおそれがあります。
是正されるときの基準も継続性で決まる
同資料は、収益計上時期に誤りがある取引については、全て引渡しの日の収益として是正するわけではなく、公正処理基準に従い近接する日を収益計上時期の基準として継続して適用している場合には、その近接する日の収益として是正することとなるとしています。また、申告調整により近接する日に収益計上することを認める規定についても、恣意的な申告調整を認めるものではないと注記されています。継続して守っている基準があれば、その基準が是正の物差しにもなるということです。
見積りで売上を減額するなら根拠書類が必要
値引き、値増し、割戻しなどで対価が変動する可能性がある部分(変動対価)を見積もって、引渡しの事業年度の収益の額を減額する処理も、通達2-1-1の11で一定の要件のもとで認められています。要件には、値引き等の事実の内容や算定基準が契約や取引慣行などにより相手方に明らかにされていること又は事業年度終了の日において内部的に決定されていること、過去の実績を基礎とする等の合理的な方法で継続して見積もっていること、そしてそれらを明らかにする書類及び算定の根拠となる書類が保存されていることが含まれます。期末に感覚で減額するのではなく、根拠を書面で残すことが前提です。
証拠となる記録を残しておく
出荷基準なら出荷伝票や配送記録、検収基準なら取引先の検収書や受領書が、その日に引渡しがあったことを示す資料になります。期末日の前後の取引は、こうした記録の日付と売上の計上日が一致しているかを一件ずつ確認しておくと安心です。記録と計上日が食い違っていれば、どちらが正しいかを決算前に確かめ、必要なら計上日を直しておきます。計上基準の整理や決算前の点検に不安がある場合は、堺市の税務顧問として当事務所がお手伝いします。
今すぐやるべきこと:決算前の売上計上の点検手順
![]()
決算日が近づいたら、決算の数字を固める前に、次の順で売上計上の点検を進めてください。
- ステップ1:自社の売上計上基準を確認して文書にする
取引の種類ごとに、出荷した日、相手方に着荷した日、相手方が検収した日など、どの日を引渡しの日として計上しているかを確認し、社内で文書にしておきます。過去の決算と同じ基準になっているかもあわせて確かめます。 - ステップ2:期末日前後の出荷・検収記録をそろえる
期末日の前後に動いた取引について、出荷伝票、配送記録、検収書などの日付と売上の計上日を照合します。期末の取引だけ基準が変わっていないかを重点的に確認します。 - ステップ3:請負・工事の引渡し等の日を確認する
期末をまたぐ請負契約は、目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日がいつかを確認します。部分完成の特約がある工事は、期末までに引き渡した部分の売上が計上されているかを点検します。 - ステップ4:保守・サービス契約の前受金を期間で按分する
一定の期間にわたって提供する役務の代金を前受けしている場合は、契約期間のうち期末までに経過した期間に対応する部分が売上に計上されているかを確認します。 - ステップ5:割戻し・値引き・未確定の対価を整理する
売上割戻しは通知又は支払をした日の事業年度で減額するのが原則です。期末までに対価の額が合意されていない取引は、期末の現況で適正に見積もった金額で計上されているかを確認します。
- ☑ 取引の種類ごとの計上基準を社内で文書にした
- ☑ 期末日前後の取引の伝票と計上日を照合した
- ☑ 期末をまたぐ請負契約の引渡し等の日を確認した
- ☑ 前受金のうち経過期間分の売上計上を確認した
- ☑ 売上割戻しと未確定の対価の処理を確認した
点検の結果、計上基準と異なる日付で計上されている売上が見つかった場合は、決算を確定させる前に修正しておくことが大切です。とくに期末日の前後に取引が集中する業種では、売上だけでなく対応する仕入や外注費の計上時期もあわせて確認すると、利益の期間帰属がそろいます。
よくある質問
- Q. 出荷基準と検収基準は、どちらを選んでもよいのですか?
- A. 法人税基本通達2-1-2は、出荷した日、相手方に着荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日等のうち、棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じ引渡しの日として合理的であると認められる日で、法人が継続して収益計上を行うこととしている日によるとしています。取引の実態に合った合理的な日を選び、継続して適用することが条件です。
- Q. 今期だけ売上の計上基準を変えることはできますか?
- A. 国税庁の解説資料は、法人が選択した収益計上時期の基準は継続して適用することが求められるとし、出荷した日を継続して適用している場合に期末の取引だけ検収した日とすることは認められないとしています。取引の内容が変わったなど合理的な理由がない限り、利益の調整を目的に基準を変えることはできないと考えてください。
- Q. 代金を受け取った日に売上を計上してはいけないのですか?
- A. 資産の販売等による収益の額は、原則として目的物の引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入するとされています。代金の入金日は、引渡しの日の例として挙げられていないため、入金日を基準にすると、期末に引き渡して翌期に入金される売上が漏れるおそれがあります。期末の売掛金の計上漏れがないかを確認しましょう。
- Q. 中小企業も収益認識に関する会計基準に合わせる必要がありますか?
- A. 国税庁の解説資料は、中小企業(監査対象法人以外)については、引き続き企業会計原則に則った会計処理も可能としています。また、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められ、今般の通達改正により従来の取扱いが変更されるものではありませんとされています。ただし、引渡しの日を基準に計上するという原則は同じです。
- Q. 期末をまたぐ工事の売上はどの期に計上しますか?
- A. 請負は、原則として引渡し等の日、つまり目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日の属する事業年度の益金の額に算入します。ただし、引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約や、完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合は、その事業年度において引き渡した部分の収益を計上します。
- Q. 売上割戻しはいつの売上から差し引きますか?
- A. 変動対価の取扱いを適用しない場合、販売した棚卸資産に係る売上割戻しの金額は、その通知又は支払をした日の属する事業年度の収益の額から減額します。期末後に割戻しを通知する取引では、通知した日の属する事業年度で減額することになるため、通知の時期と記録を確認しておきましょう。
- Q. 委託販売の売上はいつ計上しますか?
- A. 棚卸資産の委託販売に係る収益の額は、その委託品について受託者が販売をした日の属する事業年度の益金の額に算入します。ただし、売上計算書が売上の都度作成され送付されている場合に、法人が継続して売上計算書の到達した日において収益計上を行っているときは、その到達日を引渡しの日に近接する日として計上できます。週、旬、月を単位とした一括作成でも、継続していれば該当します。
参考資料・出典
- 国税庁 法人税基本通達 第2章第1節第1款 資産の販売等に係る収益計上に関する通則
- 国税庁 法人税基本通達 第2章第1節第1款の2 棚卸資産の販売に係る収益
- 国税庁 法人税基本通達 第2章第1節第3款 役務の提供に係る収益
- 国税庁 「収益認識に関する会計基準」への対応について
- 国税庁 「収益認識に関する会計基準」への対応について~法人税関係~(平成30年5月)(PDF)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)
税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。